ONE PIECE ~アナザー・エンターテインメンツ~   作:悪魔さん

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ワンピースの最新刊を買いました。「何かあった未来」シリーズ、結構面白いですね。(笑)
今回のナミの60歳が衝撃でしたね。シンドリーちゃんみたいでした。


第101話〝アマゾン・リリー〟

「そうか……〝オペオペの実〟はラミの親父さんの方に渡ったか」

《これで完全にドフラミンゴと敵対することになるけど……》

「構わないさ、いつかこうなるとは思っていた」

 アオハルの報告を聞くテゾーロ。アオハルはドンキホーテファミリーとテゾーロ財団の対立が表面化するきっかけになったと懸念するも、テゾーロ自身はドフラミンゴとの対立は目に見えていたと語っている。

 ここまで海賊稼業(ビジネス)の妨害をすれば武力衝突の可能性も十分あるが、アオハルが能力を披露したらしく、知った以上は迂闊に手は出せないだろう。

「しかしセンゴク大将が直々に動いてくれるとはな」

《おつるも動いてたしね、彼女がこれからドフラミンゴを本格的に追跡すんじゃないかな》

 ロシナンテは救急搬送され、医療班の懸命な治療の末にどうにか一命を取り留めた。アオハルはつるの判断により海軍本部へ招致され、ロシナンテと共に次期元帥とみなされている現海軍大将〝仏のセンゴク〟と面談をした。

 任務に失敗したロシナンテの安否確認と取引場所で何が起こったのかを直接質すべく急遽駆けつけたセンゴクは、ロシナンテとアオハルの証言に衝撃を受け、将来有望な海兵ヴェルゴを〝海賊ヴェルゴ〟として捕らえようと早速動いた。しかしそこは頭の切れるドフラミンゴから「相棒」と言わしめるヴェルゴ――ロシナンテの動きからセンゴクがバックにいることを勘づいて、突然辞表を出して雲隠れしたという。しかしセンゴクは雲隠れしたところで諦めるような男ではない。

 海軍大将は世界政府内部でも重要なポジション……海軍だけでなく政府においても一定の権限があり、五老星や政府中枢と直接面談することも許されている。センゴクの報告から海軍に海賊が潜り込んでいたことを知った政府は元海兵という経歴をもみ消すよう命じたが、センゴクにとっては手配書さえバラ撒ければいいので要求を呑み、覇気使いであることやドフラミンゴの部下であることを理由に初手配ながら6000万ベリーの懸賞金をつけたという。

 さらに〝オペオペの実〟の騒動の全貌も知り、今後起こり得るであろう全ての事態を想定してフレバンスを自らの管轄下に置くことにした。大海賊時代以前から海軍屈指の英傑として〝海賊王〟となる前のロジャーや、そのロジャーと覇を競った全盛期の〝白ひげ〟や〝金獅子〟を筆頭とする大海賊を相手取って海の秩序・平和維持に貢献した男の異名は伊達ではなく、措置を取った途端に〝北の海(ノースブルー)〟の海賊達の事件が一気に減ったという。

(〝北の海(ノース)〟はどうにかなるが、問題はリク王の方だよなァ……)

 センゴク自ら措置を応じた以上は、ドフラミンゴも好き勝手はできないだろう。だがドフラミンゴは〝オペオペの実〟を奪い取る計画を実行する以前から〝偉大なる航路(グランドライン)〟への進出とドレスローザの国盗りを画策していたので、すでに〝北の海(ノースブルー)〟にいない可能性もある。

 原作において、この時期はとても忙しい頃だ。本来の主人公(モンキー・D・ルフィ)恩人(シャンクス)と出会ったのも、新世界で勃発したゲッコー・モリアと四皇〝百獣のカイドウ〟の抗争も、革命軍がニコ・ロビンの捜索を開始したのも、大体この時期だ。政府に仇なす存在を全て排除するのも海軍の仕事ゆえ、手一杯の可能性も高い。

(それにしても、〝オペオペの実〟はローじゃなくてローの親父に渡ったか……)

 原作では〝オペオペの実〟の能力者はローがなるのだが、今回は自分(テゾーロ)の度重なる介入によりローの父親が能力者となって(ラミ)を救った。ローに食べさせなかったのは、きっと〝オペオペの実〟がどれ程の価値でありどれ程狙われやすいのかわかった上での父としての判断だろう。そしてセンゴクがフレバンスを自らの管轄下においたのも、これが原因だろう。

