ONE PIECE ~アナザー・エンターテインメンツ~   作:悪魔さん

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段々原作に追いつきそうになってますので、ペースを緩やかにしようと思います。
新作もやってるので、よろしくお願いします。


第191話〝荒れる聖地〟

 ついに始まった〝世界会議(レヴェリー)〟。

 やはりと言うべきか、会議は今回の目玉である「王下七武海制度の撤廃の有無」から始まった。

 

 この制度の廃止の議論は、クロコダイルとドフラミンゴの国盗り事件。

 元七武海のサー・クロコダイルによって国を崩壊させられる寸前まで追い込まれた、アラバスタ王国のネフェルタリ・コブラ。同じく元七武海のドンキホーテ・ドフラミンゴによって、10年間国を支配されたドレスローザのリク・ドルド3世。この二人によって会議の議題に上げられ、議論は白熱した。

 

 〝海賊王〟ゴール・D・ロジャーの公開処刑により到来した大海賊時代。

 海賊が激増・凶悪化し、四皇達が頭角を現した事などを受け、海軍本部だけでは海賊に対応するのが難しくなった為に約20年程前に設立された王下七武海制度。毒をもって毒を制すこのやり方で、四皇達の勢力を牽制する事により、海賊の数や活動をある程度抑え込んだ功績はある。

 しかし所詮は海賊、根っからの海軍や世界政府の味方であるはずがなく、政府からの命令を無視して自分勝手に行動する者がほとんど。それどころか、七武海の権力を隠れ蓑に凶悪な犯罪に手を染める者が複数人現れ、ついには利用価値が無くなった途端勝手に自ら脱退する者が出る始末。制度の形骸化や不正の温床みたいな状態が連続し、候補者がいないまま空席ができる事態に陥り、さらに時代が進み天才科学者ベガパンクの海軍加入によって海軍の新戦力が発展するなど、王下七武海の必要悪としての存在意義や必要性が問われ、今回の議題となった。

 そして今回の大会議で、コブラ王は「七武海は海軍の傘の元で暴れるだけで、本来の七武海の意図に反している」という指摘し、リク王も「七武海の存在自体が世界に混乱をもたらした」という指摘をし、制度の撤廃を主張した。

 このまま制度を存続させれば、明日は我が身――そう感じ取ったのか、多くの王が制度撤廃を支持したが、

「相応の対価を出してクビにするべきでしょう」

 というテゾーロの一言が、場の空気を一変させた。

「テゾーロ君…!?」

「まさか、君が待ったをかけるとは……」

 コブラ王とリク王は、テゾーロが撤廃に慎重な態度を見せた事に驚愕した。

 テゾーロは「お二人の主張は正しいと思います」と前置きしつつ、

「ただ、七武海制度の()()()()()()を視野に入れるべきです」

「リスク?」

 テゾーロは、自身が想定する七武海撤廃後の世界の流れを語る。

「四皇に向けられる一大兵力が消失するばかりか、七武海討伐の為に海軍の戦力を割かなければならない。腐っても世界の〝三大勢力〟の一つなんです、海軍大将クラスじゃなければ倒せない」

「……では、保留にすべきと?」

「そうではありません。七武海と取引するんです」

 テゾーロの言葉に、王達は首を傾げた。

「実を言うと……私の方から〝鷹の目〟と〝海賊女帝〟に書状を送っているんです」

『!!?』

「内容は、〝鷹の目〟には「グラン・テゾーロへの移住」、〝海賊女帝〟には「制度を撤廃する代わりにアマゾン・リリーを中立国に認定する」という旨を記しました。……二人は平穏な暮らしを望んでいるという点で似通ってるんで、上手くいけば撤廃後も大人しくしてくれるかと」

