ONE PIECE ~アナザー・エンターテインメンツ~   作:悪魔さん

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ついに180話。
何話まで行けるかなぁ……。


第180話〝ゴールデンテゾーロ〟

 王宮のある台地、ひまわり畑にて。

 ドンキホーテファミリーの幹部たちは一堂に会し、緊急の会議を開いていた。

「ローたちの狙いはSMILE工場だろう!?」

「んねー、ドフィ、おれ達は工場を守らなくていいのか!?」

「開かねェよ。アレは海楼石で作ってある。工場の鍵もここにあるしな」

 ヘマをした最高幹部の意見に、ドフラミンゴは笑みを浮かべて鍵を取り出す。

 新世界の大物たちがこぞって欲する人造悪魔の実――〝SMILE〟の製造工場の鍵である。

 すると、ドフラミンゴは一味の要である工場の鍵を糸で両断した。

「若様!?」

「いいのか!?」

 その行動に驚く幹部たちだが、ドフラミンゴは「敵に希望などいらん」と言ってのける。

「んねーんねードフィ、シュガーについちゃあ本当に悪かった! 両手両足不自由になった男がまさかシュガーを気絶させるとは想像できるか!? んねー!」

「メラメラの実もそうだ! まさか大会に革命軍のNo.2が出場してるとは想像できねェ!」

「フン! 言い訳などするな! 見苦しいバカ共め! 見GUるしいのG!」

 トレーボルとディアマンテの弁解に、ドフラミンゴはワインを飲みながら「お前らを責めても時間が戻るわけじゃあるまい」と割り切り、咎めることはしなかった。

「だがドフィ、こうなって来ちまうと奴らが邪魔だぞ」

 ディアマンテの言う奴らとは、イッショウとテゾーロだ。

 世界徴兵で海軍大将に特任されたイッショウこと〝藤虎〟、そして〝新世界の怪物〟と称されるカジノ王・テゾーロ。どちらもドフラミンゴにとって目障りな存在だ。

 あの二人は、世界の均衡を崩す腹積もりである。放っておくと今後もドンキホーテファミリーの障害となりうるだろう。

「上手い具合にここで消せれば万々歳だが……まァ、今は無理だろうな。だから全て終わったらシュガーの能力で消すさ」

 そう言ってディアマンテの不安を拭うドフラミンゴ。

 だが、ドフラミンゴも二人のことを無視できるほど楽観的ではなかった。

 特にテゾーロに関しては、影響力という観点では海軍や王下七武海すら凌ぐ。早いうちに消しておかなければ、いずれドフラミンゴの首を締める毒になりかねない。

「まァ、見ておけ……フフフフフフッ……!!」

 ドフラミンゴは狡猾で冷酷な笑みを浮かべ、高みの見物を決めるのだった。

 

 

           *

 

 

 その頃ルフィたちは、テゾーロと共に海軍に囲まれるという謎の状況に陥っていた。

「これはどうしたものか……」

「弱りやしたねェ……」

 テゾーロは頭を悩ませ、ルフィたちは迂闊に前を出れない。それは相手方も同様で、イッショウもこれからどうすれば良いか判断しかね、遠くから眺めていたドンキホーテファミリーも戸惑っている。

 ドフラミンゴ自身はテゾーロを消す腹積もりだが、抹殺命令は下っておらず、そもそも幹部格でもテゾーロと受刑者たちを同時に相手取るのは無理がある。加えてイッショウのズシズシの能力は広範囲殲滅型なので、うっかり本気を出せば敵味方問わず巻き添えを喰らってしまい、下手すればドレスローザが滅びかねない。

 つまり、どこうにもどけず、動くに動けない状況なのだ。

「ハァ~……ある意味、手も足も出ないな…」

「因果な商売でさァ」

 このままだと埒があかない――テゾーロとイッショウが同時に思った、その時だった。

 島中に響く轟音と共に、人の上半身を模した巨大な山が盛り上がってきた。

「何だありゃ!」

「ピーカ!」

 ある者は驚き、ある者は警戒を強め、ある者は腰を抜かす。

 まさに破壊神と称するに相応しい巨体だが……テゾーロは違う意味で顔を引き攣らせた。

(ピーカって言えば……あの声だよなァ……)

