学園黙示録 〜7日も生き残れたら上々Death〜   作:シータが立ったァァア!!

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 どうも。作者です。

 まずは、沢山のお気に入り登録、ありがとうございます。たった5話で100名以上のお気に入りをされるとは、思いもしませんでした。本当にありがとうございます。

 それと、今話で1日目が終わります。やっと【1DAY】の呪縛から解き放たれます。出来の悪さはお察し下さい。

 という訳で本編、どうぞ。






1DAY ——寒さ対策には万全を。+α

 

 

 あの後、紫藤とあの金髪筋肉は、ナナシの忠告通りに逃げて行ってしまった。流石にコンクリートを破壊したのはビビってしまったのだろう。

 しかし何故か学園内には残らず、適当な車を起動して、市街の方へと。物資は積んで居なかったが、大丈夫なのだろうか。主に、餓死的な問題で。

 

 

「……っと、他人の心配をしている場合じゃないな」

 

 

 呟きながらも、ナナシは作業は続ける。

 現在ナナシが行なっているのは此処での生活に必要な、最低限の準備作業である。具体的には、焚き火やフォージ、寝袋の作成である。

 

 焚き火は小石を8個、寝袋は草20個、フォージは鉄パイプやら何やら沢山必要なのである。これだけの材料を1日目で集めきるのは、何気に大変な作業である。

 

 が。

 ここはゲームとは違い、NPC的なポジションとしての協力では無い、はたまた敵対サバイバーでも無い、リアル協力者がいる。彼らに学園内の鉄やら草やら取って来て貰えば、時間対効率は上がる。

 

 因みに、この作業の中で一番材料が必要になるのが、寝袋である。寝袋は一つ作る為には草が20個しか要らないので一人プレイの時はそこまで材料回収に走る必要はないが、今回は沢山の生存者(サバイバー)を拾って来た。

 その数およそ、15人! ナナシも含めると16人なので、寝袋に必要な草は全部で320個である。

 ゲームならば草を160回殴るだけで集まるが、現実だと流石に作業効率は落ちる。一人では、時間が足りないのだ。

 

 

「ナナシくん、この葉っぱは此処でいいの?」

 

「ああ、其処に置いておいてくれ」

 

 

 と、言うわけで草刈りに行って貰ってきた。メンバーは非常階段組みこと、卓造くん達御一行である。

 頭に? を浮かべながらもちゃんと働いてくれたので、夜までには全員分の寝袋は完成しそうである。

 

 また、夜の学校は非常に寒い。校舎内ならともかく、今回は屋上である。凍えて死んでしまうってもんじゃ無い。

 つまり、焚き火も必須なのである。そして、それに使う為の燃料(木材)も。

 生憎と、生徒諸君の力では木を伐採するのは難しい。戦闘ならともかく、伐採などは彼らの専門外である。

 

 まあ、ナナシにとっても専門外であるが。しかしそこは腐ってもゲーム人間、クロスヘアを学園内の大木に合わせてせっせこと切り倒していった。

 なので、燃料の心配も無いと言うわけだ。

 

 

「……よし、全員分の寝袋が完成したな」

 

 

 脳内インベントリを確認し、全員分の寝袋の完成を心の中でガッツポーズして歓喜するナナシ。何気にナナシは、マジメに生きていく予定なのだ。

 と言うわけで早速寝袋を配置……する訳ではない。ここは屋上である。温度システムが存在するゲーム内でも、外の夜は寒い。夜に厚着しないで作業すると効率が悪くなる事から、それは明らかだ。

 先ほど屋上で寝泊まりすると言ったが、何もそのまま寝る訳ではない。そんなんでは寒気に襲われて良好な睡眠が取れる訳も無い。まあ一番は屋内に泊まれれば良いのだが。

 

