探偵課新米教師の伝説   作:俎上の鯉

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皆様初めまして。俎上の鯉と申します。

今回こちらのサイトで初めての投稿となります。
初めてだから大目にみてくださいというようなことを言うつもりはないので、批判などありましたら遠慮せずにおっしゃってください。

高評価や低評価をつけてくれる方はよろしければ理由も添えていただけると勉強になるので嬉しいです。

しばらくはプロットを見直しながらの投稿になりますので更新速度はゆっくりになると思われます。

それではよろしくお願いしますねm(_ _)m


プロローグ

その男は普通だった。

 

容姿は普通だった。

見る人によって評価は変わるのだろうが、その男の中では中の下から中の上に属するくらいの顔だった。

アニメやライトノベルの主人公がよく言うなんちゃって中の中というような容姿ではない。

東洋人らしい短頭型に、決して高いとは言えない鼻、少し太めの眉、視力に影響された目つきの悪い眼はこれも東洋人特有の黒色、他人に比べてかなり太くクセの強い黒髪、一文字に結んだ口と、どれも個性の一言で片付けられるようなパーツを持っていた。

褒めるところがあるとすれば、男性にしては小顔であることや、眉の形が整っていること、変則的なオールバックに撫で付けた髪型とその男の持つ雰囲気が混じり合ってやり手のサラリーマンのように映ることくらいだろうか。

 

体格は普通だった。

彼の両親は父親が181cm、母親が170cmと、同世代では高身長の部類に入るのに比べて、彼自身は173cmと日本人男性の平均あたりで成長が止まっていた。体重は60kgであり体脂肪率は一桁に抑えられていたが、これは彼の親同様太りにくい体質の中でそこそこのトレーニングを積んだ結果であり、決してアスリートのような肉体と言うことはできない。熱心に部活動に励んでいる中堅校の高校生のような肉体を持っていた。

 

運動能力は普通だった。

幼い頃から屋外で遊ぶことが多く、体力的には同年代の中でら上の中から上の下に位置するくらいだった。

スポーツテストではA判定以外を取ったことはなく、運動神経も悪くなかったが精々その程度だった。

学年に一人はいるどんなスポーツでもすぐにできてしまう人のような器用さや並外れた運動神経はなく、むしろ球技などの身体そのものを使うだけではない種目は少々苦手に感じるどこにでもいるような人間だった。

身体の使い方が上手く筋力に対して出せる力が大きかったりはしたが、20kgも上の人間が出すような力には到底及ばなかった。

 

生活は普通だった。

そこそこ裕福な両親のおかげで少年時代は不自由を感じることがなかった。

共働きの両親は男の少年期に家政婦を雇うなど、他の家庭では見られないようなこともしたが、それでも特に甘やかされて育ったわけでもない。

中学生の頃にしっかりと中二病を発症し、大人になった今でも思考回路や言動にちょくちょくその残り香が感じられるような男だった。

無口で人見知りなところがあったために、友人が多いとは言えなかったが、その分、友人たちとは深い付き合いをしていた。

学生生活や社会人生活は女っ気がなかったが、それほど気にすることもなく、そのうち恋人を作って結婚するんだろうなぁと思いながら日々を過ごしていた。

 

頭脳は少しだけ優秀だった。

幼い頃に母親が絵本を大量に読み聞かせてくれたことが影響したのか、物覚えが良く、他の子供達よりも早く難しめの(と言っても所詮小学校低学年が読むような)本を読み始めた。おかげで幼稚園などでは神童などと呼ばれたりはしたが、全国を探せばそんな子供はいくらでもいるだろう。

中学受験を経て都内の中高一貫の進学校に入学し、上の下くらいの成績を維持して、卒業した。

数学や物理、化学、英語の偏差値は常に70以上をキープするくらいには優秀だったが、高難易度の模試で満点近くを記録したり偏差値85以上を記録することは無かった。

大学は日本最高峰の理系大学で単位やレポートに追われながらも、留年や飛び級をすることなく正規過程6年で大学院を卒業した。

大学で出会ったロシア語に魅了され5年かけて日常会話程度ならこなせるようになっていたが、語学に対して並外れたセンスを持っていたわけでも無かった。

 

家柄もそこそこ良かった。

両親はそうでもないが、親戚を探すと官庁勤めや警察官僚、昔の総督府の高官などがいるくらいには良かった。

祖父母の家は戦時までは常時10人弱のお手伝いさんがいるほどの、所謂、地方の名家であったがそれでも大臣などの経験者がいたことはなく強い影響力を持つ家では無かった。歴史上の有名人が先祖にいたわけでもない、ただの豪族出身の一族だった。

