「やっと着いた・・・。やっぱり東京は遠いなぁ。まぁ、これからの事を考えたらそんな事はどうでもいいか♪」
今、俺は東京に来ていた。なぜ東京に来ているかというと、俺の師匠である勇さんに呼び出されたからである。なぜわざわざ呼び出されたかと言うと、今度勇さんが担当するアーティストの曲作りのミーティングがあるそうなんだが、かなり力を入れる様で『本気でこの世界いを目指すのなら、こういった現場を見て、色々な考えに触れるのは大事だ』と言う事で丁度俺が春休みだったと言う事もあり、色々根回しをしてくれてプロの現場を見学させてもらえる事になった。
「しかし楽しみ過ぎて約束の時間より早く着いちゃったけど、どうしようかなぁ・・・。どこかで時間潰すにしても、この辺の事は全然わからないしなぁ・・・。」
『は・離してください・・・』
『少しくらいいいじゃん♪俺達と遊ぼうよ~♪』
「ん?」
俺がどこか時間を潰せそうなところがないかウロウロと探し回っていると、ドラマかマンガでしかお目にかかれないのではないのではないか?と思うようなお決まりのセリフが聞こえてきた。
正直言うと面倒事には関わりたくはないし、正義感丸出しで飛び出したところでボコボコにされる結末しか見えない。とは言え、このまま放っておく事も出来ないしどうしたもんか・・・。
『待ち合わせしてるので、本当に離してください・・・。』
『だからちょっとだけでいいんだって♪なんならその待ち合わせしてる娘も誘って皆で楽しい事しようよ~♪』
『お願いですから許してください・・・グスッ』
『お願いですから許してください・・・。だってさ!!カワイイ~♪』
とりあえず、物陰に隠れて様子をうかがってみると、中学生くらいだろうか?ワインレッドのロングヘアーの可愛らしい女の子が涙目になりながら、いかにもって感じで頭の悪そうな高校生くらいの男達に囲まれていた。男達は怯える女の子見ながらゲラゲラと笑い、女の子が何か言うたび真似をしては盛り上がっていた。
「あれは流石に酷いな・・・。」
しかし、警察呼ぼうにもここがどこだかわからないし、交番に行っている間に何か間違いが起きてもなぁ・・・。とは言え、なにか格闘技をしていたわけでもなく、ましてや殴り合いの喧嘩なんてしたことないし、何よりあの人数だ。1人倒している間に袋叩きにされるだろうなぁ・・・。
「だからって、見過ごせないよなぁ・・・。まぁ、なるようになるか・・・」
最悪、あの頭の悪そうな連中なら軽く挑発すれば俺に注意が向くだろうから、あの女の子を逃がす事が出来るだろうし、そうすれば俺も逃げれば何とかなるだろう。
「おいお前ら!!そこでなにやってるんだ!?」
「あん?なんだてめぇ?」
「それはこっちのセリフだ!!なに人の女に手ぇ出してんだ?」
「え?」
「はぁ?何言ってんだてめぇ?」
「そうだ!!いきなり出てきて何言ってんだ!!」
突然の乱入者にその場にいた全員が?顔をしながら喚いていたが、俺はそんな男達を無視して女の子の前に辿り着くと、女の子を庇うように、いわゆる壁ドンの体勢になり、女の子の耳元で小さく『話を合わせて』と出来るだけ優しい声で言うと女の子は少し安心したのか小さく頷いてくれた。
「大丈夫だったか?」
「えぇ。」
「さて、お前ら・・・覚悟はできてるだろうな?」
俺は出来るだけ強そうに見えるように男達を睨んでみた。正直こういった手合いはしょっちゅう喧嘩してるだろうからあまり意味はないだろうけど、これでもしビビって逃げてくれればめっけもんだし、ダメなら・・・うん、この子を連れて逃げよう。
「な・なんだよ・・・。そんなに睨むなって。俺らが悪かったからさ。」
お?まさかの効果ありか?
