ONE PIECE ~アナザー・エンターテインメンツ~   作:悪魔さん

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明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。


第187話:天夜叉陥落

 ドンキホーテファミリーの陥落は、世界に大きな影響を与えた。

 

 強国ドレスローザの偽りの栄華とその本性。

 麦わら・ローの海賊同盟に敗れた、世界最大のブローカーである〝天夜叉〟ドンキホーテ・ドフラミンゴの失脚。

 そしてドフラミンゴを一国の王と認めてドレスローザに君臨させた責任は世界政府にあると明言した、海軍本部大将〝藤虎〟の土下座。 

 

 ドレスローザ隣国三島に流された映像と情報は、実害を孕んで瞬く間に世界を駆け抜けた。

 ある国は武器を買う事ができず降伏を宣言し、戦争を終えた。

 兵器や人造悪魔の実の取引が強制終了となり、海賊達は怒り狂った。

 

 少なくとも言える事は、ドレスローザの大事件は世界の均衡を揺るがす事件だという事だった。

 

 

 ドンキホーテファミリーとの戦いの決着より三日目。

 テゾーロとイッショウはそばを食べながら話し合っていた。

「テゾーロの旦那……あんさんが手を貸したおかげでこの国の復興も早そうだ、世話になりやす」

「昔から政府の尻拭いはよくやってたからな。――それより、いいのか? サカズキ元帥とあんなに揉めて」

「旦那に庇われる程の事じゃありやせん。あっしはウソで英雄にされるのは御免だ」

「そのスタンスは好きだぞ、イッショウ」

 元帥(あかイヌ)と大喧嘩したイッショウに、テゾーロは微笑みながら評した。

 するとそこへ、先代の海軍大将であるクザンがやって来た。

「あららら……暢気なこって。いいのかい? せっかく〝麦わら〟を捕まえるチャンスだってェのに。……あ、おれにもそばくれ」

 ちゃっかり海兵の一人に注文し、隣に座ったクザンはイッショウに尋ねる。

「ドレスローザの全ての港には、見張りの部隊を配備してありやす。万が一にも逃がしはしやせんて」

「フーン……ま、いいけどよ」

 頭を掻きながら、イッショウの答えにクザンは興味なさそうに言うが、 テゾーロはその答えに満足していた。

 そして、クザンの注文したそばを啜りながら、テゾーロは呟いた。

「……世界政府はどういう対応で?」

「今審議中よ。何せ近い内に〝世界会議(レヴェリー)〟だ、今回の件で王下七武海制度撤廃は加速するだろうよ。サカズキの奴は……制度撤廃には反対だろうな」

「……一応、おれも彼ら彼女らの対応を独自に考えてます。上手い具合に行かないと、手痛いしっぺ返し食らいますよ」

「だよなァ」

 政治的駆け引きを長くしてきたテゾーロにとって、王下七武海制度を何の見返りもなく撤廃するのはよろしくないと考えている。

 もう制度は撤廃したから逮捕という態度を取れば、あとあと禍根が残る。

 テゾーロ自身は世界に革命をもたらして新時代を作りたいという思想なので、王下七武海制度の撤廃には大賛成だが、その先に起こりうる事態は想像つかない。最悪、元七武海同士が同盟を結んで世界政府に牙を剥く可能性も出てくる。

 一応テゾーロは〝鬼の跡目〟という巨大戦力を動かせるが……それでも世界最強の剣士であるミホークやハンコック率いる九蛇の戦力を敵に回すのは避けたいというのが本音だ。

(……まぁ、最悪こっちで権力をフル活用して丸く収めるしかないか)

