八つ目の罪を数える時【凍結】   作:ティフアナ・フェアガンゲンハイト

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 初めまして常闇に咲く花です。
 何処ぞの誰かさんが、「主体となっている作品がそろそろ完結に近付いてるにも関わらず、思い付いたから書いた作品」です。
 プロローグ結構長いです。
 御了承を…。



プロローグ
贄となった時


 

 

 

 

「おと…う…さ………?」

 

 少女は喋る。

 が、うまく言葉が出ない。

 

「すまない、お前にしか出来ないんだ。ごめんな」

 

「あ、れ?眠…よ。お……さ…、ねむ……スースー」

 

 だんだんと口が上手く動かせなくなっていく少女。

 そんな少女の瞳から涙が零れ落ちた。

 

「ごめんごめんごめん。ぐっ!ううぅぅぅ……」

 

「…………」

 

 少女は応えない。

 もう、応えることはない。

 

「お前を人柱になんかしたくなかった。何で…何でお前を人柱にしないといけないんだ!クソがぁ!」

 男はそう叫ぶと、抱えていた6才程の少女を地面に空いた穴に置いた。

 泣きながら。啼きながら。

 男は寝息をたてている少女に土を少しずつ少しずつ被せていく。

 穴が塞がると、男は膝から崩れ落ち泣き叫んだ。

 夜が明けるまで永遠と…。

 

 男の住む村に病が流行っていた。

 その年、男の娘を人柱にして鎮めようとした。

 その願いは叶い、流行り病は治まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『男は其処に社を建てた。

 村人は祟りを恐れた。

 流行り病を鎮めた事に感謝した。

 それに伴い御供え物を供えた。

 全ては人柱にされた少女のために。』

 

 少女は社に住み着いた。

 誰にも見えず、誰からも相手をされない身体。

 少女は少女が居た村の成長をずっと眺めていたいと思った。

 

『その社は信仰された。

 少女は神になった。

 村を救った神として。

 少女は神としての名を与えられた。

 名を貰った事で霊体だった身に神としての姿を手に入れた。

 神名は〔夜津弥鎮贄之神(やつみやすにえのかみ)〕。』

 

 少女はそっと微笑んだ。

 名を得た事で神力を手に入れた。

 少女は社の廻りの土地を守ることにした。

 土地を豊かに住みやすくした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから何年経ったのだろうか。

 私が居た時代はとっくに過ぎてしまった。

 私の事が見えるものは居るには居る。

 なかなか話し掛けてもらえないのが、なんとなく悲しい。

 ただ、軒下での日向ぼっこは楽しい。

 ん?誰か来た。

 誰だろうか、こんな時期に来る者はいないはず。

 

 子供か。

 見た目からすると、5才の男の子かな?

 ずっと私の方を見ているが、私が見えるのだろうか?

 

「お姉ちゃん此処で何してるの?」

 

 見えるのか。

 久しい。

 何を喋れば良いのか分からない。

 

『どうしたんだ小僧』

 

「こ、小僧じゃないもん…僕には名前があるもん」

 

 そうか……そうだったな。

 

『そうか、すまんな。してお前の名は?』

 

「僕の名前はケンだよ。お姉ちゃんは?」

 

 私か、何と名乗ればよいのだろうか。

 神名の夜津弥鎮贄之神(やつみやすにえのかみ)か?

 どうしたものか…。

 

『そうだな、私はヤツミという』

 

「ヤツミお姉ちゃんよろしく!」

 

 ヤツミお姉ちゃん……か。

 

『よろしく、ケン』

 

「ヤツミお姉ちゃんは此処で何してたの?」

 

『日向ぼっこ。自然の暖かみが感じられて気持ちいいんだよ』

 

「そうなの?じゃあ僕もやる!」

 

『なら私の隣に座りなさい』

 

「うん!」

 

 返事は元気だな。

 

 

 

 

 

 

 おっと、いつの間にか寝てしまった。

 そろそろ日が沈む。

 ?

 ああ、そうか、ケンが居たな。

 ケンを起こして村に帰さないと…。

 いや、やめた。

 こんなにグッスリ寝ているのを起こすのは悪い。

 連れていってやるか。

 

 

 

 

 

 

「ん、んん。あれ…此処は?ヤツミお姉ちゃんは何処?」

 

「おーいケンどこだ?ケーン!」

 

「あ、お父様の声だ。お父様、此処だよ!」

 

「おお、其処に居たのか。

 こんな所で何してたんだ?」

 

「えーっとね。ヤツミお姉ちゃんと日向ぼっこしてたの」

 

「ヤツミお姉ちゃん?誰だいその子は」

 

「分かんない。でもとても優しかったよ」

 

「そうかそうか良かったな。

 さて、帰るぞ。そうだ、帰ったら今日あった凄い話をしてやろう!」

 

「本当!?やったー!」

 

 

 君にはお父さんと呼べる存在が居るのか。

 羨ましいな。

 其にしても、此処は来る度に変わっていくな。

 昔の面影は有るが、もう私の知っている村じゃない。

 さて帰るか、我が社に……

 

 

 

 




 さて、読み終わった頃でしょう。
 面白かったでしょうか、それともつまらなかったでしょうか。
 人それぞれですので。

 次に会うのは常闇の花が咲く頃に
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