ONE PIECE ~アナザー・エンターテインメンツ~ 作:悪魔さん
〝天夜叉〟と〝黄金帝〟。
糸と黄金の激突は熾烈を極めていた。
「ハァ…ハァ…ハァ……」
「ゼェ……ゼェ……」
睨み合うドフラミンゴとテゾーロ。
両者共に血を垂れ流しながらも、未だその目から戦意は失われていない。
そう、これは負けられない戦いなのだ。この国の、そして世界の未来にもかかわるのだ。
世界を破壊する事を求める元天竜人と、世界の変革を求める怪物のぶつかり合い。一瞬の判断ミスも許されないし、僅かな迷いが命取りになり、一瞬の迷いが勝敗を分かつのだ。
「ゼェ……ハァ……中々しぶとい野郎だ……!!」
「ハァ…ハァ…この海はタフじゃないと生き残れないだろう」
「フッフッフ、
ドフラミンゴは先端を武装硬化した糸を無数に繰り出し、テゾーロはそれに呼応するように黄金の触手を展開。
そのまま凄まじい打ち合いを始めた。
ガガガガガガガ!!
轟音が響き、衝撃が地面を揺らす。
まさに、竜虎相搏つ。
「ぐっ……」
「フフフフ……!! どうした、〝新世界の怪物〟はこの程度か?」
満身創痍であるはずのドフラミンゴの猛攻撃に、テゾーロが防戦一方になる。
というのも、テゾーロは能力の行使をし過ぎてケガこそ少ないが体力の消耗はドフラミンゴ以上に激しいのだ。
今までの経験上、国家元首を務めるだけあって政治的な駆け引きは得意である。しかし戦闘における駆け引き、いわゆる命のやり取りは海賊であるドフラミンゴの方が一枚上手であり、徐々に追い詰められている。
とはいえ、覚醒の技を行使しているドフラミンゴも体力を消耗しており、有効打はいまだにゼロ。両者譲らず、といったところだろうか。
「やはり手強いな……だが鳥カゴはどうする?」
「心配には及ばないさ。信じてるからな」
――お前の見え透いた関係には引っかかんねェよ。
不敵に笑うテゾーロに、ドフラミンゴは口角を上げつつも青筋を浮かべる。
その時だった。
《――さァ皆さん!!もう少しの辛抱だ!!》
「ん?」
「あの男は、確か……!」
《ハァ…ハァ…スターは蘇るっ!!!》
台地の高台から、拡声器を使って叫ぶ者がいた。
コロシアム実況のギャッツだ。
《皆! お忘れか! いや忘れるわけがない! 本日コリーダコロシアムの闘技会にキラ星のごとく現れた愉快で大胆不敵なあのスターを!!》
ギャッツは興奮気味に語る。
誰もが恐れる殺人牛を手懐け。
雲をつく様な巨人をなぎ倒し。
伝説の海賊であるドン・チンジャオを討ち砕き。
コロシアムはおろかドレスローザ全体を沸かせた、自由で痛快な試合をする小さな剣闘士・ルーシーを。
その紹介に市民達は「だから何だ」「あいつはただの剣闘士じゃねェか」と声を上げるが……。
《そうルーシー!! そして本当の名は、〝麦わらのルフィ〟!!!》
ギャッツが言い放った言葉に、市民達の間で衝撃が走る。
ルーシーの仮面の下が、あの海賊〝麦わら〟だというのだ。
《これまで海賊にダマされ支配され続けた我々が、海賊を信じる事は困難かもしれない!! だが、10年前のあの夜!! ヒーローの仮面被って現れたドンキホーファミリーとは違う!!!》
「ギャッツ……」
「……いいね、ぜひウチで契約したいもんだ」
忌々しげに呟くドフラミンゴに対し、テゾーロは愉快そうに笑う。
ギャッツの言葉は、まだまだ続く。
《〝麦わらのルフィ〟は〝真の王〟リク王様をもって「希望」と言わしめ!! そして我が国を訪れた世界を代表するエンターテイナー――〝黄金帝〟ギルド・テゾーロ氏も認める
テンションが次第に高まるギャッツは、「嬉しさに震えろドレスローザ!!!」と叫ぶ。
《ルーシーはこれを約束してくれたんだ!!! ドフラミンゴの一発K・O・宣言!!!》
『ウオオオオオオオオ!!!』
市民達が歓声を上げる。
この国を救う希望、そしてドフラミンゴに勝つという約束。
それはまさに、この国の民が渇望していたものだった。
《聞こえてるか、ドフラミンゴ!! お前は王を操り!! 世界を欺き!! このドレスローザに居座った〝偽りの王〟!!!》
「……!」
《ここが貴様の処刑場だァ~~~!!!》
声も身体も震わせながら、大胆に挑発するギャッツ。
そんな彼を睨みつけ、ドフラミンゴは不快感を露わにする。
《間もなくだ!! コロシアムの生んだスター・ルーシーは蘇るっ!! その瞬間まで持ちこたえるんだ!!!》
『ウオオオオオオオオ!!!』
「――見事なエンターテインメンツだ」
コロシアムが誇る名実況の鼓舞に、エンターテイナーとしても活動するテゾーロは絶賛した。
が、それをドフラミンゴが快く思うはずもなく……。
「いい加減黙れ…茶番だ!」
ドフラミンゴは糸を向け、ギャッツの身体を貫こうとした。
しかし、それは黄金の触手によって阻まれる。
「テゾーロ……!!」
「空気を読めよ、〝ジョーカー〟。せっかくお膳立てしてくれたフィナーレを台無しにする気か?」
ドフラミンゴの放つ糸を弾き、テゾーロは口端を吊り上げた。
だがそれは表面上だけの笑顔だ。テゾーロの心中には怒りが渦巻いていた。
《いよいよだ!! ルーシーの復活まであと10秒!! どこかで聞いてるスターの名を呼べ~~~!!!》
その直後、ルーシーコールが島中に轟く。
指を折りながらカウントダウンするギャッツの声に、市民達はさらに声量を上げる。
そしてついに……!
