鋼の心   作:モン太

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スカーレット・デビル

ルーマニアのブカレスト。トルコから移動した。アフリカへ行くか、ヨーロッパへ行くか迷ったけど、結局ヨーロッパにした。なんとなく。

 

イスタンブールの事件から実は、まだ2日しか経っていない。なぜなら、

 

 

『次のニュースです。先日、トルコ、イスタンブールで爆破テロがありました。このテロで負傷が14人と頭部破損の遺体が1人見つかりました。また、トプカプ宮殿で国宝などが多数盗まれていることから、警察はテロと盗難は同一犯行グループと見て捜査しています。つい3週間ほど前にイラクでもテロがあり、今世界はテロの不安と立ち向かわねばならないのかもしれません。今日は中東情勢に詳しい専門家の...................』

 

 

俺はテレビを消す。

 

こんな感じで、今あの街に居たら警察に捕まってしまう状況だからね。トプカプ宮殿の国宝盗むって、知らんし。絶対暴動の影で盗みを働いたハイエナ供だろ。一緒にするなよ。

 

俺はホテルの自室で片手で逆立ちをする。

 

久しぶりに放出系の修行するか。

 

俺はひたすら掌からオーラを放つ。今回は特に修行に余念がない。何故なら、この国に入ってすぐに面白い情報が入って来たのだ。

 

『この街の郊外の森。霧に覆われて近づけない。しかし、中に入り運が良ければ、赤い館がある。そこには吸血鬼がいる。』

 

俺は妖怪の類の専門家では無いからよくわからない。でも、今時吸血鬼なんているのか?と、前の俺なら思って居たが、おそらくいるんだろうな。そして、エクソシストや魔術師が隠蔽し切れない知名度。

 

間違いなく強いだろ。................おっといけねー。

 

俺は自身から漏れ出ているオーラを引っ込める。

 

まあ、噂の吸血鬼が本当に吸血鬼とは限らないけど、何かの暗示かもしれないし。

 

現在、「浮き手」27cm。変化系や強化系よりも遥かに進歩が遅い。得意系統から離れる分だけ習得も時間がかかる。「石割り」は952でゴールも近い。お陰で打撃攻撃の威力と「周」の威力と精度が共にが完成しつつある。

 

俺の「発」のデメリットは自身だけでなく、離れた対象物に磁力を持たせて、攻撃するパターンも多い。よって、放出系は必須。

 

だが、メリットは磁力のS極とN極の変化で物体を操作できるから、操作系の習得の必要はなし。つまり、操作系の力を使わずに物体を操作できる。

 

だから変化系と放出系を極めれば、俺の「発」も一応は完成する。強化系も習得すれば、「周」で強化系した物体を相手に当てて攻撃もできる。

 

話が逸れたが、今は放出系の修行中だ。吸血鬼との対戦までにできるだけ、距離を伸ばしたい。

 

「ふん!」

 

28cm。まだ、目標まで12cm。まだまだ伸ばせる!

 

俺は夜になるまで、オーラを放出し続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

午前0時。俺は目を開ける。放出系の修行は午後6時に終了し、残りは「絶」で疲労回復。瞑想で体内のオーラの安定化させた。コンディションは最高。いける。

 

俺はホテルから飛び出す。場所は森という情報のみ、あとは直感を頼りに探す。見つからなければ、また明日探せばいい。道中も楽しめないと人生損だからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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森を彷徨う事数時間。完全に迷ってしまった。所謂遭難だ。まあ、念能力者である俺なら野生の動物を狩ったりすれば、食い繋げるからあまり問題ではない。

 

問題はこの立ち込める霧だ。妖怪などに詳しくない俺でもわかる。この霧には、何か特別な力が込められている。この霧のせいで感覚を狂わされているような気がする。だが、裏を返せば、吸血鬼の館に近いという他ならない。

 