 その時、聞き覚えのある声が響いた。

「イッショウ!! 聞いたぞ、土下座にサカズキとの衝突!! わっはっはっは、私が元帥じゃなくてよかった」

「おだまり、おかきオヤジ!! 大目付は無責任でいい気なもんだよ」

 何と、海賊王の時代から海軍を引っ張ってきた伝説の海兵達――〝仏のセンゴク〟と〝大参謀〟つるが姿を現したのだ。

 二人はドフラミンゴ及びドンキホーテファミリーとは因縁があり、今後起こりうる事態を鑑みてドフラミンゴの護送の援護に来たのだ。

「大将藤虎、なぜ海賊を捕らえない? 〝麦わら〟の居場所はわかってるんだろ?」

「……国を救った重傷の海賊。こいつを果たして敵とみなすか、この国では英雄と見逃すか…あっしにゃ決めることができやせん」

 イッショウが見せつけたのは、一つのサイコロ。

 それを見たセンゴクは涙を流して大爆笑し、つるは呆れ返った。

「それで決めてんのかい!?」

「何ももっちゃあいねェ奴が、二日もコイツに救われやすかね」

「!!」

「今日は三日目、イカサマはしちゃいやせん」

 そばを食べ終えたイッショウは立ち上がり、つるに向き直った。

「天夜叉の護送援護感謝いたしやす。しかしここはまだあっしの管轄。やり方はお任せを」

「うむ…とは言っても、賞金首を海軍がいつまでも野放しというわけにも…」

「あ~…いいんじゃないんすか、おつるさん。一以外が出りゃすぐにでも麦わらとローの首を取りに行くっつってるし」

 クザンの擁護に、つるは渋々引き下がった。

 そんな中、テゾーロの部下達も姿を見せる。

「テゾーロさん、一応ご報告だけ」

「?」

「〝麦わら〟が起きたようです。そろそろ()()()かと……」

「そうか……彼なら大丈夫だろうが、立場が立場だしな。――イッショウ、おれがそのサイコロを振ってもいいか?」

 テゾーロがイッショウに尋ねると、彼は無言で頷いた。

 そして、テゾーロはサイコロを壺の中に入れて振り、ドンッと置いた。

「出た目は……六だ、イッショウ」

「そうでしたか……さァ天命だ」

 イッショウは電伝虫で海兵達に連絡を取った。

「海軍全隊!! 麦わらの一味並びにトラファルガー・ロー、そして王宮に匿われた罪人達を一網打尽にせよ!!!」

《大将殿!! 王宮内への侵入許可は!?》

「何も気になさんな!! 全ての責任はあっしが取る!!!」

《了解!!》

 海兵達が一斉に動き出す。

 その無線のやり取りを聞いたセンゴクは、何かを思いついてからその場を後にする。

「動いたな……おれ達はそのまま国の復興事業だ」

「よろしいのですか? ルフィ君達は…」

「心配するな、イッショウは信用できる」

 テゾーロはそう断言する。

 海賊相手にも仁義を重んじるイッショウなら、きっとうまくやってくれる。

 その時、テゾーロ達の電伝虫が鳴り響いた。

「もしもし」

《テゾーロ! 出てくれたのね》

「ステラ!!」

 電話の主は、愛妻のステラだった。

 どこか切羽詰まったような雰囲気に、テゾーロは何かを察した。

《実はさっき、世界政府から通達が来て……今度の〝世界会議(レヴェリー)〟なんだけど……》

「どうかしたのか?」

《テゾーロの言った、史上初の下界開催は取り消しだって!!》

 その言葉に、テゾーロは目を見開いた。

 実を言うとテゾーロは、兼ねてより世界政府と交渉し、〝世界会議(レヴェリー)〟の開催地をグラン・テゾーロにしてほしいと要求していた。

 昨今の革命軍の進撃を懸念し、もしマリージョアに侵入して暴れられたら「神々の地」では海軍大将も逮捕に動き辛く、食糧庫でも爆破されたら大ごとだと提言し、何とか五老星に承諾してほしいと動いてたのだ。もっとも、他にもビビ王女やしらほし姫などのルフィと縁ある者達を奴隷にさせないようにするためでもあるのだが。

 しかし、世界政府はそれを良しとしなかった。海賊が世界政府を直接滅ぼそうと仕掛ける者はいないと伝えていたことに加え、自分の国は〝赤髪〟のナワバリにもなってるので大物海賊も手出しできず、もし来ても〝鬼の跡目〟が待機してるからセキュリティは万全だと伝えたのだが、それでも却下されてしまったのだ。

《テゾーロ……》

「……止むを得ないさ、交渉は粘った方だった。ありがとうステラ、この件はもうほっといて、おれ達が〝世界会議(レヴェリー)〟に参加する準備をしよう」

《……ええ、わかったわ》

 テゾーロはステラとの通話を終えた、その直後。

 地震のような地響きが起こり、そこら中のガレキが浮き始めたのだ。

「これは……!!」

「あららら……エライ事になってるねェ、どうも」

 それは、イッショウの能力――ズシズシの実による重力操作。

 ドレスローザに散らばっていた瓦礫全てを空に浮かべ、それを海賊達に降り注ごうというのだ。

 彼の能力の影響範囲と精密性の高さが伺える。

《海軍全部隊へ!! 東への援軍はもう不要だらァ!! 全員東の港より撤退!! 国民を安全な場所へ誘導しつつ避難せよ!! イッショウさんの…海軍大将の邪魔をするなァ!!!》

 イッショウの部下であるバスティーユ中将の号令が響き、海兵達は国民を誘導して避難させる。

 クザンとつるはその様子を見守り、テゾーロは東の港へと移動するガレキを目で追うのだった。

 

 

 その頃、ローはセンゴクとロシナンテと再会していた。

「じゃあな、コラさん……おれはもう行く」

「そうか……」

「私がまだ現役なら、お前を檻にブチ込んでロシナンテと話しただろうがな」

 二人はローの用件を察した上で敢えて無視した。

 彼らが倒すべき相手は倒した。センゴクは引退した身、ロシナンテもローを愛するがゆえに捕らえる気はゼロ。

 つまり、この場でローを逮捕するつもりはないという事だ。

 しかし、ローは表情を変えずに言い放つ。

「……コラさん、あんたは海兵続けんのか?」

「……ああ。ドフラミンゴは倒したとはいえ、まだこの世界は不安定だ。一人でも海兵はいた方がいいだろ」

「……わかった」

 ローは背を向けると、足早に去っていった。

 その背中をロシナンテは見届けると、センゴクが海軍おかきをロシナンテに渡した。

「……珀鉛病の少年が、ロシナンテが止められなかった男を止めた」

「ローは〝D〟の名を隠してました。〝神の天敵〟の名を」

(……これも何かの導きなのか? ロジャーも然り、ロックスも然り、〝D〟の一族は……)

 ローの過去を知り、成り行きを見届けた二人はしみじみと感じ入る。

「……ロシナンテ、お前はどうする?」

「センゴクさんこそ、どうするつもりですか?」

「私やガープの時代は終わったのだ、これからの世界をどう生きるかは、若い者達次第だ」

 センゴクはそう言うと、海軍おかきを口に放り込んだ。

 そして、ローが去った方角へ目を向ける。

(そういえば、あいつもテゾーロと縁があったな……)

 〝D〟の一族と、ギルド・テゾーロ。

 一見無関係に見えて、実は深い繋がりがあるのかもしれない――智将として優れた頭脳を持つセンゴクは、そんな気がしたのだった。




次回、ついに世界会議へ。
今年か来年を目途に、そろそろ…と思いながら執筆し続けます。
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