私だけの星 ずっと輝いてるよ   作:ヴァイロンオメガファントム

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えー遅くなって誠に申し訳ありません(土下座)

モチベがあがらず結局この時期になってしまいました(ーー;)
今回は陽乃です。次回はあの子を書こうと思います^_^


雪ノ下陽乃 あなたでいっぱい

陽乃side

 

 

ダンスも踊り終わり、比企谷くんとも別れ、化粧室でメイクを落としたり、これから挨拶周りにいくのでそれらしい格好に着替えている私。

だけれど今···どうしてもあの事が忘れられなかった。いや違う。ドキドキが止まらないと言ったほうが正解かな。ん?両方かな?もう良く分からない。

 

「はぁ···はぁ···」

 

さっきまで平静を装っていた私だけどもう無理かも。あの事を思い出すだけで顔が赤くなるのを感じ、胸が高鳴り苦しい。

あの事とはそう、あの一瞬のキスのことだ。本当に一瞬だけど、私にとっては大事なファーストキス。あれを思い出すだけでこのざまだ。

 

「キスをするつもりはなかったんだけどな···」

 

大胆過ぎるよ私。

でも!言い訳を言わせてもらえば比企谷くんがいけないのだ!

比企谷くんが格好よくて、優しくて、あと…練習の時とは違うくて?···いやいやそもそも、なに人のせいにしているんだ私のバカ。

 

あーバカバカバカァ!!なにキスしてるんだぁー!私!

 

「はぁ…ふぅ…」

 

少し落ち着こう。うん落ち着いて。よし落ち着いた。

 

 

落ち着いたところで何故キスをしちゃったのか理由を考える。

キスした理由は2つ···あるかも。

まず1つ目は······うーん。あの時の私は本当に踊ってた時間が楽しくて楽しくて。ずっとこの時間が続いたらいいな…ってそう心で思ってた。

そして2つ目····今日1日の比企谷くん。嫌々ながらも比企谷くんは一生懸命ダンスを練習してくれた。その姿を思いだすだけで凄く感謝の気持ちが湧いてきた。

 

「だから···キスしたの?」

 

鏡に映る私にそう聞いても、そこに映ってるのは顔を赤くしていて、よく分からない表情をした私だった。やっぱりまだ落ち着いてないのね私。 

 

でもキスしてしまった理由は本当にそれだけ?

この私がたったそれだけの理由でキスをしたというの?

 

 

ううん、本当はもう分かってる。その2つもあるのだろうが、決定打になった理由はもう1つある。

 

 

 

─私だって輝きたい。あの私(星)のように─

 

 

 

その手始めとして最初の1歩を踏み出したかった。比企谷くんにキスをすることで何かが変わるとは私だって思ってない。

それでも何か、きっかけを作りたかった。

もしかしたら何か動くかもしれない、そんな予感がした。

あそこでキスをしなかったら何か逃げてしまう、そんな気もした。

頼るばかりじゃ私のプライドが許さない、そんなことも思った。

あの瞬間に色んなことを思ってた。自分でも良く分からないくらいに。でも···

 

─祈るほどもない小さなことだって手を伸ばさなきゃ捕まえられない─

 

私は手を伸ばそうとした。だから…

 

 

「キス······しちゃった···と?···」

 

そして私は天井を見つめながらさっきのダンスで何を思いながら踊っていたか思い返していた。

 

今日のダンス、最初はもちろんいつも通り『雪ノ下』のために踊っていた。そしてどっかのいやらしい社長さんや他の社長さん、会長さんに、私を魅せていた。そうすれば『雪ノ下』のためになるから。なにより母のためになるから···

···だけれど途中から···比企谷くんのことを考えていた。本物を求めてる比企谷くんのことを。

こんなこと初めてだ、踊ってる最中に『雪ノ下』を忘れて別のことを考えるなんて。後半なんて完全に『雪ノ下』のことなんて頭になかったんじゃないかな。あはは···どうしたのかな?私は。

 

 

んーじゃあその時の···『雪ノ下』を忘れていた私は…どんな私だったのだろう?あっちの私みたいに····輝けていたのかな······。

 

…でも仮面は外さずに踊ったはずだから、傍から見たら対して変わらないよね。たぶん!