「円」を使おう。俺の「円」の半径は基本300m。コンディションが絶好調の時は1kmも可能。まあ、最高記録ってだけで普段は無理。それに円形でも無い。でも、300mなら円形を保ったまま安定して維持できる。目標は1kmを円形で安定維持できるようにする事。まあ、300mでも十分広いから、こっちはゆっくり広げるとしよう。

 

お!反応あり!かなり大きな建物。門の前に1人。内部には無数の人影を確認。

 

「円」の反応を頼りに進む。

 

なかなか抜けないな。でも、近づいてるはず。

 

後ろを見ると、俺の足跡がジグザグになって続いていた。

 

まっすぐ歩いてるはずなのに。やっぱり、認識をずらされているのか。「円」などの探知能力無しで見つけるには、相当の運が必要って訳か。

 

さて、門が見えた。俺は茂みに身を隠す。もちろん「隠」を使っている。

 

門の前には、おそらく門番であろう。中華服を着た女性。だが、眠っている。いいのかそれで?とツッコミたくなるが、隙は無い。かなりの手練れのようだ。眠ろうが女だろうが、容赦する気は無い。「凝」でも確認したが、オーラが一切垂れ流しされていない。つまり、精孔が無い。妖怪だ。吸血鬼っぽくは無いが、妖怪なら油断ならない。見た感じ、後ろの紅い館に吸血鬼がおり、その手下の門番っといったところかな。無駄な戦闘は避けたい。なら、あいつは無視だ。

 

俺は茂みから飛び出す。

 

寝ていた女が目を覚ます。

 

「おやおや、坊や。こんな所に何しに来たんですか?」

 

「うーん。僕迷子なの。ここどこー?」

 

「うーむ。迷子ですか。困りましたね。とにかく、早く帰りなさい。ここは、怖い吸血鬼がいるの。お母さんも心配するでしょう?だから、もうここに来てはいけませんよ。」

 

なるほど。ビンゴか。

 

「わかった!ありがとう!お姉ちゃん!」

 

「隠」で気配を消し、足にオーラを集中。一気に地面を蹴る。

 

門を越えることに成功する。

 

「あれ?消えた?」

 

後ろで門番の女が戸惑いの声を上げている。

 

音も無く、中庭に着地。周りを見渡す。

 

広い中庭にだな。庭の端は木が茂ってる。花壇もいっぱい。吸血鬼って聞いたが、意外と可愛い趣味をしているのかな。でも、館のインパクトはすごいな。真っ赤。目が痛いわ!ほんと飛び抜けたセンスだな。敵地で思わず笑いそうになるとは。

 

さて、吸血鬼はどこかなー?

 

俺は歩を進めようと一歩踏み出す。その瞬間後ろから声をかけられた。

 

「あらあら、こんなとこに泥臭い鼠が入り込んでるじゃない。」

 

俺は振り返る。

 

見た目は小さな子供の様だ。俺と背格好はそう大きく変わらない。しかし、人間とは明らかに違う威圧感を放っていた。

 

思わず膝を着いてしまいそうな程の圧迫感。

 

あぁ、あぁ、これが、これが大妖怪、これが怪物だ。あのコウモリの様な翼に窓の無い館、そして口には鋭い牙、なるほどね。

 

「............吸血鬼。」

 

俺の声に反応し、吸血鬼の顔に映し出されるのは嗜虐の色。

 

「ご名答、お子様。」

 

愉快げな口元から紡がれる言葉は、酷く高圧的で俺という人間を、嘲る様な響きを含んでいた。自然と体が震える。

 

ああぁ。こいつなら、俺を満足させてくれる。

 

俺は歓喜に体を震わせる。

 

「この状況で笑うか。いやはや、期待が持てそうじゃないか。どれ少し試してみようか」

 

刹那、俺の目の前に長い爪が突き立てられた。

 

疾い!

 

ギリギリのところで躱す。

 

「なかなか、疾いわね。でも、所詮は人間。誇り高き吸血鬼には敵わないわ。」

 

こいつ相手に様子見は不要。全力で潰す!

