12歳の悪役幼女に転生しましたが、菅原様を籠絡して助かります 作:ないしのかみ
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チチに「自分らしく生きてみろ」と言われて、改めて私は悩んでいます。
そう、自分は何者なのか。
シェリー・テュエリ伯爵令嬢?
いえ、気が付いたらあたしはシェリー・テュエリになっていた。
誰かに与えれらた形で、突然に。あたしはこの世界に放り出されたのです。
勿論、シェリーとしての幼い時の記憶はあります。
でも、それはこの少女本来の記憶。今の私が経験した物ではありません。私はこの小さな女の子の意識を乗っ取った形で、性格を上書きしていたのです。
では本来のシェリー。つまり、我が儘で甘えん坊の貴族であるお馬鹿令嬢は何処へ行ってしまったのでしょう。
あたしが殺したのではないでしようか?
あたしに、21世紀の元日本人に。
そんな事は関係なく、歴史は動いています。
動員され、増強された自衛隊は遂に帝国軍との全面戦争に突入してしまいました。
アルヌス方面から進撃を開始した機甲連隊を中心に、帝都前面に展開していた部隊は瞬く間に蹴散らされます。
戦車砲が唸り。ロケット弾が地を舐め。無数の銃口が鉄の暴風を噴きまくる。
実際、殿下が動員可能だった軍は全軍勢の半分程。残りは面従複背で戦線へは到着してなかったのですが、それでも三万の兵が犠牲になりました。
殿下が期待を掛けていた自慢のジャイアントオーガーも、近代火器の前には瞬殺です。
自衛隊は帝都を包囲。一旦、そこで進撃を中止して持久戦へ入ります。補給を絶って、じりじりと締め上げる作戦ですね。
時々、嫌がらせに宮殿へ砲撃を撃ち込んで神経戦を仕掛けているようですね。
原作と違って、これでは殿下は都落ちを出来ません。チチが言ってた通り、本当に歴史が変わってしまっているのだと、私はぼんやりと自覚していました。
そう、情報は逐次入っていますけど、その当時の私は、腑抜けの様にそれを聞き流していたのです。
「シェリーさん。私、部隊へ復帰する事になりました」
私の私室。いえ、今は執務室と言った方が近いのですが、に習志野三尉がやって来ました。かちんとブーツを鳴らし、久々に袖を通した自衛隊の制服姿で敬礼しています。
「原隊と連絡が付いたのですか?」
ばっつんな切り揃えた前髪の下、口紅を塗った様に真っ赤な彼女の唇が「はい」と動く。
「帝都防衛戦で帝国の哨戒が絶えたから、どうにかアルヌスとコンタクト出来ました」
そう言えば、撃墜される脅威が薄れたから飛竜便を再開したのだっけ。
「おめでとうございます。それで出発は?」
「明日の予定です。朝一の飛竜便に同乗してアルヌスへ向かいます。それで…あの、言いにくい事なのですが、菅原氏も本省へ復帰するらしいです」
それは覚悟していたわ。
習志野三尉と同様、彼もテュエリ領には本来居てはいけない身です。
でも、菅原様自身からの報告はまだありません。私にショックを与えない様に、無言でこの地を去るのかも知れません。
悩み、何も手が付けられなくなった私を気遣って。
「お待ちを!」
「お嬢様は執務中です。お待ち下さい」
あら、廊下が騒がしいわ。私と習志野三尉が顔を見合わせる。
「シェリーっ!」
扉が乱暴に開き、飛び込んできたのは小さな闖入者。
ええと、確かレミー・マルタン伯爵令嬢?
<ここで解説>
もしかして自衛隊VS帝国軍の戦闘を期待なされていた方、描写があっさり目で申し訳ありません。
本作は1000字前後縛りな物で詳細な描写すると、大規模戦闘描写をやったら戦闘シーンだけで1、2話が潰れてしまうんですよ。
「どーん」や「ダダダダダ」「しゅばっ、しゅばっ、どかーん」等の擬音を多用するって手もありますけどね。
『GATE』(げて)の自衛隊はパラレルワールドなので、74式105mm自走榴弾砲やT4改造COIN機(簡易爆撃FCS付加して、パイロンにガンポッドとロケット弾ポット載せただけ)なんかも出したかったなぁ。
やや投稿が遅れました。
でも一日1話は、どうにか守れましたね。
危ない、危ない。
レミー・マルタン。
「ここで死ぬ運命なのだ。小さなレミーよ」って、『戦〇魔神ゴー何チャラ』のあの人ではない。もしかして、カミュ・シマダの方が良かったかな?