「さァ、我がファミリーに盾突く者達は、おれが相手だ!」

『……』

 

 そう……ピーカは威圧的な外見とは裏腹に声がかなり甲高い、爆笑必至のソプラノボイスであるのだ。

 

「声! 高ェ~~~~~っ!! あっはっはっは!!!」

「まあ、これは不可抗力だよな…………ハハッ! ハッハッハッハッ!!」

 抱腹絶倒のルフィと、吹き出すのを堪えきれず大笑いするテゾーロ。

 二人の姿を捉えたピーカは、怒りの形相で睨みつけ、巨大すぎる拳を振り上げた。

「逃げろォ~~~~~!!!」

「町が降ってくるぞォ~~~~!!!」

 敵味方問わず逃げ惑う中、テゾーロは能力を発動した。

「初めてやる戦い方だ……慣らし運転と行こうじゃないか」

 テゾーロは黄金の指輪から火花を散らせると、一気に黄金の体積が膨張し、津波のように街へ流れ込んでいった。

 そして黄金の濁流はテゾーロの元へ吸い寄せられ、彼自身を取り込み、人の形を模しながら巨大化する。

「な、なにィ!?」

「スッゲーーーーッ!!!」

 ピーカは驚き、ルフィは目を輝かせた。

 そこに現れたのは、かの伝説の巨人〝国引きオーズ〟にも比肩するかという、あまりにも巨大な――ギルド・テゾーロを模した、動く黄金の彫像だ。

 しかし、大地と一体化して山に匹敵する巨躯のピーカから見れば、60メートル級の黄金巨神もハチ程度の大きさだ。

「ピッキャピッキャピッキャララ……! そんなナリで何ができる!?」

《ブフォッ!! ……失礼。だがゾウですらハチ一匹に大騒ぎするぞ?》

 黄金巨神――ゴールデンテゾーロの腹部にあるコックピットからテゾーロの声が響くが、ピーカの高すぎるソプラノボイスのせいで、やっぱり笑ってしまっている。

「ブチ殺す!!」

 ピーカは拳を振り下ろす。

 それに合わせ、ゴールデンテゾーロも拳を構え、大きく振りかぶった。

 

 ドゴオォォン!!!

 

 二人の巨人の拳が真っ向から激突する。

 が、そもそも圧倒的な体格差がある上、いくら超硬度の黄金といえど質量差でゴールデンテゾーロは不利となる。ピーカの巨大すぎる拳は、あっという間に黄金の両足首を地面にめり込ませた。