 

体からオーラを出す。

 

瞬間、吸血鬼の顔に恐怖の色が浮かぶ。が、すぐに元の顔付きに戻る。しかし、余裕や油断があるような気配は消えた。

 

そのまま、オーラの色が紫色になる。

 

大地の意思(マグネティックフォース)

 

オーラに磁力を持たせる。また、オーラを干渉させることで物体にも磁力を持たせることができる。

 

「やって見ろやコウモリが! ぶっ殺すのは俺の方だってのを教えてやるよ!!」

 

笑みを浮かべながら吠え、吸血鬼へと拳を振るう。その五体をガラクタへと成り果てさせる、ただそのためだけに。

 

正に砲弾。大気の層を貫く拳は、俺からしたら弾丸などと言う比喩など侮辱に思えるほどの一撃。

 

オーラで強化した拳打は歪な音を立てて吸血鬼へと迫るが、

 

べキィ!

 

吸血鬼の華奢な両腕にガードされる。俺の拳は吸血鬼の肉体を砕く事はなく、骨を折っただけで終わった。

 

吸血鬼は苦悶の表情を浮かべる。が、俺も苦い表情を浮かべた。

 

「っち。ガードされたか。一撃で殺すつもりだったのに。」

 

「人間風情が図に乗るなよ。その程度で殺せる訳がないわ。」

 

吸血鬼は爪を伸ばす。

 

「ただの爪と侮らない事ね!」

 

吸血鬼が突っ込んで来る。

 

「っは!」

 

精々が四頭身ほどの体躯だというのに吸血鬼が振るうのは巨大な爪。彼女の身の丈ほどもある巨大な爪は、まさに人体の一刀両断も可能だろう。感じるプレッシャーは今までの誰よりも大きい。

吸血鬼の撃墜のために伸びきった俺の腕を切り落とすため、いささかの躊躇もなく吸血鬼は爪を振り下ろしてきた。

 

しかし俺も危機など感じない。

 

顔に勇猛な笑みを浮かべながら迎撃に移る。

 

伸びきった腕を曲げる。爪が掠り鮮血が舞う。

拳先にあったオーラを即座に移動。狙うは不自然な体勢のまま滞空している吸血鬼の中心。

体ごと押し込み、全力の肘鉄を吸血鬼へと叩き込んだ。

 

それは一歩間違えれば腕が飛ぶ行為。カウンターのために攻防力の八十以上を肘先に集めた以上、必然防御は下がるのだからなおさらだ。

ともすれば捨て身とも呼ばれる攻撃は、防より攻に片腕をかける覚悟によりオーラを増加させ、吸血鬼の肉体を穿つ。

 

「がはぁ!」

 

吸血鬼の腹に大穴が空き、血を吐く。吸血鬼の吐いた血を浴びるが、気にしない。むしろ、敵に痛手を与えた事が実感できる。

 

足にオーラを集中させる。

相手を休ませる訳にはいかない。さらに追撃をかける。

足元のオーラを推進力に代えようとした刹那、

 

「舐めるなといったはずだわ。ガキ」

 

前傾姿勢をとっていた俺の背後に浮かぶのは、最強の悪魔。満月の夜に最強の力を振るう人外。吸血鬼だ。

 

吸血鬼の貫手が、心臓へと振り下ろされた。

 

疾い!目を離して無かった筈なのに見失い、更に背後を取られる。これが吸血鬼の本気!

