ONE PIECE ~アナザー・エンターテインメンツ~   作:悪魔さん

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原作の方、アプーどころかホーキンスまでカイドウ側に付いてたので驚くというよりも笑っちゃいました。キッドがあまりにも不憫で。(笑)
ルフィとローとベッジとウルージさん以外、何かカッコ悪いと思うのは気のせいでしょうか…それともベッジのような謀反を計画してるのか?
続きが楽しみです。
そういえばキラー、あいつどこ行ったんだ?


第69話〝電話対応〟

 4日後、〝北の海(ノースブルー)〟。

 テゾーロ財団の艦船であるオーロ・コンメルチャンテ号は、フレバンス王国へ向かって航行中である。

 ここ最近海賊の往来も多くなったので、船には大砲を搭載する数も少しばかり増えている。別に幹部達の戦闘力の高さを見くびっているわけではないが、万が一負傷等で動けなくなった場合を想定した上での武装だ。なお、これらは全てウミットから買ったものである。

 そして船内では、テゾーロが医療大国として知られるドラム王国の国王――あのワポルの父――と電話をしていた。

《何? 我が国の医療技術が?》

「ええ、実は〝北の海(ノースブルー)〟のフレバンス王国で珀鉛という鉱物の中毒が発生しまして。治療法が確立していないので貴国の力を借りたいのですよ」

《……確かに我が国の医療技術は世界にも誇れる。だがそれをなぜ君が?》

「裏事情ってモンです、察してください」

《成程……》

 何となくテゾーロの交渉の〝背景〟を察し、呆れたように声を漏らすドラム王国国王。

「実はその珀鉛産業なんですがね……ウチの集めた情報だと鉛中毒の一種であるってのがわかったんですが、その一方で珀鉛に含まれる毒素は次世代へも悪影響を及ぼす質の悪い(やつ)であるのも発覚しまして」

《何だと!?》

 ドラム王国国王は電伝虫越しに声を荒らげた。

 実はこの珀鉛産業によって産み出された製品は、世界中へ輸出している。当然加盟国にもそれらが流通しており、高級品として扱われている。だが珀鉛に含まれる毒性を知らずに珀鉛製品を扱い、万が一にも珀鉛を摂取してしまったら……それこそとんでもない事になる。ある意味、テゾーロと話し合えたのはラッキーと言えよう。

《……わかった、我が国の全ての医者に報せてはおこう。時間はかかるが、それでもよろしいか?》

「力を貸してくれることを検討してくれるだけでも非常にありがたい。ご協力感謝します」

《わかった。結果は追って連絡しよう》

 ガチャリ、と通話を切る。

 珀鉛の毒性を知らなかったからこそ、ドラムの国王は事の重大さを察知して動いてくれたのだ。無知は罪だと言う者がいるが、時には知らなかったからこそ迅速に対応せねばならないと即断させるのだろう。

「さて、今度はウミットを動かすか……」

 

 

 テゾーロがコネを用いてあらゆる人物と電伝虫で通話をする中、財団の社員達もまた仕事に徹していた。

 船を動かす者、情報収集に当たる者、報告書をまとめる者…それぞれが自分の仕事に一生懸命取り組んでいる。

 テゾーロ財団に入社して間もないアオハルもまた、情報屋としての仕事をしていた。

「煙草しながらの仕事は気分がいいね」

 そんなことを呟きながら、集めた情報を整理していると、机に置いてあった電伝虫が鳴った。

(電話対応は初めてなんだけどなァ……)

 アオハルは溜め息を吐きながら受話器を取る。

「はい、こちらテゾーロ財団」

《フフフフフフ……!! その声は〝剣星アオハル〟だな?》

「っ――!」

 〝剣星〟という言葉を耳にしたアオハルは、目を見開いた。

 情報屋であるアオハルは凄腕の剣豪でもあり、ビムビムの能力によって星のように光る剣を自在に操り強者を退けてきたことから裏社会では〝剣星アオハル〟と呼ばれることも多いのだ。

