家の前で剣を構えるセイバー。
感覚を研ぎ澄まして襲撃に備える。
アーチャーは一人屋根に上がり周囲を弓で警戒する。
「それにしても嫌な感覚だなこれは」
七星は辺りに充満する血のような鉄のような匂いに顔を雲らせる。
視界もどことなく霞んでいるのか遠くに行くほど見えづらい。
「そもそも奴はどうしてあんな真似をしたんだ?」
七星の疑問にはここにいる全員が思っているところだった。
アサシンとは文字通り暗殺を得意とするサーヴァント。
それなのに件のアサシンはあろう事か玄関から、正面から現れたのだ。
そしてなにより、事前に聞かされていた風貌とも異なり、今回のアサシンはハサン・サッバーハではない確率が増えていた。
もしかすると変装が得意だったとかそういう能力である可能性もある。
現に昔に行われた聖杯戦争では人格の数だけ増えたと言う話だ。
今回もそのハサン・サッバーハかもしれない。
「いやいや、それはないでしょ?」
七星の様子を伺っていた威燕が笑いながら否定してきた。
「七星さん、今考えたことは間違いですよ…相手は言ってたじゃないですか」
「言っていた?何を?」
「もう忘れたんですか?宝具ですよ」
それを聞いて七星はハッとする。
そうだ相手は宝具の名前を言っていたのだ。
あまりにとっさのことだったのですっかり見落としていた。
奴はなんと言っていただろうか?
「ギャロウェイズとは何だ?」
「イギリス等で見られる苗字ですね…他には地名にもあった気がします」
七星の疑問に威燕が答える。
しかしそれだけだ。
他に調べる手立てがない。
とりあえず七星は手元に有る携帯電話を取り出す。
どこにでもあるようなタッチパネル式の携帯だ。
しかしあろう事か圏外と表記されていた。
「調べられないか…」
これも奴の宝具の効果で間違いないだろう。
「稀に見る結界宝具ですかね」
と、そこへ屋根に上がっていたアーチャーが声を飛ばしてきた。
「話の途中ですまないが件のアサシンを見つけた。ここから二時の方角だ来るぞ!」
その言葉の通り、アサシンはまた正面から現れた。
両手に肉切り包丁を携え一瞬でセイバーに間合いを詰めて襲いかかる。
真正面から来ているので無論セイバーは遅れなく応擊する。
「ハハハッ、お相手願おうぞセイバー!」
「ハァッ!」
腕力で負けるはずもなく弾き返す。
七星はこのアサシンのアサシンらしからぬ行動に違和感を覚えていた。
このサーヴァントのマスターは誰だ?
七星の脳裏に元同胞の顔が浮かび上がる。
こんな真似をするやつが検討もつかない。
ガーランドは既にライダーのマスターとわかっているので本当にわからなかった。
そして、七星たちを困惑させる一言がアサシンから放たれた。
それは宝具による大打撃よりも強い衝撃だった。
「聞けセイバー達よ、我が名はアレキサンダー!アレキサンダー・ソーニー・ビーンだ!」
最後にアサシンは「覚えたか!」と、言い放った。