人と光の“絆”   作:フルセイバー上手くなりたい

107 / 156
今回、サブタイを見れば大雑把な内容がバレてるのではないかと思う件


Episode102 洗脳-バット-

「カズキ、お出かけしたい」

「また唐突だな…」

S.M.Sの一樹の部屋で、寝起きの一樹に言うセリー。

「ユキエは機体の整備で動けないって言うし、暇だから」

「俺が暇じゃないんですが?」

「ソースケ達に『アイツは休みだ。いや、休みにするから行ってこい』って言われた」

「…手が早いですね。まあ良いや。どこかに出かけるか」

「わーい♪」

子供の様にはしゃぐセリーを、一樹は微笑ましく思う。

 

 

まずは腹ごしらえ、という事でダンの店に来た2人。

「…ふう、食った食った」

「ん、美味しかった」

腹が膨れて、大満足の2人。

「今日はどこか行くのかい?」

「ええ。セリーが遊びに行きたいって言うので…」

「そうか。楽しんでこい」

「ありがとうございます、ダンさん」

 

 

「で、どこに行きたいんだ?」

ショッピング嫌いの2人がしてるのは、散歩。

それだけでもセリーは楽しそうだ。

「んー、このまま歩いてるだけでも楽しい」

「んじゃ、気になる店とかあったら寄る感じで」

「ん、それで行こう」

しばらく歩き、店に入ったり、入らなかったり。

2人ならの、楽しみ方で過ごした…

 

 

「ふん、相変わらず面倒だな。ISのメンテナンスの度にやるのは」

ここは、亡国機業のアジト。そして、エムの専用整備室である。

「まあ、そう言わないでくれ。君に必要な調整をするためなのだから」

エムの四肢に電気信号を読み取る機器をつけながら話す老人。

名を【ジェームズ・ミューゼル】、あのスコールとの関係は不明だ。

「それじゃ、サイレント・ゼフィルスを預かるよ」

エムから、サイレント・ゼフィルスの待機アクセリーを取った途端______

 

「ここ…どこ?」

 

______先程までの強気な瞳ではなく、オドオドと周囲を見回す()()()()()の姿があった。

「いや…怖いよぉ…助けて…()()()()()()()

その後何度も何度も『姉さん、兄さん』と繰り返すマドカを無視しながら、ジェームズは調整を続ける。

「ふん…ISの脳波システムを応用して、洗脳措置を施すのがここまで簡単だとはな…何故誰もやらないのか、理解に苦しむね」

ジェームズの瞳には、【狂気】しか映っていなかった…

「いや!離してぇ!姉さん!兄さん!助けてよお!!!!」

「今日はいつにも増して騒がしいね。まあ良いさ。ここ最近得られるデータには目を見張るものがある。これもあの2機との戦いが影響してるのだろうな」

一樹のストライクフリーダム、一夏のユニコーンとの戦いのデータは、エムに新たな機体を与えるか一考するには充分すぎた。

「イタリアから奪ったこの機体、これをぶつけたら…また面白いデータが取れることだろうな…この【バンシィ】のデータがね」

 

 

「何だかんだで、結構買ったな」

「うん。学園用のシャンプーとか少なくなってたから、丁度良かったね」

一樹とセリーの手には、学園で使う日用品の詰め替え品が大量にあった。

「にしても、セリーは本当に俺と同じので良いのか?」

普段、セリーは一樹と同じ洗剤を使っている。

…一樹のひたすら安いシャンプーを、セリーに使わせているのが、一樹は胸が痛むのだ。

「ん?別に気にしてない」

「いやさ、雪と同じのにしても良いんだぜ?」

「うーん…私自身シャンプーにこだわりはないから…」

「とは言うものの…アレそこまで品質良くないからさ。セリーに使わせるのは心が痛むんだよ…」

「カズキって…過保護だよね」

「そうか?」

「うん、そうだよ」

「…度合いが分からないからな。たまに宗介とか和哉を見て勉強してるんだけどな」

だから舞の方が下には厳しいかもしれない。

と、一樹は苦笑しながら話す。

「マイって、一樹の妹なの?」

「義理の、な」

「ふうん…」

 

