ONE PIECE ~アナザー・エンターテインメンツ~   作:悪魔さん

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やっと更新です。


大海賊時代Part1
第25話〝時代の終わりと始まり〟


「あ、はい。では3日後に……」

 

 ガチャリ……

 

「では、失礼する。 社長さんによろしく」

「はいっ!」

 数分後、話を終えたテゾーロは、世界経済新聞社の建物から出た。

すると……。

(っしゃーー!! アポ取れたぞ、これで大分儲かる!! 世界中にファンがいるソラの物語を本にして売る事で印税ガッポリ分けてもらえるし、モルガンズとのパイプも持てる!! モルガンズに頼んで情報収集させれば政府のヤバイ情報も掌握できるから、いざという時の切り札になる!! お先真っ暗からさようなら、万々歳だな!!)

 段々クズと化しているテゾーロ。

 やはり金は人を狂わすのだろうか……。

「いかんいかん、欲望丸出しはさすがにステラに引かれる……」

 そう思っていると、ヤケに人が少ないことに気づく。

「……? 妙だな、いつもは賑わってるんだが……」

 すると、急いで走る人々が目に留まる。

 テゾーロは声を掛ける。

「おい、何かあったのか?」

「ああ、すげェ事になった!」

「海賊王の処刑が始まるんだ、生中継だ!!」

「ロジャーの処刑…!?」

 

 

 モニターに集まる、人だかり。

 テゾーロは近くで見るのは不可能だと悟ると、得意のパルクールで建物を軽々とよじ登り、モニターが見やすい場所で胡坐を掻く。

「ここなら見やすいな……ちょっと遠いが……」

 すると…。

「見ろ!! 海賊王だァ!!」

『おおおおおお!!!』

「!!」

 海賊王の登場に、人々は画面に釘付けになる。

(……〝海賊王〟ゴール・D・ロジャー……!! 画面越しなのに、何て覇気だ……!!)

 手枷をはめられているのに、まるで凱旋した将軍のように歩くロジャー。

 処刑台の階段を一歩ずつ上る姿は、処刑という「絶対的な死」を前にしている者とは思えぬ堂々さ……まるでかつて君臨した王が再び玉座に戻るかのような錯覚をも感じる。

 画面越しでもわかる、海の王者としての覇気と誇り高さ。富・名声・力……この世の全てを手に入れ、全ての海賊達の頂点に上り詰めた男の最期を締めくくる、相応しい舞台とも言える。

《さァ、とっとと済ましちまおうぜ》

 処刑台で胡坐(あぐら)を掻いて座るロジャー。

 ロジャーの前で2本の処刑刀がクロスすると、人々は息を呑む。

 その時、一人の男が叫んだ。

《おい!! 海賊王!! 集めた宝はどこに隠したんだ!? やっぱり〝偉大なる航路(グランドライン)〟の中か!?》

 その言葉の意味を知ったテゾーロは、目を見開く。

 男がロジャーに聞きたいこと…それは、〝あの宝〟のことだ。

《あんたは手に入れたんだろ!? あの伝説の大秘宝〝ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)〟をよォ!!!》

 すると、それを聞いたロジャーは高笑いをした。

 そして、その質問に対し……死に際の「あの一言」を口にした。

 

《おれの財宝か?》

《許可なく喋るな!!》

 処刑人に刃を向けられても、意にも介さず笑みを浮かべて口を開くロジャー。

《欲しけりゃくれてやる……探せ! この世の全てをそこに置いてきた》

《執行っ!!!》

 

 ザン…!!

