学生にとって最大の苦難とも言えるであろうテストやらレポートの嵐を乗り越え、俺は何とが無事に夏休みを迎える事が出た。まぁそこに至るまでに果てしない苦労があったので、まずは少しだけ語らせていただこう。
普段はこんな俺でも、一応は真面目に大学に赴きノートをとっている俺は、まぁ成績はよくはないものの普通と言った感じで、レポートも一応はちゃんと提出していた。では、なぜ苦労したかと言うと、原因は智也にあった。いや、今回はかなりの割合で俺が悪かったんだけどさ・・・。
Aqoursが解散したあの日。行方不明になったダイヤを、雨が降る中俺と一緒探しに出てくれた智也だったが、見つかったら連絡をするという約束を俺がすっかり忘れていた為、律義にも智也は俺からの連絡がないもんだからまだ見つかってないんだと思い、雨の中夜中までずっと探していてくれたそうな。
そして夜中まで探したけど見つからない中、『申し訳ないけどヘトヘトになってしまったから一旦帰る』と俺に連絡を入れたが繋がらないので、メールを入れて帰ったらしいんだけど、俺がそのメール・・・というか智也の存在を思い出したのが次の日の夕方にダイヤを送り届けている途中だった。慌てて智也に見つかっていた事を連絡したんだけど、その時にはすでに、雨に濡れたのが原因か40度近い熱を出して寝込んでいた。
結果一週間近く大学に来れなかった智也は、テストこそギリギリどうにかなったようだが、レポートの期限がどうしても間に合わないと言う事で今回は俺にも非があったので手伝ったのだが、これがまた厄介なことに智也の奴は遊び呆けてかなりのレポートを貯めこんでいやがった。流石にこれは俺に非があるのか貯めこんだこいつが悪いのか分からなくなり放置しようかとも思ったが、ダイヤにちゃんと手伝いようお願いされてしまったので泣く泣く膨大な量のレポートを手伝い今に至ると言うわけだ。
まぁ、俺の自分語りはこの辺にするとして、そんなこんながありながらも無事夏休みを迎えた俺なわけだが、俺は今とある場所でダイヤ達を待っているのだが・・・
「ねぇ、あの人ちょっとカッコ良くない?」
「誰かの彼氏かな?羨ましいなぁ・・・」
「なんでこんなところに男の人が?」
「変質者かな?ストーカーかな?」
と、ヒソヒソ話す声が微かに耳に入ってきて物凄く居心地が悪い・・・。
そう俺は今、浦女の校門の前に居るのだ。なぜこんなところでダイヤ達を待っているかと言うと、今日の夕方にマリーが留学先へ旅立つと言う事で、俺とダイヤと果南の3人で見送りをしようと言うことになった。それ自体はいいんだけど、なにをどうしてこうなったのかは分からないが、俺が浦女まで3人を迎えに行くということになっていた。そしてまだ3人とも出てこないので、他の女子生徒から珍獣を見る様な眼で見られヒソヒソされていると言うわけです。
「はぁ・・・。ダイヤ達はまだかよ・・・。このままじゃそのうち警察呼ばれちゃうよ・・・。」
結局、俺はこの後30分ほど待たされ、3人が出てきた頃には遠巻きに女子生徒達が群がりマジで御用になる5秒前、的な感じだった。ちなみになぜ携帯に連絡をしなかったのか?と疑問に思う方もいるだろうがこの3人、律義にも学校では携帯の電源を切っていて連絡が取れなかったのだ。
「悠さんお待たせしました。」
「お・おう・・・・。」
「ごめんね悠君。クラスのみんながなかなか鞠莉を離してくれなくてさぁ~。」
「なんか物凄い事になってるねぇ☆もしかしなくてもピンチだった?☆」
「・・・たぶん。」
周りの状況とぐったりとしている俺を見てダイヤと果南は苦笑いをしていた。マリーは物凄く楽しそうにニヤニヤしていたけど、もう精神疲労がピークだった俺は突っ込む事を放棄した。
「それで?沼津駅まで行くのか?」
「いえ、違いますよ?」
「え?それじゃどうやって空港まで行くんだ?」
「あれ?悠さん聞いていないのですか?」
「なにを?てか、俺はマリーから『今日向こうに行くから浦女の前に来い』とだけ一方的に言われて今に至るんだけど・・・。」
「それは申し訳ありません!!鞠莉さんが自分から悠さんに伝えると言っていたので、きちんと伝わっているものと思っていました。」
「それはいいんだけど、沼津駅じゃないならどこに行くんだ?」
「小原グランドホテルです。」
「はい?なんでホテルになんて行くんだ?」
話が全然見えなくなってきた。マリーを見送るのに何でホテルに行くんだ?3人ともウソを言ってる感じじゃないし・・・。あれ?もしかして、俺が何かずれてるの?
