「待って下さい魔法使い様ぁ!」
嗚呼……どうしてこうなった?気がついたら魔王討伐目指す勇者御一行の仲間になってたよちくしょう。もうこうなりゃヤケだぶっ放そう!
「……プリーストさん、俺たちはどこへと向かっているんだ?」
「あ、はい。今私たちはカチコミ村に向かっています」
「(物騒な名前だな)なぜ、その村へ向かっているんだ?」
「実はその村には昔名を馳せた竜騎士が一人住んでまして是非とも僕たちの仲間に加えたいと思いまして」
勇者にプリーストに魔法使い(笑)に竜騎士か……面子的には俺以外は問題なさそうだなぁ。それにその竜騎士の竜がデカければそれに乗って移動すれば森の上を突っ切ることができるから移動が楽になる。
「ここからその村はどのくらいあるんだ?」
「そうですね…一日ちょっと歩けば着きますよ」
待てやコラ。今なんて言った?一日ちょっと?コイツ等イカれてやが……いや、落ち着け俺。この竜騎士一人仲間に加えるだけで今後の移動に安全と楽が追加されるんだ。ならここは歩こう。近い将来楽するために。
「なるほど。と、言うことは今夜は野宿ということかな?」
「そうですねこのまま何も無ければ陽が傾き始めた頃にはハジキ村と言う村に着いくはずなので、そこで一泊することになるかと」
「魔法使い様は野宿は嫌いですか?私は好きですよ野宿。静かな平原の真ん中で綺麗な星空を眺めながら眠るのが好きなんですよね〜」
なんやこのプリーストさんメッチャ乙女してますやん。見た目に反してもうそろ三十……いやなんでもない。笑顔なのに殺意の波動を飛ばしてくるプリーストさんなんて居ない…いいね?
「なにもなければ、か」
「はい。なにもなければ」
フラグやんけ
「お頭!奴さん達が来ましたぜ」
「オイダレダボクヲイマオカシラトヨンダヤツハ」
嗚呼…ホント盗賊ってのはバカばっかで嫌になる。ボクの理想の男性を求めて盗賊になったけどまさかヒゲモジャ、すきっ歯、ガリガリ、メタボ、脳無しの豚のフンにも劣る人間…いや、畜生以下のクソッカス供しかいないなんて…どこかにいないかなぁ大柄で筋肉モリモリで頭が良くて、強くて、野性味溢れる男性は……
「へ、へい!失礼しやしたお嬢。それで次の獲物が後数刻でこの近くを通るみたいでやんすが……どうします?」
「先ず、獲物の詳細を教えろ。人数は?装備は?」
「へい!人数は三人うちプレートアーマーを着込んだ男一人、恐らくプリーストと思われる女が一人、そして最後に変わった防具を着込んだ筋肉ダルマが一人と装備以外は至って普通の様ですが…」
なに?筋肉ダルマだと?ジュル…いや、落ち着くんだボク。まだ相手がボクの理想の男性とは決まった訳ではない。あまり期待すると実物を見たところでボクのぼくが萎えてしまう。とりあえずもっと詳しい情報が必要だ。今回はボクが直接探る必要がありそうだ。
「お、お嬢?」
「……ボクが直接探る。お前達はいつでも襲えるよう準備しておけ」
「へい!かしこまりやした!」
「んん⁉︎」
「? どうかしましたか魔法使い様?」
「いや、なんか急に寒気が」
「大変です⁉︎風邪ですか?なら直ぐに治療を!」
「いや、病の類ではない。多分気の所為だろう。気を遣わせたみたいで悪い」
なんだ?今、生命の危機とかじゃない別の危機を感じたぞ?なんて言うか尻穴がキュッと締まるような……
「そういえば聞きたいんだが、どうして勇者なんかになったんだ?」
「……僕の村はど田舎で特産品とか観光名所とか本当に何も無い村なんです。その所為か、村の若い人達は王都へと移住して村から人が居なくなって来てるんです。だから僕が勇者として魔王を倒したら英雄の産まれた村として有名になり、商人や若い人達が増えればいいなと思って勇者に」
「なるほどな勇者にも色々あるんだな」
てっきり、世界の滅亡とか人類の存続がかかってるかと思ったけど言っちゃあ悪いけど結構軽いのね。俺も人のこと言えないけど。
「それで、プリーストさんはなぜ勇者の仲間に?」
「はい、実は私の父は教会の司祭をやっていまして飢えに苦しんでいる人、生活が苦しい人の為に寄付を募り支援などを行なっていたのですが、ある日見慣れない家族がやって来て支援を望んでいたので支援したのですが、ある日突然その家族が村から居なくなっていてその家族が消えたと同時に教会の備蓄庫が何者かによって壊されていて、衣服から食料など全て持ち出されてしまい、周りの村人からの信用はガタ落ち、教会の運営が苦しくなり、教会本部からも追放の報せが届き教会から追い出され、今まで教会で神の教えを説くことしかしてこなかった父はロクに仕事ができず酒に溺れて、母は三年前に神の元へと逝きました。そして私は父と歳の離れた弟と妹をなんとか養っていたのですが、父が弟と妹を連れて蒸発。そして呆然としていた私に勇者様が声を掛けて頂き、今に至ります」
「そ、そうか……プリーストさんも大変だったんだな」
ヤッベェ…聞かなきゃよかった。プリーストさんの過去重過ぎだろ。今のあの笑顔の裏にとんでもねぇ闇を抱えてやがった。あ、ヤバい吐きそう。
「そういう魔法使い様はなんで僕たちの仲間になってくれたんですか?」
「なに、君達の真摯な姿勢に胸を打たれてね…すまないこんな軽い気持ちで…(テメェらが人の話を聞かずに勘違いして無理矢理連れ出したんだろうがああああ‼︎ファァァァァクッ!)」
『キャアアアアア!』
「っ⁉︎女性の悲鳴!どこから?」
「勇者様!あそこです!」
「アレは盗賊か?」
「助けねば!」
ふふふ。ボクの考えた作戦その①暴漢に襲われる美少女を装い近づきより詳しい情報を手に入れる作戦!
自分で言うのもなんだけどボクの見た目は完全に美少女だ。股座を探られるか直接見られない限りバレることはない。そして気づかれないうちに背後からブスリ!と。ふふふふふ…自分で自分が恐ろしいよ!さて、噂の筋肉様はどんな人なんだろうか少し楽しみだ。
閑話 おめかし
お嬢「とりあえず見た目は綺麗にしとかないとね…オイ下っ端A。お前だよお前」
下っ端A「なんでしょうお嬢?」
お嬢「この前襲った馬車の中に綺麗なドレスがあっただろアレもってこい」
下っ端A「わかりやした…ゴクッ」
お嬢「ああ⁉︎なに見たんだよ豚にも劣る糞溜めが!さっさとドレスと下着持ってこい!」
下っ端A「ありがとうございます!ありがとうございます‼︎(わかりやした!)」
下っ端ズ「(いいなぁオレ達も罵られたい!)」
魔法使い(笑)「? 豚の鳴き声か?」