 

あーーそれにしてもキスをしちゃったけど···比企谷くん顔合わせてくれるかな?彼のことだから恥ずかしがって私の方見ないんじゃないかな。それともただの悪戯なんじゃね?とか思ってそうだ。あの子は理性の化物だからね。………少しは私を意識してくれないかなー。

はぁ···私も次比企谷くんに会うときどんな顔して会えばいいのか分からないんだけど···まぁなんとかなるか。

 

「よしっ」

 

とりあえず、比企谷くんに私を意識してもらうために頑張らないとね。私は比企谷くんと、

─本物を探したいのだから─

 

自分の気持ちを整理しながら、

色んなことを考えていると結構時間が経ってしまった。そろそろ母のところにいって企業の社長さんなどに挨拶周りに行こう···

 

 

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 

 

挨拶周りが少し落ちついたころ、椅子に座って母と少し休憩していた。こんな挨拶周り、これからの人生何百回、何千回もやって行くのかな。はぁ…まぁもうとっくに慣れたけど。

 

「陽乃」

 

「うん?なに?」

 

「今日のダンスのパートナーは···隼人くんじゃなかったのね」

 

···来た。この質問。まぁどっかで来るとは思ってたけどね。

 

「そうだよ。いつも通りじゃつまんないからね。私の知り合いの面白い子を連れてきたよ」

 

「···そう面白い子をね」

 

「!?」

 

そう母が言った瞬間、背中から寒気がスッと走った。その寒気がずっと続く···そして周りの物がカチカチと凍りついていく、そんな錯覚を起こさせるようなこの感じ···

···母をみる。その顔は他の人からみたら優しい笑みなのだろう。だけど私から見るその笑みは、氷点下並の冷た過ぎる笑みなのだ。

 

─母は昔からそう。自分の思い通りにいかないと、こうゆう笑みを浮かべる。それが昔から怖い。とてつもなく─

ただそれは一瞬で、そこには少し残念そうにした母の顔があった。

 

「まぁ今回は私が悪いのよね、メールで曖昧な文を送ってしまったわ。陽乃なら分かってくれると思ったけれど」

 

「あ、あの···や、やっぱり隼人の方が良かった···かな?」

 

「まぁ···そうね。あの子…名前何だったかしら?雪乃のお友達よね?」

 

「そうだよ、名前は比企谷くんって言うの。」

 

「そう。比企谷君ね、覚えておくわ。···それにしても陽乃、私の間違いじゃなければいいのだけれど」

 

「ん?」

 

「陽乃は···その比企谷君のこと、好きなのかしら?」

 

「ぇ…え?ど、どうして?」

 

え、え、やばい。母に比企谷くんとキスしたことがばれてしまったのか。もしばれていたのなら大変なことになってしまう。

 

「ダンスの時の表情······あんな陽乃の顔を私は見たことがなくてね」

 

「そ、そうなんだ···で、でもあれは演技だよ?お母さん」

 

「···········そうよね、私の考え過ぎだったかしらふふっ」

 

よ、良かった…キスのことはばれてないみたい。にしても···私の仮面は外れてしまってたの?やっぱり比企谷くんの前だと自覚なしで外れちゃうのかな···うーんよろしくない。何もない時ならまだしもこういう大事な時に外れちゃうと困る。

それに比企谷くんに好意があると言う事がバレてしまうと、早めにお見合いをさせられて無理矢理相手を決められるかもしれないし。そんなことは絶対にお断りしたい。

 

「陽乃、1つ言っておくわ」

 

「なに?」

 

「陽乃が誰と関わろうがそんなことは私には関係ないけれど、あなたは『雪ノ下』の長女なのだから、これからも『雪ノ下』の名に恥じぬ行いをしていくのよ」

 

