ファイアーエムブレムifでやってみた   作:609

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第二十五話 大広間への道

自分は主君の為に尽くす。

たとえ誰が敵であろうと。

それが、実の弟であろうと。

そう。

これは、自分が五代目サイゾウの名を受け継いだから。

自分は我が父を誇りに思う。

だからこそ、父のように立派な忍びになる。

 

自分は病弱な兄に代わって、くノ一として主君に仕えていた。

一族の代表として就く。

責任がある。

だが、私が使えた主は、どちらもとてもいい人で、凛々しかった。

最初はミコト様に仕えていた。

だが、そのミコト様が息子について欲しいといった。

そこには、同僚がいた。

そう。

元、恋人と共に仕える事となった。

彼と共に任務にあたる。

別にだからと言って支障はない。

お互い、主君の為に動く。

それだけだ。

そう、それだけ。

何故なら今の主君も、前の主君も大切な方だ。

だから、自分は進むのだ。

 

自分は暗夜王国が憎い。

家族を殺した暗夜王国が。

自分は呉服屋の娘だった。

暗夜王国にも、商売をしに行っていた。

けれど、家族は暗夜王国の者に殺された。

自分は家族が襲われたとき、荷物の中の影に隠れていた。

だから無事だった。

大切な家族を奪った暗夜王国が憎い。

だが、すべての暗夜の者が憎いわけではない。

自分を育ててくれた養父母の恩を返すために、王城兵になった。

そこで自分は出会った。

大切な主君に。

そして、彼に恋心を抱いた。

あの方の傍に入れるだけで幸せだった。

だから守るのだ。

失わないために。

 

自分は主君の笑顔が好きだ。

自分は主君を大切に思っている。

時に友のようにも、接している。

だって、主君は大切な友でもあるのだから。

同僚が主君に恋心を抱いているのも知っている。

自分はこのメンバーで笑いあえる今が大切なのだ。

 

 

--カムイは手を握りしめる

大広間に行く通路の最後の部屋。

底に入ったカムイ達。

彼らはみな、眉を寄せていた。

それは、目の前には透魔国民がいたからだ。

彼らは武器を構えて、自分達の前に現れてた。

 

「まさか、ここで待ち受けていた敵が透魔の国民だったなんて……」

「気を付くな。彼らを見て解るはずだ。彼らは……生きるために戦いを選んでいると」

「はい……ですが、彼らは……いえ、だからですね。皆さん!行きますよ!」

「「はい、カムイ様!」」

 

その言葉に、スズカゼとジョーカーが駆け出す。

イムカもまた、剣を交え始めていた。

 

カムイも戦いながらイムカを見る。

彼女は仮面を付けているために表情は解らない。

だが、自分はなんだかわかる気がするのだ。

彼女の悲しみと後悔、苦しみを。

だが、何故だろう。

彼女は彼らが青い炎に包まれて逝くのを安心しているようにも思える。

いや、実際は思っているのかもしれない。

だって、彼らはこれで自由になるのだから。

でも、疑問がある。

透魔国民(彼ら)はタイミングが良すぎるのではないか。

ここに踏み入れるにあたって、透魔国民を救うのも目的でもあった。

確かに、こちらとしては助かる。

だが、やっぱりタイミングが良すぎる。

もしかしたら、彼女は誰か(・・)と手を組んでいるのか?

いや、今はよそう。

カムイは頭を振って、再び戦いに集中する。

 

透魔国民(彼ら)を倒しきったのを確認したイムカは剣をしまう。

カムイを見ながら、

 

「少し、ここで休息を取るぞ」

「え?先を急がないんですか?」

「……ああ。武器の手入れもしたいからな。だから今のうちに休んでおけ」

 

そう言って、イムカは部屋の隅の方へと歩いていった。

カムイはその場に座り、剣を手入れし始める。

その近くで、ジョーカーたちも手入れを始めた。

ハイドラに関しては胸に手を当てて、ここで戦った透魔国民たちへと祈りを捧げていた。

それを見たカムイは少し、イムカがここに留まる事にしたのか分かった気がした。

いや、彼女の事だからもしかしたら違うかもしれない。

でも、それでも構わないと今は思ったのだった。

 

 

ーー白夜組

彼らの前には大きな扉がある。

アクアが扉に触れ、

 

「まさか、ここまでこうもあっさり来れるなんて……。さほど敵がいなかった事には驚いたけれど、何かの罠かしら?いえ、もしかしたら、他の組の方に多く言っている可能性もあるわね」

