ONE PIECE ~アナザー・エンターテインメンツ~ 作:悪魔さん
必ず目を通してください。
今回の話のタイトルは二重の意味です。
その日、世界は大きく荒れた。
全世界を襲った巨大地震の後、かの
これから起こるであろう大災害の予言を行う一方、かつて世界政府に消された考古学者達に託された研究とその成果の報告と共に、世界の真実について語り始め、起こりうる未来として「〝
何の前触れも無く死んだベガパンクの遺言とも言える配信は、「自分が犯した二つの罪」や「空白の100年の間に起こった戦争と天変地異によって、世界は一度海に沈んだ事実」など、情報過多が過ぎて世界を激震させるには十分なものであった。
「……このままだと、民衆が〝安全な場所〟を奪い合う時代が来るぞ…!!」
テゾーロは頭を抱えながら苦悩していた。
現在の世界情勢は、四皇「カイドウ」「ビッグ・マム」の陥落を機に混迷を極めているのは言うまでもない。
だが今回の配信は、世界政府への不信感の増大どころではなく、誰もが自らの命と資産が失われる事を恐れて〝安全な場所〟を確保しようと暴走するきっかけとなりかねない。それは平和や秩序の維持という観点で致命的なダメージだ。
「どうするの? テゾーロ」
不安そうに今後の指針を尋ねるステラに、テゾーロは苦い顔をしながら答えた。
「今まで政府側に付いてきたが……はっきり言うと、もう終わりだ…!! 今日を以て世界政府から脱退すると、中枢に伝える…!!!」
『!!?』
驚きを隠せない一同だったが、黄金帝はその理由を説明し始める。
「このまま政府に付いてたら、共倒れしかねない…!! おれが動けば、他の国も動くだろう…今まで自らの意思で政府を離脱する国家はなかったからな。非加盟国に人権はないのがこの世界だが、逆に誰も世界政府に味方しなくなれば、政府の影響力は瞬く間に衰えていくだろう……侵略させる余裕すら与えなければ、天竜人も海軍も迂闊には出れまい…」
「じゃあ、これからは……」
「ああ、どう足掻いたって世界政府は終わりだ。これからはおれ達の力で、自分の国は自分の手で守らねばならない」
〝新世界の怪物〟の政治決断に、誰も反論しなかった。
その場にいる皆が納得し、そうするべきと考えている証拠だ。
「あらためて宣言する。――これにて、グラン・テゾーロは世界政府から脱退する」
2日後、全世界に再び衝撃が走った。
――〝黄金帝〟ギルド・テゾーロ氏、世界政府離脱を宣言!!
「テゾーロが世界政府を抜けるだと!!?」
「一体どうなっている!!?」
「奴と連絡は取れないのか!!」
聖地マリージョア、パンゲア城の「権力の間」は騒然としていた。
「このタイミングでという事は……やはりベガパンクの一件が原因か……」
新たな科学防衛武神となったガーリング聖は、心底忌々しそうに口を開いた。
《五老星!! 加盟国の国王達から、次々と離脱を告げる伝言が!!!》
「ぐっ…!! まさかこれ程の事態になるとは…!!」
「ルルシアはいい見せしめになると思ったが、こうも立て続いては……」
マーズ聖とウォーキュリー聖は、未だかつてない事態に動揺していた。
世界政府の支配力と影響力の低下が、想像を超えるペースで進行している。神の騎士団とその二軍である「神の従刃」を総動員しても、全ての叛乱を止める事は不可能だ。むしろ武力平定は混乱に拍車をかける事になる。
「もはや時間の問題だ……もう止められん……!!」
ピーター聖はまるで世界の終焉を嘆くかのような面持ちで呟く。
世界各国を統治するはずの世界政府が、世界中の国々と戦争をすればどうなるか。
確かに、武力で言えば世界政府が上なのは火を見るより明らかだ。しかしどんなに個として強くても、打ち勝てない数の暴力がある。そして仮に離脱した全ての元加盟国の総攻撃を跳ね返せたとしても、それに乗じて四皇と革命軍が戦争を仕掛ければ、ジリ貧になるのは明白だ。
