ONE PIECE ~アナザー・エンターテインメンツ~   作:悪魔さん

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4月最初の投稿です。
アニメはやっとお茶会を迎えましたね、これからが楽しみです。

そういえば、ついにゲゲゲの鬼太郎第6期(沢城みゆきさん)が始まりますね。
自分は世代としては第5期(高山みなみさん)ですが、個人的には第4期(松岡洋子さん)が好きです。エピソードも良作ばかりなので。


第55話〝作戦第二段階〟

 ついに地下闘技場摘発作戦第二段階「フォード拘束」が始まる。

「おおおおおおおお!!」

 テゾーロは番傘を振り上げ、フォードを潰しにかかった。

番傘の胴が黒く染まっていき、それを視認したフォードは冷や汗を流した。あの黄金の番傘に、テゾーロは〝武装色〟の覇気を纏わせたのだ。

(いかん!)

 フォードは両腕を武装硬化させ、テゾーロの一撃を受け止めた。

 踏ん張ったフォードの両足がフィールドに減り込み、沈む。

「……あり? マジでか!?」

 テゾーロは素手で受け止めたフォードに驚愕する。

 しかし、フォードは指一本とも気が抜けない状況だった。

(あやつめ、ショクショクの能力を封じるべく覇気を纏いおった…!!)

 〝武装色〟の覇気は、海と同じエネルギーを発する海楼石か弱点を突く以外で「悪魔の実」に対抗できる手段だ。

 当然、フォードの衝撃波に対抗するには覇気で得物を強化せねばならない。

「この……小童がァァァ!!」

 フォードは力を込めて番傘を弾き返した。

「うをっ……とっと!!」

 テゾーロはバランスを崩して黄金の番傘の重みに振り回されるが、それを利用して回転しながら体勢を立て直し、勢いよく番傘を薙ぎ払った。

「ぐっ……!!」

 猛烈な風に見舞われ、瓦礫が襲いかかり、視界が奪われる。

 フォードはテゾーロの隙を突こうとするが、番傘を振り回す際に発生する衝撃や風圧で迂闊に近づけずにいる。衝撃波を打ち込もうにも、テゾーロの攻撃の余波のせいで間合いを詰めにくいのだ。

「あんな超重兵器を苦も無く振り回すのか、あいつァ……!!」

「攻撃の型が限られてるのに……!!」

 スライスとタタラは、テゾーロの技量に驚嘆する。

 たとえ覇気を纏っていなくても、今のテゾーロは身の丈ほどの巨大な金塊をバットのようにブンブンと軽く振り回している。一度でも体に直撃すれば、致命傷につながりかねない。

「お次は……これだ!!」

 テゾーロはそう言って跳び、番傘を頭の上で回転させ始めた。

 黄金の番傘の「超重」に回転の「遠心力」を上乗せして、威力を高めているのだ。

「そォら!!」

 

 ドォォン!!

 

 大砲の弾が直撃したような轟音が響く。

 その凄まじい衝撃は、フィールドに巨大な亀裂を走らせ、猛烈な土煙を発生させる。

 これにはさすがのフォードもただでは済まないだろう。だが……。

「甘いわっ!!」

(何っ!?)

 何とフォードは紙一重で躱しており、そのままテゾーロの懐に潜り込んだ。

 

 ゴッ!!

 

 テゾーロの脇腹に、フォードの衝撃波と覇気を纏った裏拳が直撃する。

 咄嗟に武装硬化で脇腹を守るも、衝撃波は体に伝わり吐血して吹き飛ぶテゾーロ。その際にあの番傘を落としてしまい、丸腰になってしまう。

「ぐっ……何つー威力だ……」

 頭や口から血を流し、何とか起き上がるテゾーロ。

 だが、その瞬間にフォードの追撃が始まり、跳び蹴りが鳩尾に直撃する。

「がっ…!!」

 咄嗟に覇気で防いだものの、やはり衝撃波は完全に防げずダメージを負う。

 そしてフォードはテゾーロ首を掴み持ち上げた。

 体が完全に浮き、自らの体重で気管が塞がれかけて苦しそうな表情を浮かべるテゾーロ。

「やってくれたな……」

 怒りに満ちた声で呟き、フォードはテゾーロを掴んだ手を白いオーラで包み込んだ。

「このまま衝撃波をぶつけ、頭を砕いてくれる!!」

「……ハァ……驕るなよ……おれは、黄金を操る男だ……」

「……?」

「触れた黄金や、生み出した黄金は…………全て、おれの支配下に置かれる!!」

 その瞬間、バチバチと火花が散り、黄金の番傘が瞬く間に融けて触手となってフォードに襲いかかった。

 フォードはそれを何とか躱し、距離を取る。一方のテゾーロも、口内から血を吐き出して立ち上がる。

(くっそ、「銀魂」の鳳仙をイメージして番傘を使ったはいいものの……威力は最高だがさすがに鈍重すぎた……もう少し軽い武器がいいか……)

