学園黙示録 〜7日も生き残れたら上々Death〜 作:シータが立ったァァア!!
——ひゃっほい、お気に入り沢山イヤッフゥー!!
という事でどうも。作者です。
有難うございます、こんな打ち切りフラグピンピン真っ只中の作品にお気に入り登録して頂いて。モチベーションがかなり上がっております。
序盤から原作フラグばんばんぶッ壊して行く気なので、それに拒否反応が出た方は今すぐブラウザバックを。
という事で本編、どうぞ。
ナナシは現在、校内の捜索に当たっていた。理由は勿論、物資の確保の為である。
現状の生活レベルは、芳しくない。消火栓から水を引き、食料は缶詰め。安定した生活を送るには、やはり農作をするほかないだろう。
幸運にも、学校では作物を育てていたらしい。割れてしまった窓ガラスから覗ける校庭隅では生きの良い緑色の葉が見えた。あれは……トウモロコシだろう。
「トウモロコシか、ラッキーだな。コレさえあればアルコールとガソリンの量産が出来る」
ナナシはこう言っているが、本来ならば間違いである。トウモロコシから取れるのはあくまで植物油であって、ガソリンではない。普通ならばコレで作った油などでバイクは動かないが……驚くなかれ、コレはバイクやチェーンソーを稼働できるのだ。
ゲームシステム様々である。
「お、あれは……教師か」
若干太ってしまっている教員を発見した。既に感染してしまったらしく、その視線は遥か上空へ、前から見れば白目を剥いていた。
しかも、そんな教員が今こちらへと向かって来ている。恐らく、奴は今食料を探しているナナシの同郷者だ。普通であれば協力したい所だが……
——バシュッ
バタン、と倒れるデブ教員。その額には今しがた放ったばかりの
「死人に口なし。交流できない奴と組む気は無いんだよ」
本来は違う意味だが、生憎と現代社会ではことわざは様々な意味を持つ。言葉の発信がどうであれ、結局使い方は現場の人間によって変わるのだ。
デブ教員をヘッドショットした所で早速searchする。今回も1秒かからずに中身を漁り終える。
今回漁ったのは……
「お、鉄パイプか。こいつは嬉しい」
穴の空いた短い鉄棒、鉄パイプである。フォージやミニバイを作るのに必要な材料なので、コイツは普通に有難い。
と言うか、これが無ければフォージが作れない、鉄パイプを作るにはフォージが必要と、鉄パイプを回収出来なければ鉄製品が使えないという、事実上の詰みとなってしまう。それだけは避けなければならないのである。
まあ今出たので大丈夫だが。
「それにしても……やっぱりアレか」
ナナシは自分の予想に近付くピースが揃って来ている事に気が付いていた。
そもそも、生徒が缶詰やリュック拡張材、果ては空き瓶など常備しているだろうか? いや、仮にそれらを常備している奴らが居たとしても、流石に空き缶を常備する奴はいないと思う。
それどころか今回は教師が鉄パイプ。コレを普段から持ち歩いているとしたら、異常としか言いようがない。
となると、可能性は一つだ。searchで手に入るアイテムは……恐らく、ランダム。
具体的には、その死体は持っていないが、searchする事によってナナシはsearchしたものをアイテムとして取得出来る、と言った所だろうか。
なんとも不思議なシステムである。
「まあアレのsearchさえ出来れば、確証が持てんだけどな……」
日本では手に入る事のないアレさえあれば……、と言いながら廊下を進んでいくナナシだが、考え事している中でも短槍射出作業は辞めない。向かって来るもの全ての頭部を吹っ飛ばし、颯爽とsearch、即座に解体と手慣れたものである。そして、クロスボウのパワーインフレはどうしたものか。
——きゃあああああ!!!
