紅魔館にはすぐに到着した。
美鈴が俺たちの姿を見て慌てていたが、スルーした。
正直早くパチュリー様に治療してもらわないと俺が死んでしまうからだ。
2日間、寝ずに警戒し続けて
自分でも何で歩けているのか不思議なくらいだった。
まあ、目を真っ赤に腫らした咲夜に血まみれの俺だ。仲直りどころか血みどろの殺し合いを演じたと勘違いされたらしい。
とはいえ俺の中身はともかく、外見は普通に歩けているから咲夜にも美鈴にもそこまで騒がれる事はなかった(左手が無いから相応の騒がれ方はしていた)。
「じゃあ、私はお嬢様に報告してくるわ。貴方はパチュリー様に傷を見せてもらいなさい。」
「わかったよ。じゃあ報告頼むわ。まあ、その前にその顔を洗ってからにしておけよ。」
「うるさいわね!誰のせいだと思ってるのよ。」
咲夜は顔を赤くして足速に去っていった。
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大図書館に入るとパチュリー様が紅茶片手に本を読んでいた。その横で小悪魔が退屈そうに頬杖をしていた。
「あら、おかえりなさい......こあ、すぐに椅子を用意して。シャーキャはすぐに上着を脱いで椅子に座りなさい。」
俺を見た瞬間、目を細めて指示を出すパチュリー様。
「能天気な美鈴や幼い咲夜は騙せても、私やレミィにはその痩せ我慢は通用しないわよ。」
「はいはい。流石はオーラが見える眼鏡を作ったパチュリー様ですってか?」
「カッコつけも、ここまでくれば筋金入りね。貴方今死にかけてるでしょ。その様子だと咲夜も重症かしら?」
「いや、咲夜は無傷だ。」
「それは
「文字通りの無傷だよ。」
「貴方、少しは自分の怪我を考えなかったの?何故そこまでして咲夜を護ったの?」
「仲直りしろと言った張本人なのはパチュリー様なのでは?」
「屁理屈はいいから答えなさい。」
何故と言われてもな。
仲直りしろと言われて外出した。そこで咲夜に不意打ちを食らって、捕らえられた。普通なら裏切った奴は見捨てるはずだ。モラウやノヴ、美鈴、お嬢様達が同じ事をしてきたら見捨てていたと思う。その後も俺の回復よりも咲夜の体調に気を配り続けていた。
何故か......
「.......さあな。俺にも分からん。」
だが、咲夜が拷問にかけられている時、頭に血が上った。咲夜を助け出し、寝顔を見た時安堵した。その後も咲夜には戦闘に参加させずに逃す事ばかり考えていたように思う。
その時はそれが当たり前だと思った。でも、咲夜以外だったらどうだろうか?.......わからない。
そこで喉の奥から何かが登ってきて思わず吐き出した。
何て事はない血の塊だった。
視界が霞む。
「まあいいわ。さっさと治療を始めましょう。貴方に死なれるとレミィも困るだろうし、咲夜にも一生恨まれそうだわ。」
深い溜息のついてパチュリー様は治療を始めた。
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治療が終わり、大図書館を後にする。
「魔術ってホント便利だよな。」
俺は自分の左手の感触を確かめる。俺が切り落とした左手だ。あんな戦場の中落ちた左手を拾った訳ではないから、文字通り腕を生やしたわけだ。
オーラを左手に手中し「硬」。何も問題無く、オーラも纏える。
体は治ったけど、この鉛みたいな体の重さは変わらずだ。
オーラが回復しないからだろう。魔術師....いや魔法使いは念の事は知らないから回復させる方法が無いんだろう。これは自然回復させるしかないな。
自室のベッドに寝転がる。
3日程度しか経ってない筈だが、随分と長旅をした気分だ。
もう限界だ。
俺は睡魔に抗えず眠りについた。