『楽しそうですね〜、ウルトラマンにゼットン』

 

「「ッ!?」」

楽しい時間は、一瞬で崩壊した。

一樹とセリーの正面に現れるワープホール。そこから出てきたのは…

「…バット星人」

「あ、ああ…」

震えるセリーを庇う様に、一樹は前に出る。

『おや?我々の事をご存知なのですか?それは光栄です』

「…何の用だ。地球に観光しに来た、ってんなら案内くらいするんだけどな」

『ふむ、それはそれで楽しそうですが、今回は残念ながら違うのですよ』

大袈裟な仕草で残念がるバット星人。

一樹の表情がどんどん厳しくなる。

「…セリー、今すぐテレポートで逃げろ」

「で、でも…」

「良いから!」

バット星人はゼットンの養殖にかけては宇宙一の一族だ。つまり、ゼットンの事は知り尽くしている。

そんなバット星人の前に、セリーを置いておくのは危険だ。

『何故そのゼットンを庇うのか、理解出来ませんね。元々そのゼットンはあなたを殺そうとしたのですよ?』

「(コイツ…セリーがシャドウに操られていた事を知ってやがる…!?)」

一樹の袖を握るセリーの手が、尋常でない程震えている…それが意味するのは…

『私が捨てた時より、随分可愛らしくなってる様ですが…まさかあなたの女にでもなったのですかな?』

「今すぐその薄汚い口を閉じろ。死にたくないならな」

かつてない程、一樹は怒っている。

あまりの怒りに、一周回って冷静だった。

『お〜怖い。流石は歴戦の勇者、殺気の濃度が尋常でないですね』

しかし、やり様はあるんですよ…

そう言ったバット星人の手に握られていたのは、リモコンだった…

「ッ!セリー逃げろ!!!!」

一樹が気付いた時には、もう遅かった…

『ポチッと♪』

バット星人がリモコンのスイッチを入れた瞬間、セリーの目の色が変わった。

「セリー!しっかりしろ!セリー!!」

一樹が必死でセリーに呼びかけるも、セリーは荒々しくその手を振り払う。

『さて、ゼットン。そのお方に、今までお世話になったお礼をして差し上げなさい』

バット星人の命に、セリーが一樹に向かって右掌を伸ばす。

 

ドォンッ!!!!!!!!

 

瞬間、衝撃波が一樹を襲う。

「ごっ!!?!!?」

くの字になりながら吹き飛ぶ一樹。

 

ガラガラガラガラッ!!!!!!!!

 

ショッピングモールの観葉植物を巻き込んで、ようやく止まる。

「ゲホッ!ゲホッ!」

なんとか観葉植物をどかして立ち上がり、バット星人を睨む一樹。

「てめえ…セリーに何をした!!?」

『何、簡単に説明すると洗脳したのですよ。このリモコンでね』

心底楽しくて仕方ない、という風にバット星人は説明する。

『元々、このゼットンの戦闘力は目を見張るものがありました。しかし何故か甘い性格へとなってしまいましてね。我々の目的には使えないという事で1度捨てたのですよ』

バット星人の言葉に、一樹はギリッと歯ぎしりする。それを知ってか知らずか、バット星人は続ける。

『しかし、このゼットンが宇宙でどういう行いをするのか気になった私は、このゼットンに発信機をつけておきました。するとどうでしょう?あの闇の巨人によって、我々が望む以上の残忍さを手に入れた!後は隙を見てコイツを回収するだけ…だったのに!』

先程までの態度はどこへやら、一樹に向かって殺気を放つバット星人。

『あなたが余計な事をしてくれた!浄化だかなんだか知りませんがね!発信機も破壊され、探すのに苦労しましたよ!まさか人間として生活してるとはね!』

「…そうか、ああそうか。よおく分かったよ…てめえだけは絶対許せないって事がなあ!!!!」

素早くブラストショットを取り出し、バット星人に向かって駆け出す一樹。

『無駄です。ゼットン』

バット星人の命を受けて、セリーが再び一樹に向かって手を伸ばす。

「ぐっ⁉︎」

セリーの念動力によって、一樹の動きは押さえつけられる。

ゆっくりと空中へ上げると、思いっきり突き飛ばされた。

 

ドォンッ!!!!!!!!

