12歳の悪役幼女に転生しましたが、菅原様を籠絡して助かります 作:ないしのかみ
時間を間違えて投稿してしまった。
つーか、プレビューと投稿のボタンが近すぎて間違える。
配置考えてくれ(笑)。
よって、今夜(24日早朝)の投稿はありません。
ごめんなさい。
<22>
お久しぶり、シェリーです。
今、私は屋敷のドンジョン(牢獄)へと足を踏み入れてます。
狭い曲がりくねった急な階段を昇り、最上階を目指します。
下賤な囚人を収容するのは地下牢ですが、高貴な者を収監するのは塔であると昔から相場が決まっています。これに従い、レミー・マルタンも我が家の尖塔に捕らえてあるのです。
「なによ」
最上階にある小さな部屋。それを開いた時の第一声がそれでした。
部屋は鉄格子で半分に仕切られ、奥にレミーが粗末のベッドに座ってこちらを睨んでいます。同行したチチとミードは苦笑していますね。
「マルタン夫妻の死亡が確認されました」
私は事務的に事実を告げます。今朝、届いたばかりの情報で、ようやくバスーン監獄が自衛隊に降伏したからです。
原因は餓死。マルタン夫妻だけではなく、多くの収容者が命を落としました。監視する側も食料不足が深刻で、幽鬼の様にやせ細っていたそうです。それに耐えられなくなった看守は徹底抗戦を主張する政治将校や上官を殺して、自衛隊に投降したのでした。
「そう。でも、どうでもいいわ」
小さな囚われ姫は素っ気なく答えます。
「あのさ、両親が死んだのに、その言い草はっ」
それを「ミード」と制したのはチチでした。
「それよりも貴女よ。変よ。変だわっ、あたしが頑張って9年間頑張って立てたフラグをどうして叩き折るのよっ」
続けて「こいつにとって両親はNPCにすぎないんだよ。只の背景。書き割りみたいなもんさ」と、翼人は悲しそうな口調で呟きます。
「前にも言ったろう。ここは『GATE』(げて)の世界であって、ゲーム通りに全ての予定が決まってる世界じゃない。9年間、知っているゲーム通りの未来を歩んだのは、ご苦労さんとしか言い様はないけど…」
チチがレミーに向ける目は哀れみを伴っていましたが、やがて決心した様に言葉を継ぎます。
「その間、あんた。レミー・マルタンは自分の人生を歩いていたのかい?」
ああ、と私は前に病床でミードと面会した場面がフラッシュバックします。
「前世の細かい事はどうでもいい。シェリー・テュエリって女の子は、今世に生きてる一人の女の子だろ?」
二度目の新たなる人生なのだから、ゲームとやらに縛られる必要は無いのだとセイレーンは告げたのでした。
「ミード・ルナ・トディはあたし。前世の記憶を持ってるけど、今のあたしはミードと言う個人だよ。君もそうだろ、シェリー・テュエリ?」
続けて私が元の、つまり転生前のシェリー・テュエリを抹殺して乗っ取ってしまった悩みに触れ、「気にしちゃいけない。気に留める必要は無論あるし、後悔の気持ちも忘れちゃいけないのは確かだけど、そうしていても何も解決しないよね。だから君はシェリーとして、受け継いだこの身体を引っ張って行く責任があるんだ」と告げます。
強い。強いなミードは。これが昭和世代の強さなのでしょうか。
「ま、あたしとしてはスポンサーの君が停滞してちゃ、自分の行う計画を思い通りに進められないってデメリットがあるからなんだけどね。にゃははは」
これは「単なる我が儘かもね」とミードは告げて、各種計画の話へと持って行ったのでした。
レミーはゲームの下僕になり果てていました。
その行動に本当の意味での『自分』はないのです。与えられた役割に終始し、未来をつかみ取ろうと行動する事もなく、他者を恨み、嫉むたけのクレーマーに。
あたしは決心しました。例えゲームとしての指針がないにせよ、前へ進もうと。
そして、今を生きるシェリー・テュエリとして後悔しない人生を歩もうと。
<ここで解説>
シェリー、やっと闇を抜けました。ミードの大雑把だけど楽天的な前向きさが、シェリーに力を与えた模様。
いや、それが本当に昭和世代の強さなのかは。疑問ですが(笑)。
自衛隊の包囲作戦。
多分、バスーン監獄と同じ様に士気瓦解した部隊が集団投降している筈です。
政治将校を討ち取ってね。
お知らせ。
本作はあと二話で完結です。
最終回はエピローグ編の予定になっております。