それと、結局ラウラだけです!
では、どうぞ!
「いやー、怖かったぜ」
「何が怖かったの?一夏」
「色々だ」
まさか本人を相手に、『サーベルを振り回すシャルロットの顔が怖かった』と言える訳がない。
「さて、俺はまた扉に行かなきゃ…」
残りは、ラウラと箒だ。
一夏はとてつもなく逃げたくなったが…謎の殺気×2を感じ、渋々扉の前に立つ一夏。
「い、一夏。何で泣いてるの?」
「いや、泣いてないぞシャル。これは目から汗が出ただけだ」
「それを泣いてるって言うんじゃ…」
シャルロットのツッコミをスルーして、一夏は衣装データが変わると同時に扉を開けた。
…ヤケクソ気味に。
私の名はラウラ・ボーデヴィッヒ。
ドイツ軍所属、IS配備特殊部隊【シュヴァルツェ・ハーゼ】の隊長で現在は____
『ワールド・パージ、完了』
____現在は新婚2ヶ月目の【嫁】を愛する【新郎】だ。
「ラウラ、朝食出来たぞ」
「うむ、今行く」
軍からの給付金で買った一軒家が、私達の愛の巣だ。2人で住むには広すぎる気もするが、将来のことを考えると丁度良いくらいだろう。
「今日は和食にしてみたんだ」
「お前の料理なら何でも良い」
全く、本当によく出来た嫁だ。
嫁____織斑一夏は家事良し、器量良し、更に顔も良いという最高の嫁だ。
む?欲しいだと?誰にもやらん!
「ラウラ、今日も仕事かい?」
「いや、今日は特別休暇を貰ったぞ」
「つまりは1日中2人っきりってことなのか⁉︎」
嫁がガタタッと音を立てながら立ち上がる。
むう…ここ最近、確かに忙しかったからな。寂しい思いをさせてしまっていたかもしれん。
「ならラウラ!頼みたい事があるんだ!」
「な、なんだ?一応言っておくが、ゴスロリはもう着ないからな⁉︎」
「分かってるよ」
アレは恥ずかしかった…2度と着たくない。
「わ、分かってるのなら良い…」
ホッとしたところで、嫁で淹れてくれたココアを飲もうとするが…
「ラウラの裸エプロンが見たいなあ」
「ぶうぅぅぅぅぅ!!?」
吹き出した。それはもう盛大に。
その後嫁にCQCを決めるべく、飛び込んだのは言うまでもない。
「デバイスを作ってみたけど…」
束が渡してきたのは、簪が使っている眼鏡型デバイスとよく似ていた。
「…コレじゃあ、入れないな」
一樹はひと目見ただけで、そのデバイスが使えない事を見抜いた。
「うん…電脳ダイブはそもそも、ISのコア・ネットワークを使ってやるのが前提だから…」
束の言葉に、ミオが疑問を持つ。
『ねえマスター。私がいるよ?』
「(悪い…今回、学園のサーバーにお前の存在を送る訳にはいかないんだ。コアナンバー0のISコアの存在を記録する訳にはな)」
今更無駄かもしれない。
そんなことは百も承知だ。
だが…戦闘ならともかく、データに少しでも残るかもしれない電脳ダイブは危険すぎる。
そして、一樹が正攻法で電脳ダイブをするという事は、一樹に関するデータを集められるはずだ。そうなると…
人間の脳では、間違いなく【破裂】してしまう。
「(折角…雪は暗闇から抜けれたんだ。また闇に送る確率は、なるべく下げたいんだ…)」
『…そう』
ミオが納得したところで、一樹は束に向き直る。
「…ちょっと試したい事がある。束さん、サーバールームに案内してくれませんか?」
「え?うん」
「ハア、ハア、ハア…」
「そんな涙目にならなくても…」
自分を守る様に、私は嫁から距離を取った。
コイツ…いつの間にか私のCQCを受け流す技術を持っていた。解せぬ。
「い、嫌だからな!わ、私が裸エプロンなど…恥ずかしくて死ねる!」
「何言ってんのさ。夜はもっと凄いことしてるのに」
「言うなぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ふ、夫婦の生活を持ち出すのは卑怯だぞ!!?
「夜のラウラは凄いよな〜。俺何度気絶させられかけたことか…」
「だから言うなぁぁぁぁぁぁ!!!!」
束の案内により、サーバールームに入る一樹。不思議に思ったのか、簪も付いてきた。
「……」
サーバールームに入ってすぐ、一樹はキーボードを操作し始めた。
「かずくん?」
「櫻井君?」
一樹は2人の言葉を無視し、サーバー情報を開く。
「……コイツは調整に時間がかかるな」
どこからかゴーグルを2つ取り出し、ひとつを束に渡す。
「ここからはスパークが激しくなる。更識さんは外でアイツらと一緒に待機しててくれないか?」
「え?でも…」
「悪い、ゴーグルが2つしか無いんだ」
「…分かった」
素直に出てくれた簪に、ホッとする一樹。束は漸く、一樹のしようとする事が分かった様だ。
「かずくん、もしかして…」
「イレギュラーに対して、イレギュラーで対応するのは当たり前でしょ?」
「…まあね」
一樹は立ち上がり、エボルトラスターを取り出す。
「…雪が寝たきりになるのは、もうこりごりなんで」
「…うん、分かってる」
ドックン…
一樹の手の中で、小さく鼓動を打つエボルトラスター。それが意味するのは…
「…この先は、俺の
束は静かに頷いた。一樹はそれを見ると、エボルトラスターを引き抜く。
光が一樹を包むと、そのままサーバーマシンへと入っていった。
「…雪ちゃんをお願いね、かずくん」
「くぅ…まさか負けるとは…」
「ラウラはカウンターに弱いよね。相変わらず」
「う、うるさいうるさい!」
あの後、嫁のカウンターを貰い、数分気絶してしまった…
その隙に着替えさせられた事は一生忘れん。
「ラウラ…」
「ち、近付くな!近付くと酷いぞ!」
もはや自分でも何を言ってるのか分からない。しかし、このままでは嫁に
…ん?別に良いのではないか?