 

「があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?!!?」

吹き飛ばされながらも、一樹はブラストショットをバット星人のリモコンに向かって撃つ。

 

バリィィンッ!!!!

 

見事リモコンを破壊したが、セリーが止まる様子はない。

「なっ!!?」

『残念でしたねウルトラマン!このリモコンはあくまでスイッチを入れるだけ…後はこのゼットンが死ぬまで止まる事はありませんよ!さあ暴れなさいゼットン!この星の生態系を壊すほどに!』

セリーの体が光り、巨大化する…

《ゼェェットォン…》

セリーは再び、ゼットンへとなってしまった。

「セリィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!!!!!」

『ハハハハハ!!これこそゼットンのあるべき姿です!!!!』

「ふっざけんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

一樹はエボルトラスターを取り出して、鞘から引き抜いた。

 

 

「ハッ!」

ゼットンを後ろから抑えようとするウルトラマン。

《ゼェェットォン…》

ゼットンは邪魔くさそうにウルトラマンを投げ飛ばした。

「グアッ!?」

更にテレポートで近付くと、まだ起き上がっていないウルトラマンに向かって前蹴り。

「グゥッ!?」

更に連続で火球を撃ってきた。

「グッ⁉︎グゥッ!?グアァッ!!?」

火球をまともに喰らい、吹き飛ぶウルトラマン。更に______

『キェェェェイッ!!!!』

______バット星人も巨大化し、ウルトラマンに向かって剣を振るってくる。

「フッ⁉︎ハッ!」

それを何とか屈んで避けるウルトラマン。

「シェアッ!」

『オゴッ!?』

バット星人のガラ空きの胴に、ストレートキックを放つ。

追撃しようとするウルトラマンの背中に、ゼットンの火球が命中する。

《ゼェェットォン…》

「グアッ!!?」

起き上がってすぐに、ゼットンの左手が振り下ろされるのを、両手をクロスして受け止めるウルトラマン。

「シュウッ!」

しかし、間髪入れずに右手が振られた。

「グオッ!?」

腹部を殴られ、蹲るウルトラマンの頭を掴み、ゼットンはウルトラマンを投げ飛ばした。

「グアァァァァァァァァ!!?」

地面に倒れるウルトラマンに、剣を突き刺そうとするバット星人。

『ハアッ!』

「フッ⁉︎」

それを何とか横に転がって回避し、起き上がる。

『ハアッ!フンッ!』

「フッ!シュッ!」

連続で剣を振るってくるバット星人。ウルトラマンはそれを避けるかアームドネクサスで受け止めていたが…

《ゼェェットォン…》

「フッ!?」

ゼットンに、羽交い締めされてしまう。

『ハハハハハ…フンッ!』

「グアッ!?」

ウルトラマンが動けないのをいい事に、バット星人は何度もその剣で斬りつける。

『気分は、どうですかッ!?自分が救った者に、押さえつけられている気分は!!?』

「グッ⁉︎グオッ!?」

バット星人に斬りつける旅に、ウルトラマンの体から火花が散る…

 

ピコン、ピコン、ピコン…

 

ウルトラマンのエナジーコアが鳴り響く…

『ハアッ!』

「グアァァァァァァァァ!!?」

最後に思いっきり斬りあげられたウルトラマン。大きく吹き飛び、大地にうつ伏せに倒れてしまう…

そんなウルトラマンに、バットは剣の切っ先を突きつける。

『その命、預けておきますよ。精々、残った僅かな時間を楽しんで下さい。ハハハハハハハハハハ!!!!!!!!』

「フッ!グッ!」

高笑いを上げながら、バット星人はゼットンと共に消えていく。

ウルトラマンは懸命に手を伸ばすも、届かない…

「…シェアァァァァ!!!!」

悔しそうに大地を叩くと、ウルトラマンは消えていった…




セリーは、どうなってしまうのだろうか…
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。