確かに、武力で言えば世界政府が上なのは火を見るより明らかだ。しかしどんなに個として強くても、打ち勝てない数の暴力がある。そして仮に離脱した全ての元加盟国の総攻撃を跳ね返せたとしても、それに乗じて四皇と革命軍が戦争を仕掛ければ、ジリ貧になるのは明白だ。
――プルプルプルプルプル
『!!』
不意に、テーブルに置かれた電伝虫が着信を知らせた。
一斉に目を見開く五老星を代表し、ガーリング聖が応答する。
相手は、この世界政府の真の頂点であり、世界の王である存在――
「はい、イム様」
《ギルド・テゾーロがベガパンクに続いて反逆を起こした》
「ええ…存じております」
世界の王――イムは五老星に伝える。
《事は一刻を争う……エルバフを支配する》
「戦力、ですか」
《そうだ。これから起こる巨大な戦いに備えねばならぬ》
イムの指示に、五老星は「御意」と頷くのだった。
*
黄金帝による世界政府離脱は、その後各国で次々に離脱の連鎖を生み出した。
コブラ王の一件で政府に不信感を抱いたアラバスタ王国、ドフラミンゴの件で世界政府に苦しい思いをさせられたドレスローザなど、善政を敷く国家や加盟国でも強国と名高い国が軒並み政府から抜けていった。
その異常事態は、海の皇帝をも刺激した。
「ゼハハハハ!!! テゾーロがとうとうおっぱじめたぜ!!!」
海賊島ハチノスを牛耳る〝黒ひげ〟マーシャル・D・ティーチは、仲間達に風向きが大きく変わった事を報せる。
「ウィーッハッハッハッハァ!! そろそろ世界政府も終わりだなァ!!」
「あのベガパンクの配信による、加盟国離脱の連鎖に革命軍の兵糧攻め……ある意味好機ではあるな」
「ムルンフッフッフ…提督、どうする?」
仲間達は、今こそ世界政府を滅ぼすチャンスではないかと提案する。
ティーチもそれを薄々感じてるのか、聖地侵攻も選択肢だと告げる。
「革命軍とは色々あったが、それを含めても攻め込むなら今だな!! 〝麦わら〟達に〝赤髪〟と〝千両道化〟を相手取ってもらえりゃあ、漁夫の利も狙える……!! これから忙しくなるぜ、野郎共!!! ゼハハハハ!!!」
黒ひげ海賊団が新たな作戦を立ててる中、赤髪海賊団はバギーを頭目とした新勢力「クロスギルド」に接触していた。
「ハァ!!? てめェと手を組むだァ!!?」
「今はその方がいいと思ってるんだ、バギー」
ロジャー海賊団時代のある一件以来、シャンクスを嫌っているバギー。
しかしクロコダイルはガンを飛ばして「黙れ」と一喝すると、シャンクスに説明を要求した。
「この
「……ギルド・テゾーロが世界政府の脱退を宣言したのは知ってるな?」
「ああ、アレを機に加盟国が次々と離脱してるな」
紆余曲折を経てクロスギルドに入った世界最強の剣豪〝鷹の目のミホーク〟も、クロコダイルと共に話に加わる。
「おそらく今後、世界政府という後ろ盾となるべきはずの巨大勢力を信頼できなくなった
「――!! 赤髪、てめェまさか…!?」
クロコダイルはシャンクスの意図を察し、一筋の汗をかいた。
あの海賊界でも穏健派の大海賊として知られる〝赤髪のシャンクス〟が、こんな非常時に仕掛けてくるとは思わなかったからだ。
「……バギー、一緒に世界政府を倒そう。〝
「――ハアァァァァァァ!!?」
赤き覇王のまさかの提案に、カリスマ性と強運で快進撃を続ける道化者は素っ頓狂な声を上げたのだった。
皆さん、本当に急で申し訳ありません。
本作はおそらく、あと少しで完全に終わる見通しになりました。
そもそもテゾーロが主人公なので、ルフィとの接点は少ない物語でしたが、引き伸ばし工作が不可能なところにまで至ってしまいました。(笑)
実際、世界政府の加盟国が一斉に離脱したら、本当に統治機関として機能しなくなりますよね。
革命軍の兵糧攻めに加えて離脱連鎖が始まったら、イム様でも立て直しは困難だと思いますので。
一応、最終回は当初からお思い描いていたものにしますが、それまでの道のりは相当近くなったので、場合によっては次が最終回の可能性も……。
まぁ、今年で連載開始から9年も経ってる事ですし、そろそろ完結させようかな~…と思ったのも事実です。
残り僅かですが、どうかお付き合いください。