鋼の心   作:モン太

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イラク④

「組織」が運営するホテル。そのゲートは今、大炎上していた。その爆発を中心に人々が散りじりに逃げ惑う。逃げ惑う人々の中を気配を消し、注意深く観察する者がいた。

 

「どう?そっちからの様子は?」

 

『こっちからじゃ、スコープでも煙が邪魔で見えないね。でも、オーラを「円」で感じれるから生きてるだろうね。』

 

「りょーかい。じゃあ、セーチはいつでも撃てる様に準備しててね。第2陣行くから。」

 

そしてもう1人、800m先からスナイパーライフルを構え、スコープで様子見をしている者がいた。

 

立ち込める煙から人影が飛び出す。

 

「動きがあった。ちゃんと追跡してね。」

 

『了解!任せろ!』

 

(ふう〜。あぶねー。いきなり地面が爆発するか?地雷の威力も半端ないな〜。一瞬でもオーラで体を守らなかったら、木っ端微塵だ。対戦車地雷かな。)

 

シャーキャはできるだけ、人の少ない場所へ駆ける。

 

(あんな入り口に地雷仕掛けるなんて、ここのホテルを使う人間を殺そうとしたんだろう。なのに使ったのは、対戦車地雷。つまり、念でガードできる事も計算に入れての攻撃。これらの情報から得られる予想は、犯人は念能力者。誰を狙ってるかは、確定ではないけど俺だろうね。)

 

(へ〜。対戦車地雷を受けて、それほどダメージを与えられないとはね。ギリギリで「堅」が間に合ったんだろうね。奇襲は失敗。なら、それを計算に入れて攻撃する。)

 

(誰が下手人だ?人が少ないとこに移動してもまだまだ多い。見分けがつかねぇ。こっちが見つけられていない状況を利用しない手はない。つまり、遠距離からの攻撃がしばらく続くと考えた方がいい。しばらくは耐えなければならない。)

 

走るシャーキャに白いワゴンが突っ込んでくる。

 

(ワゴン!)

 

ワゴンはそのまま突っ込んで、建物の壁に激突。そして、

 

ピッ。

 

ドカァァァァァァン!

 

「グハァ!」

 

(いってー。さすがにやばいかも。でも、これでターゲットが俺であることは確定だな。)

 

シャーキャの額から血が流れる。

 

(今度は結構ダメージ入ったね。だけど、仕留めるにはまだまだだね。)

 

(一瞬だが、ワゴンを運転している人間の顔が見えた。正気を感じさせない顔。それに額に刺さっていた針。針で人間を操っている操作系能力者。爆弾は遠隔操作か、それも操作系念能力で起爆している感じかな。だから、遠距離で操作している奴を探す。)

 

シャーキャは走りながら、周りに注意を向ける。

 

(無数に逃げ惑う人々。その中でも人を操作している奴はいないか?何かおかしな...................あれ?あいつ...................)

 

シャーキャは人混みの中に違和感を感じる。

 

(なんで、あいつはこの状況で落ち着いて電話なんかしている?明らかにあいつだろ!)

 

シャーキャは電話をしながら、歩いている人物に接近する。

 

(左手はポケットの中。多分起爆スイッチかなんかだろ。でも、近付けば爆発させれない。.................電話?もしかして、襲撃者は2人!?..........まずい!「円」!)

 

シャーキャが慌てて「円」を使った時、シャーキャは見た。電話をしている人間が明らかにこちらに敵意を向け、口を動かすのを。

 

「やれ。」

 

『おう。』

 

パスッ

 

サイレンサーを装着したスナイパーライフルからの弾丸。無音の弾丸がシャーキャを狙う。

 

(スナイパーライフルと弾丸に俺の強化系のオーラで強化する。速度はマッハ5に達し、貫通力も破壊力3倍に飛躍した俺の狙撃を防げる者はいねぇ。これで詰みだ。)

 

咄嗟に展開したシャーキャの「円」が目の前の男と飛来する弾丸を探知。

 

(弾丸!速い!避ける?不可能だ!なら、ガード!)