だが、俺も本気だ。「円」で感知してる状況から、敵は俺の心臓めがけて攻撃して来ている。当たれば即死。だが、見えなくても映像がイメージできるほどの制度がある俺の「円」は、容易に回避方法を俺に教えてくれる。

 

体の7cm右にずらす。次の瞬間、左脇を通過する貫手。そのまま、吸血鬼の腕に左腕を絡めて、骨を折る。

 

ボキィ

 

耳に響く嫌な音を聞きながら、右手にオーラを溜めて、裏拳。だが、吸血鬼も頭を下げて回避する。

だが、裏拳はブラフ。本命は裏拳の勢いをそのまま乗せた左足のキック。「流」でオーラを右手から左足に移動。首を捥ぐ。

 

「死に晒せ!」

 

だが、またしても右手で受け止められる。受け止めた右手はバキバキに折れるが、俺は不安定な状態で手足を封じられ、敵と密着状態。

 

「お前の攻撃が不自然に重いのは、わかった。なら、そのつもりで受け止めればいいだけ。さて、防御はどうかな。」

 

吸血鬼は頭を振りかぶる。

 

ヘッドバットか!不味い!

 

即座に左腕にオーラを溜める。そして、そのままガードする。

 

それでも、ガードを貫通して来た吸血鬼の攻撃は俺を吹っ飛ばす。

 

なんとか着地して距離を取るが、左腕が骨折した。

 

「防御もなかなかね。でも、折れた腕はもう使えない。でも、私はすぐに治る。こんなふうに。」

 

俺が砕いた腕がすぐに治る。よく見ると、大穴もふさがっている。

 

「さて、私は誇り高き吸血鬼。何も野蛮な殴り合いだけが、取り柄ではないわ。もっと優雅に踊りましょう。」

 

すると、吸血鬼の背後に無数の光り輝く円形の幾何学的な紋章が浮かぶ。

 

初めて見るけど、多分魔法陣ってやつか。どんな攻撃が来るかわからない以上、「円」「凝」「堅」で攻撃に備える。

 

「私からのプレゼントよ。しっかり味わいなさい。」

 

魔法陣から光の玉が大量に放たれる。

 

そのあまりの美しさに一瞬気を取られる。その間に光球が頬を掠め、背後の地面が爆発する。

 

恐ろしく速くて、殺傷力の強い弾幕。

 

「あらあら、ぼうっとしてていいのかしら。」

 

嘲笑の篭った声をあげる吸血鬼。

 

隙間を埋め尽くす程の弾幕の壁。だが、「円」が即座に回避ルートを導く。

 

いいねぇ。いいねぇ。これは本当に愉しい。

 

俺は吸血鬼の弾幕を味わう。

 

「なら、こちらも礼をしなきゃいけないね。」

 

俺は地面を軽く踏みつける。地面の砂が舞い上がり、弾幕を弾く。

 

自由自在な砂鉄(クリークアイアンサンド)

 

「なかなか、面白い技を使うのね。」

 

「ああ、次はこっちがいくぜ!」

 

大量の砂鉄が舞い上がり、吸血鬼に襲いかかる。以前、錬金術師の技を観て、思い付いた技だ。

 

「砂鉄の津波を喰らいな!」

 

襲いかかる砂鉄の津波を吸血鬼は空に飛ぶ事で回避する。だが、津波は収束し、巨大な蛇のような形で吸血鬼に襲いかかる。

 

そいつは磁力で動いてる。砂鉄はN極、あんたはS極。どこまでも追尾する。

 

俺は手に砂鉄を集め、槍を作る。それを敵に投げる。もちろん、こいつも追尾する。

 

投げ槍に気付いた吸血鬼は、手に赤い光を溜め、光線を放つ。赤い閃光は、多蛇を破壊する。

 

「鬱陶しいわね。しつこい男は嫌われるわよ。」

 

「生憎、俺はまだまだガキなんでね!」

 

2本、3本と投げる。そして、4本目は「周」をしておく。

 

吸血鬼が飛んで来る槍を弾く。弾かれた槍は粉々に砕ける。

 

「ふん、他愛もないわね。」

 

そのまま、2、3と砕く。4本目は吸血鬼の真上から飛来する。

 

「芸がないわね。ネタ切れかしら。」

 

吸血鬼が嘲笑う。しかし、俺も相手を嘲笑う。

 

チェックメイト!

