気紛れに時は風と通り過ぎ   作:サンダンス

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風を測る

沢田綱吉の周りはいつも事件で溢れていることに気がつくまでに時間はそこまでかからなかった。

彼に事件が吸い寄せられるように飛び込んでくる。それに雲雀さんも巻き込まれる事があるらしく、時折苦虫を噛み潰したような顔をしているのを見かけた。

 

それと時々謎の赤ん坊に絡まれるようになった。

見られている気がしなくはなかったがそんなに見られて困るようなものは無かったので無視していた。

何度か話しかけられたり銃を向けられたりしていたが、受け流すことでなんとか被害を被ることなく過ごしていた。

 

教えてもらった筋トレは欠かさず行うようにしている。

転生したわけではないので昔の体と同じまま。

故意ではなかっとはいえ、人一倍非力だということをまざまざと見せつけられて生きてきたボクは何か一つでも抜き出たものが欲しかった。

一つだけでもいい。一つだけでもいいから自分が自信を持てる何かが欲しい。

 

 

そしてなんだかんだで悩んでいた部活動は陸上部に決めた。

陸上部が書かれた書類を手にした雲雀さんは及第といったところかな、というと判を押し無事に陸上部に入ることができた。

雲雀さんの弟と言う事もあり距離を置かれているが、陸上部は個人種目が多いため自由にのびのびと走っては跳んでを繰り返す日々を送っている。

まだ足はそんなに速いわけではないが少しずつタイムは短くなる。

 

「また短くなってる!」

「そう、ですか…」

 

息も絶え絶えになりながら返事を返すとまた無茶をして、とマネージャーに叱られた。 

あれ以来走るときや跳んだりするときは楽し過ぎて体の痛みを感じないことが分かった。その為、力加減ができず行動を停止させるとぶっ倒れてしまうのだ。

 

「焦らずともゆっくり記録を出せばいいからねからね」

「焦りは禁物だぞ」

 

ボクは息を整えて体を起こし壁にもたれかかると努めて冷静に答えた。

 

「焦ってませんよ。焦りからしてると思ってるならそれは違います」

「何故だ」

「ボクは好きなんです、走るのも跳ぶのも。…もしあるのなら何か一つだけでも特技がほしいです」

「焦っているじゃないか」 

 

噛みつくようにツッコんできたがボクは正確に自分の心を推し量ろうと感情を堪えた。

 

「違います、特技が欲しくて焦ってはいません。ボクは一番になれるなんて考えてもいません」

 

少なくともボクは集中がそんなに続きはしないので、一番にはなれっこない。

 

「だからせめて人並みにはなりたいんです。皆さんのように強くなりたいんです」

 

そこで合点がいったのかああ、と声を漏らした人がいた。

 

「つまり、人並みの体が欲しいのか?」

「ええ」

 

 

 

 

リボーンは並盛に突如現れた雲雀蓮奈について値踏みをしていた。

この間送られてきたある伝達。

『風がどこからか舞い降りた』『風の再来だ』

これを見たリボーンは蓮奈を真っ先に疑った。

 

風は他の属性と比べるならば気まぐれ、この一言に尽きる。

風が起これば何かが変わってしまう。他と違い風はエネルギーそのもので感化されないものはなかなかいない。

そして風そのものが動かねばならず安定性はない。

 

だから雲雀蓮奈を監視して状態を確認しつつ、風であるかを見極めていた。

 

結果はクロだった。雲雀蓮奈こそが風だ。

とはいえまだその自覚はなく…いや、あったとしても変わらないのだろうが風はまだそこまで吹き荒れてはいなかった。

 

しかし。

しかし、トリガーを山本が幸か不幸か引いてしまった。

そのうちおふざけでは済まされない何かが起きる。

家庭教師目線から言わせてもらうと鍛えるには丁度いい。

楽しませてもらうぜ、という声は風から零れ落ちて何処かに消えた。




風が値踏みされた日


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