要するに、あなたは『雪ノ下』なんだから、今回みたいに比企谷君じゃなくもっと相応しい人を連れてこい、と?何言ってるのお母さん。比企谷くんだって十分格好良かったじゃん。

 

と思った瞬間。

 

「まぁ今回は彼も中々良くやったわ。先程の社長さんにもお褒めのお言葉を頂いたものね、ふふっ」

 

とさっきの冷たい笑顔じゃなくとても優しい笑みでこちらを見てくる。

あれ?お母さんデレた?お母さんってツンデレだったっけ?ま、まぁ確かにさっきの女社長さんは凄い大喜びなさっていた。

······にしても良かった。母も少しは納得してくれたみたい。

正直言うと今日は不安もあったのだ。比企谷くんで大丈夫かな?とね、でも比企谷くんならきっと期待に応えてくれると信じてた。まぁしっかり応えてくれました。さっすが!比企谷くん!

 

「さて、そろそろ行きましょうか」

 

「そうだね。よいしょ···つ!?、、」

 

「あら?どうしたの?陽乃」

 

「いやーちょっと足痛めちゃってたみたい···」

 

「あら、そう。なら後はお母さんに任せて陽乃は先に帰りなさい。」

 

「え、いいの?でも···」

 

「いいのよ。あと3件くらいだし。陽乃にはいつも苦労をかけてるから」

 

「…分かった。ありがとう」

 

そして母は軽く手を振りまた挨拶周りに戻っていった。

···珍しい。母があんなこと言うなんて。昔なら足を痛めててもついてこいって言ってたはず。今日は機嫌が良かったのかな?

 

ふぅ···それにしても、ここに来てまさかの足痛めちゃってることが発覚。私としたことが。うーん足首当たりかなー···体重をかけると痛くなる。くぅ〜これなら痛みを認識しないままが良かった。一度痛いなと認識しちゃうとそれからは意識しちゃってずっと痛くなるのよね。んーあれ〜いつ痛めたのだろうか私。全然気づかなかった···

まぁ痛いけど、歩く分には問題ない。

 

仕方がない。比企谷くんにお礼を言って今日は帰ろうかな。

 

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

時刻は22時過ぎ。

イベントはもう終了していた。色んな人が片付けや挨拶をしている。私服に着替えた私は、比企谷くんを探すために色んな箇所を歩き回った。が、それがなかなか見つからない。あれ〜どこに行ったのかな?まさか影の薄さを利用して隠れているんじゃないわよね?もしかしてあの後輩ちゃんといちゃいちゃとかー!ってんなわけないか。比企谷くんだもんな〜。

 

 

んーー···あとは体育館だけか。ちょっと覗いて見よ。

 

体育館に入るとそこでは撤収作業が行われていた。その中に知った顔がチラホラ···お、あそこにいるのは···よしよし····話しかけてみよう!

 

 

「お疲れ様〜静ちゃん!」

 

「ん?なんだ陽乃か。てかその呼び方やめろ…」

 

「いいじゃ〜ん。そんな細かいこと」

 

「はぁ···で?なんか用か?」

 

「まぁ何か用かと言われると特にないんだけど〜。ん…あ!そうだ!聞きたいことがあったんだ」

 

「ん、なんだね聞きたいこととは」

 

「比企谷くん見なかった?」

 

「比企谷?いや〜みてないな」

 

「ふーんそっか」

 

何だ静ちゃんも知らないのか。残念。

 

「比企谷に何か用かね?」

 

「まぁ比企谷くんに今日のお礼を言おうとおもってね」

 

「ほーそうか、それにしても陽乃···なんだかもの凄く眠そうだな」

 

「え?そう?」

 

「ハハッそんな陽乃をみたいのは初めてだ!こりゃ愉快愉快!」

 

「ちょっと静ちゃん!!バカにしてるでしょー」 

 

「してないしてない。ちょっと驚いただけだ。君が人前でそんな表情をするとはな。良い傾向だ。早く比企谷に礼を言って帰って寝たほうがいいんじゃないか?」

 

私どんな顔してるの···さっき鏡みたけど全然普通だったじゃん。普通だったよね?

