ネトゲの嫁は天使じゃないと思った?   作:青戸礼二

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3話:ネトゲの嫁は天使じゃないと思った?

 

ガヴリールと相手はファミレスで話をしていた。そこで、そろそろ二人とも、サングラスとマスクを外そう、ということになった。

 

待ち合わせていたその相手の正体は――。

 

「ヴィーネ!」

「ガヴ!」

 

じつは、相手はヴィーネだった。これにガヴリールは驚いた。まさか、ネトゲで偶然知り合った相手がヴィーネだったなんて。そもそも、ヴィーネがネトゲをやっていたことも知らなかった。

 

 

お互いに驚いた顔をしていたが、しばらくして、ガヴはフッと力が抜けた。そして皮肉な笑いを浮かべて言った。

 

「相手がヴィーネだったなんてガッカリだよ……」

「なによ、それはこっちのセリフよ!」

 

いつもの口ゲンカになりそうな雰囲気になった。それをガヴは察して、いったん口をつぐんだ。そして、ため息といっしょにセリフを吐く。

 

「こんなことなら、会わなきゃ良かったな」

「えっ……」

「だって、こうしてお互いの正体がバレちゃったから、ネトゲでの新婚生活の気分には、もう戻れないじゃないか」

「それはそうだけど……」

 

 

ヴィーネはまぶたを閉じて深呼吸してから、ゆっくりとさとすようにガヴに話した。

 

「戻れなくても、進めばいいんじゃないかしら?」

「えっ!?」

 

ガヴは動揺する。ヴィーネが相手だと分かった時点で、この恋は終わりだとガブは思った。また元の友達に戻るだけだと思っていた。しかし、ヴィーネの側はそうは思っていないようだ。

 

そう言われてみれば、自分の側にも、もしかしたらヴィーネと恋人になれるかもしれない、という気持ちが沸きあがってきている。今まではそんな気持ちになったことがなかったのに。なぜだろう?

 

 

ガヴは、自分自身が分からなくなっていた。思わず頭をかきむしる。ガブの金髪は、いつものようにボサボサではなく、昔のようにサラサラだ。

 

注文したコーヒーを飲んで、ガブは一息つく。コーヒーの香りとほろ苦い味で、少し落ち着いた。そして、淡々とした口調で話を切り出す。

 

「……怖いんだ」

「なにが?」

「もう元の友達に戻れないことが」

「あんたらしくないわねー」

「でも……」

「優柔不断ね。男らしくハッキリしなさいよ!」

「いや、女だから……」

「「クスッ」」

 

 

雰囲気が少し和んだのを見計らったかのように、ヴィーネがおずおずと提案する。

 

「……ねえ、この後デートしない?」

「え!?」

「どうせ、家でネトゲくらいしかやることないんでしょ!」

「おいおい、なんだよ。その言い方は……」

「いいから行くわよ!」

「どこに?」

「そうね……ガヴはどこに行きたい?」

「そうだなー、ラブホ?」

「えっ!? あ、あの、わたし……」

「おっ、おい。もちろん冗談だぞ?」

「(カアッ……)」

 

ヴィーネが顔を真っ赤にして、微妙な空気になった。しかし、その後マジメに話し合い、大型ショッピングモールに行くこととなった。そこなら、いろいろな店があるからだ。そこで、ふたりはファミレスを後にして、モールへ向かった。

 

 

ショッピングモールに来て、ウィンドウショッピングして回っているふたり。ガヴはピンクのフリフリな服、ヴィーネは水色のワンピースを着ている。見ているうちに、ヴィーネが腕を絡ませて腕を組む。

 

ガヴは相手がヴィーネだと分かったときに、いったん気持ちが醒めた。しかし、腕を組んだときに、手をつないだときに味わったあの感触が戻ってきた。身体の奥から熱くなってくるような感覚。

 

ふたりは店をめぐって歩き疲れたので、モールの中庭にある、小さな公園のような場所に来た。ベンチで隣に並び、ぴったりと密着して、ふたりとも座る。

 

 

あきらかに距離感が詰まっていた。サングラスとマスクで視線から守りたいという意識も、今はもうない。ガヴはふと、漏らすようにつぶやいた。

 

「なあ、ヴィーネ。わたしたちって恋人なのかな?」

「恋人じゃなかったら、なんなのよ?」

「まだ現実感がないって言うか……」

「もう、態度をハッキリしなさい!」

「いや、だから、その……」

「……」

 

 

そのとき――。

 

「!!」

 

ヴィーネがガヴの唇を奪い、ふたりはキスした。

 

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