 ルフィのようにうっかり食べるという可能性も無くなり、これでローは海賊になる可能性すら怪しい程になってきた。(ロー)は今後どうなるだろうか。

《……それとさ、センゴクからウチらにとんでもない厄介事吹っ掛けられたんだけど》

「は?」

 

 

           *

 

 

 半年後、〝凪の帯(カームベルト)〟。

 テゾーロ財団が所有する帆船「オーロ・コンメルチャンテ号」は、ある島を目指して突き進んでいた。ちなみにこの船はつい最近外輪(パドル)を搭載させたので、無風のこの海でも問題なく進んでいる。

「なァ皆……おれ、キレていいかな?」

『勘弁してください!!』

 甲板で弁当を食べるテゾーロの言葉に一斉に諫める部下達。同乗しているメロヌスは「仕方ないわな」と溜め息交じりに呟く。

 今回なぜテゾーロ達が大型海王類の巣である無風海域に向かうことになったのかというと、アマゾン・リリーの九蛇海賊団の船長を王下七武海へ加盟させるよう交渉するためだ。

 アマゾン・リリーは、〝凪の帯(カームベルト)〟の(にょう)()(しま)にある女系戦闘民族「九蛇(クジャ)」が住む国家。世界政府の正式な加盟国ではない上に外界との交流が無いが、島の守備を行う戦士全員が覇気の扱いに精通しているという驚異の軍事力を保有していることでも広く知られている。そして九蛇海賊団の現船長は、初めての遠征で圧倒的な力を見せつけ8000万ベリーの賞金を懸けられたというのだ。

 さて、テゾーロが若干キレ気味である理由についてだが……理由は至って簡単だ。

「だってウチらがやるの、おかしくね?」

『確かに……』

 そう、海軍と政府がやるべき仕事を押し付けていることだ。

 確かにテゾーロ財団は海軍及び世界政府と密接な関係を築いており、持ちつ持たれつの関係で何だかんだ長くやっている。だからといって面倒事を押し付けるのはいかがなものか。ただでさえグラン・テゾーロ計画で忙しいというのに、これ以上仕事を押し付けてどうするつもりなのか。

 逆を言えば、政府及びその関連機関の人手不足が問題化しているとも受け取れるが。

「まァ見返りには必ず応じるって断言しちまったしな……一度受けたからには責任を持って成し遂げるのが筋だし」

 参ったように頭を掻くテゾーロ。

 するとステラがエプロンを着たままコーヒーカップを持ってきた。

「テゾーロ、エスプレッソ淹れたけど飲む?」

「ああ、いただこう――危ない!」

 

 ビュッ!! ビシィッ!!

 

「きゃっ!!」

 二人の間に、突然一本の矢が飛んできた。

 テゾーロは凄まじいまでの反射神経で飛んできた矢を素手で掴むと、そのまま握り潰す。

「びっくりしたわ……」

(今のをそれで済ますか!?)

 飛んできた矢に「びっくりした」の一言で済ますステラに、絶句するメロヌス。彼女も随分と肝が据わるようになったようだ。

「おい誰だ、いきなり矢を飛ばしてきたのは。愛するステラが淹れたエスプレッソがパーになるところだったぞ。作者は数年前にピザの一部を鳥に持ってかれたが」

「何の話をしてるんだ、あんた……だが矢が飛んでくるなんて珍しいな」

『呑気なこと言ってる場合か!!』

 矢が飛んできたのは、少なくとも何者かによる襲撃が行われている証拠だ。

 それを裏づけるように、見張りの者が声を上げた。

「テゾーロさん、海賊旗を掲げた赤い船が接近しています!! 二匹の生きた大蛇が船首で、外輪船(パドルシップ)の模様!!」

「「遊蛇(ユダ)」に引かせてもいるのか、考えたな」

 その報告に、メロヌスは感嘆する。

 遊蛇は獰猛な巨大海蛇で、獰猛な大型海王類ですら容易く死滅させる程の猛毒を持っている。大型海王類の巣である海域の島で生きるからこその知恵というものだろう。

「それにしてもあんな距離から……銃持ったら相当な狙撃手(スナイパー)だぞ」

「感心してる場合じゃねェと思うんだけど、メロヌス君」

 射撃能力の高さに感心しているメロヌスだが、そうこうしている内に一行に〝武装色〟の覇気を纏った矢が雨のように降り注いだ。どうやら完全に射程範囲のようだ。

 テゾーロは〝ゴルゴルの実〟の能力を駆使して黄金の欄干を融解し、無数の触手を生み出して次々に打ち払う。当然覇気を纏わせているため、降り注ぐ矢を全て迎撃・破壊していく。