と思った矢先だった。
「だからっ!何でみんなこんな夢ばっかり見てんだよ!!?」
何者かがばしーんとドアを開けて入ってきた。
全身をみっちりと銀色の
「何者だ貴様!」
手に届く場所にあった出刃包丁を、甲冑男に向けて投擲した…が。
「はっ!」
甲冑男は峰の部分を叩く事で、出刃包丁を落とした。
「やっぱりラウラは厄介だな…けど!コレはこの間感覚を思い出したばかりなんだよ!!」
「訳わからん事を言うな!」
落ちた出刃包丁を拾って、甲冑男に向かって踏み込む。
「悪いラウラ!少し寝ててくれ!」
私の刺突攻撃を、甲冑男は腕を掴む事で阻止すると、足払いで私を転ばせる。
「ガッ!?」
背中を叩きつけられ、肺から空気が強制的に吐き出される。
「がんばれ、ラウラ」
嫁の声援を受け、私は立ち上がる。私は、負ける訳にはいかない!
両手に包丁を持って甲冑男に斬り込む。
「テメエは…」
私の攻撃を両腕で受け止めながら、甲冑男が叫んだ。
「テメエは…ラウラに戦わせて自分は高みの見物か!?ふっざけんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
甲冑男は私の横を通り過ぎ、一夏に向かって駆け出す。
「せえりゃあぁぁ!!」
いつ私から出刃包丁を奪っていたのか、両手に出刃包丁を持って一夏に飛びかかる。
「がんばれ、ラウラ」
「黙れぇぇぇぇ!!!!」
甲冑男の斬撃が、一夏に決まる。
その一撃は確実に決まっているのに、血が一滴も出ていない。
それどころか…
「がんばれ、ラウラ」
壊れたラジオの様に…
「がんばれ、ラウラ。がんばれ、ラウラ」
同じ台詞を繰り返す…
「がんばれ、ラウラ。がんばれ、ラウラ。がんばれ、ラウラ」
何度も、何度も。
「がんばれ、ラウラ。がんばれ、ラウラ。がんばれ、ラウラ。がんばれ、ラウラ…」
がんばれ、がやがて『戦え』に聞こえてくる…
「(わ、私は…戦うために、生まれたのか…)」
「ラウラ!正気に戻れ!お前は人間だ!世界でたった一人しかいない!ラウラ・ボーデヴィッヒだろうが!!こんな人形の戯言なんか聞くんじゃねえ!!」
甲冑男が、その兜を脱ぎ捨てる。
そこには、見慣れた顔があって…
「戦いなんて!無くなっちまえば良いんだよ!そうすれば!お前がお前でいれる!その世界を…」
甲冑を着た状態で飛び上がると、ニセ一夏に向かって右足を突き出す。
「一緒に見に行こうぜ!ラウラ!!」
ニセ一夏は、本物の一夏の攻撃で、跡形もなく崩れて行った…
サーバーを進むウルトラマン。
だが、束にひとつ説明していないことがあった。
今回の戦場はウルトラマンの作ったメタ・フィールドでも、メフィスト達が作り出したダーク・フィールドでもない。
電脳世界なのだ。
負けたら…帰ってこれない。
だから、失敗は許されない。
「…シュウッ!」
心なしか、先ほどより飛ぶスピードが上がったウルトラマンだった。
「にしても…何でみんなの夢に俺が出てくるんだ?」
『それはね〜』
ラウラを夢世界から救出した一夏が呟くと、束が説明してくれた。
『多分だけど、対象者の精神に直接アクセスして、その人の願望…まあ、願いだね。それを見せる事で外界と遮断してるんだよ〜。まだ意図は分からないけどね!』
「願いを見せる…か」
『そうだよ〜。
「…どういう意味ですか?」
『だから〜。
「…?」
『まあそれは、かずくんの方が分かってるみたいだけどね!そろそろそっちに着く…』
束の声は、途中で途切れた。
一夏の前方に、強い光が現れたためだ。一夏が目を凝らしてみると…
「…ウルトラマン?」
光に包まれた、等身大のウルトラマンがいた。
「ハアァァァァァ…」
ウルトラマンは両手を頭上でクロスし、ゆっくり下ろす。
光が晴れたそこには、見慣れたS.M.Sの制服を着た一樹がいた。
「…ふう」
「一樹?」
「よお一夏。お前がここにいるって事は、俺も上手く潜り込めたって事だな」
「え?だってISのコア・ネットワークを使ってるんじゃ…」
「色々事情があってな。俺だけ
裏技、の言葉と同時にエボルトラスターを見せる一樹。
「そっか…」
「で、雪が入った扉はどれだ?」
「その端っこの奴」
一夏が指した扉の前に立つ一樹。
「…お前も、あとひとつ頑張れよ」
「ああ、分かってる」
そして、お互い(一夏は変装して)ドアを開けた…
次回、Episode100!
箒?ダレソレ?
状態です!
箒ファンの方はすいません。
…自分の作品を読んでる方でいるのなら、ですけど。
雪恵オンリー!
やってやるぜぇぇぇぇ!!!!