Fate/Line Frontier   作:ジル青髭

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乱入者

セイバーの剣がライダーを襲う。

既に防戦を強いられているライダーはそれを躱すか軍刀で防ぐしか手立てがなかった。

そしてついに軍刀が弾かれる。

軍刀はライダーの後方に飛び地面に突き刺さる。

 

セイバーは詰め寄って首筋に剣を突き立てる。

依然としてセイバーは汗水一つ流していない。

その涼しげな顔は真っ直ぐにライダーを捉えた。

 

「降参だ、ひと思いにやってくれ」

 

ライダーの言葉にセイバーは流石に驚きを見せる。

 

「随分と潔いんだな、願いは無いのか?」

 

セイバーの問いにライダーは空を仰ぐ。

呆れているのか悲しんでいるのかわからない表情をするライダー。

 

「願いか…存外何もないんだなこれが、生前ならあったかもしれないが今はそうでもない。ただ、一つ、どんな世界、どんな時代だろうと子供がその命が絶たれるなんてことがあっちゃいけねぇよな、そうは思わないかセイバー?」

 

「そうだな」

 

セイバーの一言にライダーは笑みを浮かべる。

 

「セイバー、お前がそういう奴でよかった」

 

ライダーは自身の両手を見る。

茶色い手袋があるだけだがライダーには血腥い手があるようにしか見えなかった。

 

ライダーが召喚されたのはなんの飾り気もない白い壁と床がある部屋だった。

目の前には自分を召喚したであろう魔術師。

名前をガーランド・ウラスベルト(Garland Urasbelt)

白髪の老人で、足が悪いのか車椅子に座っていた。

その右手の甲にはマスターの証である花の様にも、竜巻の様にも見える令呪があった。

 

ライダーは召喚されたからには懸命に、命をかけてでもマスターに聖杯をもたらそうと宣言した。

その意気込みにはマスターであるガーランドも喜ばしかった。

その悪巧みをする子供の様な笑みを浮かべる老人はライダーについて来いと言うと部屋を出る。

 

廊下も無機質で召喚された部屋を何ら変わらなかった。

しばらく歩いていると先ほどの部屋と同じ作りの扉の前に到着する。

まあ、どの部屋も同じ作りなのだが。

違いとしては他より扉が大きいぐらいか。

 

扉が開くとガーランドに引きつられて部屋に入る。

そこには元気良く食事をする子供たちが大勢いた。

綺麗な洋服に豪勢な食事。

ライダーはそんな光景を見て顔を綻ばせる。

 

確かに星は死に近づいているが悪くない時代かも知れないと思えた。

ガーランドは言った、中東や欧米諸国、勿論日本などの様々な国の身寄りもない子供たちを引き取ってこの場に集めたと。

 

ライダーは聞く、しかし何故こんな戦場に連れてきたのかと。ここは危ない、今は安全かもしれないがいずれはここも戦場になってしまうだろう。

 

ガーランドは笑った。

それはまるで悪魔の如き笑みを浮かべて。

 

「ライダーよ、この部屋にいる子供を敵機(・・)として殺せ」

 

「なに?」

 

急激にライダーの表情から感情が消える。

冷め切った表情でガーランドを見るライダーはまるで復讐に身を焦がす復讐者のようだった。

 

「今、なんと?」

 

今だ絶やさす笑みを浮かべるのは子供たちの光景を見てか、この後起こるであろう惨劇を想像してか。

ガーランドはライダーに向き直る。

 

「ライダー、君のステータスは突出して目の見張るものは無かった。それもそうじゃろうて、君は近代寄りのサーヴァント。何か奇跡を見たわけでも起こしたわけでも何でもない。じゃが貴様の宝具に面白いものを見た。本当はこの子等は君の魔力としてかき集めたものじゃったが話が変わった。ライダー殺せ、何を今更躊躇うことがある。大戦で多くの人を殺したのだろう?」

 

「外道が!」

 

鬼気迫る表情でガーランドを罵倒するライダーは部屋を出ようとする。

 

「どこへ行こうというのだねライダー」

 

「貴様と聖杯を競うのは御免だ」

 

「令呪によって命じる。ライダー、この部屋の子供等を敵機として…殺せ」

 

ライダーが振り返る。

その表情は最早鬼だ。

力強く床を叩きながら歩く。

ライダーの抵抗は虚しく、ガーランドは嘲笑う。

ガーランドの横を通り際にライダーは。

 

「屑が!」

 

次の瞬間、ガーランドの目の前には戦闘機が現れた。

床や壁を壊しながら現れた戦闘機に驚く子供たち。

 

「ファイヤー!」

 

ガーランドの邪悪な掛け声と共に銃声が鳴り響く。

一瞬にして団欒とした部屋は地獄になった。

戦闘機には黒い星がここにいた子供の数と同じ(・・・・・・・)だけ浮かび上がった。

戦闘機が消えるとライダーは部屋を出て行こうとする。

 

「命令じゃライダー、ここへ襲撃してこい」

 

一枚の紙を受け取るとライダーは部屋を出ていった。

 

「セイバー、俺はマスターの命令でここへ来たわけじゃない。死にに来たんだ。どうせだったらまともなやつに殺されたい。お前は十分だ」

 

だから殺してくれとライダーは言った。

 

「良いだろう、もとより私は貴様を殺す気で戦った。そこに変わりはない」

 

セイバーが剣を振りかざす。

 

「ありがとう」

 

ライダーは目を瞑る。

そしてセイバーは剣を振り下ろした。

 

「残念ながらそれはできない」

 

ライダーが目を開けるとそこには一人の男がいた。

銀色の髪を後ろに上げて、黒いコートに黒い革のズボン、銀製のピアスや指輪などをふんだんにつけた男。

男はライダーに背を向けて右手で剣を掴んで止めていた。

 

その光景に驚く二人。

セイバーもライダーも知らない男がそこにはいた。

 

いや、素性ならわかった。

ライダーは剣を掴んだ右手の甲に注目した。

令呪だメイスの様な模様をした令呪がそこにはあった。

既に一画無くなってはいるが間違いなく令呪だった。

 

男は左拳をセイバーに叩き込んだ。

効くわけがない。

相手はサーヴァント、如何に聖杯戦争に参加しているマスターと言えどもサーヴァントには敵わない。

 

しかしセイバーは後方に吹き飛んだ。

それを見届けると直ぐに男はこちらに振り向く。

 

「誰だ、お前は」

 

しかし返事の代わりと男はライダーの腹を殴って気絶させる。

そのまま倒れるライダーを肩に担ぎ、男はセイバーの方を向く。

 

「マスターによろしくな!」

 

男は地面を蹴って高く飛ぶと何処かへ消えていった。

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