 つまり、電話の相手は裏社会の人間――海賊やマフィア、ギャングやテロリストなのだ。

「――どちら様で?」

《おれはドンキホーテ・ドフラミンゴ……海賊だ》

 アオハルは電話相手(ドフラミンゴ)の名字である「ドンキホーテ」を耳にし、目を見開いた。

 彼は最近、〝北の海(ノースブルー)〟で勢力を増しつつある海賊団の情報を手に入れたばかりだ。その海賊団の名が「ドンキホーテ海賊団」で、海賊行為よりも闇取引を専門としているので活動は海賊というよりもマフィアやギャングに近い。ゆえに「ドンキホーテファミリー」と呼ぶ者も多い。

 そんな海賊団の首領が、どういう訳かテゾーロ財団との接触を試みている。裏社会では海賊の割にはかなりの切れ者であるらしいので、何かしらの思惑はあるのだろう。

 アオハルはテゾーロが今交渉で忙しいので、とりあえず彼の用事が終わるまで対応するのが最適と判断し、口を開いた。

「……何でウチに掛けれたんですか? そっちの界隈の用件なら間違い電話でしょ」

《フッフッフ……何もケンカ売ってるわけじゃねェよ。そっちの事業の手助けをしようと思ってな》

「……?」

 ドフラミンゴの言葉に、アオハルは訝しそうな顔をする。この組織の裏事情を知っていればやりたがらないはずであるからだ。

 テゾーロ財団のバックには世界政府がある。しかもそのトップであるギルド・テゾーロという男は、五老星や世界貴族をはじめとした世界政府の中枢だけでなく、裏社会でも広く知られた実業家達ともつながっている。お尋ね者の身であるドフラミンゴにとって、いくら何でもリスクが大きすぎる。

 だがそれは裏を返せば、テゾーロを介して世界政府と接触することも可能であるとも言える。政府上層部に接触すれば、ここ最近有名になってきている〝王下七武海〟という制度に名乗りを上げられることもできるのだ。

 〝王下七武海〟とは、大海賊時代開幕により海賊の増加・凶悪化したことを受けて、戦力の増強もかねて設立された世界政府の新しい制度で、指名手配・懸賞金の解除と共に、政府に対して略奪品の一部を納める代わりに他の海賊や世界政府未加盟国からの略奪行為を認められ、数多の海賊達への抑止力として期待されている。つい最近、サー・クロコダイルという海賊が七武海に就任したことはアオハルも知っている。

 しかし所詮は海賊。世界政府への忠誠心は皆無に等しい上にその立場と権力を隠れ蓑に凶悪な犯罪を企む可能性も高い。ましてや電話相手のような切れ者が七武海ともなれば、政府の人間をも出し抜くだろう。

(……野放しは危険だし、どうすっか……)

《返答に困っているようだが……フッフッフ! 案ずるな、悪ィ話じゃねェ。互いに利益があるはずだ》

 アオハルは暫く考え、口を開いた。

「おれ、新米なんだよね。だからまだ自分の属する組織のこと、よく知らないんだけど」

《フッフッフ……それはいいさ、おめェらの上司に話があるんだからな》

「ギル兄は今、電話に出てるんだけど」

《? ほゥ……さすがは天下のテゾーロ財団、随分と信頼されているな》

「おかげさまで」

《それで? お前達テゾーロ財団はどうなんだ?》

「おれの回答をテゾーロ財団の答えと受け取る気? あんた質が悪いね……」

 すると、アオハルの元にメロヌスが現れた。新米であるアオハルの電話対応が気になったようだ。

「アオハル、誰と電話してんだ?」

「ドンキホーテ・ドフラミンゴっていう海賊」

「何!?」

 アオハルの口から出た名前に、メロヌスは目を大きく見開いた。

 そして受話器を寄越すようアオハルに指で合図し、受話器を受け取る。

「おれはメロヌスという……海賊が何の用だ」

《……テゾーロじゃねェのか? どうやら上司は随分と多忙のようだな……フッフッフ! まァいい……こちらにも事情があるんでな、こう伝えておけ……「お前達の動きはおれ達も大方把握している。後日また連絡するが、ウチと手ェ組むかどうか考えておけ」とな》

(!? どういうことだ、何で海賊がウチの動きを知っている!? 政府にスパイでもいるのか……?)