 だが、焚き火が無ければ熱を安定して供給するのは難しい。そこで困った事に、焚き火を使用するには屋内では色々と都合が悪いのだ。

 第一に、二酸化炭素中毒になる。新しい酸素が供給し難い屋内では、当たり前かも知れないが。とは言ってもゲーム内ではそんな描写は無かったので、無いとも限らない。屋内に設置しないのは現実ならではの危険性を考えて、だ。

 第二に、燃え移る危険性。此方もゲーム内では生き物にしか燃え移らなかったが、現実ではどうかわからない。校舎に火が着いたらそれこそジ・エンドである。

 

 この二つの危険性を踏まえた上で、屋上で寝泊まりする。そして、夜風などに当てられずに良好な睡眠を取るには。

 

 

「ゲームの木材で小屋を作れば良い」

 

 

 さて、ここで新情報だ。

 

 《奴ら》から色々とsearchしていたナナシは、その途中に幾つかの卵を拾った。鮮度とかはゲーム内では関係無かったとは思うが、とりあえず食べて見ようと思って調理しようと思ったのだ。

 そこで屋上の端に一つ、焚き火を設置した。その際にミスって手に持っていた卵をそのまま落としてしまったのだが……なんと、燃えない。

 

 燃えないのだ。

 ナナシはこれに疑問を抱き、searchして手に入れた火かき棒を使って卵を取り出した。そして、何の躊躇も無く、触れた。

 その際触れて感じたのは、熱みや痛みではない。ただの、ちょっと冷えている卵の殻の感触だけだった。

 

 その後ナナシはインベントリから幾つか材料を入れて投入してみた。くず鉄、空き缶、ジェル、木材。これらの全ての素材が、木材までもが燃えなかった。

 

 そこで今度は逆に、彼ら、非常階段組みの持って来た草を幾つか投入した。

 彼らがとって来た草はナナシがクロスヘアを合わせる事でインベントリに2ずつ増えていき、素材と化す。勿論、素材と化した草が燃えなかった。

 

 しかし……そのまま投入した草は、燃えた。

 当たり前だ、ただの草が燃え盛る火炎の中に入れられて燃えない方がおかしいのだ。これはある意味当然と言える。

 

 そこで、ナナシは仮定を建てた。つまり、ナナシのインベントリを通したアイテムは、取り出して火に投げ入れても、燃えない、という事だ。

 ここら辺の事情がナナシにもよく分からない。というか、この現状も、クロスヘアがある視界も、脳内インベントリもよく分からないのだ。今頃一つ増えた所で変わらない。

 精々ナナシができる事と言えば、この現状を利用することだけだ。

 

 

「ふんふんふ〜ん♪」

 

 

 鼻歌を歌いながら、ウッドフレームで小屋を作っていくナナシ。屋上の一部を使ってしまうが、仮小屋なので別に問題はない。いつかは取り壊す運命なのだから。

 ゲームの木材が燃えないならば、焚き火を近づけても問題ない。ナナシを通してない校舎の床や壁は分からないが、今作っている小屋ならば燃え移る心配は無い。

 更に屋外である為、二酸化炭素中毒になる心配も少ない。ここは、現状で最高の立地条件だったのだ。

 

 ウッドフレームを配置し終え、手に持つネイルガンですぐさま一段階強化していく。フレームだけだと風が貫通するが、板を取り付ければその心配はない。

 小屋の四すみに縦3マスの支柱、その間に縦2マスの壁を作った後に、天井を配置していく。わざわざ1マス分空洞を作ったのは、空気入れ替えの為だ。

 

 そして天井も完成した頃、ナナシは小屋の中央に焚き火を配置した。ウッドフレームを割った柵にような物で囲めば、あとは完成である。

 焚き火から2マス分開けて、寝袋を配置していく。

 

 

「な、何よこれ——っ!」

 

 

 ふと後ろから声が聞こえた。見て見れば、いつの間にかピンク色が帰って来ていたようだ。

 以外に帰りが早かったな。もう3Fの回収作業が終わったのか。鉄素材の回収、もっと掛かると思っていたのだが。

 