「では、アクア」

「ええ。この先が大広間よ。カムイ達と合流する場所。そして、おそらく多くの罠、もしくは敵が待ち伏せているでしょうね。だから気を付けて」

「ああ。勿論だ」

 

そう言って、刀をいつでも抜けれる準備をするリョウマ達。

アクアがそれを見て頷き、大きな扉を思いっきり開ける。

 

 

ーー暗夜組

マークス達は大広間につながる廊下の前まで来ていた。

リリスが警戒しながら扉を開ける。

どうやら敵はいないようだ。

リリスはホッとしながら扉を開けて、皆中に入る。

 

「皆さま、この先が大広間へとつながります」

「ではそろそろか」

「でもさ、ここまで敵がいないってもなんか気になるんだよね」

「そうね……何か罠が待ち受けている可能性が高いわね」

「う~ん、なんかもやもやする!」

「もしかしたら、それこそが敵の狙いだった可能性もあるな」

 

と、マークスは剣に手をかける。

レオン達も、その行動に咄嗟に武器に手をかける。

マークス達が睨むその先には、少女がいた。

部屋の影から出てきたのは銀髪のツインテールの少女。

そう、透魔王国の軍師ルフレ。

 

「そう、警戒しないでください。今の私に敵意はありません。あれば、油断していた時に魔術を放っています」

「確かにそうだろうな。だが、それをやすやす信じる気はない」

「ふふ。流石、暗夜王国の第一王子マークス様ですね。その点は、やはり白夜の第一王子リョウマ様と同じですね」

「……何が言いたい」

「いえ、ただ……こうも似ているのに、お二人とも警戒が薄いのではないか(・・・・・・・・・・・・・・)と思いまして」

「なに?」

「だってそうでしょう。なぜ、あのイムカをそうもやすやす信じているのですか?いくら彼女の正体が別のカムイだったと解ったとしても……たとえ、あなた方に彼女と関わった(・・・・・・・・・・・・)記憶があるとしても(・・・・・・・・・)、何故こうも信じられるのか。もしかしたら、あなた方は彼女に騙されている可能性だってあるんですよ」

「黙れ。だったとしてなんだ。仮にお前の言う通りだったとしても、彼女は最初から言っている。自分は仲間ではない、協力者だと。それに、たとえ利用されようが構わない。自身の中に宿るあのマークスの想いに応えるまでだ。私は……いや、私達はあのイムカ(カムイ)を今度こそ信じて共に、今のカムイと共に未来へと進むと決めている」

 

マークスは自身に言い聞かせるように、いや決意を示すように言い放つ。

それを聞いた透魔軍師ルフレは眉を寄せ、目を鋭くする。

 

「なるほど……では、後悔することですね。私は警告しました。この先、あなた方がどちらのカムイ(・・・・・・・)を優先するのか。そして、あのイムカ(カムイ)最後まで信じられるのか(・・・・・・・・・・・)。見ものですね」

 

透魔軍師ルフレはクスっと笑うと、再び陰に隠れて姿を消した。

完全に気配が消えると、マークスは剣から手を離す。

 

「兄さん、ここは急いで先を進むべきだと思うけど」

「そうだな。敵の狙いがなんにせよ、進まねばならない。いや、もしかしたら我らに不信感を与え、仲間割れをさせようとしていたのかもしれないがな。だが、今の私たちは仲間を信じる。仲間を信じ続けるカムイ(・・・)

を信じるまでだ。あの子が我々を信じてくれる限り、我々もあの子を信じるまでの話」

「……そうだね」

「よし、行くぞ!」

 

マークス達は先へと進む。

一直線に大広間の扉の先まで。

そして、敵の罠があろうと、待ち伏せがあろうと関係ない。

逆にそれを逆手に取ってしまえばいい。

そう思いながら、思いっきり扉を解き放つ。

 

 

ーー再びカムイ達

イムカは剣を撫でる。

そして剣を強く握り、

 

「ここまで来れた。もうすぐだ。あともうすぐで全てが終わる……あの日の約束を。あの日の誓いを今度こそ」

 

瞳を閉じ、ゆっくり開ける彼女の瞳は強い意志の炎が宿っていた。

 

カムイは立ち上がり、こちらにやって来るイムカを見る。

扉に手をかけ、

 

