今日は果南から呼び出しがあった日曜日。俺は朝一の連絡船に乗り淡島にある果南の家に向かっていた。
なぜ俺が休日にダイヤとデートもせず、わざわざ果南の家に行くのかと言うと、決して浮気などではなく、かと言ってダイヤへサプライズを企画している為とかでもなく、深い意味など全く無くただのバイトだ。
果南の家はダイビングショップを営んでいるのだが、一月の末に果南の親父さんが階段から落ちて両足を骨折してしまい入院を余儀なくされてしまった。家族経営でバイトも雇っていない松浦家では、果南が高校を休学してまで店を運営していたが、どうしても男手が必要となり俺に白羽の矢がったったと言う事だ。
そんな訳で、お客さんの予約具合などで果南からSOSが来る。まぁ、とは言え殆どが土日にしか要請がこないし、別に俺が海に潜ってガイドをしたりするわけではなく、いわゆる店番がメインなので気楽なものだ。
「おはようございまぁす。」
「おはよう悠君。毎度毎度急にお願いしたりしてごめんね?」
「いえ、気にしないでください。俺もいい気分転換になって助かってますし♪」
「そう言ってもらえると助かるわ♪」
店に入ると果南のお母さんが忙しなく開店準備をしていおり、俺があいさつすると果南にそっくりな笑顔で迎えてくれた。しかし、初めて逢った時も思ったが、高校生の娘がいるとは思えないほど若々しく、果南の姉と言われてもおそらく疑わなかっただろう。ダイヤのお母さんを久し振りに見たときにも同じような感想を持ったが、俺の周りの奥様方はなぜにこんなにお若いのか・・・。しかも更に驚きなのは、このお方、果南に引けを取らずスタイルがいい。果南のスタイルの良さは遺伝なんだなぁとしみじみ思う。
「それで果南・・・さんはどこに?」
「たぶん倉庫じゃないかしら?さっきボンベを取りに行くって言っていたし。」
「わかりました。果南さんに挨拶をしてきたらこっちの方を手伝いますね。」
「ありがとう♪」
俺は果南が居るであろう倉庫の方へと向かうと、倉庫の入り口の前でエアーのチェックをしている果南がいた。
「おっす、果南。」
「あ、悠君おはよう♪いつも急に悪いね」
流石は親子だ。おばさんと同じ事言ってる。
「それはいいって♪そんで、今日はいつも通りでいいのか?」
「そうだね。私も母さんも外に出ちゃうから、店番しながらこの予約者リストの人数分の物を用意しておいてくれればいいから♪」
俺は果南に渡された予約者リストを見てみると、今日はここを手伝い始めて以来の大人数だった。
「こりゃまた凄い人数だな・・・。」
「まぁ、この時期は毎年こんな感じかなぁ?暖かくなってきたし、この時期にしか見れない海の風景ってのもあるから結構人くるんだよ♪」
俺はダイビングやらないから分からないけど、これだけ人が来るんだからその風景とやらは相当凄いんだろう。
「そうなんだ?とりあえず、おばさんの手伝いしてくるよ。」
「よろしくね~♪」
果南に挨拶をした俺はその後開店準備をしている果南の母さんを手伝い、その後言われた仕事をこなしこなしていると、気がつけば午後になっていた。
「果南ちゃん来たよ~!!」
「お、来たね♪いらっしゃい千歌、曜♪」
「果南ちゃん急にお願いしてごめんね?」
「いいっていいって♪それで、そっちの子が電話で言ってた?」
