ONE PIECE ~アナザー・エンターテインメンツ~ 作:悪魔さん
お待たせして申し訳ございません。
混戦のドレスローザ。
テゾーロは体を張ってピーカと戦っていたが、突如停止したことに気づいて巨腕を下ろした。
《……どうやら、〝海賊狩りのゾロ〟が本体を見つけたようだな》
テゾーロは見聞色の覇気をも駆使し、戦況を冷静に把握していた。
海軍と革命軍、麦わらの一味にコロシアムの強者達が各々の思惑を胸にドフラミンゴのゲーム攻略に動き出している。
いくら天夜叉とて、この数の敵を手玉に取るのは容易ではないはずだ。
《では……おれはゴミ掃除と行かせてもらうか》
ゴールデンテゾーロを操縦し、ドンキホーテファミリーを薙ぎ倒しながら鳥カゴへとテゾーロは向かう。
触れたものを容易に切断する程鋭く、凄まじい耐久力を持つ糸の檻。しかも厄介なことに縮小させることもできるため、鳥カゴを小さくされてしまうと内側に存在するあらゆるものはただでは済まない。
だが覇気をまとった武器かダイヤモンド並みの強度を持つ海楼石は、斬られることはない。ならばこの超硬度の黄金でも、多少なりとも鳥カゴに耐えられるかもしれない。
(ルフィ達と藤虎達に任せよう。おれがあまり介入するのもアレだしな)
そう思い至った時だった。
「あららら……どうやらお前さんも同じこと思ってたようだねェ」
突如背後に現れた男の気配。
その口調も、身に纏う覇気も聞き覚えのあるもの。
《クザンさん》
「よう、相変わらずやってんな」
思わずテゾーロはピタリとその動きを止めた。
元海軍大将にして、現在はSWORDの幹部である青キジことクザン。
彼もまた、同じことを思いついたらしい。
《どうやらお互い、似た発想のようで》
「らしいな」
クザンはどうやら、ヒエヒエの能力で鳥カゴを押さえようと試みているようだった。
「まぁ、アレだ。イッショウ達も頑張ってんだし、おれも老体に鞭打って働きますよっと」
《どこが?》
頭を掻くクザンに、テゾーロは冷静にツッコんだ。
すると、頭上からキィィィィン…!! という音が鳴り響き、それが次第に大きくなってくる。
《――んん!?》
「ちょ、バカ野郎!! それはアウトだろ!!」
何と、上空から巨大な隕石が落下してきたのだ。
さすがのクザンも目を剥き、テゾーロも呆然とした様子で頭上を見上げる。おそらくイッショウが召喚したのだろうが、いくら盲目とはいえ度が過ぎる。
しかも鳥カゴの檻に直撃したせいで綺麗にスライスされ、ただでさえ広範囲を破壊するのに、規模がさらに拡大したではないか!
「仕方ねェな、ったく!!」
《イッショウさん……あなたって人は!》
クザンは拳に氷と武装色の覇気を纏わせ、テゾーロは巨神の目に光を集中させる。
「〝
《――〝
クザンがスライスされた隕石を殴りつけ、覇気の衝撃で一気に破砕。降り注ぐ砕け散ったそれを、テゾーロのレーザーが薙ぎ払うように撃墜していき、ボォン!! と、テゾーロが最後に叩き落とした隕石は爆炎を上げて赤々と燃え上がった。
《ふぅ……これで何とかなった》
「ったく、サカズキの教育はどうなってんだ」
《いや、これはどっちかって言うと本人のそもそもの気質な気も……》
呆れて溜め息を吐くテゾーロ。
同時刻、当の本人はというと…。
「フゥ~……こらァ冷や汗掻きやしたね…テゾーロの旦那と先代さんにゃとんだ御迷惑を……!」
「隕石落とす時は言ってください、イッショウさん!!」
「あいすいやせん、落としやした!」
「やる前っ!!」
頭を掻くイッショウに、部下の海兵達は必死に抗議し、対峙していたサボは顔を引き攣らせるのだった。
その頃、地下のスクラップ場では……。
「カン…カン…カン十郎~!!」
「おーっ! 錦えもん!」
「会いたかったぞ! カン十郎!」
「スマンな、少々捜させたか。奇妙な事が立て続けに起きておったゆえ、しばし壁の中にて隠れおったが、知らぬ間に眠っておった」
ワノ国の侍・錦えもんは同志との再会を喜んでいた。
その名は、〝夕立ち〟カン十郎。歌舞伎役者のような出で立ちをした彼は、描いた絵を実体化させたり自身を絵に変化させる〝フデフデの実〟の能力者である。世界政府非加盟国でありながら海軍ですら近寄れない強国の出身なだけあり、覇気の扱いに長けている強き侍だ。
「それにしても錦えもん、よく戻ってくれた」
「何を申す! ずいぶん待たせた…!」
「カッカッカ! 信じておったゆえヘチマの皮とも思うておらぬわ。水くさい。それがしの妖術があれば食う物にも困りはせぬのでな。いやなに別段腹など空いてはおらんのだが」
カン十郎は能力で生み出した
それを聞き、錦えもんは話したいことがたくさんあると語り、スクラップ場からの脱出を促す。