 

「ああ、高城か。もう鉄素材は引き出し終わったのか?」

 

「ええ、一応ね………ていうか、これ作ったのって、もしかして……」

 

「ああ、俺だ」

 

 

 逆に、ナナシ以外に誰がいるのだろうか。この場にはナナシ以外、誰も居なかった。皆回収作業に繰り出していたのだ。なんでも言う事を聞くので、最早ナナシの奴隷である。

 まあいいか。ナナシの言葉を聞いて呆けている高城をそう判断し、ナナシは次の作業に移る。

 

 次は、フォージの設置である。粘土やleather(なめし革)を適当な教室から回収して来たので、もう素材が集まっているのだ。

 チェストから各素材を引き出し、前に焚き火を設置した屋上の隅へと向かう。作業場はやはり、人の住む区間から避けた方が良い。HEAT値的に。

 

 

「まあこんだけ近かったら意味ないかも知れないが」

 

 

 そんな事を言っている間に、フォージは完成する。ゲームを始めた頃はあれだけ苦労して手に入れたフォージが、まさか1日目で作れるとは、驚きである。

 何故この状況がゲームで出来なかったのか、不思議である。

 

 

「そんな事より、精錬だ!」

 

 

 適当に叫びながら、空き缶やら鍋やらを順次投入してスクラップにして行く。脳内インベントリでスクラップするよりも取得スクラップ数が多いので、わざわざフォージが手に入るまでスクラップしなかったのだ。

 

 ある程度の数、約500辺りスクラップ出来た辺りで、ひとまずスクラップ材料を取り出す。最初はこんなもんだろう。

 すぐさま今しがたスクラップした『くず鉄』を投入、粘土も30つ位投入したら、後は完成を待つだけだ。

 

 しかし、待つだけでは面白くない。時間も勿体無いので、その間違う作業をする事にした。

 ナナシは再びチェストを解放、今回開けたのは食料品用のチェストである。

 チェストから卵を5つほど取り出したナナシは再び屋上隅へと移動、今度は焚き火の方へと視線を合わせた。

 今回作るのは、ゆで卵である。

 

 

「えーと、ここに鍋を配置して……っと」

 

 

 ストックしてあった鍋を調理用具のスロットにセットして、早速『ゆで卵』を作る。瓶を消滅させて水を使うので、あまり使いたく無いが、フォージが使える今となっては大した問題では無い。

 気にせず『水入り瓶』を消費して『ゆで卵』を作る。

 

 

「後やって置きたいのは……」

 

 

 校舎内に《奴ら》を入れない為の防衛柵、ウッドスパイクを校庭に配置して置きたい所だが……生憎ながら、時間が無い。

 現在時刻は7時半。あと数時間すればゾンビが走り出す時刻である。この現実で《奴ら》が走るかは分からないが、わざわざ危険を犯す必要は無い。

 一応《奴ら》の駆除は行ったが、自然湧きするかも分からないのだ。今日の夜くらいは、じっとしておいた方が良いだろう。

 

 

「じゃ、量産だけはしておきますか」

 

 

 脳内インベントリから木材を400個取り出す。なぜかは知らないが、このウッドスパイクはアップデート前のようで、必要素材は4つ。超低コストで作れるので、あの時ウッドスパイクを量産出来たのだ。

 何故アップデート前に戻ったのか知らないが、嬉しい限りである。

 必要素材が少ないことにほっとしたナナシは、ウッドスパイクを100つ量産するよう、クリックした。

 

 さて、やる事はやった。フォージも寝袋も小屋も作ったし、精錬鉄も作っている。1日目にしては上々の結果である。

 これならば、最初の一週間くらいは生き延びられそうだ。

 

 

「……頑張らないとな」

 

 

 ナナシの地獄生活は、まだまだ始まったばかりである。

 

 

 

 

 

