学園黙示録 〜7日も生き残れたら上々Death〜 作:シータが立ったァァア!!
どうも。作者です。
今回こんなの書いてみました。気に入らないようだったら回れ右のみお願いします。
では本編、どうぞ。
1DAY ——過酷な現実は突然に。
終末、地獄、Biohazard。
この現状は正に、こんな言葉がぴったりなんだろうなと、屋上から校庭を見下ろす少年は一人思った。
よく見てみれば生徒教師問わず《奴ら》から逃げ惑い、時に襲われ、時に襲い、時にリンチされている。カップルであっただろう男女の組みは、女子が男子の首元を喰い千切ると光景もよく見受けられた。通常の社会であれば事件である。が、この現実に於いてそれは、当たり前の出来事となってしまった。
そんな事件が起こっているのは、校庭だけではない。教室でも、渡り廊下でも、学園外でも起こっている。
見てみれば、
阿鼻叫喚なんて、当たり前の発生音だ。
そして、世紀末状態の権化である《奴ら》が今、少年がいる屋上へと乗り上げてきた。女子生徒が多い為にある意味のハーレムと言えるが、生憎と生肉パーティの品となる覚悟は少年には無い。
手に持つ
「あぁ" もうクソったれがッ!! なんだってこんな世界になっちまったんだよ!!」
確かな闘気を秘めた瞳を持つこの少年、名は無い。強いて言えば、〔ナナシ〕という呼称があるだろう。
これは、世紀末を生き抜く〔ナナシ〕の物語である——
■
——バシュッ バシュッ
空気を切り裂く短槍を《奴ら》の頭部へと射出する作業を繰り返すナナシは、一人ため息を吐く。
自分は本来なら今頃、仕事前の楽園日和よろしく、颯爽とゲームを再開する所だったのだ。
そのゲームの名前は【7Days to Die】 所謂ゾンビゲーだ。サバイバーとして廃墟した世界を駆け巡り、ゾンビの襲撃を退けながら生活して生き残るという、ある意味のバイオハザードだな。
「しかし……それを現実でやるとは思わなんだ」
言いながらナナシは短槍を射出し続ける。
自分はそれなりの企業に就職し、それなりの実績を積みながら趣味に生きてきた。仕事は少なくとも真面目にやって来たし、友人関係だってそれなりに上手くいっていた。だから、ゾンビゲーをやってストレス発散をするのは別に、悪いことでは無いと思うのだ。
それの何が悪かったのか、神はナナシに天罰を降しになられた。
ゲームを起動と同時にナナシに目眩が発生し、水を飲んで落ち着かせてから目を開くと、阿鼻叫喚の地獄が目に入って来たのだ。
この時点でナナシの頭はショートを起こしていた。
ナナシは自分は今まで屋内にいたはずなのに、目を開けば屋外。しかも緑色の網柵から地面を見下ろせば学生時代によく見た校庭が。周りを見渡せばそこは学校の屋上だった。
そして自分の今の服装は学ラン。校庭を見てみれば男女の学生が居、男子学生は自分と同じくらい学ランを羽織ってた。
ここでナナシは思った。これは過去に想いを寄せた可哀想な自分が見せる夢なのでは無いかと。
バチンッ、と頰を叩いてみるが結果は分かりきっていた。見事に赤く腫れてしまっている。しかも痛い。
まあこれをしなくてもナナシは夢ではないと分かっていたのだが。そもそもナナシは男子校に通っていたので、過去の想い出に女子生徒はいないはずだし、何より女子生徒の服装は見たことがない。
自分の知らない情報を脳内が投影出来るはずもないので、大方予想はついていた。
それでも叩いたのは、お約束というものだ。
「……まだまだ居るな」
尚も続く短槍射出作業に嫌気がさしながらも、ナナシは撃つのを辞めない。それがこの現状でやらなければならない最低限の仕事だからだ。
そもそも、ナナシがこういう行動に出れたのは自分が直前までやろうとしていたゾンビゲーのお陰だ。
ナナシはゲームを開始する前日までに、『フェラル』と言う"ゾンビ対プレイヤー"の真っ向から勝負劇を繰り広げる所まで進めていた。この『フェラル』の日のゾンビはプレイヤーがどこに隠れていようとも見つけ出し、特殊ゾンビを引き連れて襲撃してくるのだ。
その為、準備は万全で無ければならない。例えば通称『フェラルゾンビ』という特殊ゾンビは、通常のゾンビの体力の10倍はあり、速度も攻撃力もプレイヤーのそれを追い越す。準備なしでタイマンすれば、99.9%は死ぬだろうと言える。
そんな奴らと一対多の大乱闘を繰り広げる準備をしていたのだ。勿論、開始直前もその意気込みでいた。
だからこそ、ナナシはこの現状を強引にでも受け入れたのだろう。『フェラル』同様、自分はどこに居ても《
不幸中の幸い、幸運にもその手段はあった。
ナナシの足元に、クロスボウが落ちていたのだ。更にこのクロスボウを拾うと、視界の端々に様々な情報が現れる。
視界左下には赤と青のステータスバーが。
視界中央には
視界上部にはコンパスと時刻を示すデジタル時計が。
視界下部には8つの空欄が。
ナナシの視界に、今まで嫌と言う程見てきた、アレが現れた。【7DTD】のゲーム画面だ。
嫌な予感と情報をを受け取り、自身の感を頼りに脳内にとあるゲーム画面をイメージする。すると……インベントリ画面すら、出てきてしまった。
クロスボウから流れ出た情報通りに開いたが、これは如何なものかとナナシは困惑する。
視界全体にゲーム画面が広がり、脳内でイメージすればインベントリも開ける。これではまるで、ゲームの中に入ってきたようなものでは無いか。
困惑したナナシは、嫌々ながらも現実を見る。見下ろす景色には、校庭いっぱいに広がる生徒……生徒だった《奴ら》で溢れかえっている。
そして、自身はクロスボウという武器を持っている。
……と、そんな訳で現在進行形でナナシはゾンビの掃討に尽力を尽くしている。クロスヘアが存在するので、照準は比較的つけやすい。
「……だからと言って、楽な訳じゃないんだがなぁ」
ぼやきながらも、ナナシは射出を辞めない。殺人労働責めのナナシに、安堵の日は来るのだろうか……?
