ONE PIECE ~アナザー・エンターテインメンツ~   作:悪魔さん

187 / 202
サイが久しぶりに新技を披露!
何年ぶりだろうか……?


第183話〝丁半賭けなすって〟

 シュガー復活という最悪の展開に、嫌な汗を流すサイ。

 そんな彼を他所に、キャベンディッシュは立ちふさがるブリキの兵隊達を見やる。

「子供のオモチャにしては少々大きすぎるが…それ以上に趣味が悪い!! 一気に突っ切るぞ、ファルル!!」

「待ってください、数が増えてる! 大本を絶たないと体力を無駄に消費してしまいますよ!」

 サイは慌ててキャベンディッシュを制止するが……。

「よし!! 全部ブッ倒しゃいいんだな?」

「ちょっと何言ってるんですか!?」

 ブリキの兵隊は視界に入っているものだけでも十体以上。

 シュガーが復活した以上、無尽蔵に増え続けるかもしれないというのに、ルフィはわざわざ全部倒せばいいと言い出した。それに便乗するようにキャベンディッシュも「やはり殲滅する以外手段はない」と言い始めている。

 彼らの頭の中にあるのは敵を倒す事だけなのか……。

「ああー……もう、わかりました!! こんな所で時間を食ってるヒマはない、一気に片をつけましょう!!」

「最初っからそうすりゃいいじゃんか、お前も」

「〝勝ち方〟を考えてるんです!!! 出たとこ勝負でどうにかなったらドンキホーテファミリーなんか秒で壊滅できますよ!!!」

 ルフィ達に散々振り回されて来たせいか、サイの語気も少し荒くなっている。

 それから、キャベンディッシュに進言した。

「人形の相手なら私が全部引き受けます。あなた達は先に!!」

「なっ!?」

「し、しかしサイ殿!!」

「キュロスさん、あなたにもあなたの戦いがあるのでしょう? 戦力は多く、そして温存させるべきだ。腐ってもサイファーポール…この程度の相手、私一人で充分です」

 先程の柔和な雰囲気が消え、殺し屋のように冷徹な目になったサイ。

 彼は拳に覇気を纏わせ、武装硬化させて身構えた。

「あなた達は目的を果たす事だけを――ドフラミンゴを倒す事だけを考えていればいいんです」

「……感謝する!!」

 キャベンディッシュは即座にファルルを走らせ、ルフィとキュロスを連れてブリキの兵隊の間を突破した。

 そんな彼らに襲い掛かるブリキの兵隊達だったが、サイは武装硬化させた足による一振りで、人形を真っ二つに斬り裂いてしまった。六式の一つである〝嵐脚(らんきゃく)〟による飛ぶ斬撃だ。

 彼はそのまま、ブリキの兵隊達の間を駆け抜けると、武装硬化した指による〝指銃〟で、一体ずつ確実に破壊していったが……。

「……「血が出るなら殺せる」と昔教わりましたが、本当にその通りですね」

 破壊された割り人形が元通りになる光景を前に、サイはそう呟いた。

 やはり能力者であるシュガーの意識を奪うか息の根を止めないと、能力は解除できないらしい。

(肝心のシュガーさえ見つけ出せれば……)

 そこまで考えを巡らせた時、突然ブリキの兵隊達が動き出し、一斉にサイへ襲い掛かった。

 彼は咄嗟に飛び上がり、ブリキ達を飛び越えて距離を取ると、そのまま翻弄するように駆けて行った。直後、まるでその後を追うかのように、ブリキの兵隊達が動き出す。

 サイは器用に攻撃を捌きながら、武装硬化させた足の斬撃で薙ぎ払っていき……やがてブリキ達が一塊になるよう誘導した。

(このまま決着をつける!!)

 彼は武装硬化した四肢で地面を踏みしめると、そのまま大きく飛び上がり……空中で体を大きく捻りながら回転し、遠心力を利用して巨大な斬撃を放った。

「〝嵐脚・(かい)(てん)〟!!!」

 サイが放った嵐脚はブリキの兵隊達を巻き込み、その全てを破壊した。

「よし……これで――」

 彼は着地して一息つくと、背後から気配を感じて振り返る。

 するとそこには、新手の頭割り人形の姿が。

「っ! 面倒ですね、本当に…」

 頭割り人形は腕を振り上げると、そのままサイを殴りつけた。

 しかし彼は武装硬化させた腕でそれを受け止め、至近距離の嵐脚で頭割り人形の腕を破壊する。そしてそのまま頭割り人形の胴体に連続蹴りを叩き込み……その体をバラバラにした。

 だが、それでもなお、頭割り人形達は次々と現れてくる。

「ハァ……全く、キリがありませんね…」

 これは長丁場になりそうだと、サイは溜め息を吐いたのだった。

 

 

 その頃、ウソップ達はというと。

「あれは…シュガーが目覚めてるわ!!」

「え~~~~~~~っ!!? おい!! 何言ってんだ!! シュガーならおれ様の必殺顔面ビックリ箱で完全に気絶して2・3日は意識戻らねェ勢いで…」

 その言葉にウソップは驚きを隠せず、ヴィオラも慌てふためいた。

 なぜなら、ルフィ達は彼女の存在も能力も知らないからだ。

 シュガーのホビホビの能力は、おもちゃにされた者はシュガーの契約に逆らえない上、世界中のあらゆる人間の記憶から改竄される形で抹消される。恋人や家族、親友、仲間のような深い関係であっても、彼ら彼女らは容赦なく記憶から抹消され、それを疑問に思うことができなくなるのだ。その為、シュガーは是が非でも仕留めなければならない。