「なんていうとでも思ったのかよ!!おらっ!!」
「うぐっ!?」
俺が油断した瞬間、あっさりと殴られてしまった。だがしかし、驚く事に俺は吹っ飛ぶ事もなくちゃんと意識もあった。重さが無いと言ったらいのかな?殴られた左頬は痛かったが、ただ痛いだけだった。
「そ・そんな!?ジン君の必殺パンチを食らっても立ってるなんて!?」
「信じられない・・・」
えぇ!?これが必殺パンチ!?てか、なにそんなに驚いてるんだ!?確かに凄く痛いけど、一発KOするほどの威力じゃないぞ!?・・・もしかしてこいつら実は滅茶苦茶弱い??ただ単にチャラいだけのもやしっ子?俺だって高校までバンドやったり運動部にいたりしたけど、筋力や体力だって特別あるわけじゃなく、何もしてない人と比べても毛が生えた程度の俺でも耐えられるぞ?これはもしかして・・・。
「いってぇなぁ!!」
「ひっ!!」
リーダー格であろう人物の必殺パンチ?が効かなかった事がかなり衝撃的だったのか、痛くて思わず思いっきり睨んだら男達は、ビクンッ、と跳ね上がり集まって怯え出した。
今度こそチャンスではなかろうか?殴られはしたものの、これ以上大事にしないで済みそうだ。このまま脅かして向こうが逃げてくれればいいんだけど・・・。
「先にそっちから手を出してきたんだ、もちろんやられる覚悟はあるんだよな?」
「あ・・えっと・・・」
「どうなんだよ!?」
「す・すみませんでした~~~~!!!!」
少し声を低くして睨みつけたら男達は涙目になりながら謝って逃げて行った。
「あ・あの!ありがとうございました!!」
「気にしなくていいよ♪」
「それと、あのこれ・・・」
女の子は鞄からハンカチを取り出すと俺に渡してきた。
「ん?」
「口元切れてますよ。」
「お?」
俺は自分の口元を触ると、殴られた時に切れたのか血が出ていた。
「大丈夫大丈夫♪これくらいなんともないから♪」
「でも・・・」
「すく止まるから大丈夫だ。」
「でもでも・・・・」
「大丈夫だから♪でも、ありがとうな♪」
「そんな、こちらこそ助けていただいてありがとうございます♪とても強いんですね?」
「え?俺たぶん凄く弱いぞ?」
「え?」
「喧嘩なんてした事ないし、向こうが逃げてくれてホッとしてるくらいだぞ?」
「えぇ!?」
女の子は凄く驚いているけど、そんな喧嘩慣れしてるやつの方が珍しいんじゃないか?それとも東京の人間は喧嘩慣れしてるのか?・・・さっきの奴らを見る限りそれは無いか。
「そんなに驚かれてもなぁ・・・。」
「だって、あんなところに飛び込んでくるくらいだからなにか格闘技とかの経験者の人なのかなぁって・・・。」
「いや、まったくの素人だぞ?」
「ならなんで助けてくれたんですか?」
「なんでって、困ってる人がいたら助けるもんだろ?」
「そんな理由で?」
「そんな理由って・・・。でも普通じゃないか?」
「優しいんですね♪」
「そうかなぁ?」
「はい♪」
女の子は笑顔でそう答えた。ふむ、さっきまでは薄暗い場所にいたし泣いていたから良くわからなかったけど、かなり可愛い子じゃないか。これならあんな変な連中に絡まれるのも頷ける。しかしこんなことで優しいとか言われるとは思わなかった。まぁ、言われて悪い気はしないけどさ。
「あ、そう言えば助けてもらったのに、まだ名前も言ってませんでしたね。わたし桜内 梨子っていいます。」
「あ、俺は蒼谷 悠だ。」
「蒼谷さんですね?もしこの後時間があるようでしたらお礼をしたいんですけど・・・。」
「そんなのいいって♪それに桜内さんだっけ?誰かと待ち合わせしてたんじゃないの?」
「え?」
「あいつらに絡まれてる時に、待ち合わせがあるとか何とか言ってなかったか?」
「待ち合わせ・・・・・・あぁ!!お母さん待たせてるんだった!!」
「なら俺の事はいいから早く行きな♪」
「でも・・・。」
「俺ももう少ししたら待ち合わせの時間だからさ。」
「でもやっぱり・・・。」
「お母さん待たせてるんだろ?早く行きなよ♪」
「・・・分かりました。本当に今日はありがとうございました♪」
~梨子 Side~
蒼谷さん、かっこいい人だったなぁ♪あんな人たちに絡まれた時はどうしようかと思ったけど、蒼谷さんと会えたと思うと感謝しなきゃかな?
それに壁ドンなんて初めてされたけど、思い出しても凄くドキドキする♪ふふふっ♪
また逢えるかな?今度会ったらちゃんとお礼しないと・・・・
「あぁ!!連絡先聞くの忘れてた・・・。」
色々あり過ぎて蒼谷さんの連絡先聞きそびれちゃった・・・。もう一度壁ドンしてもらいたかったなぁ・・・。
~梨子 SideEnd~
桜内と別れた俺は、勇さんとの待ち合わせ場所に向かい、俺はこの日とても充実した時間を過ごした。とても貴重な体験も出来て、この日あった事をすっかりと忘れてしまっていた。
しかしこの1年後、まさかあんなところで再会し、俺達の運命を大きく変える事になるとはこの時の俺は夢にも思わなかったのだった。
いかがだったでしょうか?
今回は梨子ちゃんの壁フェチの始まりと、第二部での千歌達との繋がりを作る為の前段階と言う感じで書きました。
しかし梨子ちゃんのキャラ意外に書きにくい・・・orz
まだ腐る前だと思い普通を意識したら書きにくかった・・・。梨子ちゃんファンの方ごめんなさい。
さて、次からは前回書いた通り第二部のスタートとなります。
アニメ1期をベースにアニメ部分とその裏での話を書いていけたらと思います。
では、宜しければ次回も読んでやってください♪