お気楽にどうぞ。
「クロエ、本当にS.M.Sで良いのか?」
「はい。世界のどこを探しても、ここ以上に安全な場所はないでしょうから」
「世界で1番危なっかしいと思うんだけどな…」
束からクロエをS.M.Sで雇ってくれないかと言われた一樹は、クロエに最終確認をしているところだ。
「とりあえず…クロエは事務係として入ってもらうよ。ただ、あくまで仮にだから、クロエに合った部署が分かればすぐに移動になる。だからしばらくは色々やってもらうことになるよ」
「はい、大丈夫です。家事以外ならやります」
「…家事は長い目で見る必要があるから、当分頼まないよ。安心してくれ」
束にクロエがどうやって生きていたのか気になる一樹。
「ところで…」
「どうしました?一樹様」
「だから様はやめろって…ボーデヴィッヒとはなるべく顔を合わせない方向で良いのか?」
非常に聞きにくそうにする一樹。しかし、それは聞いておかなければならない事なのだ。いつ一夏がS.M.S所属だとバレても良いように。
「…そうですね。なるべく、会いたくないです」
「了解…とりあえず、今人手が足りてないのは…」
自分専用のパソコン(生体認証システム完備)をカタカタ操作する一樹。
「……クロエ」
「なんでしょう?」
「……宇宙に、興味はあるか?」
「………はい?」
夕食を食べに、食堂に来た一夏を待ち構えていたのは…
「「「「……」」」」
ここ数日、避けていた専用機持ちたちだった。
「あ、部屋に忘れ物したんだった」
クルリと反転、食堂を出ようとするが、5つの手が止める。
「待て」
「お待ちなさい」
「待ちなさいよ」
「待って」
「待たないか」
一夏、逃亡失敗。
「…あのさあ、茶番を出入り口でやるのやめてくれないか?邪魔だから」
心底嫌そうに言う一樹。しかし5人にその言葉は聞こえていないらしい。証拠に、「忘れろと言った」と言い合っている。
「………」
イライラしながらも茶番の終わりを待つ一樹。
…ちなみに黛が面白そうだとカメラを構えるも、一樹の不機嫌MAXの顔を見て慌てて退散していた。
ブチッ
そしてとうとう、一樹の血管がキレた。
「ガッ⁉︎」
ガシッと一夏の首根っこを掴むと…
「出入り口で邪魔だって言ってんだろうがぁぁぁぁ!!!!!!!!」
廊下に向かって思いっきり投げ飛ばした。
「何で俺ぇぇぇぇ!!?!!?」
だんだん一夏の声が小さくなっていく。それだけ遠くに投げられたという事だ。
「……」
ゆらり、と今度は専用機持ちたちに照準を合わせる一樹。
「「「「あ、あわわ…」」」」
一樹の目の光が失われているのを見た専用機持ちたちがガタガタ震える。
「…次は誰だ?」
「さ、さて夕食を食べに行かなければ」
「そ、そうですわね!早くしないと時間が…」
「しょ、食堂は時間が決まってるしね!」
「早く買いに行こ!」
「うむ!早く行かねば!」
慌てて食券を買いに行こうとする専用機持ち。
しかし反転したそこには…
「ねえ…何でかーくんを無視したのかなぁ?教えてくれるカナカナ?」
「…焼き尽くす」
黒いオーラを纏った雪恵とセリーがいた。
「「「「ヒィィ!!?!!?」」」」
前後を囲まれた専用機持ち。その晩、彼女達が食券を買う姿を見た者はいない…
ある生徒の目撃情報によると…
『櫻井君がマジギレすると、部屋の温度が10度下がった』
『雪恵ちゃん達と合流すると、まだ残暑厳しい時期なのに真冬の様に寒かった』
『当事者じゃないのに、生きた心地がしなかった』
等と語っているとか。
一体、彼女達はナニを見たんでしょうね…