 

吸血鬼が右手で槍を弾く。が、そのまま右手を貫通。

 

「なっ!」

 

それでも止まらず、右胸を貫通。尚も速度は止まず、クレーターを作りながら、吸血鬼を地面に縫い付ける。

 

俺は飛び上がり、足にオーラを溜める。そのまま、重力に従って吸血鬼の頭蓋を踏み砕く。

 

しかし、直撃の寸前で吸血鬼がニヤリと笑い、全身を無数のコウモリに変化させ、分裂した。

 

っち!外した!

 

全く、どっちがしつこいんだか。

 

分裂したコウモリは空中で集まり、再び吸血鬼になる。

 

「正直、ここまでできるとは思わなかったわ。でも、残念。あなたとのお遊びも飽きちゃったわ。」

 

「そう?俺はまだまだ遊びたいんだけど。」

 

「ふふふ。吸血鬼を前にして、まだそんな大口を叩けるのね。いいわ。これで最後にしてあげる。」

 

吸血鬼の右手に赤い、血を固めたような巨大な槍が現われる。

 

「これは、私の妖力と魔力で作った槍。これを受けて生き残った者はいないわ。」

 

「なるほど、切り札って訳か。」

 

俺は右手の掌をかざす。「円」と「堅」のオーラを最大限に高める。

 

俺の「円」と「堅」をN極にする。

 

「まさか、受け止める気?ふふふ、ハハハハハ!面白いわ。なら、止めて見せなさい!」

 

吸血鬼が槍を構える。

 

槍から赤い光が炎のように噴き出す。

 

「スピア・ザ・グングニル!」

 

巨大な槍が赤い閃光になって、俺に向かって来る。それはともすれば、隕石であり、太陽であった。だが、どちらにしろ俺に等しく死をもたらすであろう巨槍は、()()()()()()()()()()、大爆発した。

 

この結果に思わず笑みが浮かぶ。大爆発の衝撃、舞い散る礫も()()()()()()()()()()飛び散る。

 

バーカ!そんな物、真正面で受けるはずないだろ!

 

土煙が晴れる。吸血鬼の顔が驚愕に染まる。

 

「ぼうっとしてていいのか?」

 

俺は右手に全てのオーラを手中。

 

「硬」。そして、S極にする。吸血鬼の体をN極にする。そして、最大出力。

 

こちらに引き寄せられる吸血鬼。急に体の自由が利かなくなり、焦りを見せる。吸血鬼がこちらに吸い寄せられる速度は音速。そして、俺の「硬」。

 

この一撃は、強化系能力者の本気の攻撃すら余裕で凌駕する。

 

俺の攻めの必殺技。

 

天罰(ネメシス)

 

全力の「硬」と音速で迫る吸血鬼の体。相対速度が速いだけにエネルギーも凄まじい。相対速度だけでE=(1/2)mv^2のエネルギーがでる。人間なら即スクラップだ。念でガードしても絶命は避けれない。

 

俺の拳が吸血鬼を貫く。衝撃波で俺の真後ろと吸血鬼の真後ろの地面にヒビが入る。

 

吸血鬼の肉体が粉々になる。

 

血の雨ってこんな感じなんだろうな〜。

 

ふう〜。疲れた。オーラもほとんど無くなったし。今回は実に楽しかった。連戦は無理。帰るか。

 

俺はふらふらになりながらも、歩き出す。

 

 

「どこに行こうって、つもりかしら?」

 

 

ゾクッ!

 

背筋が凍る。

 

咄嗟に振り向き、右腕にオーラを溜めてガードする。

 

俺の眼前に小さな拳が迫っていた。

 

ギリギリで間に合い、頭蓋を砕かれはしなかったが、足腰に力が入らなかったため、体が浮き上がる。

 

そのまま吹っ飛び、木に直撃し、俺の意識が消えた。

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