「あ、はい。桜内と言います。今日は急な話だったのにありがとうございます!!」
「おーい果南、このリストの事なんだけど・・・・って、あれ?桜内??」
「あ・蒼谷さん!?」
俺がリストの事で分からない事があり果南のもとに行くとそこには桜内と蜜柑色の髪にアホ毛が特徴的な女の子と、ベージュ色の髪に蒼い瞳が印象的な女の子の三人がいた。
「え?なになに梨子ちゃんの知り合い?」
「え?えぇ。」
「まさか、彼氏とか?」
「えぇ!?ち・違うよ!!少し前に変な人に絡まれているところを助けてもらった事があるだけだよ!」
「ホント~??」
「か・からかわないでよ~。」
「それじゃ、果南ちゃんの彼氏?」
「なんでそうなるかなぁ?悠君は父さんが怪我したから手伝ってくれてるだけで、それ以上でもそれ以下でもないから。第一、私のタイプじゃないし。」
果南さん、確かに俺にはダイヤがいるし、いくらスクールアイドル時代にそれなりの付き合いがあるとはいえ、友達かと言われたらそれも微妙な関係ではあるけども、それでも結構傷つくぞ・・・?。
「悠君だって曜ちゃん♪」
「怪しいですなぁ♪」
「む~・・・」
俺の心境をよそに盛り上がるこの2人は誰なんだろう?果南の知り合いみたいだけど、ずいぶんと親しいみたいだなぁ。
「果南、この子たちは?」
「あぁ、この子たちは私の幼馴染。私の一つ下で、妹みたいなものかな♪」
「始めまして!わたし浦の星女学院高校の2年で、高海 千歌っていいます♪」
「ヨーソロー♪同じく私は渡辺 曜であります♪」
「俺は蒼谷 悠だ。よろしくな♪そんな事より、ヨーソローって?」
ヨーソローって船乗りかなんかのあいさつみたいなもんだよな?始めて聞いたけど言う人いるんだ。
「それよりも、本当のところ果南ちゃんと蒼谷さんの関係はどうなんですか??」
俺の質問を流さないでください・・・。
渡辺が俺の質問をさらりと流し、俺と果南の関係を目を輝かせながら聞いてきた。ボーイッシュに見えるこの子もやはり女子高生。恋バナは大好物の様だ。まぁ女子高だし、出会いなんかもあまりないだろうから余計にこういった話に興味しんしんなんだろうなぁ。
「そうそう♪果南ちゃん凄く美人でスタイルいいのに、海にしか興味無いから男の人の影なんて全然無かったのに、急に知り合いっていう男の人がいるんだもん気になるよ♪」
そして高海も同じようだった。
「どうって言われてもなぁ・・・友達、ってのもちょっと違うし・・・しいて言えば恩人であり戦友、かな?」
「「え?」」
高海も渡辺も何言ってんのこいつ?って顔をしていた。まぁそうなるよね。とは言え事実だしなぁ・・・。俺とダイヤをくっつけてくれた恩人であり、短い期間ではあるが一緒にラブライブを目指した仲だしな。
「ねぇねぇ曜ちゃん。どう思う?戦友って言ってたけどなんだろう?」
「ん~、よくわからないけどただならぬ関係ってことかな?」
「やっぱり元彼とか?」
「ん~、どうだろう?確かにかっこいい人だとは思うけど、少しひょろっとしてるかな?果南ちゃんはもっと筋肉ある人ととかが好みなんじゃない?」
「あぁ、確かに。もっとスポーツマン的な人が好きそうだよね?」
「でも優しいよ!!」
なんかヒソヒソ話を始めたけど全部聞こえてるからな?後、桜内は声でか過ぎだぞ?