「こうなったらやるしかない!! おれがここから狙撃する!!!」

「とはいえウソップ殿、この距離を狙撃とは不可能でござる!! 王宮など拙者の肉眼ではやっと確認できる程度、しかも敵は壁の向こう!! 見えもせぬ!!」

 ウソップは特大パチンコ「黒カブト」を準備するが、それを錦えもんが制止した。

 確かにウソップの武器で狙撃するしか方法がない。しかし標的は直線距離で何キロもはるか遠く。しかも壁の向こうにいる。通常の狙撃など全く意味を成さない。

 だが、失敗すればシュガーも警戒して二度とチャンスは生まれない。どんな条件だろうと誰かがやらねばならないし、やるしかないのだ。

 そして対するシュガーはというと……。

「うわあ~~~~~~~~っ!!!」

「え?」

「は…鼻の長い奴は私のそばに来るなァァァァ!!!」

 完全にウソップの事がトラウマになっていた。

「鼻の長い奴はみんな死んで!!!」

「いや、シュガー様のお腹が空いてないかと…これを…」

「うわあ~~~~~~~~っ!!!」

「ただのソーセージですよ?」

 ファミリーの下っ端達は、半狂乱なシュガーに首を傾げるばかり。

「長い物持ってくるな!! おやつならグレープでしょ!? バカなの!? あんたも頭割り人形になって戦ってきなさい!!!」

 シュガーはそう言うと、その場にいた下っ端達に能力を行使。

 全員を頭割り人形に変身させ、敵の迎撃に向かわせた。

「若様に申し訳ないわ、この国中の全員もう一度オモチャにしてあげる!!! まずは憎い憎い長鼻とその仲間、麦わらの一味!!!」

 最も恐ろしい悪魔の実の能力者が、ルフィ達に牙を剥こうとしていた。

 

 

           *

 

 

 一方その頃、サボはイッショウと一騎打ちを繰り広げていた。

「火拳!!!」

 火力を高めて巨大化させた炎の拳を放つサボ。

 イッショウは仕込み杖――最上大業物の一振りである〝やくざ火線〟――を構えて重力操作。軌道を逸らし、頭上の鳥カゴに当てた。

「お前、一体何のつもりだ?海軍大将の力はこんなもんじゃねェハズだ。茶番はやめろ」

「おかしな人だ。あんたの目的は海軍を止める事でしょう?」

「いつまでシラを切り通すつもりだ?」

「シラ? ハハッ…何の事だか。あっしはご覧の通り…少し手加減してもらわねェと」

 イッショウは閉じた双眸に手を当てはぐらかすと、サボは「おれは〝差別〟はしねェんだ」と返した。

(こえ)ェなァ。革命軍のNo.2は伊達じゃねェ様で……だが、あっしにも立場ってもんがござんす。どうかご理解を」

 イッショウは仕込み杖に重力を掛け、サボ目掛けて大きく振るった。

「〝重力(グラビ)(とう)〟!!! 〝猛虎〟!!!」

 

 メキィッ!!

 

 町一帯の建造物がまとめて破壊される程の重力に引き込まれ、サボは体を炎に変化させることで自然(ロギア)系ならではの回避を行い距離を詰める。

(こいつ、何企んでる!?)

 海軍大将の意図が読めないまま、攻撃を繰り出す。

 それも容易く受け止められたので距離を置くと、イッショウが意味深な発言をした。

「一が出るか八が出るか……あっしは、この首一つ賭ける覚悟だ」

「!?」

「だが…転がすサイコロを失っちゃあ、ツボ振る前からお釈迦でござんす」

 そう言うや否や、イッショウは仕込み杖を納刀した。

 まさかの居合い抜きかと思ったが、鞘から抜く様子はない。何と、本気で戦うのをやめたようだ。

「同じ穴のムジナなんだ。あっしら海軍もドフラミンゴも筋違いだ。海軍はこの国じゃヒーローにはなれねェんですよ……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「〝新世界の怪物〟もか……!? そんな考え、もしバレたら…」

「いえ、あっしは()()()()()()()()()()だ」

「!」

 イッショウの言葉に、サボは目を丸くした。

 彼が行おうとしているのは、間違いなく海軍や世界政府の不利益になる行動。海兵、ひいては政府側の人間としてはフリーダムな英雄(ガープ)と己の正義のみを信じて行動する野犬(スモーカー)をも上回るド級の問題児だろう。

 しかし、その意図に黄金帝も賭けている。それが民衆の為ならば、サボとしても何も言わない。

「フッ…まるで博打だな」

「へへ……運はいい方で。それに賭け事ってのはそんなもんでござんす。――さァて、お開きにしましょうや。この場はお互い「痛み分け」って事で……」

 イッショウは仕込み杖を白杖のように突きながら、その場を後にした。




ドレスローザ編は今年中に終わらせるよう努力します。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。