 

「そうか···陽乃も変わりだしたか···」

 

「え?」

 

静ちゃんが何か言ったようだったが聞こえなかった。

 

「いや、なんでもない。しかしあれだ、陽乃自身気づいてるかもしれないが、君は比企谷の前だと素になっていることの方が多いな」

 

「····そう··そうだね···そうなのだよ〜···でないようにしてたつもりだったんだけど、でちゃったみたいなのよね〜比企谷くん可愛いから。んー静ちゃんにもばれてたか〜やるやる〜」

 

「当たり前だ。お前と何年付きあってると思ってるんだ」

 

「んじゃーさっきのダンスの表情はどっちだと思う?」

 

「うむ。そうだな···演技2割素が8割ってところか」

 

「そんなにでちゃってたか」

 

「まぁ私もあんな陽乃の顔を見たのは初めてだったんで驚いたよ。にしても···舞台から退場する時···顔が、赤かったように見えたが···何かあったのか?」

 

「!ん、んー?な、何もないよー?」

 

なんでそこも見ちゃってるのこの人。必死に隠してたのに、見えちゃってたの!?恥ずかしい。

 

「はぁ·····ねぇまた今度二人で飲みに行こうよ、『積もる話』いっぱいあるし」

 

「·······そうだな、今度飲みに行くか」

 

「うんじゃーね〜静ちゃん」

 

「あぁ···そしてその呼び方やめたまえ」

 

 

 

静ちゃんと別れ、再び体育館の中で比企谷くんを探すこと三千テチテチ。

うーん中々いないな〜ほんとどこに行ったんだろう···それにしても確かに私眠いのかもしれない。少し瞼が重いかも……

そしてネムネムテチテチ歩いていると···

 

「あら、隼人」

 

「陽乃さん?」

 

 

そこには椅子をせっせこ運んでいる隼人の姿があった。丁度いいや、比企谷くんがいる場所知ってるかも。

 

「挨拶回りはもういいのかい?」

 

「まぁね、あとはお母さんに任せちゃった」

 

「珍しいな、陽乃さんが最後まで回らないなんて」

 

「私だってたまにはそうゆう時もあるんだよ」

 

言えない、足痛めてお母さんに気を使ってもらったなんて言えない。なんか隼人に言うのは恥ずかしい。

 

「陽乃さん、眠いのかい?」

 

「うーん?眠いのかな?眠そうに見える?」

 

やっぱり私は眠そうに見えるらしい。さっき静ちゃんにも言われたけど···

 

「ははっそんな表情をみたのは久しぶりだよ」

 

「え、私、そんなに顔に出てる?」

 

「あぁ、出てる出てる。」

 

確かに瞼は重いけどそんなに顔にでてるのかな〜?

それにしても隼人に笑われるのはなんか悔しい。さっさと話題を変えよう。

そういえば聞きたいことがあるんだった。

 

「あ、そうだ隼人、比企谷くん見てない?」

 

「比企谷?比企谷だったら···疲れてそうだったから先に帰らせたけど···」

 

「あー比企谷くん帰っちゃったのかー」

 

そっか…帰っちゃったのか。今日のお礼言いたかったけど…しょうがないか。

 

「比企谷に何か用事でもあったのかい?」

 

「ううん、別に。ただお礼でも言っとこうかなと思って」

 

んーまぁ目的のことは聞いたしそろそろ帰ろうかな。比企谷くんも帰ったならここに長居する必要もないしね。そろそろ行こう。

と思った瞬間。

 

「陽乃さん、1つ聞いていいか?」

 

ふーん…隼人が私に聞きたいことね···まぁ大まか予想つくけど。

 

「うん?何?」

 