 全ての矢を打ち払うと、一同は安堵の息を漏らす。

「さすがだな理事長」

「ああ……だが向こうも大した連中だ。見ろ、何本か突き刺さってる」

 黄金の触手に突き刺さった矢を見て、一同は顔を引きつらせる。

 完全に武装硬化していないとはいえ、テゾーロの黄金は超硬度。覇気を扱えても破壊はおろか傷一つ付けるのも困難のはずだ。それでも浅くとも突き刺さる程の威力を誇る九蛇の戦士達の技量には感服する。

「理事長、どうする?」

「九蛇の者達ならば願ったり叶ったりだ、外輪(パドル)を止めて帆を畳め。交渉といこう」

 

 

 数分後、テゾーロの船の隣に九匹の蛇をあしらったドクロを掲げた海賊船が泊まる。顔を出している船員達は全員女性ばかりだが、多くが殺気立っていたり警戒していたりと中々危険な状態だ。

「アレがアマゾン・リリーの戦士か……随分と凶暴な気配を出してるな」

「そう言うお前も殺気出すな、余計警戒されたら面倒だ」

 眉間にしわを寄せて殺気立つメロヌスを諫めるテゾーロ。

 しかし九蛇の者達は海賊船はおろか商船も平気で襲い、時には海軍の船にも攻撃を仕掛ける程の凶暴性を有している。たとえ話し合いの場を設けても、少しでもミスを犯せば命が危ないのも事実だ。

「テゾーロ……」

「大丈夫、おれには「策」がある」

 心配そうなステラに優しく微笑むと、テゾーロは静かに前に出た。

 その途端、矢が一斉にテゾーロに向けられる。だが多くの修羅場をくぐり抜けたテゾーロはその程度で怯むことはなく、彼女らに言葉を投げ掛けた。

「先程射た矢は覇気を纏わせていただろう? ゆえに九蛇の者達とお見受けする」

 テゾーロの一言に女性達――九蛇の者達はざわついた。

 アマゾン・リリーは外界との交流が無いがゆえに、国外の状況や世間一般の常識に疎い一面もある。九蛇の者以外で覇気を知るどころか会得している者を見た時は狼狽えたり、悪魔の実についての知識もズレていたりする。テゾーロはそこに注目し、彼女達の心理の盲点をついた言葉を並べて有利に進めようという訳である。現にテゾーロに対し軽蔑の眼差しだった九蛇の者達は、一気に困惑して動揺も隠せないでいる。

 さらに事をうまく進めるため、テゾーロは〝覇王色〟の覇気を抑えめに放った。

「私はテゾーロ財団理事長のギルド・テゾーロ。世界政府からの要請で貴殿らの主・九蛇海賊団船長の王下七武海への加盟について話し合いたい」

 テゾーロが〝覇王色〟の覚醒者と認知したのか、彼女達はさらに困惑して慌て始め、下手に攻撃すると厄介な事になると判断したのか次々に武器を下ろしていく。

 すると、九蛇の船から新たな声が上がった。

「何事じゃ」

「蛇姫様! それが……政府の使いを名乗る男が……」

「そ、それも……〝覇王色〟の覚醒者で、テゾーロという男なのですが……」

「――何じゃと!?」

 九蛇の海賊船から身を乗り出して現れたのは、艶がある長い黒髪の女性。老若男女問わず数多の人間を魅了する美貌は間違いない――ボア・ハンコックだ。

 ハンコックはシャボンディの一件を思い出したのか、目を見張った。

「そなた、あの時の……!?」

「久しぶりだな、少しお茶でもどうかな」

 テゾーロは別嬪三人組と再会を果たした。




次回のハンコックネタを挟んでから、物語を大きく進める予定です。

「VIVRE CARD」の情報も新しく追加されましたね。センゴクさん、あんた〝覇王色〟の覚醒者だったんかい!
これは「隠れ覇王色」がまだいそうですね。チンジャオも「〝王の資質〟を持つ者などこの先の海にザラにいると思え」って言ってましたし。個人的には五老星やイム、黒炭オロチ、ヴィンスモーク・ジャッジも持っているんじゃないかと予想してます。
劇場版キャラもやってくれると嬉しいですね。

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