実家はお金や土地を少なくないくらいには保有していたが一人が一生遊んで暮らしていけるほどの財産は持っていなかった。

 

 

 

これはそんなちょっと優秀な男が非日常に飛び込むお話。

 

 

 

 

 

 

 

 

彼は大学を卒業した後、彼が大学で研究していた内容を活かせる進路を希望し、無事、第一志望の企業、日本の国防を担っていると言われてもおかしくない企業に入社することができた。彼自身は就活に苦労することもなく研究室推薦でそのまま内定をもらっただけではあるが。

彼は入社1年目から軍需産業を担当する部門に配属された。通常1年目の社員がそのような分野に配属されることはあり得ないが、彼の父の従兄が当時の海上幕僚長出会ったことが影響したのであろう。

信用や会社の持てるコネを考慮した上での異例の配置だった。

その後、彼は大きな貢献をすることもなく、かと言って無能を晒すわけではなく、新入りとして当然の能力を発揮して懸命に働き続けた。

 

 

そしてその4年後__________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___________________彼はスパイ容疑で拘束された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自衛隊内部で起きた機密情報流出が2年経って発覚。

ロシアに流出した機密情報は内閣総理大臣や官房長官、防衛大臣などの一部閣僚と防衛省の武官を含む高官などしか触れることのできない内容であり、当時の海上幕僚長も当然疑われた。調査の過程で、ロシア語能力があり2年前に軍需部門へ異例の配属となった彼が浮上。その上彼の大学時代からの友人が同時期に日本を出国していたことが判明した。

その結果、防衛省から依頼された警視庁公安部により休日の家を強襲され拘束された。

普通の警察であればそのような乱暴な手段は取らなかったのであろうが、丁度その仕事を受けたのが第0課であったことが災いした。

彼らには法に則らない乱暴な捜査が認められており、また、場合によっては被疑者を殺害することも認められている。

彼は家で休んでいたところにスタングレネードと催涙弾をお見舞いされ当然のように拘束された。

公安0課は公安警察という戦闘能力の高い集団の中から選抜された超人集団であり、身体能力が高いとはいえ一般人の域を出ない彼には抵抗することすらできなかった。

 

思想検査や嘘発見器にかけられ、尋問や身辺調査などの2ヶ月に及ぶ捜査の末、彼の無実は証明された。

本日10時を以って彼は釈放されることになっている。

当然、警察からの謝罪は受けているし、賠償金も受け取っている。事件が事件だけに捜査内容は公開されておらず彼の拘束も世間一般には知られていないため、警察としても隠しておけるものなら隠しておきたいことなのだろう。8桁ほどのお金は受け取っているし、彼も国防に携わる者であるため捜査の重要性は理解している。警察に文句を言うつもりは殆どない。

あるとすれば、、、0課の急襲くらいだろうか。

あのせいであそこの地域には住めなくなってしまった。この時代は近所付き合いもあまりないし逮捕された自分のことなんて広まらないとは思っているが、少なくとも同じ地域に住むことはできない。

会社も2ヶ月近く休んでいるので肩身は狭くなるのだろうし、同じ部署に居続けることも難しいだろうから転勤やら退職やらを考えている。

別の職を探す時間とお金は十分にあるのだから構わないし、警察からも最大限の支援はすると言質を取ってある。

警察庁の高官が身内にいたことが原因だろう。公安0課はその圧力さえ無視して自宅強襲などの暴挙に出たのだから驚きである。

 

 

 

_________________

 

 

特別留置所で最後の朝食を摂り終え、荷物を整えて出所する。

「お世話になりました」と社会人として最低限のマナーとともに頭を下げ厳重に閉められた扉から外にでる。

今回のような重要な事件の関係者は警視庁の最深部にあるこの場所で取り調べを受ける。

なので扉から出てもまだここは警視庁の中であり、目隠しされてここに連れてこられた自分としては出る方法がわからない。

留置所の主任からは案内がいるからと聞いているんだが・・・?まだ来ていないのだろうか。

まさか、勝手に動き回るわけにはいかないしこの場所で待ってみるかと待つこと10分。ようやく迎えが来たようだ。

来たのは185以上ありそうな大男。確か自分の家を強襲したメンバーの一人だ。名前は、獅堂とかいったか?

 

「おう、悪りぃ。待たせたな」

 

なめてんのかこいつは。

10分遅れて謝罪もなしにそれか?