「では、皆さん!ここから先は急ぎます!罠があろうと、待ち伏せがあろうと、大広間まで一直線です!むしろ、突撃してしまいましょう!」

「……ふふ、それも凄そうだね」

「はい、ハイドラお父様!こういう時こそ、敵の度肝を抜いていきましょう!」

「では、気を抜かずに行こうか」

「ええ!行きますよ、皆さん!」

 

そう言うと、カムイ達は駆け出す。

大広間の扉の前まで。

そして、勢いよくその扉が開けられる。

 

 

ーー三つの扉が解き放ち、カムイ達は合流を果たす。

それぞれ皆、お互いの無事を目で確かめ、ホッとする。

だが、すぐに警戒し、武器をとり陣形を組む。

 

「どうやら、罠や待ち伏せはないみたいですね」

「そうね。でも、何もないとは思えないわ」

 

と、中央階段の上に強い気配を感じる。

そこを見ると、白い鎧に身を包む騎士が剣を床に突き刺して立っていた。

 

「カイン……」

「……お待ちしおりました、アクア様。シュンメイ様は逝かれたのですね」

「ええ。私のお母様として逝かれたわ」

「そうですか。それは良かった。本当に良かった」

 

アクアは一歩前に出て、

 

「カイン。本当にあなたは抗えないの?」

「はい。アクア様。私はもうあの方の眷属。抗う事の出来ぬ私をどうか許さないでください。あなた様に刃を向けねばならぬ愚かな私を、どうか許さないでください。どうか、私を恨んでください。そうすれば、私はお二方に……顔向けができません。忠義を果たすべき本当の主君の姫を殺さねばならない。あなたの騎士として役目を果たすはずだった己がこのような行為……私は己を許せないでしょう。できる事ならば、あなた様の成長をこの城で見守りたかった。家族と過ごすあなたの嬉しそうなあの笑顔をずっと見守っていたかった。守っていきたかった。あの日、何も守れなかった己を私は許さない。なによりも、己の弟を見余ってしまった己を許せない。あの日、信じていなければ……いや、最初から弟の抱えているものに気付いてさえいれば」

「……カイン。あれは仕方のないこと。そして、あの日の事で私はあなたを恨んではいないわ。むしろ私が謝りたかった。本当なら、あなた達兄弟が対立することはなかった。あなたも、ここまで苦しむこともなかった。私に力がなかったばっかりに。全てが始まった(・・・・・・・)あの日(・・・)に私がカムイを救ってあげていれば……」

「カムイ……ああ、ミコト様のお子様がその名でしたね。ではやはり、そちらのあなたがカムイ様なのですね」

 

白騎士カインはカムイを見る。

その姿がなぜか自身の所の透魔軍師ルフレと被る。

 

「……どうやら精神的にもう壊れかけているのでしょうか?まさか、私があなた様を……」

「?」

「いえ、何でもありません。では、皆さま。武器を」

「……ええ。カイン、あなたを救って見せるわ」

 

アクアは武器を構えなおす。

白騎士カインもまた武器を床から抜き、

 

「では、参ります。どうか、どうか……私を殺してください」

 

剣を一振りすると、剣風だけでもその強さが解る。

そして、それを合図に透魔兵が召喚された。

 

「さぁ、戦いの始まりです」

「行きますよ、皆さん!」

 

カムイ達は剣を交え始める。

リョウマとマークスがカムイとアクアの前に出て、

 

「カムイ、アクア。お前たちはあの白騎士と決着をつけてこい」

「アクア、お前にとって辛い事だという事は解る。だが、お前ひとりではない。彼らを倒したら、そちらに向かう」

「それまで、何とか持ちこたえてくれ」

「ええ。ありがとう、リョウマ、マークス」

「行ってきます!」

 

二人は駆け出した。

二人の道を仲間が作りだす。

イムカはその姿をハイドラを護りながら見ていた。

 

『……カイン』

 

イムカは、アクアとカムイの子供だった頃のカンナとしての記憶がよみがえる。

だが、それを振り切り、透魔兵たちを倒していく。

それはおそらく、後ろにいるハイドラも思っている事だった。

だからこそ、カムイとアクアを見守る事しかできない自分が不甲斐なかった。

本来の力があれば。

いや、きっとあったとしても自分は何もできなかったかもしれない。

そもそもあればきっと、我が子だった「カムイ」を救えただろう。

なんと、自分は情けないのだろう。

だが、だからこそ自分は目をそらしてはいけない。

見守ろう、そして護り信じるのだ。

彼らの未来を。

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