「後半のダンスの時の表情、あれは演技かい?」

 

やっぱりか。まぁそんなことだろうと思った。隼人はこういうことは意外と敏感なのよね〜。やれやれなんと答えるか……うーん。

 

「··················隼人はどっちだと思う?」

 

と質問を質問で返してみた。まぁ私自身どんな表情をしてたか覚えてないし、ましてや仮面被ってたつもりだったのに静ちゃん曰く、素のほうが出ていたとのことだ。でも色んな意見聞きたいし丁度いいや。

 

「俺は···演技じゃないって思いたいな」

 

まぁでも、隼人ならこう言うか。

 

「あら、そう。まぁ比企谷くん、練習の時よりもガッツリ来たからちょっとドキッてしちゃったかな!」

 

「そうだね。傍から見ててもわかったよ」

 

「でしょーまったく本番の時にあんなにくるんなら練習の時もあんだけきてほしかった。···まぁそのおかげでドキドキしたわけで···」

 

····はっ!?危ない!隼人の前で何言ってんだろうわたし。あー思い出しちゃったみたいなのか顔が赤くなっていくのを感じ、少しドキドキしてきた。う〜早く帰ろう……

 

「···んじゃー比企谷くん居ないし、私そろそろ帰るね〜またねー隼人」

 

「あぁ、また」

 

隼人に表情を読まれないようにその場を足早に去った私。はぁ…なんか私らしくないかも。情けない。無意識とは言え自分からキスしておいて、ちょっと思い出しただけでこんなにも取り乱すなんて。

 

自分でも疑問に思ってしまう。

雪ノ下陽乃って人間はこんなにも弱かったの?

でもそれが分かってちょっぴり嬉しい私もいた。

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 

時刻はもうすぐ23時。

しばらくしたら都筑が迎えにくるはずなので待機しようと少し落ち着いた私は校門へと向かった。

そして校門につくと、そこには···私がずっと探していた彼が壁に寄りかかり空を見ながらボーっと突っ立っていた。

 

「およよ?比企谷くん?」

 

「あ、ど、どうも···お疲れ様です…」

 

「お疲れ様。隼人から比企谷くんは帰ったって聞いたから帰っちゃったのかと思った」

 

「まぁ···はい···帰ろうとしてましたね···小町と」

 

「まったく、一言声かけてくれても良かったのに」

 

「ま、まぁかけようと思ってたんすけど···その··か···顔··合わせずらかったというか···なんというか···」

 

と、顔を逸した。

…やっぱり比企谷くんも恥ずかしかったんだね。

 

「そ、そう。まぁ私も恥ずかしかったからおあいこだね」

 

「···そうですか」

 

「·····」 「·····」

 

お互い無言になってしまった。気まずい···

その気まずさに我慢ならず私は比企谷くんに近づきこんな事を言った。

 

「比企谷くん面白い話してよ」

 

「········ハァ···」

 

相変わらず超嫌そうなリアクション···ふふっあはは!やっぱ最高!!

 

「···口元ニヤけてますよ··」

 

「ふふっごめんごめん。比企谷くんが可愛いからいけないんだー」

 

「フッ···なんすかそれ」

 

と比企谷くんもクスリと笑う。やっぱり楽しいな〜ふふっ。

···そして一息ついて、

私は伝えたかった言葉を伝える。

 

「今日はありがとうね。比企谷くん」

 

「本当ですよもう足腰痛いですどうしてくれるんですか。明日学校で体育あるんですよ?痛みで動けまんよ」

 

「むむ。その返事はお姉さん感心しませんな〜」

 

「いや、本当のことなので···」

 

まぁ急な頼みで踊らせて、普段使わない筋肉とか使ったから痛いんだろうな〜。こりゃ明日来ますね(経験済み)

 

「あ、でも……」

 

「ん?」

 

と心配そうにチラチラ足元をみてくる比企谷くん···もしかして···

 

