八つ目の罪を数える時【凍結】   作:ティフアナ・フェアガンゲンハイト

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 初めまして常闇に咲く花です。
 何処ぞの誰かさんが、「主体となっている作品がそろそろ完結に近付いてるにも関わらず、思い付いたから書いた作品」です。
 プロローグ結構長いです。
 御了承を…。



プロローグ
贄となった時


 

 

 

 

「おと…う…さ………?」

 

 少女は喋る。

 が、うまく言葉が出ない。

 

「すまない、お前にしか出来ないんだ。ごめんな」

 

「あ、れ?眠…よ。お……さ…、ねむ……スースー」

 

 だんだんと口が上手く動かせなくなっていく少女。

 そんな少女の瞳から涙が零れ落ちた。

 

「ごめんごめんごめん。ぐっ!ううぅぅぅ……」

 

「…………」

 

 少女は応えない。

 もう、応えることはない。

 

「お前を人柱になんかしたくなかった。何で…何でお前を人柱にしないといけないんだ!クソがぁ!」

 男はそう叫ぶと、抱えていた6才程の少女を地面に空いた穴に置いた。

 泣きながら。啼きながら。

 男は寝息をたてている少女に土を少しずつ少しずつ被せていく。

 穴が塞がると、男は膝から崩れ落ち泣き叫んだ。

 夜が明けるまで永遠と…。

 

 男の住む村に病が流行っていた。

 その年、男の娘を人柱にして鎮めようとした。

 その願いは叶い、流行り病は治まった。

 

 

 

 

 

 

◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『男は其処に社を建てた。

 村人は祟りを恐れた。

 流行り病を鎮めた事に感謝した。

 それに伴い御供え物を供えた。

 全ては人柱にされた少女のために。』

 

 少女は社に住み着いた。

 誰にも見えず、誰からも相手をされない身体。

 少女は少女が居た村の成長をずっと眺めていたいと思った。

 

『その社は信仰された。

 少女は神になった。

 村を救った神として。

 少女は神としての名を与えられた。

 名を貰った事で霊体だった身に神としての姿を手に入れた。

 神名は〔夜津弥鎮贄之神(やつみやすにえのかみ)〕。』

 

 少女はそっと微笑んだ。

 名を得た事で神力を手に入れた。

 少女は社の廻りの土地を守ることにした。

 土地を豊かに住みやすくした。

 

 

 

 

 

 

 

 

◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから何年経ったのだろうか。

 私が居た時代はとっくに過ぎてしまった。

 私の事が見えるものは居るには居る。

 なかなか話し掛けてもらえないのが、なんとなく悲しい。

 ただ、軒下での日向ぼっこは楽しい。

 ん?誰か来た。

 誰だろうか、こんな時期に来る者はいないはず。

 

 子供か。

 見た目からすると、5才の男の子かな?

 ずっと私の方を見ているが、私が見えるのだろうか?

 

「お姉ちゃん此処で何してるの?」

 

 見えるのか。

 久しい。

 何を喋れば良いのか分からない。

 

『どうしたんだ小僧』

 

「こ、小僧じゃないもん…僕には名前があるもん」

 

 そうか……そうだったな。

 

『そうか、すまんな。してお前の名は?』

 

「僕の名前はケンだよ。お姉ちゃんは?」

 

 私か、何と名乗ればよいのだろうか。

 神名の夜津弥鎮贄之神(やつみやすにえのかみ)か?

 どうしたものか…。

 

『そうだな、私はヤツミという』

 

「ヤツミお姉ちゃんよろしく!」

 

 ヤツミお姉ちゃん……か。

 

『よろしく、ケン』

 

「ヤツミお姉ちゃんは此処で何してたの?」

 

『日向ぼっこ。自然の暖かみが感じられて気持ちいいんだよ』

 

「そうなの?じゃあ僕もやる!」

 

『なら私の隣に座りなさい』

 

「うん!」

 

 返事は元気だな。

 

 

 

◇

 

 

 

 おっと、いつの間にか寝てしまった。

 そろそろ日が沈む。

 ?

 ああ、そうか、ケンが居たな。

 ケンを起こして村に帰さないと…。

 いや、やめた。

 こんなにグッスリ寝ているのを起こすのは悪い。

 連れていってやるか。

 

 

 

◇

 

 

 

「ん、んん。あれ…此処は?ヤツミお姉ちゃんは何処?」

 

「おーいケンどこだ?ケーン!」

 

「あ、お父様の声だ。お父様、此処だよ!」

 

「おお、其処に居たのか。

 こんな所で何してたんだ?」

 

「えーっとね。ヤツミお姉ちゃんと日向ぼっこしてたの」

 

「ヤツミお姉ちゃん?誰だいその子は」

 

「分かんない。でもとても優しかったよ」

 

「そうかそうか良かったな。

 さて、帰るぞ。そうだ、帰ったら今日あった凄い話をしてやろう!」

 

「本当!?やったー!」

 

 

 君にはお父さんと呼べる存在が居るのか。

 羨ましいな。

 其にしても、此処は来る度に変わっていくな。

 昔の面影は有るが、もう私の知っている村じゃない。

 さて帰るか、我が社に……

 

 

 

 




 さて、読み終わった頃でしょう。
 面白かったでしょうか、それともつまらなかったでしょうか。
 人それぞれですので。

 次に会うのは常闇の花が咲く頃に
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