「なんと……」

 すでに手を打ってあると語るテゾーロに、リク王は驚愕する。

 制度撤廃によって最も恐れられる事態は、七武海同士の結託。海に解き放たれた全員が暴れるとなると、その対応は大変になる。しかし、テゾーロが二人の説得に成功すれば、七武海のメンバー五人の内の二人を敵に回す必要性がなくなり、さらに人間兵器となったくまを除けばバギーとウィーブルだけを海軍は相手取ればよくなるのだ。

 もし問題が残ってるとするならば、頂上戦争の際にインペルダウンから脱獄したクロコダイルが、また何か企んでいる可能性がある事だろう。

「私は賛成の立場です。海賊に頼る時代は終わったんですから。しかし海賊も人間、時世を読んでいる。本気で七武海制度を廃止するなら、彼らの一歩先、いや三歩先を読む必要があるんです」

 現に加盟国に実害を与えた七武海は、相当な策士だった。

 故に彼らを出し抜く策が必要になる。

「いかに海に解き放たれた彼らを封じ込められるか。この先の世界情勢を視野に入れる必要があるんです」

「……」

 このテゾーロの意見に、コブラ王は考え込む。

「……テゾーロ殿、意見感謝する。少し時間をくれ、他の国々もよく考えてくれ」

 コブラ王の言葉に、王達は賛同する。

 それから数分後、

 

「では、大多数の賛成により、王下七武海制度は撤廃する!!」

 

 議論の末、議長であるハン・バーガー王の宣言と共に、王下七武海制度の撤廃は決定された。

 七武海の処遇については、先程テゾーロが説明した内容の通り、〝鷹の目〟と〝海賊女帝〟は交渉次第とし、それ以外の面々――くまは例外なのでバギーとウィーブルだけ――は討伐対象となるだろう。

 悲願が達成された事で、コブラ王とリク王はホッと安堵したのだった。

 

 

           *

 

 

 その頃、世界貴族居住地「神々の地」では、前代未聞の大事件が起きていた。

 サボが率いる革命軍の幹部達が、ついに動き出したのだ。

「食糧庫が爆発したえ!! 出あえ役人共!!」

「くそォ!! 我々世界貴族のシンボルに飽き足らず、豪華なる食糧庫まで狙うとは」

「どこぞの貧乏人の嫉妬だえ!! 必ず捕らえて打ち首に処せ」

「その後は現護衛兵も全員処刑アマス!! 私達をこんな目に遭わせてタダじゃ済まさないアマス」

 まさかの事態に狼狽し、天竜人達は大混乱だ。

 

 革命軍が食糧庫を爆破した理由。

 それは、特権に肥太った天竜人を苦しめ、マリージョアを食糧的危機に陥らせて統制を乱す為――いわゆる「兵糧攻め」だ。

 

 〝赤い土の大陸(レッドライン)〟の高さのおかげで、マリージョアは無敵の要塞だと言われているが、実は物資は自給自足で賄っておらず、全世界から上納されている。逆を言えば、物資の運搬船を攻撃したり保管庫を破壊されたりすれば、天竜人は自給自足ができないため食糧に困窮するのだ。

 飢饉により天竜人を弱らせた後に攻め込み、討ち滅ぼす――それが革命軍の計画なのだ。

「急げと言うておるのに!! このノロマ犬め!! わちきに何かあったらどうする!?」

 老海賊の奴隷の上に乗って避難していた天竜人の一人――プルミング聖は、鞭で叩いて急がせる。

 自分で歩いた方が絶対早いだろう……。

「もういい、自分で歩くえ!!」

 プルミング聖は制裁として銃口を向けるが、カラスによって銃を奪われて阻止される。

「何奴だえ!!」

「人の命を何だと思っている…………〝烏煤(カラスス)〟」

 カラスは肉体が変化した煤を烏の形にして操り、老海賊を東へ逃げるよう伝えた。

 その直後、サイファーポールが現れ、拳銃による集中砲火が行われるが、

「〝方尖煤(オベリスス)〟!!!」

『うわあああ!!』

 足元に舞わせた煤を槍の形にし、地面から串刺しにして一網打尽にする。

「……ハッ! 凄まじい覇気が二つ…」

 ふと、カラスは見聞色で察知した。

 強力な覇気使いの気配が、自分の近くに来ているのだ。

 ここはマリージョア。近くには海軍本部。という事は……。

「マリージョアを襲撃とは…」

「らははは! 全く命知らずな連中だぜ」

 そう、世界徴兵で海軍大将に特任された藤虎(イッショウ)緑牛(アラマキ)だ……!