 だが、これこそがテゾーロの狙いだった。

《クッ……ハハハハ……! これを待っていたよ、ピーカ!》

「何だと!?」

《――〝黄金の神の火(ゴオン・フォーコ・ディ・ディオ)〟!!》

 ゴールデンテゾーロの右目がいきなり発光したかと思えば、そこから一筋のレーザーが放たれた。

 レーザーはピーカの胸を貫通すると、数秒経過してから大爆発を起こし、本体にもダメージを与えた。

「ゲホッ……ウオオオオオオッ!?」

 かの海軍大将〝黄猿〟の攻撃を彷彿させる、あまりにも想定外な技に対処できるはずもなく、ピーカは吐血しながら断末魔の声を上げる。

 テゾーロは黄金巨神を操作し、右腕をガントレットを装着したような形態へ変形させ、ピーカの拳を殴りつけた。

《〝黄金の業火(ゴオン・インフェルノ)〟!!》

 次の瞬間、先程のレーザーと引けを取らぬ大爆発が発生。ピーカの右腕が派手に吹き飛ばされた。

《フハハハ! どうだピーカ?》

「お、おのれェェ……!!」

 ピーカは体勢を立て直し、テゾーロを睨みつける。

 黄金巨神と岩石巨人のバトルが勃発し、ルフィらは巻き添えを喰らわぬよう、距離を取り始めた。

「カジノのおっさん、スゲェなァ~! あの黄金ロボ、操作してェ!!」

 ゴールデンテゾーロに感動するルフィに、ゾロは苦言を呈する。

「それよりルフィ!! お前敵をおちょくるのもいい加減に――」

「おのれ、テゾーロ!!」

 ピーカの甲高い声が炸裂。

 どうにか耐えていたゾロも、ついに吹き出した。

「ぷーっ!!」

「ホラ! お前も笑ってんじゃねェか」

「てめェら……!! ピーカの声を笑う事は死を意味するんだぞ!?」

「あっひゃっひゃっひゃ! まァいいじゃねェか!」

 ルフィは笑い過ぎて出てきた涙を拭った。

 するとゾロが近づいてくる気配に気づき、目を細めた。

「麦わら」

「ん? キャベツか!!」

 現れたのは、貴公子風の出で立ちをした美男の海賊。

 〝海賊貴公子〟とも呼ばれる天才剣士、〝白馬のキャベンディッシュ〟だ。彼は極度の目立ちがり屋であるゆえ、「最悪の世代」には逆恨みに近い激しい憎悪を抱いているのだが……。

「何だ!? まだおれを恨んでんのか!?」

「いや、君達麦わらの一味はもう狙わない。なぜなら君の仲間のゴッド・ウソップに僕は人生を救われたんだ。己の身を投げ打ち、多くの人々を救った彼の雄姿は忘れない!」

 そう、キャベンディッシュも他のドレスローザの国民たちと同様、シュガーによってオモチャにされ、ほんの僅かな時間とはいえ奴隷のように扱われたのだ。

 ウソップの勇敢な行動――少しヤケクソの部分や予想外の部分もあったが――に感銘を受け、いくら「最悪の世代」といえど筋は通すつもりのようだ。

「ははは!! 仲間褒められると嬉しいなァ」

「トラファルガー、これは君の帽子だろ? コロシアムの前に落ちていたぞ。被せてやろう……さァ前へ出ろ!!!」

「お前なんか信じられるか!!!」

 愛刀デュランダルを背に隠し、討ち取る気満々のキャベンディッシュの申し出をローはキレながら突っぱねる。

 すると、そこへルフィとコロシアムで壮絶な一騎打ちを繰り広げた伝説の海賊〝錐のチンジャオ〟とその孫が駆けつけた。

「待てェ! ガープの孫!」

「げっ! ヤバい!」

「待てと言っておろうが!! ガープの孫よ、己の一族への恨みなどとうに消えておる!!」

 ルフィへ詰め寄るチンジャオは、自分たち「八宝水軍」のドレスローザでの目的を語り出した。

「我々は花ノ国のラーメン王の命令で、〝黄金帝〟テゾーロと合流してドフラミンゴの商売を潰すために来た」

「……成程、あのおっさんの援護みたいなもんか」

「いかにも。テゾーロが体を張ってあの石の巨人の相手をしてる以上、迷う暇はない! 私は己のみならず、己の仲間ゴッドウソップにも救われた身……ついてはドフラミンゴをブチのめすことで己とゴッド・ウソップに恩返しをすることにした」

「はァ!? やめろよ!! ドフラミンゴはおれがぶっ飛ばすんだ!!」

「今何と言った!!」

 重要な局面だというのに、ルフィはチンジャオをいがみあい始めた。

 どうやら全員、ドフラミンゴを叩き潰すことにこだわっているようだ。

 さらにそこへ、エルバフの戦士であるハイルディン、プロデンス国王のエリザベローⅡ世と部下の軍師ダガマ、足長族のブルー・ギリーなど、コロシアム出場者たちが一斉に集結。誰がドフラミンゴを討ち取るかで揉め始めた。

「ダメだ……こいつら我が強すぎる」

《麦わらのルフィ!!!》

『!!』

 ゾロが頭を抱えた時、ゴールデンテゾーロから声が響いた。

 搭乗しているテゾーロの声だ。

《おれがこの場で時間を稼ぐ!! 君たちはドンキホーテファミリーの殲滅に動いてくれ!! まだ連中の主戦力は健在だ!!》

 テゾーロの説得に、対立していた者達は静まり返り、決意を固めた。

 一刻も早くドフラミンゴを倒さねば、この下らないゲームは終わらず、時間稼ぎに徹するテゾーロの覚悟を無駄にしてしまう。

 ルフィたちは互いに頷き、王宮のある台地へ一直線に突き進んだ。

「行くぞ!! ドフラミンゴはおれがブッ飛ばす!!」

『うっせーぞ恩人!!!』

 ……呉越同舟が成り立ってるかどうかは不明だが。

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