 

 海賊王(ロジャー)の体を、二つの刃が貫いた。

 画面越しでもわかる程の、広がる血だまり。時が止まったかのような静寂。

 そして――

『ウオオオオオオオ!!!』

 万雷のごとき喝采が響き渡る。

 ロジャーの死により、大海賊時代という新たな時代が始まったのだ。

 海賊が跋扈(ばっこ)する時代に終わりを告げるために、ロジャーを処刑したはずだった。しかしロジャーの最期の言葉により、公開処刑は大海賊時代開幕の式典となったのだ。

「……ハハッ…」

 テゾーロはただ、圧倒された。

 一時代を築いた男は、自らの死と引き換えに新たな時代を築いたのだ。

 これ程スケールのデカイ海賊(おとこ)は、ロジャーだけだろう。

「……こりゃあ敵わねェや……」

 

 

           *

 

 

 シャクヤクのバーへ戻ったテゾーロは、かつての船員であったレイリーとギャバン、そしてテゾーロの帰りを待っていたステラと酒を飲んでいた。

「海賊王が……ロジャーが処刑されたって、聞きましたか?」

「ああ……聞いてる。ギャバンとギャンブル場へ向かう最中に何度も聞いたさ」

 シャクヤクのバーのカウンターで、ラム酒を注いだグラスを手にするテゾーロとレイリー。

「おれは行きましたが……あなた方は?」

 テゾーロの問いに対し、2人は首を横に振る。

 どうやら行かなかったようだ。

「……あいつは最後にこう言ったんだ、テゾーロ君」

 レイリーが口にする、ロジャーとの最期の会話。

 自首する日の数日程前だという。

 

 ――おれは死なねェ(・・・・)ぜ…? 相棒

 

「思えば、何事もハデにやらかすあいつにゃあ振り回されたもんだぜ。〝金獅子〟の時もそうだった」

「!」

 ギャバンの一言に、目を見開くテゾーロ。

 金獅子と言えば、大規模な海賊艦隊を率いてロジャーや〝白ひげ〟としのぎを削った伝説の大海賊〝金獅子のシキ〟だ。ロジャー海賊団と金獅子海賊団の最大の激突「エッド・ウォーの海戦」は、つい数年前の話である。

「あん時はバギーがよく喚いた。ガハハハッ!!」

(バギー……後の七武海か。そう言えばシャンクスと同じ見習いをやってたんだよな)

「シキの頭に舵輪が刺さったと聞いた時は、皆大笑いだったな」

「そりゃあそうだ!! 獅子がある日いきなり鶏になっちまったんだからな!!」

 シキの身に起こった不慮の事故を思い出し、爆笑するギャバン。

 長く共にいたロジャーの影響か、と小声で呟きながら、テゾーロは酒を飲み干す。

「残り数秒僅かに灯った「命の火」を、あいつは世界に燃え広がる「業火」に変えた。我が船長ながら……見事な人生だった」

 眼に涙を浮かべ、微笑むレイリー。

 ギャバンはサングラスでよく見えないが、涙を浮かべているだろう…。

「……しかしお嬢さん、存外強いじゃないか」

「それ程でも……」

 ここで意外な酒の強さを発揮したステラに、突っかかるレイリー。

「どうかね、一緒に飲むの――」

「レイリーさん、何を謀ろうと?」

「……落ち着け」

 レイリーが誘おうとすると、レイリーの肩にポンッと手が添えられる。

 背後に立つは、左手の黄金の指輪から火花を散らして全く笑ってない笑顔(・・・・・・・・・)を浮かべるテゾーロ。

 はっきり言って怖い笑みである。

「さすがに……ねェ?」

「……すまん」

 そんなレイリーにシャクヤクはクスクスと笑い、ギャバンは爆笑する。

「……レイリーさん。 せっかくですし、思い出話でも聞かせて下さいよ。偉大なる海の王者……海賊王ロジャーの弔いのためにも」

「……弔い、か」

「それぐれェいいだろ、レイリー。おれ達ァもうお役御免だぜ?」

「……それもそうだな。ではまず、私とロジャーが初めて出会った日のことを話そう」

 レイリーは、ロジャーとの「伝説」を語り始めるのだった。




ロジャー死んだ。(笑)
こっからが面白くなる…はずです。
あと3、4話ぐらいしたら海軍とお話しする展開に…なるよう努力します。

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