 メロヌスは困惑しつつも、「一応伝えてはおく」と返答する。

《フフフフ! そう言ってくれて何よりだ。お前達の返事を楽しみにしている》

 ドフラミンゴはそう言うと、向こうが先に受話器を下ろしたのか通話が切れた。

「……これ、マズくない?」

 アオハルの呟きに、メロヌスは冷や汗を流しつつ頷く。

「ウチの情報を握ってるってのァ想定外だった……かと言ってサイの旦那がドフラミンゴの内通者とは到底思えねェ」

「ってなると、ドフラミンゴ側に政府とのコネがあるってことだね」

「それもかなりの、な」

 

 

           *

 

 

「なァ、ドフィ。うまくは行ったようだが……テゾーロの野郎は応じるのか?」

 一方のドフラミンゴは、部下にして最高幹部であるディアマンテに訊かれていた。

 ドンキホーテ海賊団とテゾーロ財団では、本来の立場も活動も真逆であり規模も違うがトップはそれなりの器量と頭脳を持ち合わせているという共通点もある。たかが民間団体と侮っては足をすくわれかねないのだ。

「……ビジネスとして考えれば、あいつ程利用価値の高い奴はいねェのは事実だ。だが奴が応じるかどうかは…厳しい方かもしれねェな」

「ウハハハ! ドフィの要求を蹴るってか?」

「……さァな。それはあいつ次第だ」

 口ではそう言うが、ドフラミンゴ本人としてはテゾーロ財団は応じないと考えている。

 海賊であるドンキホーテ海賊団と違い、テゾーロ財団は世界政府と連携しているだけの(・・・・・・・・・・・・・・)民間団体だ。海賊と結託するなんて事になれば世間からバッシングを食らうことになる。たとえ応じたとしても世間体を気にする可能性が高いため、「海賊稼業から足を洗え」という海賊として絶望的な要求をしてくることも考えられるのだ。もしそんな要求をされたらドフラミンゴ自身のある野望(・・・・)が潰えてしまうので、それだけは避けねばならない。

 かといって、テゾーロ財団を乗っ取ろうと画策するのも悪手だ。テゾーロ財団には凄腕の元賞金稼ぎや元海兵、新世界出身の強者が揃っている上にテゾーロ自身もそれなりの切れ者だ。今のドンキホーテ海賊団では、下手をすれば返り討ちに遭って潰される可能性もあるのだ。

「だがドフィ、なぜテゾーロを狙うんだ? 欲しいのは黄金か?」

「フッフッフ……ディアマンテ、おれが今一番欲しいのは金じゃねェ。テゾーロ財団が持ってるコネの方さ……!」

「コネ……?」

 ドフラミンゴが欲しているのは、テゾーロ財団のコネだった。

 無名だったテゾーロがあれ程の強大な勢力になれたのは、当然テゾーロ自身の力量が優れているのもあるだろう。しかしそれだけではなく、テゾーロ自身が仕事で出会った色んな人物とコネを持っているのもあるのだ。

 テゾーロ財団は海軍に売上高の一部を軍資金として提供しているので、世界政府にとっては貴重な財源の一部を担っている。それだけでなく港湾労働者組合なる組織を結成し、ジャヤという島の開拓や港の運営、財団の創立当初から行っていた運輸業で儲けている。そういった事業の中で、他の業者とビジネスパートナーとなるのは必然だろう。

 ドフラミンゴも裏社会での情報収集を行っているが、テゾーロは裏社会でも有名な新世界の石油王スタンダード・スライスともつながっているという話も耳にしたことがある。どんな形であれ、それ程のコネを持つ人間と接触しないままでいるのは実に惜しいことなのだ。

「あいつの持つ情報を少しでも抜き取れれば十分だ……あわよくば奴らの弱点も、な」

「つまり、おれ達はテゾーロと頭脳戦でも繰り広げようってか? ウハハハ、それも面白そうだ」

「ああ…奴の対応次第でこっちの動きも変える。フッフッフ……!」

 ドフラミンゴは口角を上げ、不敵な笑みを浮かべるのだった。




次回からフレバンス上陸です。
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