 

 

「見つけた! 今助けるからな、お前ら! 〝レーザーシューター〟!!」

 クールシューターという武器で、奴隷達の鎖を破壊して解放するリンドバーグ。

 その近くでは、カラスがイッショウと交戦し、モーリーがアラマキと交戦している。

「やだもーこの男子!! すぐ怒るんだけど!!」

「おめェらが街壊すからだろ!! お前らのリーダーはどこいった!?」

「なに探ってんのよ、いやらしい、この変態!!」

「はァ!? てめェに言われたかねェよ!!」

 銛を使って大暴れするモーリーを、アラマキは能力で巨人族を優に超える体躯の巨木として押さえつける。

「緑牛貴様!! 誰かケガしたら死刑だえ!?」

 革命軍との戦闘中にいちゃもんを入れてくる天竜人に、アラマキは「早くどけよ」と内心吐き捨てた。

 すると、イッショウがすぐ近くで何かを行使しているのが目に入った。

「おい藤虎ァ!? あんた何やってんだ!?」

「隕石…落としやす!!」

「いや駄目だろ!!! やめろバカ!!!」

 業を煮やした同僚が天竜人ごと革命軍(しんにゅうしゃ)を消し飛ばそうとするのを制しながら、アラマキは神々の地という海兵として非常に不利な場所で戦闘を続ける。

 そして、それを眺める者達が。

「大将二人!! ここが神々の地でなきゃ風景が消し飛ぶ戦力だ……!! ハデにやってやがるぜ、これじゃおれ達の出る幕はねェな」

「チャパパ!! マリージョアを崩壊させる気か」

「ハンデ見越しても革命軍もよく粘る……!!」

「軍隊長ともなりゃタダ者じゃねェし…濃いな…よよい!!」

 

 

 一方、世界政府最高権力たる五老星は、〝(から)の玉座〟へと向かっていた。

「会議が始まったようだな……」

「期間中、アラバスタの王コブラも我々に面会を求めている」

「ネフェルタリ家は800年前、唯一下界に残った〝最初の20人〟の血族…!!」

「――言わば裏切り者だ……何かに気づいたか………? 話が拗れぬ事を祈ろう」

「ビッグ・マム、カイドウの件然り…〝頂上戦争〟から2年…もはやうねりは止まらない」

 白ひげの死により、劇的に変わりつつある世界。

 世界の秩序を維持し続けてきた五老星も、この変化には手を焼いているようだ。

「世界の均衡など…永遠には保てぬのだ。ここらで一度、大きく掃除する必要があるな」

 五老星の一人――ナス寿郎聖がそう告げると、五人は〝(から)の玉座〟に着いた。

 世界の中心であるパンゲア城に設置されたこの玉座は、各国の平等を表した「象徴」であり、この玉座に座る事が許された王は存在しないとされる。――表向きは。

 

 この世界にたった一人の王などいない――それは誤りだ。

 五老星を含むごく一部の人間にだけ知られる秘密として、虚の玉座に座る事ができる唯一無二の王が密かに存在するのだ。

 

「歴史より消すべき〝灯〟がまた」

「お決まりでしょうか?」

「然らば、その者の名を!!」

 五老星はへりくだる。

 世界最高権力である五人も、世界の王の前では片膝を突く。

「………」

 そして正体不明の真の最高権力者は、かの玉座に腰を下ろし、赤い瞳で五老星を見下ろすのだった……。

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