鋼の心   作:モン太

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矜持

「それそれそれぇ!!!」

 

「ははは!!まだまだだぜ!!」

 

紅魔館上空で妹様の赤い弾幕と魔理沙の星形の黄色い弾幕が飛び交う。

 

「娯楽が少ないとは言え、本当によく飽きないな。」

 

「妹様が楽しくされてるならいいじゃないですか。」

 

「早く終わらないかしら、大図書館に案内してくれる事を忘れていないといいのだけど。」

 

魔理沙が紅魔館へ遊びに来ていた。今日も妹様とパチュリー様目当てで来たようだ。

 

外での弾幕ごっこという事で美鈴も妹様を応援していた。

 

それともう1人。魔理沙が連れてきた魔法使い。アリス=マーガトロイドだ。

 

パチュリー様への紹介と大図書館の利用が目的だそうだ。

 

魔理沙とは対照的に物静かでパチュリー様に似たタイプか。

 

だが、パチュリー様のように大きな力は感じない。それが非常に厄介だな。

 

彼女の所作、間合いの取り方、視線の動き、全てが一流の使い手のそれだ。つまり典型的な実力を隠している俺みたいな念能力者と同じような思考をした猛者だろう。実際はどこまででやれるのか読めない。

 

わかることは見た目や感じる圧程度の使い手だと思えば、手痛いしっぺ返しを喰らうだろうという事か。

 

それに彼女の視線の動きが気になる。精孔が閉じている所を見るに、魔法使いというのは間違い無い。なのにどうにも俺を見ている時の視線に違和感を感じる。あの視線の揺らぎ………まさか、オーラが見えてるのか?

 

「私は魔眼が使えるのよ。」

 

それでオーラが見えるとでも?

 

「アンタ、読心能力でもあるのか?」

 

「そんな能力はないわ。ただの観察眼よ。」

 

「成程、それはまあ随分と良い目をお持ちで。」

 

感じる力の程は中級妖怪程度ではあるが、もし敵対する事があれば八雲紫並みに警戒する必要があるか。

 

そうならない事を祈るしかないな。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

来客2人を大図書館まで送り届ける。

 

アリスも魔法使いという事もあり、パチュリー様とすぐに打ち解けていた。途中からは魔女3人でずっと盛り上がっていた。パチュリー様に新たな友人ができて良かったと思っている。まあ、魔理沙の所為でどんどん本は盗まれているらしいが。

 

パチュリー様は本を取り返す事に協力しろと言われるが、俺はあまり乗り気ではない。俺が手伝えば確かに盗む魔理沙を捕える事は簡単だろう。だけど、あの魔理沙の挑戦心の目の輝き。あれは旅を始めた時から俺にあった衝動に似た物を感じる。俺が力で取り上げれば、その輝きは失われるだろう。俺はそれが見たくないだけだ。それはつまり、敗北し全てを諦める自分というイメージが付き纏ってくるからだ。もし自分があの地底で勇儀に対して、太陽の畑で幽香に対して、そして八雲紫に対して諦めていたら…………。そんな想像を掻き立てられる。だから、手伝う事に乗り気になれないでいた。

 

魔女3人が魔法談義で盛り上がる間、俺は妹様の遊び相手になっていた。

 

妹様曰く、弾幕ごっこは楽しいが偶には身体を動かしたいそうだ。

 

俺も妹様のお付きと言う事で軽い運動に付き合った。狂気が無くなっても妹様が弱くなった訳ではない。寧ろ理性的に計算された攻撃等を披露された時は感心したものだ。

 

もう手加減も問題無い。俺がオーラで身体を覆ってなくても問題なくなった。誰かの付き添いは必要だが、安全に人里へも出れるようになった。

 

霧の湖のチルノ達とも遊んだりしている。妖精は死んでもすぐに復活するので問題は無いが、殺して良いと言う訳ではない。妹様もそこはしっかりと弁えている。

 

そして、来客2人が帰る事になったので、エントランスまで送る。

 

「悪い、アリス。ちょっと外で美鈴と待っててくれ。私はシャーキャに話があるんだ。」

 

「………。そう、じゃあ待ってるわ。」

 

話とはなんだろうか?

 

アリスを待たせる程度だから、長話ではないだろう。

 

アリスはエントランスを出て行った。

 

「話ってなんだ?個室の方がいいか?」

 

「そうだな。そうしてくれ。」

 

とりあえず魔理沙を客間へ通す。

 

「紅茶はいいぜ。アリスを待たせてるしな。」

 

「了解。」

 

そして向かい座ると魔理沙が頭を下げてきた。

 

「悪かった。……私はお前を舐めていた。」

 

なんの話だとは言わない。おそらく4ヶ月前の春雪異変の時の話だろう。

 

「別に構わない。寧ろ謝るなら俺の方だろう。あの時は殺すと言って申し訳なかった。」

 

「………なら、今度全力で弾幕勝負しようぜ!」

 

どうやら魔理沙は俺が弾幕ごっこで手を抜いていると思ってるらしい。

 

「悪いが、あれが全力だ。」

 

「……おいおい、笑えない冗談はよせよ。」

 

「そう不機嫌になるな。勿論俺も妹様の執事だ。それなりに戦える。だけど、俺の能力は弾幕ごっこと相性が悪すぎる。霊力も魔力もないから、スペルカードも作れない。」

 

「じゃあ、シャーキャの力は一体なんなのだ?」

 

「それも言えない。お嬢様に口止めされている。」

 

半分は嘘だが。

 

「言える範囲で言えば、アンタが最近戦った萃香や美鈴のように力自慢の接近して殴り合う能力だ。少しだけ見せた念動力のような物も応用だ。それ故、鬼のような力の遠距離技なんてスペルカードルール違反になる。」

 

「手加減すればいいじゃないか。」

 

「そもそも遠距離と言っても大量に一気に全てを放つ物ではない。それに俺の遠距離攻撃を見えたか?」

 

仮に念弾だとしても念能力者じゃなきゃ見えない。

 

「そういえば見えないな。」

 

「つまり透明な弾になるんだ。結局これも弾幕ごっこの趣旨から外れてしまう。………納得したか?」

 

「………わかったぜ。」

 

魔理沙は最後まで残念そうだった。

 

そりゃそうか。特に昔の自分だったら、強者と聞いただけで、飛びかかって戦いを挑んだものだ。

 

魔理沙はどうも弾幕ごっこに強い拘りがあるようだ。自分からは弾幕ごっこじゃない勝負を挑もうとはしない。

 

自分のプライドを捻じ曲げても俺に戦いをを挑むか?結局魔理沙は自分の信念を貫く事にしたようだ。

 

それに俺は何処か嬉しさを感じながら、魔理沙を見送った。

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