ONE PIECE ~アナザー・エンターテインメンツ~   作:悪魔さん

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すいやせんでした、遅れて更新です。
ホント、スイマセン!


第26話〝「世界経済新聞社社長」モルガンズ・前編〟

 ここはシャボンディ諸島に停泊しているテゾーロ財団の船。

 その一室…テゾーロの部屋では、テゾーロとステラが寛いでいた。

(大海賊時代の到来……海軍は忙しくなるだろうな~……)

 海賊王ゴール・D・ロジャーがローグタウンで処刑されて3日が経った。

 まだ3日しか経ってないとはいえ、処刑前よりも海賊達の往来が増してきている。無論テゾーロ自身も日々強くなっていることと海軍の出動回数が少しずつ多くなってることから現時点では大問題ってほどではないが…ステラのことを考えると、やはりこの考えが出て来る。

「なァ、ステラ。そろそろ自衛の為の護身術ぐらい必要だと思うんだが…」

「そうね……いつまでもテゾーロに護られるのも……」

「いや、まァ無理して戦えって訳じゃないんだが……」

 テゾーロの能力とその財産を巡って、多くの人間が狙うだろう。

 中にはステラを人質にとり、テゾーロを意のままに操ろうと企む下郎も出てくるだろう。そういうのも加味し、ステラ自身も何らかの自衛の術は必要だ。

 とはいえ、ステラの手を血で汚すわけにもいかない。テゾーロは元を辿れば素行不良のチンピラであったが、彼女はごく普通の一般女性である。色々と違う。

(となると、飛び道具……銃が一番か)

 この世界で主流なのは、フリントロック式という火打石銃――海賊だけでなく海兵や民間人も所有する、世界で最も多い銃火器だ。稀に銃用雷管を用いたパーカッションロック式が出回っているらしいが、それは世界でもごく一部である。

 それに銃と一言で言えど、銃には様々な種類がある。拳銃・散弾銃・マスケット銃……色々な銃が世界中に出回っており、それらは覇気使いが手にすると銃本来の限界を軽く超えることも可能だ。

(ステラは女性だ、女性が所持するのに最適な銃を考えないと……)

 銃をもし手にするならば、護身用だけでなく攻撃用として使用でき、撃った際の反動が小さく扱いやすい銃が最適だ。

 となると、やはり拳銃がステラに向いている。

「ま……まァ、ロジャーが処刑されて以降は日に日に海賊の往来は増えたが、この海域は海軍本部が近い。大丈夫さ」

 シャボンディ諸島は、世界中の正義の戦力の最高峰である海軍本部が置かれた島「マリンフォード」がある。

 新世界への入り口の前に置くことで海賊達に睨みを利かせているので、海賊の事件が起きればすぐに来る。もっとも、海軍は海賊を取り締まるのが仕事だが。

「いずれにしろ、これから暫くは海賊が多くなる忙しい時だから――」

 その時だった。

 不意に、テゾーロの机に置いてあった電伝虫が鳴った。

 その電伝虫は、世界経済新聞社のモルガンズに渡した電伝虫と同じ…そう、ついに会談の時が来たのだ。

 テゾーロは受話器を受け取り、応答した。

「……テゾーロ財団のギルド・テゾーロです」

《テゾーロ氏か! 私だ、モルガンズだ。丁度今シャボンディ諸島の支部に着いたのだ、会談しようではないか!!》

「……わかりました。ですがしばらくお待ちしていただきたい、こちらも準備があるので」

《うむ! では待ってるぞ!》

 

 ガチャリ……

 

「……という訳だ、早速着替えるよステラ」

「えっ…!?」

「一応会談なんだ、正装で行くのが筋だよ」

 そう言ってテゾーロはクローゼットからケースを取り出し、中から白いラインが特徴の青いドレスを引き出した。

「それって……私の?」

「オーダーメイドさ。商人をやってると自然に業者と関わっていくからね」

 ニヤリと笑みを浮かべてドレスを渡すテゾーロ。

 しかし、ここでステラはある事実に気がついた。

「サイズも申し分ないけど……テゾーロ、あなたまさか私のスリーサイズ……」

「……」

 ステラの呟きに凍りつくテゾーロ。

 それに対し、ステラは満面の笑みで口を開く。

「どうやって知ったの?」

「……服のサイズ量りました…」

 汗だくになりながら「ウソをついたら殺されるっ!!」と思い震え上がるテゾーロであった。

 この直後、「ちゃんと言いなさい」とビンタされたのは言うまでもない。

 

 

           *

 

 

 「世界経済新聞社」シャボンディ諸島支部――

 シャボンディ諸島支部は、世界経済新聞社の本部の次に豪華と言われている。

 世界政府の中枢である聖地マリージョアが近いのが原因かはわからないが、かなりの金を費やしていることが目に見える程の豪華さだ。

(そろそろ来るはずだが……)

 スカーフをビシッと整えるテゾーロ。

 今回はあの白いラインが特徴のピンクのスーツを着ており、それなりの風格もある。モルガンズも驚くだろう。

(そう言えば、いずれ海軍とも交渉するんだろうな。軍資金の提供の代わりに何かもらうの考えなきゃな……)

 テゾーロは人々を恐れさせ脅かす犯罪者ではないが、世界政府に目を付けられているのは間違いないだろう。

 何らかの形で交渉するのは目に見えている。

(恫喝とかしなきゃあいいけど……)

 ぶっちゃけた話、海軍はどうも第一印象が「ヤの付く職業の方」が多い。あんな強面で強気に出られたら怖気づくに決まっている。

(まァ、どうにかなるか。話し合いぐらい通じるっしょ)

 すると、ドアが開いて彼は現れた。

「……鳥なの……?」

「ステラ、それは言わないお約束だ……」

 目の前に現れる、身綺麗な服で身を包んだ大きな鳥。

 彼こそが世界経済新聞社の社長〝ビッグニュース〟モルガンズ氏だ。

「初めまして、かな? 私がモルガンズだ」

「テゾーロ財団のギルド・テゾーロです、以後よろしく」

 握手――と言っても、テゾーロが羽を握ってるだけ――をするテゾーロとモルガンズ。

「おや? そちらの方は?」

「ステラです、よろしくお願い致します」

「何と、それはビッグ・ニュース!! テゾーロ氏は既婚者でしたかな?」

「いや、それニュースの一面にしないで下さいよ」

 メモ帳を取り出すモルガンズに、青筋を浮かべて告げるテゾーロ。

 触れちゃマズイと感じたのか、モルガンズはメモ帳をしまって「失礼……」と口にする。

「ゴホン……では、始めるとしましょうか。あなたの商談とやらを」

 テゾーロ、モルガンズに挑む。


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