《3!! 2!! 1!!》
「……タッチ交代だ、ルフィ」
「おうっ!!」
テゾーロとバトンタッチするかのように、希望は復活した。
《ルーシーが!!! 現れた~~~~~~~!!!》
麦わら帽子をなびかせ、ドフラミンゴと対峙する〝
その姿を見たギャッツは感極まりながら叫んだ。
《彼は今、ここに復活した~~~~っ!!!》
ギャッツの宣言と共に、ルーシーは、いやルフィはテゾーロに振り返る。
「ありがとな、あとは任せろ!!」
「……最高のエンターテインメンツを魅せてやれ!!!」
ルフィを激励し、テゾーロはその場を離れる。
ここから先は、ドフラミンゴとの一騎打ちだ。
「フフフフ…大袈裟な復活だな。だがかろうじて覇気が戻っただけ。立ってるのが精一杯だろ?」
「それはお前も同じだろ!」
「……まァいい。希望が現れたら潰すまで!! 〝
ドフラミンゴは糸を操り、ルフィを捕縛。
そのまま武装色の覇気を纏った無数の鋭い糸を千本の矢に変えて放ち、相手を突き刺す〝
復帰したてとはいえ、覇気で防御するルフィの腹筋を突き刺してダメージを蓄積させていく。
「どうした? 復活したんだろ? 覇気は本当に戻ったのか? ルーシー!!」
嘲笑うように追撃するドフラミンゴに、ルフィは追い詰められていく。
そして隙を突いて〝
「もはやお前はおれの意のままに動く操り人形。来い。まだくたばらんとはな…串刺しにでもしてやるか、仲間同士で殺し合いをさせてやるか」
半ば呆れ果てながらも、ドフラミンゴは笑みを絶やさない。
「どいつもこいつもおれのカゴの中で大人しく操られてりゃよかったんだ」
「カゴ? 操る!? …いい加減にしろォ!!」
ルフィは怒りを露わにギア4を発動し、糸を引き千切る。
すかさず上空へ跳躍した。
「おれを相手に空中を選ぶとはいい度胸だ!! 見せてくれるのか!? 一発K・O・ってやつを!!!」
ドフラミンゴも追うように飛び、先端を武装硬化させた糸を複数展開する。
「ミンゴ!! お前は何でもかんでも手の中に閉じ込めて!! どいつもこいつも操ろうとするから…おれは息がつまりそうだ!!!」
「血を恨め!!! お前達は操られるだけのゴミとして生まれたんだ、お前ら人間とおれとは違う!!!」
「黙れ!!! お前をブッ飛ばしておれは出ていく!!!」
「やれるもんならな、
ドフラミンゴは叫びながら巨大なクモの巣状に糸を広げた。
それに対し、ルフィは腕の筋肉にさらなる空気を送り込んで巨大化させた。
「従えねェなら殺すだけ……!! 16発の聖なる凶弾――」
「〝ゴムゴムの〟ォ……」
――〝
――〝
ドフラミンゴは武装色の覇気を纏わせた糸を束ね、16本の鋭い矢に変えて一斉に放つ。
ルフィは巨大化させた腕で拳を打ち下ろす。
その衝撃は凄まじく、膨大な覇気による圧力で稲妻のようなものが発生し、覇気による暴風と爆音が島中に轟き――。
ドッゴオォォン!!!
ドフラミンゴが放った16本の矢を一瞬で打ち砕き、大地を大きく叩き割り、彼を地盤ごと地下の隠し港まで叩き落とした。
その直後、あの鳥カゴが消えていくではないか。
ドレスローザ国防戦、王下七武海ドンキホーテ・ドフラミンゴVS.剣闘士ルーシーこと〝麦わら〟モンキー・D・ルフィの戦いの行方は……。
《ゴホンッ!! ……ドレスローザ国防戦・大将戦!! 勝者は……!! ルゥーーーーシィィィ~~~~~!!!》
『ウオオオオオオオ!!!』
ギャッツの宣言に、市民達は歓声を上げた。
この日、国の人々はガレキの中で喜び泣いたのだった。
ようやくドレスローザ編が終わった…!!
次回、ついに最終章突入です。