魔法少女リリカルなのは~金髪お姉さんと吸血少女~   作:亜理須

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第一話

「すぅ......すぅ......」

 

「はぁ......よかった......」

 

保護された少女は今医療室のベットに寝かされ、穏やかな寝息を立てていた。

 

治療を施す前はかなり危険な状態だったが、シャマルの手により峠は越え、今はもう安心できる状態だった。

 

「でも......なんであんな大怪我を......」

 

今は包帯で見えないが、胸には致命傷ともいえる風穴が空いていた。

 

あんな怪我はそうそう負うものではない。

 

結果的には良かったが、あんな傷を負って未だ生きている少女も謎である。

 

かつてのヴォルケンリッターのような存在というのも有り得るが、可能性は低いだろう。

 

ついこの前レリックというロストロギアを大量に収集したのにも関わらずロストロギアが更に出てきたてはたまったものではない。

 

それにあの血。

 

現在、解析を急いでもらっているが果たしていつ結果が出るか......。

 

「んっ......んぅ?」

 

フェイトが深く思考していると少女が目を覚ました。

 

「起きた?どこか痛いところはない?」

 

「っ!!......だ、だれ?」

 

見ると少女は震えている。倒れる前、よほど恐ろしい思いをしたのだろうか。

 

「私の名前はフェイト。フェイト・テスタロッサ・ハラオウン。あなたのお名前も教えてくれると嬉しいな」

 

だが、さすがフェイト。キャロやエリオ、ヴィヴィオのおかげで子供には馴れているため女神のような優しい微笑で答える。

 

少女も自分に危害を加える存在ではないと判断したのか、自分の名前を告げる。

 

「サアナ......サアナ・カーミラ......お姉さんは......教会の......人?」

 

教会というのは恐らく聖王教会のことを言っているのだろうとあたりをつけたフェイトは首を横に振った。

 

「私は時空管理局機動六課の執務官っていうのをやってるんだよ」

 

フェイトが自分の役職を言うが、サアナの頭には???とハテナがたくさん浮かんでいた。

 

「って、言われても分かんないよね......。ん~......簡単に言うと、悪い人をやっつける正義の味方......かな?」

 

少々盛った話ではあるが、まだ幼い少女であるサアナにはフェイトが本当に正義の味方に映ったようだった。

 

「助けて......くれるの?」

 

サアナの目には今でも溢れ出そうな涙を湛えていた。

 

フェイトは迷うことなく首を縦に振り、サアナの頭を撫でた。

 

叩かれるとでも思ったのか、サアナは身体をびくつかせるが、撫でてもらうと目を細め気持ちよさそうにフェイトに抱きついた。

 

サアナは涙を流しながらただ一言、「あったかい......」と呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひとまず落ち着いたサアナをフェイトは抱きしめながら、両親について訪ねた。

 

こうしてる間にもサアナのことを探しているかもしれない。

 

しかし、サアナの口から出た言葉にフェイトは驚きを隠せなかった。

 

「......殺しちゃった」

 

殺しちゃった。

 

サアナは確かにそう言った。

 

「......誰が?」

 

「『サーナ』が殺しちゃったの......」

 

「サアナが?」

 

「ううん違う......。『サーナ』がパパとママを殺しちゃったの......」

 

(......どういうことだろう?)

 

フェイトはその優秀な頭脳で考えるが、すぐにやめた。

 

こういうのは聞いてしまったほうが早い。

 

「そのサーナちゃんはどこにいるの?」

 

「わかんない......パパとママを殺しちゃってから出てきてくれないの......」

 

「出てきてくれないって、お家から?」

 

「ううん。サアナから出てきてくれないの......」

 

フェイトはなんとなく理解してきていた。

 

サーナというのは恐らく、サアナのもうひとつの人格のようなものではないだろうか?

 

サアナは所謂、二重人格のようなものでサーナという人格を客観的に見ることができる。

 

しかし、そのサーナが父親と母親を殺害し、それ以来サアナの人格として出てこなくなったと。

 

フェイトはここで気になることが頭に浮かんだ。

 

「サアナはパパとママのこと......好きだった?」

 

「......ううん......。パパとママ......サアナに痛いことするから......あんまり好きじゃない......」

 

(......やっぱり......)

 

二重人格というのは自分が日常的に起こる恐ろしい危険から精神的に逃れるための意識が人格として現れてしまう例が多いということをフェイトは知っていたため、サアナの両親がサアナに虐待行為を働いていたのではないだろうかという予想をしていた。

 

結果は当たっていたが、出来ればあたっていて欲しくはなかったためフェイトは顔を少ししかめた。

 

「......でも」

 

「?なに?」

 

「お姉さんは......好き」

 

そう言ってパァと晴れたような笑顔を浮かべるサアナ。少し恥ずかしかったのか、その頬には朱が差している。

 

「くすっ......そっか......ありがとう」

 

穏やかに抱きしめるフェイトだが頭の中は大変だった。

 

(可愛い!!なにこれ可愛い!!あぁずっとぎゅってしてたいよぉ~!)

 

お姉さんオーラ全開状態だった。

 

しかし既のところで押しとどまり表には一切出さなかったのは流石フェイトさんであった。

 

 

 




人格が現れる現象については私の推測ですので突っ込むのは無しにしていただけると幸いです。
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