そもそもこいつ自分と同い年くらいに見えるんだが。年下だったらタダじゃおかんぞ。

 

「待たせたなじゃねーよお前、ついでにこの前はよくやってくれたな。お前らのせいで俺はこれから引っ越し先探さないといけないんだが」

 

つられて俺の口調も雑なもんになる。礼儀しらないやつに口調とか知ったことか。それよりこっちも2、3言いたいことがあるんだ。

 

「仕事なんだから仕方ないだろう」

 

獅堂は何も気にしないように言う。そりゃ、そうなんだが。

 

「やりようは他にもあっただろうが。いきなり催涙弾と閃光弾投げ込む必要がどこにある」

 

「閃光弾?……あぁ、スタングレネードのことか。お前さ、バカなの?」

 

「は?」

 

「スパイかもしれねー奴の家に行ってピンポン鳴らして、もしもし警察ですけどもスパイ容疑で拘束させてもらいますなんてやると思ってるのか?そりゃ、他の課の奴らはやるかもしれんが。お前がスパイだったらどうすんだよ、自爆されたらどうすんだよ。とっとと無力化して拘束すんのが一番早いに決まってんだろ?狙撃しなかっただけありがたく思え」

 

「ぐ・・・」

 

言ってることは正論なんだがなんでこんなムカつくんだろう。口調かそれともなぜか俺が感謝する流れになっていることか?

 

「これだから一般人は・・・。まぁ、そんなことはどうでもいい。今日はお前にちょっと聞きたいことがあってな」

 

「・・・なんだ」

 

「お前なんであの時あのガスの中で動き回れた?その前にスタングレネード食らってるのにだ。それと、お前反撃しようとしてたろ。構えも動作もまんま素人だったけど目ぇ潰してんのにこっちの位置がわかってるみたいに動いてたのは見えてたぞ」

 

お前こそなんで見えてんだよバケモンか。

 

「いや、俺らは訓練受けてるからあれくらい耐性あんぞ?」

 

思考を読むなっ。

 

「生まれつき目が悪くてな、その分耳がいいんだ。そこそこの音がすれば大体の位置と重さはわかる。もちろん誤魔化そうとされるとわからないんだが」

 

「ふーん、訓練不足か。伝えとくわ」

 

「好きにしろよ・・・、それより早く案内してくれ。俺は早く家と職場探さんといかんのだ」

 

「職場?お前まだ辞めてねぇだろうが、あっちもお前の事情鑑みて復帰させるつもりだって言ってるだろう?」

 

何を不思議そうにしてんだコイツ。

 

「あのな、2ヶ月も休んでんだ。いくら会社が事情知ってるとはいえ肩身狭くてやってけない。それに家はどうする?お前らのせいであそこ一帯には住めなくなっちまったんだぞ。俺は研究内容が評価されて今の会社入ったんだし転勤してもなんもできないだろう・・・できるかもしれんが気が進まない」

 

「それは悪かったな」

 

「や、まぁ仕方ないのはわかってるからガチトーンで謝られても申し訳ないんだが」

 

「こう言うのは一応形だけでもやっとくもんだ」

 

「最初からやっとけアホ」

 

お互いに軽く笑いながら進む。言動はガサツだけどそんなに悪いやつじゃないんだな。

 

「んじゃ、とりあえず家決まるまではこっちで泊まるとこ手配しとくぜ。行くとこないんだろ?」

 

マジでか。そうしてくれると正直者すごい助かる。

 

「いいのか?」

 

「ああ、今回こっちにも責任あるのは間違いないしな。それに、警察庁もうるさいんだよ、お前の親戚だろ?あの人」

 

「そういうことか。んじゃ恩に着る、なるべく早く新居見つけるけどそれまでは使わせてもらうぜ」

 

「あいよ、その前によるとこ寄っていいか?一応今回のメンバー全員で謝罪はしておきたい。お前の言ってたことも正しいのはわかってるからな」

 

別にそこまでしてくれなくてもいいんだが。わざわざ断ることでもないしな。

それに了承してから獅堂の車で0課が普段使用している訓練場に行くことに。

謝罪する相手を訓練場なんかに連れてくか普通・・・そっちから来るもんだろ、聞いてる通り狂ってんな色々と。

 

 

 

 

この選択がこの後の俺の人生を大きく変えることになることを俺は知らなかった。




ご拝読ありがとうございました。


大体1話5000字程度で構成していきたいと思っております。
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