ONE PIECE ~アナザー・エンターテインメンツ~ 作:悪魔さん
あとがきに大事なお知らせがあります。
〝
五老星と世界政府の真の王であるイムが悍ましい怪物に変身し、テゾーロはサボと共にコブラ王を庇いながら応戦していた。
「ハァ…ハァ…何て強さだ…!!」
「ウゥ…!!」
「サボ君、テゾーロ君…!!」
疲弊したサボとテゾーロに、コブラ王は悲痛な声を上げる。
三人の眼前には、巨大な怪物達が立ちはだかる。
(どうする…!? このままじゃあ全員
疲労と緊張がピークに達したテゾーロは、後ずさりしながら必死に考える。
単純計算で六対二。数的不利な上、自分達はコブラ王を庇って戦わねばならない。
戦闘力は、はっきり言って絶望的な差だ。自分も覇気は鍛えてるし、能力は覚醒しているが、目の前の怪物達はそれを遥かに上回る覇気を有している。しかも攻撃をしてもすぐ元通りになる異常な再生能力を有し、攻撃自体は当たるが全く意味をなさない。
不死身の肉体に関しては何らかの
だがそれでも、唯一の利点がある。
(こうなったら……!!)
テゾーロは意を決する。
「サボ君、コブラ王を背負ってこっちに!!」
「!? あ、ああ!!」
「逃がさぬ……!!」
サボにそう命じ、テゾーロは駆ける。
その後ろを、怪物の姿のイムと五老星が追跡する。
ザザッ!
「!? テゾーロ君、何を…!?」
「おい、行き止まりだぞ!!」
「いや、これでいいんだ。あとはおれの交渉力次第……!!」
テゾーロの言葉に、二人は目を瞠る。
そうしている間にも、イム達は距離を詰め、三人にトドメを刺そうとする。
「――!! 待て、お前達……!!」
「イム様?」
不意に、イムがテゾーロ達を殺そうとする五老星を制した。
〝新世界の怪物〟の意図を察し、迂闊に手を出せなくなったのだ。
「……ヌシア、考えたな」
「ようやく頭が冷えてきたようで…」
テゾーロが思いついた突破口――それは、今が
もしテゾーロが背後の壁を破壊して強引に脱出すれば、多くの衛兵や役人、ひいては王族達にもイムの姿を見られてしまう可能性がある。世界政府が徹底して秘匿してきた「たった一人の王」を目の当たりにすれば、大混乱は間違いなし。世界政府はイムの存在がバレた事の後始末に追われるだろう。
「ここで取引と行きませんか?」
「……言ってみよ」
「おれ達三人を見逃すのなら、この場で起きた事全てを無かった事にします。おれに至っては天上金も倍に納め、ウチの軍隊「ガルツフォース」の軍権も貸しましょう」
「……」
テゾーロの申し出に、イムは目を細める。
ゴルゴルの実の能力は世界経済に関与し、実質天上金の半分近くはテゾーロがたった一人で納めている。もしここでテゾーロを殺せば、経済的な損失は計り知れず、彼に頼って天上金を納めた国々が一斉に混乱状態になる。それだけで済めばいいが、もし民衆の不満が世界政府に向けば、革命軍を助長させかねない。
そうなれば、世界政府の威厳が失墜するのは想像に難くない。五老星もそれを理解し、苦渋の選択を迫られる。
「……ギルド・テゾーロ。ヌシアは一つだけ思い違いをしている」
「何だって?」
「ヌシアとの取引は必要ない……グラン・テゾーロをムーの支配下に置けばいいからだ」
「…………化け物め」
テゾーロはそう吐き捨てる。
独立国家グラン・テゾーロは、世界一豊かな国の一つ。イムがグラン・テゾーロを支配下に置けば、その経済力を自在に扱えるようになるだろう。
だが、当然それを許す程、テゾーロは腑抜けた王ではない。イムが自分の国を奪って支配する事など認められない。
「……残念だった、よっ!!」
「!?」
ドゴォン!!
テゾーロは躊躇いなく壁を黄金を纏った拳で破壊。
土煙が晴れると、テゾーロとサボ、そしてコブラの姿は忽然と消えていた。
「逃げられたか……」
忌々しげに呟くと、ガタリという音が響いた。
「ん? 誰だ?」
怪物の姿――上半身が人型で下半身が白骨化した馬というケンタウロスのような出で立ちのナス寿郎聖が、破壊された壁を睨む。
直後、凄まじい勢いで誰かが退散する足音が。その正体は、あまりにも意外な人物だった。
(とんでもねェもの目撃した!! 「世界政府」の闇を知っちまった!! 知りたくなかった!! 誰だよ
一部始終を覗き見ていたのは、ワポルだった。
コブラを冷やかしに行こうとしたところ、
(…おれの人生…詰んだ!!!)
