ONE PIECE ~アナザー・エンターテインメンツ~   作:悪魔さん

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第16話〝ジャヤ〟

 市長の依頼でジャヤのモックタウンにいる悪党共を血祭りにあげるべく、テゾーロはウォーターセブンを出航しジャヤを目指していた。

時折市長からもらったジャヤの〝永久指針(エターナルポース)(磁気を永久的に記録させることで、特定の島を指し示すようにした記録指針(ログポース))〟を確認しつつ進む。

 そんな中、ステラがある新聞を見て「懐かしい」と呟いた。

「ステラ、何を見ているんだい?」

「「海の戦士ソラ」……世界経済新聞に載っている絵物語よ。昔よく見た気がするわ…」

 世界経済新聞――略して世経――に載っている「海の戦士ソラ」は、海の上を歩けるヒーローソラが合体ロボとカモメを従えて、悪の軍団〝ジェルマ66(ダブルシックス)〟と戦うという世界的にも有名な英雄物語だ。それも世界中にファンがおり、海軍の英雄達の実話を基に作られた物語と言われている。

 現実世界で言う「桃太郎」の長期連載版と考えればわかりやすいだろう。

「〝ジェルマ66(ダブルシックス)〟か……」

 テゾーロは眉間に皺を寄せる。

 〝ジェルマ66(ダブルシックス)〟は世間一般では「空想上の悪の軍隊」だと認識されているが、実際は〝戦争屋〟の別名と共に北の海(ノースブルー)の海遊国家「ジェルマ王国」が保有する科学戦闘部隊として実在している。

 大昔に武力で北の海を制圧した人殺しの一族「ヴィンスモーク家」がジェルマ66(このぐんたい)のトップを務め、その強大な力は裏社会にも広く知られているのだ。

(一応気を配る必要はあるかもしれないな……)

 テゾーロはあることを危惧していた。

 それは、自らの力がヴィンスモーク家の野望である「〝北の海(ノースブルー)〟の完全征服」に利用される可能性だ。

 〝ゴルゴルの実〟の強大さを知れば、黄金を生み出すという無限の財力を得られる。ジェルマならば、きっとそれを軍事費や実験費用に費やすだろう。そのためにゴルゴルの実の能力者たるテゾーロを手元に置くべく、脅迫されたりステラを人質にしようとする可能性も高い。今は無名であるがため標的にはされてないが、注意は必要だろう。

(あと気になるのは、ドフラミンゴか)

 今後、テゾーロがこの世界で生きていく上で最大の障壁ともなるであろう男が、王下七武海のドンキホーテ・ドフラミンゴだ。

 「FILM GOLD」において、テゾーロはドフラミンゴとは裏社会時代からの付き合いのある商売仲間という関係にあり、互いの寝首をかくことを狙っていた。その最中にドフラミンゴから協力関係を持ちかけられ、敢えて乗ることで世界政府や裏社会とのパイプをつなぐことにも成功している。

 一応テゾーロとしては自力で政府とのパイプを繋げようと画策してるが…後々ドフラミンゴが首を突っ込む可能性は0%だとは言い切れないだろう…。

(とりあえず今は力を蓄えよう。考えるのはその後だ)

 すると……。

「テゾーロ!」

「!! どうしたんだい、ステラ」

「見えたわ、島よ!」

「!」

 どうやら目的地のジャヤに着いたようだ。

 それに気づいたテゾーロは、ステラの真正面に立ち両手をステラの肩に置いた。

「ステラ、おれの傍から離れるな! あの町は無法地帯…おれ達が昔いたあの町とは訳が違う! 事が済むまで君の動きに制限をかけてしまうかもしれないが、許して欲しい」

「ええ……わかってるわ」

 

 

           *

 

 

