特典を貰った純粋な男がいつの間にかチーレム作るだけの話。 作:冷めたフライドポテト
……身体が動かない。
首から上は何とか動くが、それ以外は何かで固定されているようで動こうとしても遮られた。
「気がついたかな?客人よ」
何処か甲高いような声が耳に入る。
何だ……?誰だ?
「あれ……動く?」
急に身体が動くようになり、驚く。目を開けると、そこには牢獄の景色が広がっていた。
「ようこそベルベットルームへ」
再び甲高い声が耳に入る。嫌にこびりついて夢にでも出てきそうな声だ。
声が聞こえてきた方向に視線をやる。
そこには、やたらと鼻が長いイゴールが椅子に座っていた。
「う、お、え?」
「早速だが、本題を話させてもらうぞ」
待ってくれ、と言いかけるが、目の前にいるイゴールは待ってくれそうに無かったため口を閉じる。
「お前にはこれから先、過酷な運命に立ち向かう時が来る。お前にはその運命を変えられるか?」
「い、いや…いきなり言われても」
「ふむ…今は分からなくともいつか分かる時が来る。その時に備えてしっかりと準備をしておきなさい」
「……は、はぁ」
イゴールは不気味に笑うと、カードを渡して来た。
『世界』
そう書かれているカードを。
****
…い…ず…!
……み…き!
「おい!瑞希!」
「うわあああ!?何!?何!?敵襲!?」
再び目を開けた先は、先程いた牢屋の中などでは無く、最近初めて行ったオカルト研究部の部室だった。
「はぁ…ったくレーティングゲーム本番なんだから寝るなよ…」
「はあ!?本番!?え?待って待って…1週間後って言ってなかったか?」
「ん?何言ってんだ?1週間経ったじゃねえか」
え、てことは………え?
「……まあいいか、よし!本番だな、頑張るか!」
先程のベルベットルームも夢じゃないかと思ったが、右手に握られていた一枚のカードで夢じゃないことを知らされた。
***
レーティングゲームが始まり、時間が経った。
初めの方は俺達が押していたが、今となっては俺達が押されている。
イッセーは新技の『
搭城は、相手側のクイーンに油断したところを撃破されていたようで悔しがってるのが目に見えそうだ。
「うし、そろそろ働くか」
木の枝から飛び降り、そこら辺にいた焼き鳥君に話しかける。
「やほやほ」
焼き鳥君はいきなり現れた俺にビックリしたのか身体をビクッ!とさせて勢いよくこちらに振り向いた。
「な、何故ここにいる!?」
「いや、なんかウロウロしてたらここに来た」
焼き鳥君は何かを言おうと、口をゴモゴモとさせる。
「お、お前……まあいい、丁度お前を探してたからな」
ドヤ顔すんな、ウザいだろ。
「何で俺を?」
「リアスの眷属の
焼き鳥君はニヤリと口角を上げて答える。朱乃さんが欲しい?何を言ってるんだこいつは。
腹の底からふつふつと溶岩が溢れ出しそうなくらいの怒りを感じる。焼き鳥君は俺に必ず勝てると思っているのか、こちらを見てニヤニヤしているだけだ。
舐めんな。
「立ち話も面倒だな……死ね!」
焼き鳥君は、右手から炎の槍を出してこちらに飛ばしてくる。あまりにも高温のようで、周りの草花を焼いていた。
「確かに、お前は強い。
–––でも甘い」
その槍を片手で受け止める。焼き鳥君は驚愕した表情になる。その表情があまりにもおかしく失笑しそうになるが、今はそんなことしてる状況じゃない。
「ふっ、いいだろう…そんなに死にたいなら本気を出してやる」
「うるさいよ」
「『ブフ』」
氷塊が焼き鳥君を取り囲む。パキパキと音を立てて足から頭のてっぺんにかけて凍りついて行く。
「く、くそ!」
だが、凍りついた部分がだんだんと溶けて行くのが目に入る。これがフェニックスの力か。
文字通り『
並みの攻撃じゃ倒すことはできないだろう。
「オラァ!」
焼き鳥君は学習しないのか、また炎の槍を飛ばしてきた。
「もう、学習しよ……っ!?」
違う。
さっきのと同じ攻撃だとは思えないほど威力が上がってる!?
「ぐアッ!」
炎の槍は先程の槍の数倍のスピードを出し、俺の腹に吸い込まれるように当たった。
痛さと熱さで腹がぐちゃぐちゃになるような感覚を覚える。
「ハハハッ!もう一本だ!」
また炎の槍が飛んでくる。
抵抗するも虚しく、次は右足に当たる。
「くっ…そぉ…」
意識が遠のいて行く。
力を見誤ったか…
いつの間にか痛さと熱さを感じなくなり、その代わりに強烈な眠気が襲ってきていることに気づいた。
瞼を閉じれば一秒もかからないうちに眠るんじゃないかと思うくらいだ。
「トドメだ」
焼き鳥君が炎の槍を三度投げたのを見たところで、意識が途切れた。
***
いつからだろう。こんなに慢心していたのは。
あのデカイ二匹のドラゴンを撃退したことで少し天狗になってたのか?
もう、いいや。
––—貴様は自分の力を過信しずきたのだ
夢を見ているのか、そんな声が聞こえてきた。
——夢などではない、貴様を待っている人がいるんじゃないのか?
そう言われて頭によぎるのは、オカルト研究部のみんなだった。確かに一緒に過ごした時間は少ない。けれど、あいつらは全力で俺を心配してくれたし、全力で俺に協力してくれた。
——力が欲しいか?
ああ。
——貴様が求める力はなんだ?
みんなを守れる力。それ以外はいらない。
——いいだろう
闇に溶けていた意識が徐々に覚醒しているのか、光が見えてきた。
もう慢心なんてしない。俺は、俺はあいつらを守るんだ。
***
「トドメだ!」
ライザーが炎の槍を投げようとした瞬間、ライザーは動きを止めた。
「な、何故だ!並みの悪魔なら今ので死んでいるぞ!?」
なぜなら、淡い光を放ち、覚悟を決めたような目で立っている瑞希がいたからだった。
「——我は汝、汝は我。過酷な運命に抗いし者よ、運命を覆し、自らの道を突き進め!
我が名は、世界の守護者『ゼウス』!」
最近リアルが忙しく、殴り書きのように書いた話ですが、楽しんでいただいたら幸いです。
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