そんな非常事態が起きているなど露知らず。
円卓の大会議室では、議長のハン・バーガー氏が声を掛けた。
「コブラ王とワポル王、テゾーロ王がまだのようだが…」
「今連絡が入りまして……コブラ王は体調不良、テゾーロ王は国内で非常事態が起きた為にそちらの対応を優先、ワポル王も急用ができたとの事。お三方は残念ながら帰国なさる為、欠席で進めて欲しいと」
衛兵からの連絡に、ハン・バーガーは「熱弁で力を使い切ったかコブラ王」と笑った。
「七武海の件の可決で満足したのだろう」
「ハハハハハハ」
「テゾーロ王も大変だな。まあ一代で国を作ったのだ、無理もあるまい」
「よし、残る議題を片づけよう。ではノース4国連合の独立問題から」
*
パンゲア城内来賓室にて。
そこでは、CP‐0の手によって囚われの身になったビビが、イスに拘束されていた。
「私を捕まえてどうするの!? 縄を解いて!! 誰の命令!? 全部世間に伝えてやるわ!! ここで起きた事」
「オイオイ正直者だな。そんな事言われて逃がす奴がいるか? 気の
「残念だけど、たぶん助からないわよ王女様。〝失踪〟扱いでそのまま誰かに飼われるんだと思うわ」
抗議するビビに、ナマズ髭に三つ編みが目立つ中華服の男・ジャブラと、眼鏡と金髪が特徴の美女・カリファが答える。
王族を、それも世界政府創設者の一族の王女を世界最強の諜報機関を使って攫ったのだから、指示したのはチャルロス聖やロズワード聖のような天竜人ではなく、それこそ五老星クラスの面々なのだろう……。
「しらほしは無事?」
「は!? こんな状況で人の心配かよ。さっきまた事件が起きたようだが…まァ結果から言うと無事だ」
「よかった……」
この会議で知己となった人魚の友人の安否がわかり、ホッとするビビ。
すると、ジャブラはマリージョアで起きた自身が知る限りの事件を語った。
「人魚姫を攫おうとした〝天竜人〟をブチのめした奴らは、堂々と勝ち名乗りを上げて広場は今大騒ぎだ…!!」
ジャブラは回想する。
チャルロス聖に死んでもおかしくない一撃を見舞ったのは、よりにもよって2年前に彼をぶん殴った〝麦わらのルフィ〟の子分を名乗る二人。
チャルロス聖に手を上げたルフィと言えば、先日〝五番目の皇帝〟だと世経に載ったばかり。その彼の傘下勢力もまた神をも恐れぬ大事件を起こすとは、何とも数奇なものだ。
「おまけに〝神々の地〟じゃあ、奴隷を解放する「革命軍」を手助けした藤虎に、緑牛がブチ切れ大ゲンカ…」
――コラ藤虎ァ!! てめェ自分が何やったかわかってんだろうなァ!? おれ達は「海軍」だ、それ以上でもそれ以下でもねェ!!!
――お忘れですか…? あっしが壊してェのァ
同じタイミングで起きた、藤虎の海軍大将としてアウトすぎる行動。
奴隷解放自体は人道に則った行動である上、世界政府も
「今回の世界会議はどうかしてるぜ…!!」
(何とかしなきゃ私も……飼われる? 冗談じゃない!!)
ビビはこの危機をどう切り抜けるか思案する。
今頃チャカとペル、イガラムは必死になって捜索しており、五老星との謁見を終えているであろうコブラも心配するはず。すぐにでもこの場から脱出し、テゾーロに匿ってもらわねば……!
しかし、テゾーロも五老星に用があるとの事。早く終わる事を祈るしかない。
(テゾーロさん……)
「ギャーーーーッ!」
「チャパ?」
「何だ?」
その時、聞き慣れた声の叫びがした。
直後、壁を破壊しながらワポルが涙目で乱入してきた。
「ワポル!?」
「どけー!! 道を開けろー!! 捕まってたまるかァー!!」
(あっ、そうだ!)
予想だにしない喧騒に紛れ、ビビは行動した。
まるで嵐どころか竜巻のように過ぎ去っていったワポルを、ジャブラ達は呆然とした様子で見つめるばかりだった。
「チャパ…」
「何だ今のは」
「ワポル王だろ。……ん? おい待て!! ビビがいねェ!!」
「まさか!?」
その頃、マリージョアの広場で。
「テゾーロさん、あんたどうしたんだ!? んな傷だらけで、しかもコブラ王と革命軍の参謀総長ってどういう組み合わせだ」
「そんな事はいい!! チャカさん達に話は通してある、すぐマリージョアを脱出するぞ!!」
ただならぬ様子のテゾーロに、メロヌスをはじめとした彼の部下達は動揺しつつも〝
その最中に、一同は驚愕の真実を教わった。
「世界政府の真の王がいた!?」
「ああ……おれも言葉を失ったよ。しかもとてつもなく強い……四皇クラスだ」
「まさか……そんな輩に?」
「今すぐ戻るんだ…!! あの王は…イムは我が国への侵略を視野に入れている!!」
その言葉に、テゾーロの部下達は言葉を失った。
いくら中立を貫く独立国家とて、グラン・テゾーロは世界政府加盟国ではある。しかし、まさか政府中枢が加盟国への侵略を考えていたとは。
世界政府の腐敗ぶりは想像以上だった。
「とにかく今すぐここを脱出する!! グラン・テゾーロへ帰還するんだ!!」
グラン・テゾーロは、思わぬ危険が迫っていたのだった。
今月から本作は1~2ヶ月に一話の更新にします。
ワノ国編は直接関係がないのと、エッグヘッド編はベガパンクの全世界放送以外関係しない為です。
「〝鬼の女中〟と呼ばれる女」と「目指せ、脱ヒーロー社会!」の方を優先して投稿してまいりますので、ご了承ください。