ONE PIECE ~アナザー・エンターテインメンツ~   作:悪魔さん

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第9話〝強くなるには〟

 テゾーロ財団とトムズワーカーズが結託して3日が経過した。

 トムによる船の造船は、とりあえず設計図は完成したのでアイスバーグやフランキーとこれから造船に入るらしい。

 ステラも航海における知識が必要と考え、テゾーロが今まで用意していた金を使って書物等で自主勉強。

そしてテゾーロは、強くなるべくテゾーロなりの修行をしていた。

「うおっ、危なっ!!!」

 何とか落ちないように家の屋根の淵へ掴まり、よじ登るテゾーロ。彼が今やっているのは、「パルクール」という人が持つ本来の身体能力を引き出し追求する移動術だ。ウォーターセブン編でカクが見せたような移動術を思い浮かべればいいだろう。

 転生前……前の世界では、フランスの軍事訓練から発展してエクストリームスポーツとして若者に大人気であったこの移動術は「ONE(ワン) PIECE(ピース)」の世界ではとても役に立つ。壁や地形を活かし、様々な動作を複合的に実践することで、生活やスポーツに必要な全ての能力を鍛えて行くので、日々のトレーニングにうってつけだろう。

 始めて間もないテゾーロは時々落ちかけたりするが。

「ハァ……ハァ……ちょっ、ここで休憩……」

 息を荒くし汗をダラダラと流しながら座り込むテゾーロ。

「……ん? 何だ、やけに騒がしいな…」

 ふとテゾーロは、町が何やら騒がしくなっている事に気づいた。

 それは歓迎の声というより、悲鳴に近い声だ。

「海賊か……!?」

 テゾーロは他者にバレないように声がした方へ向かう。

 すると、テゾーロの目の前に海賊達が暴れている光景が。

「……アレは…ラックス海賊団の〝狂犬ラックス〟か。」

 テゾーロはラックス海賊団に見覚えがあった。

 賞金稼ぎとしても動くテゾーロは、手配書を集めてリスト化させている。そのリストの中で、ラックスは5600万ベリーの賞金首……まずまずお高い方である。

(人質を取っているな…傷をつけないようにするにはどうするか……)

 女性を人質にとっている下衆をどうするかより、下衆の人質をどう救出するかを考えるテゾーロ。

 通りのド真ん中に降りて救出は、部下による銃弾のオンパレードが待っているかもしれない。

 話し合いはたぶん……いや、絶対通じないだろう。

(なら……アレしかないな)

 テゾーロは屋根から降り、〝ゴルゴルの実〟の能力で金塊を作り出した。

 するとそれを海賊達に投げた。

 

 ガラァァン……!

 

 重い金属音が響き、海賊達は振り向く。

「せ……船長、金塊です!!」

「な、何っ!?」

「金塊が降ってきたんですよ!!」

 光輝く金塊を前に、ラックスとその部下達は唖然とする。

 本物の金には、やはり興奮するようだ。

 しかし、それがテゾーロの罠だった。

 

 ゴキィンッ!!

 

「ぐァ!?」

 一瞬だった。

 どこからともなく2本の鉄パイプを手にしたテゾーロがラックスを襲撃し、ラックスの後頭部を強打。一撃でラックスは倒された。

「船長!!」

「貴様、一体どこから!?」

 そう言って銃を構えた瞬間、テゾーロは鉄パイプを1本投げる。

 まるで吸い込まれていくかのように海賊達に直撃し、顔面を強打して倒れた。

「な、何だあいつ!?」

 テゾーロの強さに動揺する海賊達。

 しかし気を取り直し、剣を抜いて襲いかかった。

 テゾーロはもう片方の鉄パイプを構えるが……その必要はなかった。

「らァっ!!」

 

 ドゴォン!!

 

『ギャアァ~~~~~!!!』

 海賊達がまるでマンガのように吹っ飛んだ。

 テゾーロの視線の先には、腕を黒く染めたギャバンがいた。

「ギャ、ギャバンさん……!」

「見たぞテゾーロ、中々の素質があるらしいな」

 ギャバンはテゾーロの戦闘を見ていたらしい。

 その身のこなしや戦闘のセンスに興味を持ったそうだ。

「テゾーロ。そういやあお前、強くなりてェんだろ?」

「? ……ええ……」

 これから先の航海では、海賊や海の巨大生物「海王類」との遭遇率が高くなる。それらに対抗できる程の力をつけねば、ステラ共々命を危険に晒してしまう。

 そこでギャバンは、テゾーロにこう告げた。

「だったら教えてやるよ……「覇気」って力を」

 

 

           *

 

 

 ここはウォーターセブン郊外の広場。

 テゾーロはギャバンと共にそこにいた。

「おれァ〝見聞色〟と〝覇王色〟は使えねェからなァ……武装色の覇気の修行くらいは何とかなる。〝見聞色〟とかはレイリーに訊きな、あいつはシャボンディ諸島のバーにいる」

「覇気って、どうすれば習得できますか?」

「こいつァレイリーも言ってたが…〝疑わないこと〟が一番だ。例え相手が何であろうと、自分を疑わず戦い抜く…そういう奴に覇気は与えられるもんだ。それに覇気は生まれ持ちや修行だけじゃなく、戦いで覚醒するケースもある…おれもそうだった」

「……」

「修行には付き合ってやるよ、自分の身は自分で守るのが筋ってもんだしな。それにおれァお前に興味がある」

 そういうとギャバンは、斧を取り出した。

「強くなるには実戦あるのみ!! どっからでもかかって来いっ!!」

「そうですか……じゃあ……!」

 テゾーロは〝ゴルゴルの実〟の能力で黄金を生み出し、さらに生成して黄金の槍を作った。

「お前、能力者か!!」

「おれは〝ゴルゴルの実〟の能力者です。超硬度の黄金を生み出し、触れた黄金は自在に操れますので」

「そうか、それは期待できそうだ!!」

 テゾーロは果敢に伝説の海賊(ギャバン)へ挑んだ。

 

 

 10分後――

「ガハハハ、まだまだだな!!」

「……」

 結果は予想通りといえば予想通りだが……テゾーロの惨敗だ。

 最初こそ超硬度の黄金に苦戦したギャバンだが、そこでスイッチが入ってフルボッコにされたのだ。

 元々の基礎戦闘力の差が最大の原因でもあるが。

「……何が……世界の゛広ざを゛改め゛で知りまじだ……」

 ボッコボコの表情で、テゾーロは呟く。

「しっかし参ったな、そんな面じゃあ嫁さんに申し訳ねェわな!!」

「ステラのごどでずか……? まだ結婚しでまぜんよ……?」

「いずれするんだろ? 婚期は逃がしちゃシメェだぞ坊主!」

(失礼だが……あんたにだけは言われたくないわ)

 その後、テゾーロはステラに怒られたとかなんとか。


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