12歳の悪役幼女に転生しましたが、菅原様を籠絡して助かります 作:ないしのかみ
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習志野三尉を執務室から出して、改めて私はレミーに向き直ります。
「転生者。だね?」
チチはレミー・マルタンへ問いかけました。
「そうよっ!」
「転生者とは何か分かりませんけど、お尋ねします。何をそんなに怒っているのですか」
これは嘘です。しかし、包み隠さず自分もまた転生者であると、敵対する目の前の小娘へ馬鹿正直に教えるつもりはありません。
レミーはむすっとした顔をしてあたしを睨み付けました。その雰囲気から察する限り、シェリーへの好感度はゼロですね。
「いつから、今の自我になったんだい?」
チチが尋ねます。まず、気になるのはそれでした。
「…三つの…3歳の誕生日の頃からよ」
えと、シェリーとレミーは大体同じ歳でしたよね。確か現在は12歳だったから、貴女は9年も前に転生したのですか!
「そうよ。あたしはここが『GATE』(げて)の世界と知って努力したのよ。シェリー、小憎らしいあんたをせせら笑う為にね!」
目の前の黒髪の娘は、身体を震わせながら続けます。
「フラグをひたすら守って、あんたを破滅させる為に計算して、途中まで上手く行ってたのに、どうして悪役令嬢を止めたのよっ」
その叫びに私は困惑しました。
「そっか。あんたはファンディスク5がある世界から来たのかい」
ファンディスク5ですって?
煽情的な格好の娼婦が説明を付け加えてくれます。
「『GATE』(げて)のファンディスク5。
苛められ令嬢のレミー。
アルヌスにある酒場の主人メスカル。
そして薔薇騎士団の百合で腐女子騎士ストリチナヤ・エ・リモーヤナだっけかな、が各々メインの作品だよ」
ファンディスクは端役達のスピンオフ作品てす。伊丹達メインでは無く、本編では無名だった者達に光を当てるサイドストーリー編と言えるでしょう。
私もファンディスク2でプレイヤーキャラクターになった口です。本編では単なる脇役であった存在だったのです。
でも、5になると本当に脇役達が主役なんだなと実感しますね。レミーとかは3のシェリーで付け加えられた後付け設定のキャラだった筈ですから。
「! そう言えば、何であんたが転生者の存在を知ってるのよっ!」
突然、気が付いた様にレミーはチチに噛み付きます。あ、彼女もチチの事を知らないんですね。あたしの知識になかった登場人物。
「鈍いね。あたいも転生者だからだよ。あたいを知らないって事は、あたいより先に現世から消えたね」
それを聞いたレミーは呆然としていましだが、次第に肩を震わせて何かぶつぶつと呟き始めました。
「そうか…」
呟きに次第に笑いが混じり始めます。
「その女に入れ知恵をしたのはあんたね」
ええと、これってやばいパターンなのではないでしょうか。
「許さない。あたしは悪役令嬢を蹴落として、『ざまぁ』して最高の幸せを手に入れるハッピーエンドを迎える予定だったのにっ」
懐中から小振りのファルカタ(短刀)を引き抜くレミー。
「止めときな。あんたは世界を支配する主人公じゃない。ここはゲームの世界その物じゃないんだ」
対する翼人は焦っていません。あくまで自然体で、いえ、どちらかと言えば哀れみの視線を向けてレミーと対峙していますね。
「きゃあああああっ!」
白刃を煌めかせて振り上げる姿に、私の悲鳴が上がりました。
<ここで解説>
ここまで書いていて思いました。チチって使い易いキャラだ。
最初はミードをその立ち位置に付ける予定で、単にミザリィさん的キャラとして設定したんですけど、取りあえず何でもこなせて使い勝手が異様に高い。
思わぬ、つーか、嬉しい誤算であります。
もう少し、まともな名前を付けてあげるべきだったかな。
昨日間違って『エロエロンナ物語』の方へ、本作を投稿してしまった。
直後に気が付いて消したけど。皆様もケアレスミスには気を付けよう。
明日、『エロエロンナ物語』(オリジナルファンタジー)を投稿予定です。