「某に任せよ!」
背中に背負った巨大な筆「
しかし画力が足りないせいか…そこはかとなく気の毒な感じがする。
「出てよ!! 〝抜け雀〟!!」
カン十郎がそう唱えた瞬間、壁に描かれた雀の絵が実体化する。
それにしても飛ぶのが苦手そうな雀である。
「では、行こうぞ!!」
カン十郎と錦えもんは雀に乗り、脱出を図る。
だが肝心の雀は二人載った途端に汗だくになっていて、傍から見ると正直不安で一杯だ。
すると、リク王軍の兵士の一人が待ったをかけ、自分達も地上へ出たい、リク王や家族が無事か確認したいと一斉に申し出た。
その言葉に耳を傾けたカン十郎は、それならばと自らの能力で梯子を描き、実体化させた。
「ありがとう侍!!」
「これで地上へ出られるぞ!!」
今までオモチャにされていた旧リク王軍及び市民達は、一斉に梯子を上っていくのだが……。
「線が歪んで登り辛い…」
「文句を申すな!! 図々しい!!」
まずはカン十郎の画力の低さに苦しまされるのだった。
*
一方、コロシアムの戦士達が手を組んで道を作ったことにより、ルフィ達は先へ進むことができた。
同志達が体を張る姿を見下ろしながら、王宮へと駆けていく。
「ドフラミンゴのスピーチを聞いた時から、僕にはわかっていた!! この国にいる全員がハンター!! この鳥カゴってゲームは全てウソだ!!」
「その通り。少なくとも武器の密売とオモチャの秘密がバレた時点で、今この国にいる者達の皆殺しは確定していると思いますよ」
『!?』
不意に、横から優しそうな声が響いた。
コロシアムの戦士達の足止めを切り抜けたのかと、一瞬身構えたが、ルフィは目を見開いた。
「あ~っ!! お前、テゾーロの!!」
「どうも、未来の海賊王。グラン・テゾーロの外交官であるサイ・メッツァーノです」
六式の一つ・月歩で並走する優男に、ルフィは顔を明るくし、キャベンディッシュとキュロスは驚いた。
テゾーロの部下とサイファーポールの諜報員を兼務する、凄腕の外交官が、彼らを援護しに来たのだ。
「勅命で援護をするよう言われたので、サポートしますよ」
「おっ!! いい奴だなァ、お前!! おれがドフラミンゴをぶっ飛ばすの手伝ってくれんのか!?」
「麦わら、それは僕がやると言ってるだろう!!」
愛馬・ファルルを駆り、キャベンディッシュがルフィに抗議する。
そんなやり取りを「仲いいですね」と評すサイは、彼らに現状伝えた。
「ドフラミンゴは絶対情報を外へ漏らさない。その為に鳥カゴで島を覆った。すなわちドレスローザは今、世界から隔離された絶海の孤島……奇跡を信じ、ゲームの終了を待っていれば全員殺されるのは明白です」
――ドフラミンゴを討ち取る以外にこの島から生きて出る方法はない。
そう語るサイに、三人は顔を顰めた。
同時に、何が起きても全てその一枚上を行く狡猾なドフラミンゴは、〝
「天竜人に匹敵する権力と、四皇に引けを取らない影響力……そんな人間が、七武海の特権を利用して悪事を重ねたドフラミンゴの打倒に動いた。この時点で彼の敗北は決まってるんです。あとは誰が討ち取り、被害を最小限に防いでくれるか……ですかね?」
「それは僕だね!!」
「何言ってんだ!! ミンゴはおれがブッ飛ばすっつってんだろうが!!」
「おれだと言ったはずだ、麦わら屋!!」
「気持ちはありがたいが、私がやる!!」
一斉に自分が討ち取ると言い放つ彼らに、サイは「本当に呉越同舟を地で行ってますね」と苦笑いした。
その後も三人は口論を繰り出す。
「兵隊!! お前さっき幹部の奴討つって言ってたろ!?」
「それは
キュロスは、10年前のリク王政権崩壊と失われた家族の時間を思い返す。
「あの時、潜入任務中のドフラミンゴの弟と出会わなければ、今日という日はなかった!! 兄の暴走を止めようと必死だった彼の無念は計り知れない……!! だからこそ、彼に代わって討たねばならないのだ!!!」
「それはおれもだ、コラさんには恩義がある!!!」
「じゃあおれは30年前から!!」
「ウソつけ!! 君が僕より年上なワケがあるかァ!!」
そんなやり取りをしている内に、台地の三段目に到着した。
このまま四段目まで突っ切る勢いで乗り込むも、ファルルが突然足を止めた。
「どうした? ファルル」
愛馬の様子に怪訝な表情を浮かべるキャベンディッシュ。
するとルフィが、霧の中の巨大な影に気づいた。
「何だ!? このデカ人形!?」
「ブリキの兵隊!?」
「厄介ですね、シュガーが復活した……!!」
鈍重そうな不気味なオモチャの兵隊達に、一同は困惑と苛立ちを露わにしたのだった。
新作の方もあって後進の時間がより掛かると思いますが、よろしくお願いします。