鋼の心   作:モン太

40 / 68
親子
再会


今でも思い出す。5年前の景色。視界を覆い尽くすほどの鈴蘭とひまわり畑。そして花妖怪。

 

俺に幻想郷というものを教えてくれた存在。

 

幻想郷に来て殆どの時間を地底で過ごしたが、この風景は今でも覚えてる。

 

「見つけた」

 

「円」にしっかりと感知できる強大な存在感。

 

目の前に広がる黄色の絨毯。

 

ここから俺の幻想郷は始まった。

 

ここを乗り越えなければ、俺の幻想郷は始まらない。

 

ガチャ。

 

畑の中の家の扉が開かれる。

 

5年前と変わらない。緑髪に日傘をさした女性。強烈なプレッシャーを放つそいつの姿に思わず笑みが浮かぶ。

 

安心したぜ。力が衰えている訳じゃなくて。

 

「生意気な殺気ね。誰が相手かわかって挑発してるのかしら?」

 

とりあえず挨拶代わりに磁力の弾丸(リニアバレット)で音速ナイフを投げる。

 

いきなりの顔面にナイフが現れ、花妖怪は目を見開くが、咄嗟に顔を倒す事で交わされる。

 

やっぱ擦るぐらいしか無理か。

 

すぐに磁力でナイフを引き寄せて回収する。

 

風見幽香は左頬から流れる血を拭う。

 

「思い出したわ。あの時のクソガキね。背丈が伸びて少しは成長したと思ったけど、相変わらず躾がなってないわね。」

 

「おいおい、忘れてたのかよ。俺はいつもお前を殺したいって思ってたのによぉ!」

 

「男に付き纏われる趣味は無いわ。」

 

「安心しろ。お前が死ねばこれで最後だからな。」

 

「ふん!せっかく拾った命をわざわざ殺されにくるなんて御苦労なことね。」

 

そういうと風見幽香は日傘畳み、多くジャンプしてくる。

 

そのまま重力に従い、日傘を振り下ろしてくる。

 

「よっと」

 

俺は後ろに飛び退いて回避する。

 

相変わらず凄まじい膂力。

 

俺が避けた地面は放射状に地割れを起こしていた。

 

花妖怪って種族だよなぁ。.......なんで(勇儀)並の力があるんだよ........。んで、パワータイプとは思えない走力。

 

既に目の前にいる風見幽香。咄嗟に両腕にオーラを集中させてガードの姿勢。

 

掬い上げるようにアッパーが飛んでくる。

 

アッパーによって、ガードが剥がされ、胴体がガラ空きになる。

 

そこに神速の右ストレートが飛んでくる。

 

ガードは間に合わない。だけど、見えてる。

 

瞬時にオーラを左頬に集中する。

 

そのまま風見幽香の拳を左頬にくらい吹き飛ばされる。

 

イッテェなぁ。

 

体勢を整えて着地する。

 

「ぺっ!」

 

口の中の血痰を吐く。

 

「私の庭に唾を吐くなんて、随分と舐めた態度ね。」

 

左手を地面に突き、右足を折りたたむ。左足は伸ばして、前傾姿勢で右拳は腰の位置で構える。

 

オーラは防御に回さない。全て右拳に集中させる。

 

「うるせぇな、クソババア。..........死ねよ。」

 

磁力の弾丸(リニアバレット)

 

瞬間移動の如く速度で接近。右拳を叩きつける。

 

風見幽香は後ろに後退して回避する。

 

左手にオーラを集中「硬」

 

自身をS極、相手をN極。

 

強力な磁力で引き寄せて、殴りつける。

 

天罰(ネメシス)!」

 

左拳が風見幽香の腹に突き刺さる。

 

「ガハッ!」

 

口から血を噴き出す。

 

頭から被るが気にならない。今、最高に気分が昂っているからだ。

 

殺った(とった)

 

ニヤリと笑みが浮かぶ。殆ど傷をつける事ができなかった風見幽香が血を吐いて悶えている。

 