 ここはジャヤのモックタウン――無法者達が寛げる町。

 あちらこちらで大乱闘が起こっている悪い意味で(・・・・・)賑やかなこの町の通りを、テゾーロとステラは歩いていた。

 テゾーロは「たまには着せ替えしたら?」というステラの勧めにより、赤いパーカーとジーンズを着用し、ステラ自身も新品のワンピースを着用している。

 ちなみにギャバンは船番である。

「ガラの悪ィこった……」

「フフ……テゾーロも言えるけど?」

「いや、おれはアレだろ! あの……見た目だけ! 中身イイ人だから……!」

 ※今のテゾーロは衣装を変えても不良少年です。

「ま……まァ、それはともかく……まずは市長の言っていた海賊を探そう」

 その時、テゾーロとステラの周りに海賊達が集い始めた。

「おい、見ろよこのガキ!! 純金のリングをはめてやがる!!」

「あの女もだ、売れば相当な金だぜ!!」

 海賊達の目当ては、テゾーロとステラが指にはめていた黄金の指輪(リング)

 モックタウンは利益主義な海賊が多いことで有名だ。このように絡まれるのは当然ともいえるのは言うまでもない。

 勿論、テゾーロとステラはこれを知っている。

「おいガキ、命が欲しけりゃあそのリングを全部寄越せ!!」

 下品に笑いながら詰め寄る海賊達。

 するとテゾーロはこう言い返した。

「……本当にいいのか?」

『は?』

指輪(これ)を渡すこと自体はどうだっていい。だが……どうなっても保障はできないと言ったんだ。それでもいいんだな?」

「いいんだよ、早く寄越せ!!」

 剣の切っ先を向けて、脅す海賊達。

 怯むステラだが、テゾーロは至って冷静だ。

「ステラ、リングを投げるんだ」

「リングを……!?」

「おれの言葉を信じて…」

 そう言われ、ステラはテゾーロと共に指輪を一つ投じた。

 

 キンッ…キンッ、キンッキンッキンッキンッ…

 

 黄金の指輪は地面で跳ね、転がる。

 その瞬間!

 

 ブワッ!

 

『!!?』

 

 キキキキキンッ!!

 

 転がった2つの指輪が、いきなり金の糸に解けて海賊達を絡めとった。

 一瞬の出来事だったため、海賊達は瞬く間に拘束される。

「な、何だこりゃあ!?」

「動けねェ…!!」

「あ~あ~……だから言ったのに……」

 クモの巣に捕らわれた獲物のようにもがく海賊達を見下すテゾーロ。

 明らかにゲスイ笑みを浮かべており、捕らわれた海賊達は怒りを露にする。

「ハハハハ……赤の他人から貰う物は気をつけろと親から習わなかったのかね?」

「て、てめェまさか……!!」

「そう…始めからこのつもりだったんだよ。君達は賞金首だろう? ある程度の金になるじゃないか。それに君達は黄金を目にし私は金になる君達を捕らえた…一石二鳥だよ」

 テゾーロは満足げな笑みを浮かべる。

「さて……一つ聞きたいことがあるんだが――ウォーターセブン行きの貨物船を手当たり次第襲う海賊がこの島にいると踏んだんだが、心当たりはあるか? 言ってくれれば命は助ける」

「そ、そいつは……サミュエルのことか……!?」

「サミュエル……?」

 海賊は答える。

 ウォーターセブン付近の海域で貨物船を襲撃しているのは〝血塗れのサミュエル〟という海賊らしい。懸賞金は1億ベリーで、残忍な海賊らしい。

「そうか……ご協力感謝する。では残りの牢屋人生が楽しい日々であるのを祈るよ、海軍が来るまで暫くの辛抱だ」

「ま、待て!! てめェ、おれ達を助けるんじゃねェのか!?」

「ああ、確かに「命は助ける」とは言った。だが「解放する」とは一言も言ってないぞ? それに捕えた賞金首(えもの)をわざわざ見逃す賞金稼ぎがどこにいる?」

 テゾーロは手を振り、ステラと共にサミュエルの捜索を始めるのだった。




さぁ、始まりました。テゾーロ衣装変更シリーズ。(笑)
初回はおそ松さんのおそ松の服装。若き日のテゾーロは櫻井孝宏ボイスなので。
中の人ネタはどんどんぶっこんでいこうと思います。

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