12歳の悪役幼女に転生しましたが、菅原様を籠絡して助かります 作:ないしのかみ
<17>
チチは私の私室に入ると振り返ります。
「あたいは転生者さ。多分、あんたよりも後のね」
煙管を取り出してPXで手に入れたと自慢していたライターで火を付けます。ZIPOOでしたっけ。銀色の風帽付きオイルライターです。
「後?」
「転生者は同じ時期。同じ時代の者が都合良く現れる訳じゃないのさ」
そして「原作やゲームの『GATE』を知っている者が必ずしも現れる事は無い」とも告げる。
「例えばミードなんかは原作の存在を知らない。しかも21世紀に生きた記憶も無いのさ。びっくりしたね。彼女は昭和時代からの転生者だったんだ」
少なくとも『GATE』(げて)は平成に入ってから書かれたラノベだ。
しかもミードはWebと言う観念を持っていなかった。「ゲーム。ファミコンかぁ。あ、パソ通なら知ってるよ。んなマイナーなとこで小説書く者好きもいるのかぁ」レベルだったという。
「だから、あんたよりもあたいは後の時代に生きていた。と言えば分かるかい」
混乱気味でしたが、私は首を縦に振ります。
「前、あんたはファンディスク3まで把握してると言ってたね」
「はい」
紫煙を吐く。
「実は、その後に続編が出ている」
ええっ。そんなのアリですか。
私は脳天に、100tハンマーを叩き付けられた様な衝撃を受けたわ。
「多分、そいつがあんたの感じていた違和感の主な原因だろうね」
ちょっ、ちょっと待って。あたしの知らないストーリーなり設定とかが、この世界に出回っているの?
「無論、それだけじゃない。ここは既に『GATE』(げて)の世界その物じゃない。何人もの転生者によって、既に影響を受けてる世界なのさ」
幸い、チチは『GATE』(げて)の原作を知っている派だったんだけど、しかし、あたしの知らない未知の情報は出してくれなかった。
何本のゲームが追加されたのか、内容はどんな物なのか。
ただ、こっちの必死さに根負けしたのか「おまけしてやろう」と、原作が何作かの外伝まで出ている事を告げたのよ。
「把握してる限りじゃ、10本までは出てなかった筈だよ。あたしが現世で生きてた間の話だけどね」
チチより未来のディスクが出てる可能性もあるのね。あ、頭が痛いです。
「では、登場人物の名が少し違っているのは?」
肩をすくめる娼婦。
「あたしだって、全ての謎を知ってる訳じゃない。
それはあんたがこれから調べる事だ」
と翼人。煽情的なスタイルで机に腰掛けます。
「ただ、一つ言える事はこれから先の未来にマニュアルがないって事さ。あんたらしさを発揮して、未来をつかみ取っていけばいい」
自分らしさ?
でも、自分らしさとは何でしょう。私は…。
<ここで解説>
チチが言っていた「既に影響を受けている世界」とは。
つまり『GATE』を知る何人もの転生者がフラグ折りやら何やらやらかしてるから、当然、その結果を受けて、例え最初はゲーム通りの運命を辿る世界であったとしても、徐々に世界は「本来はあり得なかった」因果を受けて、ゲーム通りには進まなくなる。って事です。
さて、知りうる未来が不確定になってしまいました。
大正とか明治の転生者も居るんでしょうね。
中にはもっと過去の「俺は平敦盛だ」とか、「畜生、ガミ〇スめ」とか悔やんで死んだ未来の軍人も居たりして(出ませんよ。少なくとも本作では)。