リクが巨人に立ち向かいます。
しかしやっぱり逃げ腰です。
保身全開です。怖いものは怖いのです。
その行動には矛盾だらけで迷いまくって、ヘタレまくって読者からは毛虫の如く嫌われる。
原作知識がある分、自分の行動に自己弁護さえして尻込みします。
仕方ないじゃないか
オレは悪くねえ。みたいな感じで。
自分で書いていて思いました。
どうしてこんな主人公にしたんだろうww
現在オレは城壁の上から街を見下ろしていた。
超大型巨人によって既に壁は破壊されている。
眼下では主人公エレンが勇ましく超大型巨人に切りかかっている。
そういえば超大型巨人みたいな特殊な巨人って見た目は普通の巨人みたいに怖くないんだよな。
通常の巨人の人類を見た時のにたり笑顔。
あれはマジでオレのトラウマだよ。
あんなのに立ち向かえるエレン達兵士はマジ尊敬する。
そしてオレの眼下で超大型巨人が蒸気を撒き散らしながらその姿を消した。
しかしオレには見えていた。
眼前の強大な気が徐々に小さくなっていくのを。
超大型巨人は黒髪の兵士の姿になると、煙に紛れて城壁内へと姿を消した。
「…くそったれ」
気に入らない。
何のために人類を滅ぼそうとするのかしらんけど、マジで殺したい…。
嘘だけど。だって元日本人だし。
巨人ならともかく人間を殺すのは抵抗在るよ…。
それに目の前で巨大化されたら怖いし…。
それにしてもエレン、本当に凄いな…。
立体機動装置を完全に使いこなしているし、巨人に対する恐怖も克服してる様に見える。
オレはダメだな。亀仙流の修行で超人的な力を手に入れても、未だに巨人が怖い。
それにオレは未だにフラフラしてる。
逃げると決めてたのにエレン達が気になって様子を見に来てるのだ。
立ち向かう覚悟も勇気もないのに中途半端に。
やっぱり気になるのだ。
もしも兵団全てが敗北してウォール・ローゼまで破られれば、最終的にオレは嫌でも戦わなければならなくなるだろう。生きる為に。
国が滅んでしまえば生きている意味が無いことくらいオレでも理解している。
結果、オレの力がバレる。そうなれば周りから責められるのが目に見えている。
それは巨人に食われる次に嫌だな…。
人は一人では生きられない。
人類全てから拒絶されるのはゴメンだ。
結局は選ばないといけないのだ。
最後まで巨人から逃げ続けて最終的に皆から拒絶される。それとも勇気を振り絞って巨人に立ち向かい皆と戦うか。
「その勇気を振り絞れれば苦労はしないんだよ」
オレの眼前ではエレン達が報告のために屋根伝いにピョンピョンと飛んでいくのが見える。
「行くか」
オレは見つからない様に高速移動で後を追った。
城壁内には既に巨人が入り込んできている。
巨人の気配は人間よりも強いので手に取るように分かる。
続々と増え続けている。本気で怖い。
「くそっ!」
また人が死んだ。
オレの背中の後ろで気がひとつふたつ消えていく。
巨人に食い殺されたのだろう。
「うわあああああっ!」
「いや、いやあああああああっ!!」
「い、いたいっ!痛い痛い痛いっ!!痛いいいいいっ!?」
「食べないで!!!私を食べないでっ!!!」
「たすけて!たすけ…たすげふっ!!?」
眼前で兵士たちが食われていく。
立体機動装置のワイヤーを捕まれ、飛んでいる所を運悪くキャッチされ。
捕まった者達はパニックに陥り為す術もなく巨人の口に放り込まれる。
そして更にまた一人、兵士が壁に叩きつけられた。
中年の女性兵士だ。
その顔が絶望の色に染まり、巨人はニタリと嗤った。
「あ、アイツは…」
あの顔、忘れない…っ!
5年前、親父を喰った奴だ。
生き残っているのは、あの女性兵士だけだ。
速攻で殺してその場を去れば見つからないだろう。
オレは、目の前の巨人共を殺すことにした。
巨人の数は4体。奇行種は存在しない。
他の3体は仕留めた兵士を貪っている。
オレは足に力を込めて跳躍、屋根の上に落ちている剣を拾い上げて走る。
女性兵士を摘み上げようとしている巨人の目に向かって剣の刃を投げつける。
目を押さえてムスカのように叫ぶ巨人の背後に回ると、ガラ空きのうなじを削ぎ落した。
更に高速移動で残りの巨人のうなじを削ぎ落としす。
女性兵士は訳が分からずに唖然としている。
オレは彼女の視界に入らないようにその場を離れた。
「こわっ!やっぱり巨人怖いって!」
まだ心臓がバクバクしている。
今までで出会った巨人は5種。
約7メートルの巨人。人間を喰らう事だけを目的に前進する最も数の多い種。
小型種。全長3、4メートル程の最も弱い巨人だ。武器と勇気があれば常人でも殺せる。
15メートル級の大型巨人。恐らく最も多くの人間を食い殺しているのはコイツだろう。
そして最後に超大型巨人。コイツは実は中身が人間であることは確認済みだ。
そして直接見たことはないが、鎧の巨人がいる筈。
原作はあまり覚えていないが、他にも厄介な巨人がいた筈だ。
オレはソイツらに対して恐怖しか感じない。
正面切って一人で戦うなんて嫌過ぎる。
けど一人じゃなければ?