そんな作業を繰り返していた頃、廊下の角からから叫び声が聞こえて来た。つん裂く女の声である。
「……ん、もしかして
……殺すか 一瞬そんな考えが浮かぶが、即座に否定する。
ここはオンラインサーバーでは無い。ゲームのような世界では無く、リアルサバイバル状態なのだ。敵でもないのに味方同士で潰しあっている場合では無いだろう。
そうとなればさっさと合流するに限る。
ナナシはクロスボウを構えながら角を曲がる。するとそこでは既に、戦闘が始まっていた。
仮称ピンク色がドリルで《奴ら》の一体を裂き殺し、オレンジ色が槍突き、学ラン男と紫髪がバットや木刀で接近戦を繰り広げている。
「……へえ、後方支援もしっかりしてんのね」
奥の方ではぽちゃ男がネイルガン片手にマガジンを装填している。装填速度も速いようで、素早い対応が出来ている。
やけに冷静でゲーム的システムが付与されたナナシとは、違ったベクトルで凄い。これが天才か。
「へへへ、天才様にゲーム野郎が負けてられるかよ!」
気付けば反対側の廊下から増援が来ている。奴さん達は気付いて無いようなので、現状で早めの対応が出来るのは自分だけだろう。
ニヤリ、と口元が歪むのを感じながら、ナナシは《奴ら》の一体にクロスヘアを合わせる。
バシュッ、と空気を切り裂く快音が擦れた。見事ヘッドショットである。
「——え、弓矢!?」
ぽちゃ男が後ろを振り向いて叫んだ。彼の後方に《奴ら》が迫っていた為か、
それに、壁に半身隠し・しゃがみ撃ちして撃ったので、此方の姿が視認されはしなかったらしい。ミリオタならば周囲の警戒は十分だと思ったが、年相応、日本人感覚なのでそれなり止まりらしい。
「いやまあ俺もそうなんだけどさ」
冷静にリロードして即座にヘッドショット。異常なまでの補正が掛かってるらしく、現実だとは思えない程の命中率だ。
ナナシもこの謎補正、ゲームパワーが無ければ彼以下の雑魚と成り果てていたことだろう。本質は彼と同じだが、謎補正によってナナシは生かされているのだ。
——ガァあああ!!!
「おっとっと。随分と元気が良いな」
クロスボウから世紀末バット、トゲトゲバットに持ち替えてヘッドバッシュ。一撃で頭部を破壊する。
《奴ら》が近付いてくるのは音で分かっていたが、流石に注意不足だったか。音では距離の詳しい部分までは測れないので、視認での確認が必要だろう。
それからもナナシの支援は続いた。適当に撃つ弩矢がヘッドショットを食らわし、近接組が率先して潰していく。ピンク色は何も出来なかったらしいが、そこはぽちゃ男がカバーしていたようだ。流石である。
「……で、あんたは誰よ」
場所を変えて教員室に移動した後、冷静を取り戻したピンク色が此方に鋭い眼差しを向ける。歓迎はされていないようだ。
「さぁね。自分自身でもよく分からないや」
肩透かしを見せて、手を中腰にあげてヒラヒラと。
今まで彼は普通にゲーム通りの行動をしていたが、実はナナシ、記憶が無いのだ。しかも、自分の身の回りの事だけすっぽりと。
まあ今のナナシにとって重要なのは生き残る事なのでどうでもいいと考えているが。
「分からないって……名前くらい教えなさいよ」
「だから知らないんだって。お前らの好きに呼べばいいさ、ナナシでも、ゴンベエでもさ」
だんまりを貫く一同。皆表情が険しい。
ナナシは至って真面目に答えているが、ゲーム感覚で答えている為非常にラフな受け答えをしている。ふざけているとでも思われているのだろう。
これはマズイ。このままではナナシは、最悪別行動を強いられるだろう。なんとか解決しなければいけない。
「君はもしかして……記憶喪失、なのか?」
「ん、まあ簡単に言えばそうだな」
しかし、その最善の解決策は、助け舟は予測出来ない方向から飛び出して来た。紫髪の少女である。
「記憶喪失って、あんたなんでそんな冷静でいられんだよ!」
バットをブンブン振り回していた少年に小さく怒鳴りつけられる。
なんで、と言われても、彼に答えられる答えは一つしかない。
「今一番しなきゃならないのは記憶を探す事よりも、生き残る事だから」
即ち、過去に取り憑かれていないで現在を生きるという事である。今が無ければ未来に行けないし、過去を発掘する事も出来ない。
闇雲に動いても仕方ないのである。
そうそう、闇雲と言えば。
「ところであんた達は、この後どうするんだ?」
「私達? 勿論学園を出るのよ」
「学園を出る? それで次はどうするんだ?」
「何処か安全な場所を探すのよ! 分かるでしょ!?」
どうやら彼女達は、何か勘違いしているのかもしれない。この学園外に、ここ以上に安全な場所があると思ってるらしい。