 ■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

 

 

 俺が彼に出会ったのは、偶々の出来事だったのかも知れない。

 

 

 あれは、進学したばかりの、桜が綺麗に舞い散る春の事だ。その時の俺は、ちょっとした理由で授業を抜け出していた。理由は伏せておく。

 そんな時に、教師たちが校門で何やら言い争っていたのが見えた。何やら手島が門に体当たりしている男に掴みかかっていたようだった。

 そんな時、手島が何やら腕を抑えて、倒れた。腕からかなりの量のが出血していて、倒れた後は動かなくなっていた。

 なっていたはずだが……そんな手島は急に動き出し、卓球部の林に、いきなり抱きついた。そして、首元を食い千切った。

 

 この瞬間、俺は言い表せない恐怖を感じた。

 手島が腕をヤられたと思ったら今度は手島が林の首を食い千切る。異常としか言いようが無かった。

 

 

 ——逃げなければ

 

 

 本能的に、そう感じた。これが広がるのは時間の問題だ。早くこの場所から脱出しないと、そう思った。

 その考えに至った俺の行動が実に早かったものだ。すぐさま幼馴染の『麗』の元へ行き、彼女を連れ出した。周りのやつは相手にしなかったが、元親友である『井豪』だけは何かを察してついてきてくれた。

 

 その後俺たちは屋上へ行った。連れ出して武器を——バットや箒の杖部分を武器に取った俺たちは、屋上へ向かった。あそこは広い。先ほどの放送、絶叫の放送で混乱した1Fに向かうよりは、遥かに広い場所を選んだ方が良いと、井豪の判断だった。

 

 しかしその途中で、井豪は噛まれた。噛まれて、屋上で《奴ら》と化す直前に、俺に殺された。

 麗は必死に庇っていた。まだ助かる、『永』は助かると——でも、俺は彼の意思を尊重した。いや、尊重なんてしていなかったのかもしれない。何故なら俺は、彼を恨んでいたから。

 

 その後屋上からなんとか脱出して、学園の外を目指す事にした。麗の親父さん——公安の警部補との連絡が一方的にだがつき、此方からは話せなくとも、情報を仕入れられたからだ。

 麗の親父さんによると、この地獄の現状は街全域で広がっているらしい。勿論、俺たちに行く宛はない。だから精々俺たちに出来るのは……この学校から、逃げる事。

 

 生き残りを拾いながら逃げようと思っていた。そんな時に、同じく幼馴染の高城の叫び声が聞こえた。だから、俺たちは彼女の元へ向かって《奴ら》から彼女を守ろうと駆けた。

 現場に到着した頃には、4人の人間がそこにいた。高城や、木刀や釘打ち機を手に持った他の生徒。彼らと協力して《奴ら》を撃滅した。

 

 ——いや、一つ間違いがある。この場にもう一人、人間がいた。3年生の、名前のない先輩だ。

 生徒手帳のようなものは所持していないらしく、更に記憶喪失。彼はこの現状では最悪な状況だが……何も気にしていないかのように、その手に持つクロスボウで作業のように、《奴ら》を排除して行った。

 

 その後彼は何を思ったのか、この学校に住むと言った。この《奴ら》だらけで、食料の少ない学校で。

 

 周りの皆は彼の反応を『イカれている』と批評していたが……俺は正直言って、彼について行こうと思った。

 俺たちはまだ学生だ。街中でこんな地獄が広がっている中で、俺たちは逃げるしか出来ない。だが彼は、この現状と正面から向き合っている。

 逃げるのでは無く、自分の居場所にしようとしている。この考えに、俺は心打たれた。

 

 だからこそ、俺『小室(こむろ) (たかし)』は断言しよう。彼は、この中のメンバーで、一番に"強い"と。だからこそ俺は——

 

 

 ——彼について来て、良かったと思っている。

 

 

 

 

     〜いつか何処かであった少年の心情 終〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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