万刀千剣   作:神榛 紡

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プロローグ

 気が付いたら生まれ変わっていた。

 本当に前触れなんて無く、寝て起きたら赤子、とは言わずとも、一歳ちょっとの幼児で、突然そんな状況に置かれてパニックになり派手に転倒、頭に怪我をしてしまい救急車を呼ばれたのは忘れたいが忘れられない苦い記憶だ。

 幸いにも現代日本に似た世界であり、生活自体にはすぐ馴染む事ができたのだが、そう間を置く事も無く、俺、エン・テンモクは二度目であるこの世界がハンター×ハンターの世界であるという衝撃を受ける事となった。

 この世界がハンター×ハンターの世界だと知った俺は、この理不尽な世界で必ず生き残り、天寿を全うする事に決めた。

 そのために必要なのは何か。

 

 金? 違う。たとえ世界一の金持ちとなろうとも、幻影旅団やゾルディックのような規格外の念能力者に狙われてしまえばそれで終わりだ。

 

 権力? 違う。たとえハンター協会を好き勝手にできるような権力を得たとしても、否、だからこそ金を持つ以上に他者から狙われる事になる。

 

 答えは『力』だ。

 それも並の力ではなく、敵対する者を(みなごろ)しに出来るほどの、最低でもネテロ会長クラスの汎用的な戦闘能力を持たなければ意味が無く、それだけでも、現状この世界では意味が無い。

 キメラアント。外世界からやって来る最悪の敵。しかし、そんな存在もまた、外世界で落伍した存在だと言う。

 念能力は人間の世界に来てから覚えた物だが、それを除いても異常な強さを誇るキメラアントが死に体で逃げ出すようなふざけた世界が外世界だ。

 おそらく、ネテロ級の念能力者ならば渡り歩けるのだろうが、一匹紛れ込んだだけで一国潰すような生物がうようよしているそんな場所から流されてくるのがキメラアントだけ、などという楽観視はするべきではないだろう。

 むしろ、作中に出ていないだけで、星持ちの戦闘系ハンターの仕事にそういった外世界からの漂流生物の駆除が含まれていてもおかしくないし、そういった役割を持っているからこそ、ハンター協会が世界から独立した特異特殊な権力を持っているのだろう。

 まあ、そういった協会の存在に対する推測は興味の無い話だが、原作を見る限りはあまりそうも言っていられないのは確かだ。

 初期の話は俺自身に脅威をもたらすような物も無く安心な話だが、欲しい物を力で奪う凶悪な盗賊集団である幻影旅団に、キメラアントといった直接的な脅威に加えて、なんらかの理由によって厳しく制限されている外の世界を国単位で目指すという蛮行を通り越した愚行を行おうという話が覚えている限りで最新の話だった。

 もし、制限している理由が人間の世界に目を向けさせないためだったら?

 そうでなくとも、元より凶悪かつ極悪な脅威たる外の化け物達が念能力を知り、さらなる進化を遂げる事は間違いないだろう。

 つまり、念を覚えた外の世界の脅威が人類を蹂躙する可能性がある、という事だ。

 原作があるんだから大丈夫? すでに俺というイレギュラーが存在している時点で当てにならないし、現実であるこの世界で本当にそんなシナリオ通りに進む保証なんて無い。

 俺が求めるのは、“絶対”の安全だ。

 これは、そんな俺の、自らの生存を掛けた戦争の物語である。

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