だが、笑っていたのは敵も同じだった。

 

視界の端を赤い日傘が走る。

 

屈んで躱す。「硬」により体を覆うオーラが「絶」状態では、攻撃を掠っただけでも重症を受けるだろう。

 

回し蹴りもくる。これも体を退け反らせて躱す。

 

更に右ストレートがくる。連続で無理な姿勢で躱したため、この攻撃は回避できない。咄嗟に後ろにジャンプするが、拳が俺の胴体を穿つ方が早い。

 

だが「纏」は間に合う。

 

拳が左脇腹に刺さる。内臓が抉られる嫌な音が脳内に響く。

 

「ガハッ!」

 

血を吐き出す。

 

「絶」じゃなくて助かったな。即死は免れた。だが、致命傷であることに変わりない。

 

「痛み分けって所かしら。」

 

「チッ、タヌキが!」

 

肉体そのものは妖怪が遥かに頑丈だ。

 

「休んでる暇は無いわよ!」

 

右アッパー。体を左に倒して回避。

 

勢いそのままに右足の踵落とし。これもバク転で回避。

 

足を振り落とし、無防備になっている敵に指先にオーラを込めた手刀を放つ。

 

目潰し。

 

いくら肉体が頑強な妖怪でも、この攻撃には動揺する筈。

 

だが、風見幽香は口を開けて噛みつこうとしてくる。咄嗟に腕を引く。

 

「チッ、うざいクソババアだ!」

 

2本ナイフを取り出す。それぞれ両手に構えて、「周」で強化する。

 

相手のペースは作らせない。

 

すぐに俺は敵に突っ込む。

 

足を切り落としてやる!

 

膝目掛けて横なぎに右手のナイフを振るう。

 

敵はそれを跨ぐよう小さく飛んで回避。

 

空中に投げ出された胴体目掛けて、左手のナイフを振るう。

 

それを日傘でガード。

 

「喰らえ!」

 

至近距離でナイフを投擲。

 

流石にこの攻撃は躱せずにナイフが肩に刺さる。

 

「ッ!鬱陶しいわね!」

 

一瞬の隙。ナイフが刺さる痛みに意識が逸れたのを見た瞬間、もう一本のナイフを投擲。

 

咄嗟に日傘で弾くが、胴体がガラ空きになった所で、「硬」で強化した蹴りが敵の腹を貫く。

 

「ガッ!」

 

吹き飛ぶ風見幽香。

 

俺はそれを警戒しながら近づく。

 

「立てよ。そんなもんじゃないだろ?.......舐めてるのか?........お前が手を抜いていようが俺はお前を倒すぜ!」

 

風見幽香がゆっくりと立ち上がる。

 

「...........」

 

無言で此方を睨んでいるが、何も言い返して来ない。

 

「......馬鹿にするな!」

 

そこからは一方的だった。俺が切り刻み、花妖怪が防ぐ。

 

「ハハハハハハハハッ!オラオラオラオラオラァ!!」

 

「ッ!............」

 

鮮血がひまわり畑を赤く染め上げる。

 

やがて手応えが無くなり、蹴り飛ばす。風見幽香は受け身を取ることも無く、地面に倒れた。

 

「..........おい。もう終わりかよ。」

 

「...............」

 

花妖怪から返事はない。鋭い眼光もなりを顰め、ただ此方を見つめるだけ。

 

もう喋る気力も無いってか?

 

物足りなさを感じながら、風見幽香にトドメを刺す。

 

ナイフを仕舞い、「硬」で右拳を強化する。

 

拳を振り上げる。

 

その瞬間、俺は風見幽香に顔を掴まれた。

 

「随分と軽い攻撃ね。」

 

そのまま持ち上げられる。

 

クソ!これだけやって、殆どダメージが無いのか!?

 

「おいたがすぎるわね。」

 

「グッ!クソッ!」

 

俺は掴んでくる右手を剥がそうと両手でもがくが外れない

 

「少し眠りなさい。」

 

そのまま地面に叩きつけられた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告