「それはねユウ・・・ヘリーで空港まで行くからよ☆」
「えっと、一応聞くけど、ヘリって、空を飛ぶあの、ヘリだよな?」
「何言ってるのユウ?それ以外にいったい何があると言うの?」
ですよね~。てか、普通の女子高生が何でヘリで移動するんだ?ヘリってそんなに簡単に乗れるものなの?それよりもわざわざヘリで行かなくても、普通に電車で移動じゃダメなのだろうか?
「あのさぁ、よくわからないんだけど、どうしてマリーはホテルからヘリで空港まで行くんだ?」
「どうしてって言われても・・・ねぇ?」
3人は顔を見合わせて『何を今さら当たり前の事を聞いてるの?』といった表情で俺を見てきた。
「いや、そんな顔で見られても困るんだが・・・。だいたい普通、一般人はヘリで移動しないだろ?」
「あの、悠さん?鞠莉さんを一般人と言うのはちょっと・・・・」
「まぁ確かに、凄く頭がよくて留学する様な人を一般人と呼んでいいものかは少し悩むけど、でもマリーだって普通の女の子だろ?」
「そうなのですが・・・」
ダイヤは少し困ったというような表情をしていた。俺そんなに変なこと言った?
「悠君さ、もしかして鞠莉の家の事知らないの?」
「家?鞠莉の家がどうかしたのか?」
「ワタシの家はあのホテルなのデース☆」
「えっと・・・何言ってるの?」
ホテルが家だって?流石の俺もそんなのには騙されないぞ?大体ホテルが家ってなにさ?ホテルに住んでるわけじゃあるまいし。
「だーかーら、ワタシの親がホテルを経営していて、ワタシはホテルの最上階に住んでるの!!」
「マジ?」
俺がダイヤと果南の方を見て確認すると二人は深くうなずいていた。
「え?てことはもしかしなくともマリーってば、かなりのお嬢様?」
今度は3人そろって頷いていた。
「初耳なんだけど?」
「お話していませんでしたっけ?」
「うん・・・」
「申し訳ありません!!私ったら・・・!!」
「まぁいいんだけどさ。お嬢様だからってマリーへの接し方が今更変わるわけじゃないし。しかしマリーがお嬢様ねぇ・・・」
「なぁに?ワタシがお嬢様だったら不満なの?」
「別に~?」
「な~んか引っかかる言い方ね?」
ただ、俺の中のお嬢様のイメージがダイヤみたいにお淑やかと言うか上品なイメージだから、マリーみたいに活発で明るくて、好奇心旺盛な姿がお嬢様と言われてもピンとこないだけなんだけどね。でもそれを言ったら、ダイヤ基準のダイヤバカと言われそうなんで言わないでおこう。
こんなやり取りをしながらマリーが旅立つホテルまで向い、ついに別れの時が来てしまった。
マリー達と知り合ってからてまだ数カ月しか経っていないが、不思議なもんで昔から仲が良かったようなそんな感じがする。それくらいこの数カ月が充実していたんだろうし、短い間だったけどダイヤ達のスクールアイドル活動を手伝い、一緒に何かを0から作り上げていくうちに、俺の中でダイヤの友達から大切な仲間、みたいな感情が芽生えたんだとおもう。まぁ、一方的に俺がそう思っているだけでマリー達はどう思っているかは分からないけど・・・。そんなもんだから、連絡を取ろうと思えば簡単に連絡の取れるご時世だと言うのに妙に感傷的になってしまうなぁ。
「それじゃ、もう行くね・・・。ダイヤも果南も見送りありがとうね☆」
「鞠莉さん、お体にはお気をつけてくださいね?」
「うん。」
「向こうに行っても頑張ってね。」
「ありがとう、果南☆ユウも本当にありがとうね☆」
「おう!」