 

シャーキャはありったけのオーラを右手に集中。弾丸を掌で受ける。だが、弾丸はシャーキャの掌を容易に貫通。そのまま地面を穿つ。

 

「グアァ!」

 

痛みで足が緩むそこにたたみかける様に、ワゴンが突っ込む。

 

ドカァァァァァァン

 

立ち上がる噴煙を眺めるクアンとセーチ。

 

『仕留めたかい?まさか、弾丸の軌道を掌で逸らされるとはね。本当に才能の化け物だね。でも、さすがに』

 

「いや、まだ息はしている。オーラを感じる。僕はもう手持ちがないからセーチ、君に任せるよ。」

 

『まじかよ。やっぱり今の内に狙って、よかったね。これ以上成長されたら誰にも手を付けれ無いんじゃない?』

 

「だから今、子供の内がチャンスだ。確実に頼むよ。」

 

『了解!』

 

煙が晴れる。そこには右手の掌に穴を開け、血の水溜りを作り、倒れているシャーキャ。

 

(本当に息はあるって感じだな。それでも健気に「円」を貼るそのポテンシャルは素晴らしい。惜しむらくは僕達に目をつけられた事だね。)

 

『セーチ、やれ。』

 

「オーケー。」

 

スパッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

クッソー。超苦しい。俺のオーラのガードを簡単に貫通しやがった。強化系のスナイパーか。最悪だな。このままだと死ぬな。

 

地面に倒れながら、シャーキャはこれまでの事を思い出す。

 

ジジイやノヴ、モラウに育てられ、よくわからない内から色々やった。でも、物足りなくて外に出た。でも、それもここで終わり。5年で人生が終わりか〜。早すぎるだろ。

 

でも、本当にそれでもいいのか?俺はまだ、知らない事がこの世にある事を知ったんだ!こんなとこで終われるかよ!

 

まだ、完璧じゃないけど「発」を使うしか無い!幸い「円」の範囲内に2人入ってる。放出系の修行しといてよかった。そこは俺の領域だぜ!

 

「セーチ、やれ」

 

来る!来るなら来やがれ!

 

シャーキャは覚悟を決める。

 

見せてやるぜ!俺の「俺の存在証明(マグネティックフォース)」を!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『セーチ、やれ。』

 

「オーケー。」

 

スパッ

 

マッハ5の速度の弾丸がシャーキャに向かって放たれる。瞬きの間にシャーキャの肉体は粉々に砕けるだろう。しかし、結果は違った。

 

死の弾丸はクアンの頭蓋を砕いた。

 

セーチはその事実を理解するのに数秒かかった。

 

「え?」

 

セーチはスコープからの景色が、自身の見間違いだと思い、再びスコープを覗く。

 

「うそだろ。」

 

何度スコープを覗いても、血塗れになった仲間の亡骸が映る。

 

(俺がしくじった!?ありえねぇ。.................はっ!)

 

セーチはスコープでシャーキャを見る。シャーキャはセーチの方向を見て、ニヤリと笑った。

 

(この野郎!)

 

セーチの頭に血が乗る。その事がこの状況の解明も無いままに、再び弾丸を放たせる事になった。結果。

 

ズバアァァン!

 

自分自身を撃ち殺す事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

はあ、はあ、はあ。

 

仕留めたな。「円」からの反応が消えた。

 

俺は、地面を這いながら移動する。

 

大地の意思(マグネティックフォース)

 

オーラに磁力を持たせる能力。S極とN極や磁力の大きさは任意で変えられる。また、俺のオーラに触れる事で触れた物に対しても、磁力を与える事が出来る。オーラを触れさせる方法は3つ。俺自身が物に触るか、放出したオーラを当てるか「円」でオーラを触れさせるかの3つ。まあ、実質「円」で触れさせるのが確実だと俺は思ってる。近く必要無いしね。それもあって、俺は必死にあまり得意で無い放出系の修行もしたんだけど。

 

今回は「円」の領域にいた電話野郎にN極をかけ、弾丸にS極を強力にかけた。そして、自分にもS極をかけた。それにより、弾丸を操作して電話野郎に誘導する事に成功した。次に弾丸にS極、スナイパーにN極、俺にS極をかけて弾を跳ね返した。

 

ズル、ズルル。

 

はあ、はあ、はあ。

 

かなりの使い手だったな。前衛を操作系能力者で爆弾特攻させる針人間に後衛は、強化したスナイパーライフルでの攻撃。市街地でのゲリラ戦なら最強の布陣かもしれない。勝てたのも奇跡だ。でも、未完成の「発」をこの体でやるには無理があったようだ。

 

俺はその内気を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

気を失ったシャーキャの横の地面に扉が出来る。中からノヴとモラウが出て来る。

 

「こりゃ酷い有様だな。戦争でもあったのか?」

 

「実際その様なものだったろ。」

 

「全く、市街地で容赦なく爆薬なんか使いやがって。」

 

「それより、シャーキャを回収するぞ。」

 

「ああ。酷い傷だ。すぐに病院へ行くぞ。ノヴ、『4次元マンション(ハイドアンドシーク)』を頼む。」

 

「もちろんだ。」

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