「ほ~ら!馬鹿なこと言ってないで準備しておいで!」
「「「は~い♪」」」
ヒソヒソ話をしていた3人は果南に怒られて更衣室の方へと向って行った。
「あれ?あの子達お客さんだったんだ?」
「うん。なんか海でやりたい事があるって言って急に千歌から予約が入ったんだよ。まぁ、今回はダイビングじゃなくシュノーケリングだから私は船を出すだけだけどね。」
なるほど、それでリストには酸素ボンベ等々の機材が載って無かったのか。
「あ、そう言えばわたしを探していたみたいだけどどうかしたの?」
「いや、今さっき問題は解決したから大丈夫だ。」
「そう?ならいいけど。」
そう言った果南は船の準備をしてくるといい外に行ってしまった。やる事が無くなった俺は少しカウンター内でぼけーっとしていたが、暫くしてドライスーツに着替えた高海達と、ほぼ同じくして船の準備を終えた果南も戻ってきた。
「準備で来た?」
「うん♪」
「それじゃ、簡単な説明をして海に出たいと思うんだけど、その前に聞きたい事がいくつかあるんだけどいいかな?」
「はい?」
果南は桜内にどのくらい泳げるかなど、いくつかの質問をした。高海達は妹みたいなもんだと言っていたかそのあたりの事はよく知っているのか、質問は全て桜内にだけ行われていた。
「最後に、今日は何で海に潜りたかったの?」
「えぇっと、海の音が聞きた来てなんですけど・・・。」
「海の音?」
あぁ、それでか。この間話には聞いていたけど、まさかここに来るとは思わなかった。
「はい。私ピアノをやっていて、どうしても海の音が知りたくて・・・。」
「そうなんだ。それなら、イメージが大事かもしれないね。」
「イメージ・・・ですか?」
「そ♪人の耳は水の中だとあまり音が聞こえないからね。でも、景色はこことは大違い!!見えている物からイメージする事は出来ると思うよ♪」
「想像力を働かせる事ってことですか?」
「まぁ、そう言う事かな♪」
「分かりました。やってみます。」
桜内に質問を終えた果南は、桜内が質問されている間外で準備運動をしていた高海達に声をかけ沖に出る準備を始めた。
「それじゃ悠君、お留守番よろしくね~♪」
「お留守番って・・・。子供じゃないんだが?」
「まぁまぁ♪」
「それにしても結構曇ってきたけど大丈夫なのか?」
「まぁ、このくらいならね。風も出てないし、予報でも荒れる事は無いってことだから大丈夫だよ♪」
「そっか。じまぁ気をつけてな。」
「それじゃ、蒼谷さんいってきますね。」
「おう。桜内も何か見つかるといいな♪」
どこか不安げな桜内達を乗せた船は沖の方へと出て行った。
まぁ、本当に桜内が求める海の音が本当に聞こえるか分からないし、海に潜ってまで何も掴めなかったら他の方法なんてそうそう思いつくもんでもないしな・・・。
桜内達を見送った俺はカウンターに戻り、客がいない間はぼけーっと過ごし、客が来れば接客をしてなどしていたら気がつくと桜内達が海に出てから1時間以上経過していた。
「たっだいまぁ~!!」
「よ~そろ~♪」
「戻りました♪」
カウンターでぼけーっとしていたら高海達が元気良く戻ってきた。桜内の晴れやかな笑顔を見る限り結果だったようだ。
「その顔を見る限り、桜内の求めている物は見つかったのかな?」
「はい♪」
「そっか。良かったな。」
「はい♪」
笑顔で答える桜内を見て俺はどこかほっとしていた。まぁ成り行きとはいえ、桜内の事情は知っているから桜内の悩みが無くなったようで本当に良かった。
この後は桜内達と少し話、暗くなる頃に3人は仲良く話しながら帰って行った。俺は閉店時間まで手伝い、連絡船の最終便の時間が迫っていたので挨拶もそこそこに急いで船着き場まで向かった。
今日はお客が多かったからクタクタだ・・・。何本あの重たい酸素ボンベを運んだ事か・・・。明日は筋肉痛だなぁ・・・。俺はそんな事を想いながら、ダイヤへバイトが終わった事をメールで送ると、労いの言葉が帰ってきた。俺はそのメールを見てニヤニヤしながら家路に着いたのだった。
その数日後、桜内から一通のメールが入った。この時の俺はただダイヤの為になればと、ただそれだけの軽い気持ちで桜内のメールに答えたが、まさかこのメールが奇蹟への始まりを告げるものだとは・・・。
いかがだったでしょうか?
うまく千歌ちゃん達と絡ませる事が出来てませんが、そこは今後に期待と言う事でお願いしますww
今回はダイヤちゃんが出ませんでしたが、次は活躍してもらいますので、宜しければ次回も読んでやってください♪