ONE PIECE ~アナザー・エンターテインメンツ~ 作:悪魔さん
お待たせいたしました。
世界経済新聞社のシャボンディ諸島支部に再び訪れたテゾーロは、ある一室で座っていた。
「客人ですか」
「厳密に言えばビジネスパートナーだな。私にもそれなりのコネがあるのでね……君にふさわしいビジネスパートナーを呼んでおいた。そろそろ着くはずだが……」
すると、ドアを開けて二人の男性が入ってきた。
「おお、あの若いのが巷を騒がす実業家のギルド・テゾーロ氏か!!」
「うんだうんだ、中々良い面構えだ」
ドアを開けて現れる、物凄く癖の強そうな二人。
一人は、運送業と並んで物流の中核となる倉庫業の老舗を営むギバーソン。〝隠匿師〟の異名を持つ長い鼻をした長身の老人で、常に携えた酒を飲んでいる。
もう一人は、海運王であるウミット。〝深層海流〟の異名を持つ錨のマークの帽子を被った男で、海の運び屋をやっている男。運び屋なのに見た目は海賊なのは突っ込まないでおこう。
二人共、世間に隠しての荷の管理・運搬も得意そうな上に世界政府ともガッツリ絡んでそうな商人だ。
「これはどうも! 私、テゾーロ財団の理事長であるギルド・テゾーロと申します」
「私は海運を営むウミット」
「倉庫業を営むギバーソンだ!」
互いに握手をし、イスにドカッと座る。
「……それで、モルガンズ殿。なぜ私を?」
「テゾーロ氏、貴殿は確か運輸業を営んでいて材木を運んでいると聞く。 そこにこの二人を介入させて欲しいというわけだ。私が言い出したというより、二人から言い出した話だがね」
「!!」
モルガンズの話はこうだ。
テゾーロの活躍により、ウォーターセブンは活気と豊かさを取り戻しつつある。現在は船の資材となる木材の卸売市場があるセント・ポプラをはじめとした、周辺の島々から物資を買い占めウオーターセブンへと流している。
そこにウミットとギバーソンは目を付け、テゾーロとビジネスパートナーとなって更なる利益を得ようというわけだ。
「私は今、テゾーロ氏が海賊達を一掃したあのモックタウンの開発にも介入しようと思っている。ぜひテゾーロ氏も……」
「いずれ海列車も開業するというのならば、お互い手を組むべきだと思うぞ!!」
(さすがに情報回るの早いな……)
ウミットとギバーソンは、テゾーロにそう言う。
確かに二人の言い分は一理ある。相手は倉庫業と海運のスペシャリスト…テゾーロ財団にとて、最高のビジネスパートナーだ。
それにモックタウンの発展は、色んな所に波及する。海軍ならば基地を設置して海の秩序に貢献でき、商人にとっては数少ない交易場にもなる。歓楽街を設ければ、いつの日か〝歓楽街の女王〟ステューシーが食いつくはずだ。
想像を広げれば、かなりスケールのデカイ話になる。
(唯一の問題点は、二人が「闇の世界の帝王」であることか……)
闇の世界の帝王になっているかは知らないが、少なくとも裏社会屈指の大物であることは明白。自分が首を突っ込んでもいいのか……それだけがテゾーロの唯一の悩みだ。
(裏社会に首突っ込むとなると、ビッグ・マムが一番厄介だよな…結婚式断ったら身内の誰かの首を送りつけるし)
後に「四皇」の一角として位置付けられる〝ビッグ・マム〟ことシャーロット・リンリンは、自身の要求を拒絶した者は絶対に許さない。裏社会の大物達を呼び寄せる程の強大な力では、さすがのテゾーロもたまったものではない。
話の通じる男じゃないと称されるカイドウが幾分かマシに思える程である。
(だったら、ビッグ・マムでも迂闊に手を出せないぐらいの力を持つしかねェってか? うわ、無理ゲーじゃんそれ……)
大海賊の力は、想像を絶する。
現時点で海の支配者と言えるのは、
彼らに対しては、少なくとも純粋な実力では勝つことはまず不可能だろう。しかし権力や財力では彼らを上回る自信はある。
すでに海軍やモルガンズを通じて政府とのパイプはある。事業を拡大させて力を蓄え、大きな財力と権力で成り上がって〝
(まァ、そう易々とうまくは行かねェだろうけど……それしか考えられないな――となれば、組んだ方が得か)
「いかがかな? テゾーロ氏」
「いいでしょう…その話、乗らせていただきます」
テゾーロはそう返事すると、二人は喜びの笑みを浮かべた。
「そうと決まれば、名前を付けねば!」
「うんだうんだ、連帯組織だからな!!」
(何ィィ!?)
何故か名前を決めようと言い始める二人。
単なるビジネスパートナーかと思いきや、どうやらテゾーロ財団・倉庫業老舗・海運業者による連帯組織の結成らしい。
(こんなのアリなの? いや別にいいけど…ビジネスパートナーの範囲超えてないか!?)
「テゾーロ氏、何かいい名は思いついたかな?」
「へっ!?」
ギバーソンにそう言われたテゾーロ。
数秒考えてから、テゾーロは答えた。
「……〝港湾労働者組合〟はどうですか?」
テゾーロの一言に、全員が衝撃を受けたような表情を浮かべた。
しかも「それ、めっちゃイイね!!!」という雰囲気を醸し出している。
(いや、これでいいの?)
一応その名前に辿り着いた理由は二つある。
一つは、倉庫業と海運業は港で行われるイメージがあるため。もう一つは、某俳優の映画からである。
「……どうですか?」
「うんだうんだ、それがいい!!」
「〝港湾労働者組合〟…名前の響きがいいな!!」
どうやら気に入ってくれたようだ。
「ちなみに二人はどのような名前を?」
「私は〝深層海流の隠匿師と財団による経済協定〟だ」
「〝隠匿師の海運王と財団を傘下にした同盟〟だ!」
「我が強すぎますよ。あとネーミングセンスがクソですね」
港湾労働者組合がどれほどまともなネーミングなのかを思い知るテゾーロ。
そもそも何でそんなに長い名前にしようというのか…テゾーロは「一番のまとも人間が俺だった」と内心思うのだった。
「その港湾労働者組合とやら、私もスポンサーとして裏で支えよう。 これも何かの縁だ」
「――決まりですね……一応この4名で色んな事業をして自分だけでなく町や島を豊かにする、という方針で行きましょう」
「よろしい!」
「うんだうんだ!」
「では、そういう訳でよろしくお願いします」
テゾーロはそう言い、モルガンズ達に対し頭を下げる。
「いやいや、こちらこそ!!」
「うんだうんだ、私としてもよろしく頼む!」
「このビッグニュース、一応は報道しよう。何、ある程度の秘密は守るさ」
こうして、テゾーロ財団理事長ギルド・テゾーロ、倉庫業老舗〝隠匿師〟ギバーソン、海運王である〝深層海流〟ウミットを中心とした「港湾労働者組合」が設立した。
これが後に、テゾーロにとって大きな影響を与えることになるとは、彼自身知る由も無かった。
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