ふと思ってしまうのだ。
今の俺の戦闘力を知れば皆どう思うだろう。
受け入れてくれるか?それもと拒絶されるのか?
選択の時は迫っているのかもしれない。
既にウォール・ローゼ内は混乱の渦中にあった。
並ぶ家屋は破壊され人々は恐怖に引きつらせた表情で逃げ惑っている。
兵士たちが避難誘導を行なっているが、避難は遅々として進まず人々の心に恐怖と不安が募っていた。
時は進み、作戦は既に展開されていた。
作戦は住民の避難が完了するまでの間、ウォール・ローゼの死守だろう。
壁を再び防ぐ力が無い以上、人類は更に奥の壁に後退する以外に道はないのだ。
巨人の進行阻止の為に前に進むエレン。
住民の避難誘導のために後方での任務に当たるミカサ。
オレはエレンをじっと見つめていた。
このままだとエレンは間違いなく巨人に喰われる。
そして巨人化能力に覚醒して助かる。
しかし他の兵士たちはどうだ?
アルミン以外全員死んでしまうのだ。
オレの脳裏に同期の仲間達の顔が浮かぶ。
オレをバカにした者がいた。虐めようとした者もいた。
そして…。
-だいじょうぶか?-
-気にすんなよ、次はうまくいくさ-
-諦めるなよ-
オレを励ましてくれた仲間もいた。
立体機動がどうしても巧く出来ずに落ち込んでいたオレを励ましてくれた。
そんなヤツらもいた。
脱落した奴の中にも仲の良かった友達はいた。
ソイツらが、巨人に殺されてしまう。喰われてしまう。
オレ一人が逃げて生き残って…。
それで一人で生きていけるのか…。
答えは否だ。
巨人に食い殺されるのだけは死んでも嫌だ。
けど同じくらい孤独になるのも嫌なんだ。
「くそ!やっぱりこえーよ」
オレはエレンたちの方へ向かって走りだした。
戦いは既に始まっているはずだ。
間に合わないかもしれないが、拾える命は拾っていこう。
オレは全力で地を蹴った。
屋根伝いに移動する事、1分程。
目の前に衝撃的な光景が見えた。
金髪の兵士が巨人に喰われそうになっていたのだ。
あれは間違いなく奇行種だ。
金髪の兵士の顔には見覚えがあった。
成長しても昔の面影が在る。
オレを励ましてくれていたトーマスだった。
トーマスが飲まれた瞬間、オレは気を高めて全速力で巨人に突進、気を込めた手刀で奇行種の首を切り落とした。
「え!?」
「な、なんだっ!?」
巨人の首から血塗れのトーマスがこぼれ落ちる。
オレは素早くトーマスを捕まえると、巨人の後頭部を蹴りエレン達のいる屋根へと降り立った。
「お、おまえは…っ!?」
「ト、トーマスっ!!!」
オレはトーマスを下ろすと状態を確かめる。
下半身を深く噛み付かれて出血している。
今直ぐ避難させて治療させる必要がある。
取り敢えず今は再開の挨拶だな。
「よう、久し振りだな」
オレは未だ唖然としているエレン達に顔を向けた。
「ひ、久し振り、だと?」
「あ、アンタだれよ!?」
黒髪の女性兵士が怯えた表情で後ずさった。
「おいおい、やっぱり覚えてなかったな。まぁいいや。今は目の前の巨人をどうにかするのが先決だろう?第104期訓練兵団さん」
「…っ!?きみは、もしかしてリクか?」
アルミンが戸惑いがちに聞いてくる。
「リク?もしかしてリク・クリムゾン!?最後まで粘って追い出された!あの!?」
黒髪の女性兵士が驚いたようにオレを指さした。
コラ、人を指差すな。
「うん。久し振りだ。アルミンはよく覚えてたな」
「でもおまえ、立体機動装置もないのに…」
エレン達がオレが立体機動装置が装着されてないのを確認しながら聞いてくる。
オレはそれを制して巨人を見る。
「話は後だ。見ろ。あいつら俺らを喰いたくてウズウズしてるぞ」
「けど、トーマスは!?どうするんだよ!?」
「オレが抱えて本部まで連れて行く。けど誰か一人ついてきて欲しい。部外者のオレが行っても素直に入れてくれるとは思えない」
「わかったわ。私が行く」
黒髪の女性兵士ミーナが前に出る。
「悔しいけど、私は咄嗟に動くことが出来なかったわ。成績も10番以内に入れなかったし…」
「わかった!トーマスを頼む」
オレは家から持ってきていた包帯をトーマスの身体に手早く巻きつけると背中に乗せた。
「急げ!もう目の前まで来てるぞ!」
「おい!リク!後で絶対に説明してもらうからな!!」
「ああ!お前らが生きてたらなっ!!」
オレはミーナに合図を送ると隣の屋根へと飛び移った。
恐らくアルミンとエレン以外は死んでしまうだろう。
悔しいけど助けられるのはこれが限界だ。
(ゴメン!みんな!)
オレは心の中で謝罪しながら本部へ向かって駆けた。
続く?
死ぬはずだったトーマスとミーナを助けました。
だったら他も助けろよ。
しかし全部の巨人を倒してしまえばエレンの巨人覚醒イベントは消えるかもしれない。
仕方がない。
死ぬはずだった二人を助けたんだから良いじゃないか。
それがオリ主の思考ですね。最低です。