「雪ノ下さんも足大丈夫ですか?途中···足ひねってたでしょ」

 

気づいてたか。

 

「あはは··バレちゃってたか···足痛いの」

 

「まぁ···あんだけ近くで踊ってて、一瞬ですけど体勢くずされてたんで、もしかしたらと····」

 

ふむふむ踊ってる時に体勢を崩して足をひねってたのか···気づかなかった。それよりも比企谷くんが私のミスに気づくなんて···

 

「普通プロでもないかぎり素人は踊ってる最中は自分のことに精一杯で他人のことなんて意識できないもんなんだよね〜」

 

「安心してください。素人の俺は自分のことで精一杯だったので何もしてませんよ」

 

「そこは支えてくれても良かったんだよ?比企谷くん」

 

と言いながらでこピンしてあげた。

 

「いてっ······いや··あなた···そもそもそんな事望んでないでしょう」

 

そうだ。もし比企谷くんがそんなことをしたら雪ノ下陽乃がミスをしたと騒がれ『雪ノ下』の評判が落ちてしまう。支えてもらっていたらそれは···余計なお世話。

絶対にミスをするな、ミスしてもばれないように工夫しろ···昔、父からそう言われた。完璧を求められた。そして私にはそれが出来てしまった。例えミスをしたとしてもそれを瞬時に隠せるようにまでなった。でも、ついに私自身が気付かなくなるなんて笑える話だ。

 

「ふふっそうだね。やっぱり比企谷くんは何でも分かっちゃうんだね」

 

「····たまたま勘が当たっただけですよ··」

 

目を逸してそっぽを向く比企谷くん。

そういうところはとても愛らしい。私は比企谷くんに近づき耳元で···

「そうゆうことにしといてあげる」と告げた。

 

「ぐっ·····」

 

そしてその反応も可愛いからまたいじめたくなっちゃうのだ。これはまさに私にとって正の連鎖だ。

そして私はある事を思いついた。

 

「そうだ!!ねぇねぇ比企谷くん。近いうちに今日の打ち上げしようよ」

 

「···はい?打ち上げ?」

 

「そうそう打ち上げ!」

 

「···え、2人でですか?」

 

と聞いてくる比企谷くん。ちょー嫌そうな顔がまた面白い。

 

「うーんそうだね···今回は隼人も手伝ってくれたから隼人もいれて3人なんてどう?」

 

「えぇ····あいつも···」

 

「うん?···もしかして、二人きりが良かった……とか?」

 

「あ、3人で結構です」

 

「んもぅ··つれないな〜」

 

「いやぁもう勘弁してください···」

 

「んじゃー隼人には連絡しておくから日程決まったら連絡するね」

 

「はぁ···分かりましたよ···」

 

比企谷くんを誘えたところで、黒塗りの車が門の前で停車した。

都筑が迎えに来たようだ。んじゃー私は帰ろうかな。

 

「ん、迎えが来たようだし、私いくね。またね〜比企谷くん。」

 

そして車に向かって歩きだそうとした瞬間。

 

「は、陽乃さん」

 

比企谷くんに呼び止められた。それも名前呼びで。あんな意地でも呼ばなかった子が。

 

「うん?どうしたの?」

 

「あ、あの····ふぅ··」

 

そして何か決心をしたような顔で私を見てくる。

 

「俺のそばでは凄く輝いてますよ、陽乃さんは」

 

「えっ?」

 

「これだけ伝えたかっただけです。ちょっと小町の様子見てきますんで、では。」

 

と足早にその場を去って行った。ちらっと見えたその顔は少し赤い気がした。

 

 

「········ずるいなぁ··君は」

 

そんなこと言われたら·····余計……

 

 

 

私のこの高鳴る胸。

 

トクン、トクン…

 

1回1回響く度に

私の気持ちはあなたでいっぱいになっていくような気がするよ…

 

─比企谷くん─

 

 

 




もうほぼ設定を忘れていますのでミスはごめんなさい(TOT)
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