ONE PIECE ~アナザー・エンターテインメンツ~ 作:悪魔さん
もしかしたら今年最後の投稿かもしれません。大晦日までにあと1話分は投稿したいな…。
1ヶ月後、テゾーロはシャボンディ諸島へと向かい賭場でレイリーと話し合っていた。
「地下闘技場?」
「ええ……依頼人が潰して欲しいと頭下げたので」
大きな欠伸と共に、テゾーロは鼻を
「なぜそれを私に?」
「賭場は色んな人が出入りする別の意味での社交場……ここならある程度の情報を得られるんじゃないかと山ァ張っただけですよ」
賭場は表から裏まで、色んな人間が出入りする。
テゾーロは
「地下闘技場、か……。私も一度、出場の招待状が来たことがあるな」
「え!? あるんですか?」
「ロジャー海賊団副船長時代……それも新世界に入って間もない頃にね」
衝撃の情報に、目を見開くテゾーロ。
レイリー曰く、黒いカモメが招待状を渡しに来たという。しかし招待状の内容には「来なかった場合は仲間の誰かに出させる」と書いており、その内容にかつてない程に激昂したロジャーが試合中に単身殴り込んで潰してしまったという。
「あの……過保護だったんですかね? 天下の海賊王殿は」
「……否定はしない」
「……お前さんら、地下闘技場の話をしてんのかい?」
テゾーロとレイリーに声を掛けるのは、煙草を咥えた一人の男性だった。
剃髪でサングラスを掛けたマントを羽織った壮年の男性で、顔にいくつもの刀傷が刻まれていた。
「……おれも、昔参加したことがある」
「「!」」
男性曰く、地下闘技場は月に一度の志願制の大会と年に一度の強制参加の大会を行い、さらに4年に一度ハイレベルな志願制の大会があるという。
月に一度の大会は、出たい者だけ出る大会でその時の掛け金が自分のモノになる。年に一度の大会は、強制で全員で参加して生死をかけた戦いで上位3名は自由になるか待遇をよくするかを選べる。4年に一度の大会は、上位に入るとそれだけで自由になり今まで貯めた賞金も含めて貰い出ることができるという。
「あそこはまさにこの世の地獄だった……血を流してナンボの世界で、おれ自身多くの人間を殺めた。今はこうして生きているが、今でも殺された連中の顔を忘れられねェ……」
「……」
「だがお前さんがその地獄を潰してくれるってんなら、いい情報を教えてやるよ」
「!! それは一体?」
実を言うと地下闘技場では、「赤の兄弟」という闘技場で生き延びてきた少年達で構成された組織が反乱を起こそうと目論んでいるらしい。
しかし多勢に無勢…数は100人程しかおらず、彼らだけでは強大な権力に抗うことはできない。とはいえ、地下闘技場の地獄を生き抜いているだけあって常人以上の戦闘力はあるそうだ。
そんな彼らと手を組めば、地下闘技場の制圧も容易いだろう。
「それで……肝心の場所は?」
「〝
「他には何か?」
「さァね……それ以外はわかりゃしねェ。まァ、ろくでもねェ連中が楽しんでるってこたァ事実だな」
煙を吐きながら語る男性。
ロワイヤル島……そこはテゾーロ財団が未だに訪れたことの無い地だ。しかし名前的にはいかにもバトルロイヤルをやっていそうだ。
「ロワイヤル島、か……」
テゾーロは島の名を呟き、男性に情報提供の礼として金を渡してから賭場を後にした。
同時刻、テキーラウルフ。
雪が降る中、銃声が響く。それと共に、鳥の鳴き声と何かが海面に落ちる音が聞こえる。
巨大な橋の欄干で、メロヌスは愛用のスナイパーライフルで射撃訓練をしていた。
「メロヌスさん、何してるんですか?」
メロヌスに声をかけるシード。
「見ればわかるだろ? 宿敵の海鳥と戦ってるんだよ」
次弾を装填し、空を飛ぶ海鳥に狙いを定めるメロヌス。
そして引き金を引いて、撃ち落とす。
シードは思わず溜め息を吐く。テゾーロ達が不在の間テキーラウルフを任されるよう頼まれたのに、指導する側の内の一人が趣味に没頭している訳にもいかないのだ。
(まァ、その分僕がしっかりしなきゃな)
シードは自分にそう言い聞かせ、建設現場へと向かう。
テキーラウルフはテゾーロ財団によって「朝昼晩の交代制シフト」を導入し、橋の建設が今まで以上に進んでいる。
今の状況で作業が進めば、10年後には橋は完成するらしい。ここでしくじって計画をとん挫させるわけにはいかない。
「皆、作業は順調?」
「はい、丁度橋脚が完成した所です!」
「よし、ここでシフト交代だよ。午後組と交代して! その後はいつも通り夜間組だから」
『はいっ!!』
*
一方、海軍本部。
「クザン、どういうつもりだ!?」
元帥室に響く、
コングが怒鳴り声を上げるその理由は、クザンの異動願いにあった。
クザンは若手でありながら、ずば抜けていた実力者である。悪魔の実のペナルティが無いに等しい〝ヒエヒエの実〟の
しかしクザンは、突然〝
「別にいいじゃないですか、サカズキとボルサリーノいるんですし」
「そういう問題ではない!! お前が好き勝手に行動されては困るんだと言ってるんだ!!!」
「まーまー、そうおっしゃらず」
呑気に
苛立ちながらも、コングは落ち着こうとお茶を一杯飲む。
「んま、それよりコング元帥…「アルベルト・フォード」って名前、聞いた事あります?」
「!? お前、どこでそれを……!?」
クザンの口から出た名前を聞いたコングは、絶句した。
それと共に、コングはクザンが異動願いを出した理由をすぐに察した。
「やめろ!!
「いやァ~、でも知っちまったからには放っとくわけにもいかねェですし……」
「バ……バカなマネは止せ、クザン!!! 我々海軍もタダでは済まされんのだぞ!!!」
コングは焦りながらクザンに告げるが、彼は手を振りながらその場を去ってしまった。