■
結果から言えば、安堵の時間は来た。《奴ら》に数十分間短槍を射出していれば、いつの間にか歩いている奴はいなかった。後は屋上の扉を閉めれば完了である。
そして掃討が完了した頃、ナナシは自身の状況について思考を回していた。
掃討時は少し混乱していた為考える暇が無かったが、よくよく考えてみれば異常である。自分にはクロスボウがあり、視界にはクロスヘアやコンパスが見える。更にこの世界には《
これではまるで、ゲームの世界にそのまま入ってきたみたいなものだ。というか、今のナナシは"対フェラル装備"を背負ったプレイヤーそのものだ。その証拠に
「うへぇ……
インベントリに入っているアイテムの全てが所持数配置位置間違いなく同じものだったのだ。銃は勿論、救急キットや抗生物質、果ては採血キットまで所持している。というか何故ナナシは採血キットを持たせていたのだろう?
「……当分の安全は確保されたようなもんだな。銃まであるんだし、レシピ本解放やスキルもそのまま。メイン垢のキャラクターで良かったぜ」
これがクラフト縛りをしていたサブ垢だったと思うと……辞めよう、これが夢だった場合洒落にならない。あのデータでのリスタートは地獄だ。
それよりも、と言ってナナシは《奴ら》の死体へと近づいていく。
そして女子生徒の《奴ら》の胸元へと視線を移す。……なるほど、いい乙杯だ。E75はあるんじゃないか?
「って、そうじゃ無かった。いかんいかん」
即座に邪な考えを排し、自分の仮説を実証する為に胸元から少し視線をずらしたりする。
それから数分、頭をぐるんぐるん振り回して生徒の胸元周辺を舐め回していると……とある文字列が浮かんで来た。
ナナシは即座に開くイメージをする。灰色の円とその中央に浮かぶ1.0というものが現れ、1秒しないうちに0なる。
その後出て来た画面は、ナナシの想像通りであった。即ち、インベントリ画面である。自分のインベントリと相手側のインベントリが同時に表示される。
どうやら女子生徒は、空き瓶を持っていたようだ。丁度よくナナシは飲み水は1スタックしか無かった為、この収穫は上々と言える。
空き瓶を自分のインベントリに移してから女子生徒の死体を解体する。腐肉が2つと骨が一本手に入ったので、腐肉を捨てて骨は回収しておく。消耗するナイフの換えだ。
そうして幾つか生徒の死体漁りをしていると、ナナシの目に見慣れない物が入って来た。男子生徒の死体からである。
「……ん、なんだこれ? 『
ゲーム内では見なかったアイテムである。珍しい。
即座に空きインベントリに入れ、
中身が何か知らないが、素材はこの素材のみらしいので、とりあえず
数十秒の時が過ぎ、出来たアイテムは……何もなし。インベントリには入っていない。入っていないが……変化はあった。
「お、おぉー! 何これスゲェ! インベントリ増えた!!」
なんとインベントリが増えたのだ。原作には無い、なんとも便利なアイテムである。ミニバイクのカゴ以来の所持アイテム数増加であろう。
「wikiに入手法とか載ってないかなー」
ナナシはふと、家にあるパソコンへと想いを寄せた。あの中に入っている秘蔵のフォルダを誰かに覗かれて無ければ良いが……というか、仕事はどうするのだ。
あのパソコンに提出予定のデータがいくつも入っているのだ。取り出せなければ、一大事である。
と、現実逃避していても、時間は過ぎて行ってしまう。時間が過ぎれば当然腹も減るし、喉も乾く。脳内メニューを開けば、飯と水のメーターが半分くらい減っていた。
「今日は缶詰生活だな」
生徒の死体から漁った缶詰を開けて、口に含ませる。パサパサしていてあんまりな味だ。
消火栓から空き瓶に水を汲んで飲み水を確保する。『
——ゴクッ…ゴクッ……
「あ、あれ、なんだこれ……普通に上手いんだが」
これは一大事である。消火栓から採取した水が、天然水ばりに美味い。ナナシの記憶では、消火栓の水はそこまで美味く無いはずなのだが……おかしいな。
「ま、まあこの現状がおかしいんだし、些細な事か!」
美味い原因は分からないが、まあ良いだろう。どうせナナシに美味い事転がり込んでくるのだ、無視して良いだろう。
とりあえず缶詰の食料と瓶水を食し各ゲージを回復させた所で、今後の方針を決める。
「とりあえずはこの場にい続けるのは確定か……?」
少なくとも、消火栓が使える内は居続けた方が良いだろう。水さえあれば後は腐肉でも食べれば生き残れるのだから。腐肉は食中毒にさえ目を瞑れば、それなりの素材である。
それと、
この現実にリスポーンシステムが存在するか分からないが、あって損は無いだろう。少なくとも夜寝るのには役に立つ。
あとは……ああ、焚き火が必要だな。それと鍋やビーカーも。
「……異世界転生ものだったら日本帰りたいとか言うんだろうが、この現状じゃ日本がコレだしなぁ」
全く、嫌な世の中になったものである。
数話書いたら飽きて辞めるかもです。ご了承下さい。