「……愚かだな」
「なんですって!?」
ピンク色が反応するが、その判断は実に愚かだ。放浪者プレイをするのもいいが、生き残る事を最優先に考えるのならばある程度大きな建物に立て籠もって、そこを強化していくのが最善である。
序盤の3、3周目だったら一軒家の周りに『ウッドスパイク』を張り巡らせて防御力UP、その間に素材を集めて強化、その後に本拠地の作成に移るものだ。
これなら序盤は自宅周辺で死ぬ危険性は少ないし、朝になれば死体漁りも出来る。木製だからコストも低い。流石にフェラゾンには敵わないが、それなりの相手だったらこれで十分なのだ。
それに比べて放浪者プレイは拠点を構えていない為、夜になったら地面掘って寝るか何処かの拠点を借りて休まなくてはならない。つまり、一つの拠点を強化出来ないのだ。
「まあ、自ら茨の道を進むというなら俺は止めないけど」
実際、彼らとナナシは違う。元々出会わなかったかもしれない間柄なのだ、合流しなくても良いだろう。つまり、彼らが行くというのならナナシは止めない。その代わりに、ついても行かない。
「茨の道って……!!」
「……なら、君はどうするつもりなんだ?」
ピンク色は依然とした憤怒したまま。それと反対に紫髪は至って冷静だ。此方の意図を探ろうと鋭すぎる眼差しを向けている。
「どうするって、決まってるだろ。……ここに住むんだよ!」
……。
「「「はぁぁあああ!!?」」」
「……」
「……ふぇ?」
反応は三者三様だ。今しがた叫んだピンク色とオレンジ色と男。その言葉を聞いて顎に手を置く紫髪。そもそも意味が分からないとばかりに呆ける金髪。
いや、普通の考えじゃね? とかナナシは心の中で思っているが……はっきり言わせて貰おう。ゾンビだらけの学校に住もうなんて異常者は、お前だけである。
「あ、あああ、あんた何考えてんのよッ!! こんな《奴ら》だらけの場所に住もうだなんて、おかしいんじゃない!?」
「……そこまで言うか? 普通」
「言うわよ!!」
ピンク色の言葉に、若干弱ってしまうナナシ。何気に今までマジメですね、これどうやるんですかと頼りにされて来た身としては、少しばかりでない心の傷を負ってしまったらしい。まあ、ピンク色の言っている事は当たり前のことなのだが。
「はぁ……まあ、良いや。じゃ、お前らはこの学園から脱出するって事で良いんだな?」
「勿論よ!!」
こう言われてしまったら、ぐうの音も出ない。ナナシは即座に撤退の準備と、次なる進行ルートを決める。今は素材集め中だったのだ。
「待ってくれ、3年生」
ふと静寂の中に紫髪の声が響く。三年生君、呼んでいるぞ。
ナナシは気にもせずに歩みを進めようとするが……
ガシッ。
何故か肩を掴まれた。
「君の事だ、三年生。少しは待ちたまえ」
いや、自分三年生なんて歳じゃないんですけど……、そんな事を一瞬思ったが、自分の姿を確認して理解した。
自分が学ランを羽織っている頃から思っていたが、妙に身体が軽いのだ。今の証言も踏まえて考えると恐らくだが、今の自分は若返っている。その、3年生位に歳にまでは。
「……何か用か?」
またしても謎補正が掛かっている事にとてつもない不安を感じたせいか、ぶっきらぼうに答えてしまう。なぜ俺はちゃんと考えれないのだ!
「君はさっき、この学園に住むと言っていたな? しかしこの学園には《奴ら》がまだ沢山いるし、食料だって底が尽きてしまう。一体どうするつもりだ?」
ああ、そんな事かとナナシは軽く答える。
「《奴ら》だったら全て駆逐すれば良い。食料だったら農業をすればいい。これで解決だろ?」
再度、全員絶句。目の前の男が何を言っているか分からないようだ。いや、理解出来ないと言った方が良いか。
このメンツの中で一番冷静な紫髪が若干遅れて、
「そ、それは本気で言っているのか? この学園全体が《奴ら》化しているとしたら、《奴ら》は少なくとも五百体以上いる事になるんだぞ? それに農業なんて、どれだけの環境と時間を要すると思っている?」
確かに普通の人間から言えば、そう思うのも無理はない。五百体以上のゾンビなど、気が遠くなってしまう。しかも、農業だって彼女が言った通り大変だ。
しかし、そんな常識は彼には通用しない。視界にクロスヘアやパラメーターが見えているゲーム人間に、現実のルールなんて関係ない。
《奴ら》を排除するのは作業だと割り切れる人間だし、農業なんて約4日で成長しきって収穫できる。とうもろこしが確認出来たので、少なくとも農業が出来るのだ。
故に、ナナシは悠々と答える。
「ああ、その程度の問題ならばどうって事はない。すぐに片がつくさ」
ナナシは、自重しないのである。