ONE PIECE ~アナザー・エンターテインメンツ~ 作:悪魔さん
目的地であるセント・ポプラを目指し、ウォーターセブンを出航したテゾーロ財団。
これといった障壁も無く災害や海賊にも遭遇していないため、処女航海は成功である。
しかしその分、ヒマな時間が増える。よってテゾーロは自主トレに励むことにした。
「これをどうしようか……」
テゾーロは意識を右腕に集中させている。
そんな彼の目の前では、手すりだった黄金がまるで蛇のようにくねらせながら伸び、うねうねと触手のように動いている。
テゾーロが行おうとしたのは、「
〝ゴルゴルの実〟の主な使い方は、「黄金を腕に纏って相手を攻撃」、「黄金を触手のように操って相手を拘束・攻撃」、「黄金製の巨大戦闘体」、「黄金製の武器での攻撃」だ。テゾーロはそんな戦闘法をさらに増やそうとしているのだ。
(一応腕だけじゃなく足に纏って攻撃できるようには訓練したんだが……まだ足りないんだよなァ……)
ギャバンとの修行の中で、テゾーロは新たに〝
特に一対多数の戦闘法を編み出しておらず、一度に数百人の敵を仕留める技を絶賛開発中なのだ。
「あら、そんなこともできるのね♪」
「ステラ!」
テゾーロの修練を覗いてたステラが、微笑みながら口を開く。
「黄金がそんな風に動くのは初めてだわ……ゴルゴルの実はすごいのね♪」
「ま、まァね……」
顔を赤くして照れるテゾーロ。
それを見たステラは笑い、たまたま見ていたギャバンは大笑いする。
「おい、そろそろ着くぞ。目的地だ」
「「!!」」
ふと、眼前に美しい町並みが特徴の島が見えた。
どうやら目的地……セント・ポプラに着いた様だ。
「ここで物資を粗方調達するんだったな。着港したら何をする?」
「一応プランは練ってます…まァ、資金もある程度用意しますし、海賊を見つけ次第狩るとします。海軍がいればいいですけどね」
テゾーロのプランでは、このセント・ポプラでウォーターセブンが一番欲しがる物資…材木を買い取る予定だ。交渉して値引きしたり使われなくなった材木を見定め良質なモノを貰ったりなど、とにかく買ったり貰う。
勿論材木だけではない。食料等も買える分だけ買い、船に詰め込んでウォーターセブンで売り捌く。値段は……買った後で決めればいいだろう。
「だがテゾーロ……船番は必要だろ? ステラちゃんを一人っきりにするのは危険だから、おれかお前だぞ」
「それについては……ジャンケンで!!」
そして、男と男が拳を振るった。
*
セント・ポプラの港。
「……〝一人ぼっち〟って、こんなに寂しいもんなんだな……」
結論を言おう。ジャンケンの結果、何とテゾーロが負けた。
テゾーロの負け=テゾーロが船番をやる……ポツンと一人、寂しく能力の鍛錬に励まざるを得なかった。
(そうだ…せっかくだから装飾品でも作るか)
テゾーロは黄金を生み出すと、それを変成させてリング状にし、黄金の指輪を作り始めた。
テゾーロは「
「いざというときに使えそうだな」と思い、大量に作ることにしたのだ。ある程度作ったら整理し、何割かは市場で高値で取引させてもらえればいい。
ネックレスやイヤリングも作り、宝石店などで取り扱わせるのも悪くないだろう。
「〝神の力〟……と豪語するのは、あながち間違いだとは言えないな……」
金は、巨大な力を有する。
金では幸せは買えない……それはテゾーロもちゃんとわかっている。だが金さえあれば避けることができた不幸もあり、そして多くの人間がその罠にはまる。
テゾーロの〝ゴルゴルの実〟は、一歩間違えれば世界情勢を覆し人々の幸せや夢を支配できる程に強大な力だ。その力が世界を救うのも滅ぼすのも、テゾーロの自由でありテゾーロ次第でもある。
今はそれ程の力ではないが、近い内に劇中と同等…いや、それすら上回るであろう程の力となるだろう。
(使い方は慎重にしなきゃあなァ~……)
ふとその時。
船の周囲から、人の気配がした。
「……」
テゾーロは顔を出そうとはしなかった。
この「黄金の船」に
一般人なら、声ぐらいかけるだろう。
(ちゃっちい輩達だこと…)
その時だった。
「ギャ~ッハッハッハッハッハァッ!!」
「いい船だな、黄金を全て寄越せェ!!」
早速かかった海賊達。
かなりの大人数だが、ギャバンのような豪傑ではなくチンピラみたいな感じだ。
「ゲ~へッヘッヘッヘ!!」
「おいガキ、死にたくなけりゃあこの船を寄越しな!!」
そんなチンピラ達に、テゾーロは不敵な笑みを浮かべる。
そして、先程作った黄金の指輪を指にはめながら口を開いた。
「ほう、面白いことを言う。おれに勝つつもりか? この船の上で?」
「造作もねェ!! やっちまえ!!!」
海賊達は一斉にテゾーロに斬りかかる。
対するテゾーロは、丸腰のまま笑みを深めた。
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