「・・・それだけ?」
「それだけ、とは?」
「いや、もっとこう・・・感動的な別れ、的な?ワタシが泣いちゃうような送る言葉があってもいいのになぁって☆」
「お前は俺に何を期待してるんだよ・・・。」
「別に期待はしていなかったけどね☆」
「それはそれでムカつくなぁ・・・。」
「あははっ☆・・・でも、本当にありがとうね。こんな形になっちゃたけど、悠がいてくれるから安心して向こうに行けるんだヨ?」
「そ・そうか?」
「うん☆」
急に真面目になるのはずるいと思う。思わず涙が出そうになったじゃないか。くそ~、俺が泣かされそうになってどうするんだよ・・・。
マリーはヘリに乗ろうと俺の横を通る時に、『だから、果南とダイヤの事ヨロシクネ☆』俺にしか聞こえない声で言ってきた。俺はそれに無言で頷いて答えた。
俺の返事を見てからマリーはヘリに乗り込み、ヘリは夕焼けに染まる空へ向かって飛び始めた。小さくなるヘリを見上げながら果南はライトをなにやらチカチカさせながらマリーになにかを伝えていた。ヘリが見えなくなっても、ダイヤと果南は暫くヘリの去って行った方を見つめていた。
「行っちゃたな・・・。」
「そう・・・ですわね・・・。」
「うん・・・。」
「時に果南?あのライトは何なの?」
「え?あぁ、これ?これはダイビング用のライトだよ?」
果南はライトを見せながら俺にそれがなんであるかを説明してくれた。でも俺が聞きたいのはそう言うことじゃないんだよなぁ・・・。
「いや、そうでなくって、なんかチカチカさせてたろ?あれって何の意味があるの?」
「えっと・・///」
「あれは合図のようなものですわ。」
「合図?」
「えぇ。昔色々あったのと、今みたいにスマートフォンや携帯なんて持っていない時でしたから、ホテルの最上階に住んている鞠莉さんに『逢いにに来たよ』と知らせるのに使っていた合図なんです。」
俺の疑問になぜか照れている果南に代わってダイヤが答えてくれた。一体何を恥ずかしがってるんだ?
「ま・まぁ、そんなところだよ!」
「でもさ、あのタイミングで『逢いに来たよ』はおかしくない?」
「ハグっ!?」
「もっとも、今回の場合は多少意味が違うとは思いますが・・・それはきっと鞠莉さんにも伝わってますわ。ね?果南さん♪」
「ハグ~////ダイヤの意地悪・・・。」
「なるほど!!つまり果南はマリーに『マリーの事ずっと思っているからね』的な気持ちをのせたのか!!」
「わ~!!!わざわざ声に出さないで~!!///」
これはいいものが見れた♪こんなに恥ずかしがる果南なんてめったに見れないぞ♪でもまぁ、あんまりからかってしまうと後が怖そうだし、あまりつつかないでおいてやるか。
「さて、それじゃそろそろ帰るとするか。」
「はい。」
「うん。」
マリーを見送った俺達はそれぞれの家路に着いた。
家に着いた俺は物凄い眠気に襲われ、そのまま寝てしまい、そして俺はこの日夢を見た。
それは、ダイヤと果南それにマリーが顔はよく見えなかったが、6人の少女達と一緒に笑い、スクールアイドルをしている、そんな幸せな夢だった。
この夢がまさか現実になるなんてこの時の俺は全く想像していなかった。
いかがだったでしょうか?
一応これで第一部は終わりとなります。
第二部からはアニメ一期に沿いながら、その裏側と言った感じで書いていくつもりですが、その前に間章というか番外編と言った感じで第二部に繋がる話を書こうと思います。
ではまた宜しければ読んでやってください♪