Fate/Line Frontier   作:ジル青髭

8 / 14
必殺の宝具

翌日、膨大な魔力の爆発による地震で七星はたたき起こされた。

直様居間に駆けつけたセイバーと共に外へと出る。

空を見ると島の後方、森林の方から煙が上がっていた。

ここからは大分距離があるのでセイバーを先に行かせて自身は近くに置いてある車で行くことにした。

 

聖杯戦争に参加したマスターとサーヴァント間に備わる念話によって逸早く戦況を確認したセイバーから情報が伝わる。

 

どうやら漢服に身を包んだアーチャーらしきサーヴァントと目をぎらつかせ、猟奇的な表情をする紳士服に身を包んだサーヴァントが戦っているとのことだ。

男はひたすらに悪魔召喚の呪文や敵を弱体化させる呪詛を唱え続けているのでキャスターであると見受けられる。

 

これでセイバー、ライダー、アーチャー、キャスターが出揃ったというわけだ。

特に気がかりなのは昨日現れた七星の知らないマスターだ。

ライダーを助けた事からガーランドの協力者か同盟関係にあると推測している。

しばらくして七星もセイバーが居る森林の入口に到着する。

 

「どうなってる?」

 

「キャスターの召喚する低級の悪魔をアーチャーが弓で屠り続けている」

 

確かに未だ遠くから聞こえる戦闘音とチラホラと見える薙ぎ倒された木々を見るに現在進行形で戦っているとわかる。

 

「優勢なのは?」

 

「アーチャーだな…七星?」

 

セイバーの訝しげな顔を他所に七星は言葉を続ける。

 

「アーチャーの援護をしろ、私はアーチャーのマスターを探す」

 

そう言うと七星はセイバーの返事も聞かずに森林内へ走っていく。

単純な話だ、三大騎士であるアーチャーを仲間にすることができれば有利にできる。

ここでアーチャーを手助けすればお互いが残るまでの共闘ぐらいは契約できるかもしれない。

 

森林内を走っていると意外なことに向こうから接触してきた。

糸目に短く切り揃えられた黒髪、灰色の拳法家が着るような漢服を着る男。

歳は七星と同じぐらいだったと認知している。

しかし七星と違い全くと言っていいほど老いを感じさせない。

 

「こんにちわ、七星さん」

 

「久しぶりだな劉威燕(りゅういえん)

 

中国出身の魔術師、苗字を劉、名を威燕。

既に衰退しきった現代でも数少ないまともな魔術行使ができる正真正銘の魔術師だ。

軽い口調だが本人も武術の心得があり護身に長けていると聞く。

 

「さっきから見てたらどうやら私を探しているみたいだったのでこちらから出向いてみました。何か御用で?」

 

「単刀直入で悪いんだが手を組みたい、同盟だ」

 

「ホントに単刀直入ですね七星さん」

 

威燕はそう言いながら近くの木にもたれ掛かる。

 

「そうは言いますけど今自分戦闘中なんですよ?相手は底無しって思えるほどわんさか悪魔を出す生粋の召喚魔術師(サモナー)、難儀してるんです」

 

「知っている。だから来たんだ。今私のセイバーが君のアーチャーの援護に向かっている」

 

「ほう、セイバーを引き当てたんですか、なるほど…」

 

威燕はしばらく黙ると七星に向き直る。

どうやら自身にサーヴァントと会話をしていたようだ。

 

「七星さん、とりあえずアーチャーにはセイバーは増援だから攻撃するなとは言っておきました。それで同盟の件でしたね」

 

以前として変わらぬ態度をとる威燕、これは出会ってから一度も変わらなかった。

これが彼を自信より若く見てしまう要因なのだろう。

 

「ああ、受けてくれるか?」

 

「ええ、受けましょう。受けましょうとも…これなら鬼に金棒ってやつですよね?」

 

「そ、そうだな」

 

「じゃあ早く今後の方針なんかも話したいんで今の戦闘も終わらせんといけませんね」

 

そう言うと威燕は七星にも聞こえるようにアーチャーとの会話を口にする。

 

「あ、アーチャー?予定が変わったからもう片付けて良いよ。そう、ちゃちゃっと宝具で潰しちゃって…それじゃあ何処か話せる場所に行こ」

 

威燕が七星を少し通り過ぎてから振り向く。

 

「あっ、言い忘れてた」

 

「なんだ?」

 

「衝撃に気をつけて」

 

その言葉と同時に木々を全て薙ぎ倒し、吹き飛ばす衝撃が森林区域に駆け巡った。

七星は咄嗟のことに反応が遅れてしまった。

吹き荒れ巻き荒れる木々が目の前に迫る。

流石の七星も死を覚悟する。

しかし寸ででセイバーが駆けつけて木を弾き飛ばす。

 

数分後には森林区域を駆け巡った暴力も収まっていた。

地肌の剥がれたこの一帯は無残な姿になっていた。

所々に融解した痕跡も見られる。

これがアーチャーの宝具の威力なのだと身を持って知ったのだった。

 

「おめでとう七星さん、合格合格、いや、今ので死ぬようなら同盟は無理だと思ったんで、でもそのセイバーはあそこから一気にここまで来て七星さんを助けた。実力も十分だし申し分無いね。じゃあ行こか」

 

どんどん進む威燕、呆然とする七星にセイバーが耳打ちする。

今のでキャスターは消し飛んだと。

 

七星は今更ながらとんでもない奴を仲間にしたのだと思った。




キャスターは可哀想なことに出て直ぐに退場しましたね。
真名は次か次の次あたりに開示します。
ヒントは『19世紀』『二面相』『悪魔』『貴族』です!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。