 鈍重な武器は、その重さゆえ威力は凄まじいの言葉に尽きるが、その一方で相手の「速さ」についていくのが厳しい。

 テゾーロの相手は素手だが、その分動きが速い。ならば、相手の「速さ」についていけるように武器を変える必要がある。

(間合いを考えると……薙刀がベターか……)

 突く・斬る・払うといった多彩な動きができる長柄武器――薙刀は、重心位置が遠くにあるため、遠心力を用いて強力な斬撃を放つことができるという利点がある。

 元々薙刀のような長物は、広い場所なら(・・・・・・)圧倒的な強さを発揮する。薙刀と刀なら、リーチに勝る薙刀が刀の届かない間合いで一方的に斬りつけることができ、持ち手の間隔の広さから刀身を刀よりも遥かに強く動かせるので、薙刀を受けた刀は翻弄されてしまうのだ。

「よし……」

 テゾーロの手から火花が散ると、黄金の触手は彼の手元へと向かい、一瞬で薙刀に変化した。

「薙刀か……」

「今度は、さっきみてェにはいかんので」

 テゾーロ対フォードの第2ラウンドが始まろうとしていた。

 

 

 一方のジン達は――

「あんな攻撃を毎度仕掛けたら、こっちも巻き添えに遭っちまうな……」

「賢明な判断だったな」

 テゾーロの戦い方を間近で見て、下手に援護しないで良かったと話し合う。

 すると、ジン達を取り囲むように殺気立った武装した集団が現れた。

 ふと辺りを見渡せば、観客席の一部からも銃を向けられている。

「てめェら……何てマネしてくれやがる。おれ達の興業を台無しにしてくれやがって。ここがどこだかわかってるのか?」

 銃や剣を向け、怒りと動揺に満ちた目でジン達を睨む男達。

「何てマネって言われてもな……これを狙ってたんだからどこだかわかってもわからなくても同じ結果だ」

「なっ……」

 スライスの言い分に、愕然とする男達。

 地下闘技場の案件は海軍ですら首を突っ込まないのに、ここへ来てどこの馬の骨かわからない連中に興業を潰されるとは夢にも思わないだろう。

「そんじゃ、親玉(デケェの)はあいつに任せて……」

「子分を狩るとしようか」

 スライスは両腕を黒く硬化させ、ジンは得物の刀身を黒く染める。

「その子分狩り、私達も付き合いましょう」

「ちょうどいい憂さ晴らしになりそうだしな」

 スライスとジンの隣に、抜刀したハヤトとタタラが立つ。

「……加勢せんでもいいってのに」

「海軍に外堀を埋めさせて、我々は内堀を埋めましょうって訳です」

「――成程」

「何をゴチャゴチャと……舐めやがってェ!!」

「やっちまえェ!!」

 一斉に襲いかかる男達。

 スライス達も、敵勢力を殲滅すべく暴れ始めた。

 

 

           *

 

 

 聖地マリージョア。

 世界貴族〝天竜人〟であるクリューソス聖の邸宅の応接室では、現海軍元帥のコングとクリューソス聖が話し合っていた。

「……どうやらようやく動いてくれたようだな。私は他人に圧力をかけるのは好まないのだがね」

「奴は強大です……我々海軍も動けないんですよ」

「だが事前に動いてくれた者がいるじゃないか」

「……クザンですか」

 クザンは亡き親友・サウロと共に、悪漢フォードを追っていた。

 彼自身も海軍の中では良くも悪くも型破りといえる存在。だからこそ、海軍の中ではある意味でタブーと言えたフォードの件に首を突っ込み、偶然目的が重なったテゾーロと共に動いたのだ。

「フォードの行動と狙いは目に余る。ここで潰しておかねば、世界を混乱させるだろう」

「……それで、五老星に圧力をかけたのですか」

「人聞きが悪いぞ……要請したんだ」

 不敵な笑みを浮かべるクリューソス聖。

 クリューソス聖もまた、フォードに危機感を抱いていた。ゆえに、彼を潰そうと画策していた者達の処分を少しでも軽くするために五老星に要請という名の圧力をかけたのだ。

 五老星は世界政府の最高権力者であり、同時に天竜人の最高位であるのだが、その関係は一枚岩ではないため天竜人の意向には渋々応じる。しかし五老星も内心フォードのことを快く思ってなかったようで、若干清々しい表情をしていたらしい。

「コング、後のことはわかっているな?」

「ええ……我々が処分します。これで海軍のタブーは消え、少しは気が楽になれそうだ……」

 ようやく悩みの種が無くなることに安堵したのか、コングは深い溜め息を吐くのだった。




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